政策国会国会演説代表質問

第198回国会における馬場成志副幹事長代表質問

馬場成志副幹事長

自由民主党の馬場成志です。私は自由民主党・国民の声を代表して、ただいま議題となりました平成29年度決算について質問いたします。

一昨年2月に設置された参議院改革協議会では、参議院の組織及び運営の改革について精力的に検討を重ねてきました。昨年6月には、参議院でこれまで取り組んできた決算審査の充実とともに、行政の監視・監督を活動のもう一つの柱と位置づけ、行政監視機能の強化に議院全体として取り組んでいく旨、議長に報告しています。これを受け、参議院では、これまで築き上げてきた決算の参議院という側面に加え、本会議を起点とした新たな行政監視の年間サイクルをつくりあげ、行政監視委員会の活動を一層強化・充実させて参ります。更に一層、多角的に、政府の活動をチェックしていきたいと存じます。

先週公表された、毎月勤労統計の不適切な調査問題に関する報告書では、まさかという事実が明らかになっています。
統計の正確性へのあまりにも軽い認識、適正な手続きを無視した意識の低さ、抽出調査を統計学的に処理しなかった統計処理能力の欠如、など基幹統計を扱う機関とは思えない杜撰さが長きにわたり続いていたことに愕然としております。
特別監察委員会の有識者による聞き取りを再度実施すると伺っておりますが、更なる全容解明のためにも速やかに行っていただきたいと思います。
今回の問題を契機に行われた、政府の56の基幹統計に関する一斉調査の結果、22統計でミスが見つかりました。政府全体で統計調査に対する意識が低いという根本的、構造的な問題があるのではないかと危惧しております。
過去一年間ではありますが、政務の端くれとして籍を置いた私自身も責任と憤りと恥ずかしさなどいろいろな思いがこみ上げてきます。
再集計値をもとに正しい給付金に改めることや追加給付金の迅速な支払を行うことはもちろんですが、「組織として統計調査に関与していなかった」というガバナンスの問題との指摘も含めて、真摯に受けとめた上、二度とこのような不適切極まりない事案が発生しないよう、解体的出直しをする覚悟で抜本的な見直しを早急に講ずることが必要ですが、根本厚労大臣のお考えをお伺いします。

さて、平成29年度決算を見ると、一般会計歳出、歳入ともわずかに増となりました。歳入では、税収及び税外収入ともに予算額を上回っています。公債依存度も、一般会計で34%台と厳しい状況ではありますが、前年度と比べて約5ポイント改善されています。
この決算から「経済再生なくして財政健全化なし」が正しいことを確信したところですが、安倍総理におかれては、引き続き、経済成長と財政を持続可能にする基盤をどのように固めていくおつもりなのか、お伺いいたします。

会計検査院による平成29年度決算検査報告では、税金の使い方などに問題があると指摘されたのは374件、合計1,156億円となっています。指摘を受けた省庁には、財政状況の厳しさを受け止め、問題の改善、そして今後の適正な事業の立案、執行への反映を強く求めます。
そこで、平成29年度決算と決算検査報告を受けて、平成31年度予算にどのように反映させたのか、麻生財務大臣にこの点をお伺いします。

今回の決算検査報告では、特定検査対象として社会保障の動向と国の財政健全化に与える影響について検査を行っています。その中で、平成16年の年金制度改革により導入された、マクロ経済スライドが、平成27年度を除き発動されず、仮に毎年発動させていれば、国の負担は、平成28年度までに3兆3千億円抑えられていた可能性があるとの試算をしています。
一方、社会保障制度の持続可能性を考えるに当たっては、多くの高齢者が高い就業意欲を持っていることなども踏まえるべきではないでしょうか。65歳以上の方々の労働力人口割合は増加傾向にありますが、内閣府の調査では、現在仕事をしている高齢者の約4割の皆様が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答しています。「70歳くらいから80歳くらいまで働きたい」との回答と合計すれば、約8割の高齢者が高齢期にも高い就業意欲を持っていることになります。
今回の会計検査院の試算を踏まえつつ、どのような方向性で、社会保障制度の持続可能性を高め、全世代型社会保障の実現を図っていくおつもりなのか、総理にお伺いいたします。

私の地元、熊本県は平成28年4月、極めて短期間に前震、本震、いずれも震度7というわが国観測史上最大規模の地震に襲われました。そして、役場や病院、幹線道路など災害時にこそ機能すべき施設も大変な被害を受けました。農業の生産現場も田植えに必要なため池や水田が深刻な被害を受け、コメの作付を断念した農家もありました。都市であろうが、農山漁村であろうが、国民の皆様の尊い命と生活の場、生産の場を守るために国土強靭化対策を強力に進めていかなければなりません。
しかし、今回の決算検査報告では、災害に対する安全性、強靭性に関する指摘がいくつもあります。決壊した、ため池の土手や擁壁の復旧工事の設計が不適切だった事例、また、耐震補強のための橋梁工事の設計が不適切であった事例等への指摘があります。これらの指摘を受け止め、二度と起きぬよう入念にチェックされなければなりません。政府には、国土強靭化関係の予算の確保はもちろんのこと、事業の質を確保しながら執行していく体制をしっかりと整備していくことを求めたいと思います。
今回の災害等における安全性確保に関する会計検査院からの指摘を受けて、災害対応及び国土強靭化を所掌する山本担当大臣は、どのように国土強靭化施策が進められるべきとお考えでしょうか。お聞かせください。

さて、会計検査において、国費の無駄遣いや不適切な経理を指摘し、改善することが重要なのは当然ですが、単に節約、効率化だけではなく、政策目的の達成と政策効果の発揮という観点でも目を光らせるべきです。
昨年9月の台風24号では、四国の吉野川で、以前なら浸水していたレベルの水位を記録しましたが、地域でダムや堤防が整備されたことにより被害の発生を回避できました。熊本地震では高速道路が寸断されましたが、地域高規格道路などが開通し、リダンダンシーが確保されていれば救援活動や復旧・復興はより円滑だったはずです。
わが国を線でつなぐ高速交通網、そして面で地域の安全を守る防災事業などは、事業が完成して初めて効果が生まれます。事業完成が遅れれば、予算はつぎ込まれても、供用まで事業効果は生み出されません。
高速交通や治山治水等の社会資本整備については、事業完成が遅れたり、供用開始予定が延びたりすることがないよう、しっかりと予算を確保することこそが効果的、効率的な事業執行であると考えますが、この点についての総理のお考えをお伺いして、私の質問とさせていただきます。