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国会

第200回臨時国会における世耕弘成参議院自民党幹事長代表質問

2019年10月8日

世耕弘成参議院自民党幹事長

自由民主党の世耕弘成です。
私は、自由民主党・国民の声を代表して、安倍総理大臣の所信表明演説について質問いたします。

冒頭、8月の九州北部豪雨、先月の台風15号など、相次ぐ自然災害の猛威に晒された全国の皆様に、心からのお見舞いを申し上げます。特に、過去最高クラスの勢力で関東に上陸した台風15号の被害は甚大でありました。政府には、千葉県をはじめとした被災者の皆様に対して柔軟な支援を継続いただけますよう要請いたします。

昨日は我が国EEZ内で北朝鮮漁船が水産庁の船に衝突、沈没するという事案が発生しました。我が国の主権がしっかりと行使されたのか、今後政府には説明を尽くしていただきたいと思います。

私の座右の銘は臨済録にある「隋処作主」という言葉であります。「どのような立場になっても主体的に行動することの大切さ」を説いた言葉です。私は官房副長官、経済産業大臣として6年8ヶ月余、内閣の内側から政権を支えてまいりました。
内閣を離れ、参議院自民党幹事長という新たな立場となった今、改めて「隋処作主」の精神で、今度は熟議の参議院という立場から、支えるべきは支えつつも、申し上げるべきことはしっかりと申し上げさせていただくという姿勢で臨んで参ります。
私は安倍総理と約20年もの長きにわたって政治行動を共にして参りました。その根底には総理の政治理念への共鳴があることはもちろんですが、どのような難局に直面しても冷静沈着で余裕を失わず、人の意見によく耳を傾ける。数え切れないほど同席させていただいた外国首脳との会談では、相手の提起した論点に一つ一つ丁寧に応答し、相手の心を鷲掴みにしていく。そして難病を経験されたからでしょうか、人に対して何とも言えない優しさを示される。そういう総理の人柄に強く惹かれたという面もまた大きいものがあります。
しかし国会審議の現場では、時々、私の知る総理とは異なった一面が垣間見えることがあります。私は安倍政権に否定的な立場の方にお会いすることがあると、その理由を尋ねるのですが、「答弁の時の居丈高な態度が気にくわない」「ヤジにいちいち反応するところが嫌いだ」といった理由を挙げる方が少なくありません。総理の普段の人となりを知る者として、これほど残念で勿体なく感じることはありません。
総理、これからの国会審議では、是非謙虚で丁寧な対応に徹して頂くよう、強くお願いしたいと思います。

さて、私たちは直近、選挙を経験しました。私は自分の選挙は脇に置いて、全国30都道府県を仲間の応援に回り、多くの有権者と触れ合いました。そこで聞かれたのは政治の安定の継続を求める声であり、その通りの選挙結果が出たと思います。
しかし一方で、国民各層が将来に関して漠然とした不安を持っていることも痛感しました。「配偶者が亡くなった後、一人でどう生活していけばいいのか」「幼い子どもが成人するまでの教育費を負担できるのだろうか」「40歳を超えた子どもが正社員として就職できていないがどうすればいいのか」といった人それぞれの不安の声を数多く聞かせていただきました。
こういった不安こそが、数字には明確に表れているアベノミクスの成果を国民が実感できない、消費にお金が回らない大きな原因だと考えます。
全世代型社会保障改革を単なる制度論、予算論に終わらせることなく、国民が持つ将来への不安に政治がしっかりと向き合うことこそ重要だと考えますが、総理のご見解を伺います。
直近の選挙を経験してきた参議院自民党としてもこれら不安の声を集約し、政策的なスポットライトを当てる活動を充実させていくことを宣言したいと思います。

特に不安の声が強く聞かれたのが、人口減少に苦しむ地方です。もちろん安倍内閣でも、地方に希望を持ってもらえるよう、「地方創生」の旗印の下、様々な取組を進めて参りました。単に地方への再分配を進めるのではなく、それぞれの地域の自主性と独自の戦略を後押しするという地方創生の考え方は、決して間違ったものではなかったと考えております。しかしながら、それぞれの地域の経済的な自立という最終的な目標には、残念ながらまだ至っていないということは、事実として受け止めなければなりません。
私は、経済産業大臣の立場から、地域の経済的自立を目指した様々な取組を進めさせていただきました。例えば、スタートアップ企業約1万社から141社を選んだ「Jスタートアップ」事業です。有力なスタートアップ企業というと、どうしても大都市圏に集まってしまいますが、なるべく幅広い地方から発掘するよう腐心いたしました。
例えば、山形県鶴岡市の「スパイバー社」は、世界で初めて人工合成のクモの糸を量産し、革新的な素材企業として注目を集めています。また、新潟県妙高市の「コネクテックジャパン社」は、独自の半導体チップ基板実装技術を誇る半導体ベンチャーですが、この技術もまた世界初のものです。
地域経済が真に自立していくためには、こうした革新的な企業が次々と生まれ、地域の活力の源、そして雇用の場となっていかなければなりません。地域経済の中心的な担い手となる「地域未来牽引企業」の選定を全国で進めさせていただいたのも、この思いからであります。
必要は発明の母とも言いますが、地域の厳しい状況は、裏を返せば、新たなテクノロジー活用に向けた格好の舞台であるとも言えます。過疎地における自動運転の走行実験の進展などが今後期待されます。
来年度から地方創生は第2期のスタートを迎えるわけですが、こうした観点から、地方の真の自立に向けた地方創生のあるべき姿について、総理のお考えをお聞かせください。

しかし一方で「最低限の医療体制すら整っていないのに、地方の自立、地方創生と立派なことを言われても困る」「運転免許を返納して、買い物にも満足に出掛けられない」「後継者がおらず、年齢的に体力の限界で地域にとって重要な事業を廃業せざるを得ない」といった痛切な声が聞こえています。
これらの問題は過疎地に限った問題ではなく、いずれ近い将来都市部も直面する問題です。足元では人口流入の続く東京も、2025年には人口のピークを迎え、その後はピークアウトの局面に入っていきます。東京も含めた全国で確実に対処を迫られる問題として捉え、国民の不安の声に向き合っていく必要があります。
そこで無視できないのが、国の財政支出のあり方です。
アベノミクスの「3本の矢」については、第1の「大胆な金融政策」が我が国経済の大きな転換点となったことは周知のとおりです。また、第3の矢「成長戦略」についても、経済産業省で担当させていただいた様々な政策のほか、観光・農業などの分野に至るまで、道半ばとは言え、内閣としてかなりのことをやってきたものと評価しております。
他方、第2の矢「機動的な財政政策」は、果たして本当にやりきったと言えるでしょうか。大胆な金融緩和が続く中でも、国民の間のデフレマインドは根強く残っています。十二分の対策を講じてはいるものの、先日から実施された消費税率の引上げや、さらには不透明さを増す世界経済の情勢を踏まえれば、もう一段機動的な財政政策に目を向けることも必要ではないかと感じております。
また、先ほどから申し上げている国民の将来への不安や地方の痛切な声に向き合っていくためにも、ある程度の財政出動は必要なのではないでしょうか。そして将来への不安を解消することが消費を促進し、真のデフレ脱却につながると考えます。日本の財政には決して余力がないわけではありません。昨年の「新経済・財政再生計画」では、2025年度の国・地方をあわせたプライマリーバランス黒字化、債務残高対GDP比の安定的な引下げという目標を堅持することになりました。確かに、この2つの指標を見れば、我が国の財政状況はG7諸国の中でも最悪です。
一方、単純な財政収支の対GDP比を見ますと、我が国の赤字は3.7%と、フランスの3.6%、米国の3.9%などと比較しても大差のない水準です。すなわち、足元では、我が国の財政運営は諸外国と比べて極端にアクセルをふかしている状況にはないと言えます。先程触れました「再生計画」では、財政再建目標とあわせ、「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針も確認されました。
国の財務の健全性を見る場合、債務残高対GDP比率を重視するのが国際的な常識です。本年7月の「中長期の経済財政に関する試算」においても、経済成長が実現されたケースでは、債務残高対GDP比の安定的な引下げが予想されています。経済の再生・下支えと国民の不安の解消に必要な支出は大胆に行うべきという方針は、政府とも共有出来るものと考えます。
現下の不安定な経済情勢や国民の不安を考えればさらなる財政出動を図るべきとも考えられますが、いかがでしょうか。総理のご見解を伺えればと思います。

冒頭、台風15号の被害について触れました。2週間以上をかけてようやくおおむね解消されるに至った今回の停電は、電力の安定供給という普段は意識もされないテーマについて、国民に大きな問いを投げかけてきたように感じております。
今回の事案では、人口密度が低く迂回して送電できるネットワークがないエリアで、停電が長期化しました。経営コストを下げ、料金を下げれば消費者は喜びます。そのためにはインフラ投資は当然最小限に抑えられます。しかし、それ一辺倒で本当に消費者のためになるのか。我々はもう一度しっかり考えなければならないのではないでしょうか。
他方、関西電力の事件でエネルギー業界のあり方に国民から疑念を持たれたことは、残念の極みです。
ポピュリズムではなく、しかしながらムラの内輪の論理でもないバランス。国際的な議論にも耐えられる現実性。こうした観点を備えた、責任のあるエネルギー政策が今こそ必要だと言えるのではないでしょうか。 昨年、私は経済産業大臣として、第五次エネルギー基本計画の策定を担当しました。そこでは、2030年の再エネ主力電源化を明確に宣言するとともに、バランスと現実性を考慮し、CO2排出ゼロの電源として再エネと原子力を合わせて44%、CO2を排出する電源として化石燃料由来のものを56%とする2030年のエネルギーミックス目標を維持しました。
化石燃料を用い続ける我が国の計画は、海外から批判を受けることもあります。しかし、教条主義的に化石燃料を排除するだけでなく、現実的にCO2効率を改善していく我が国の姿勢には、そのような批判は全く当たりません。例えば、蒸気を高温・高圧にしてCO2排出を抑える超々臨界圧発電を途上国で導入することは、世界の環境改善に大きく貢献します。
日本がやらなければ、質の低い石炭火力発電所が各国で増えてしまうだけという現実もあります。しかも、この技術については、我が国のオペレーション能力は世界でも指折りです。中国も着手し始めていますが、単に製造できるということと運営できるということは大きく違います。運営も含めた総合的な技術力を生かして効率化を進めていくことは、我が国から世界への大きな貢献となるのではないでしょうか。
もちろん、石炭火力への資金を絞るダイベストメントの潮流も無視できない中、世界におけるレピュテーションリスクにも目を向ける必要はあります。
バランスの取れた、現実的なエネルギー政策を目指していくということについて、総理のお考えをお聞かせください。

冒頭、参議院選挙について触れましたが、選挙において、国民の皆様から寄せられる不安、その裏返しとしての自民党への期待として私が数多く耳にしたのが、緊迫する安全保障環境への対応です。
去る10月2日、北朝鮮から弾道ミサイルが発射され、我が国の排他的経済水域内に落下しました。北朝鮮の弾道ミサイル発射は関連する安保理決議に違反するものであり、我が国としても厳重に抗議の意思を示さなければなりません。
ただし、今回のミサイル発射の脅威は、単にEEZ内に落ちたというだけではありません。日米両国政府をはじめとする、各国当局等の発表では、今回のミサイルは、迎撃が困難なロフテッド軌道で、しかも、沖合から発射されたとのことです。北朝鮮は、近年ミサイルによる攻撃能力を迅速かつ着実に上げています。昨今、入手できる画像では、発射台付き車両を用いて同時に多数のミサイルを発射することができるようになっています。固体燃料を用いたミサイルを発射台付き車両や潜水艦から発射されると、事前に燃料注入等を把握し、迎撃に備えることができないので、我が国への脅威は格段に高まっています。
これまで弾道ミサイルへの対処能力の向上を図るために、政府では、イージス艦の追加配備等に努めてきていましたが、船である以上、整備や補給の関係で港に戻る必要があり、24時間365日休みなく対応することはかなり無理がかかっています。
日本全土を24時間365日守り抜くためには、陸上から弾道ミサイルににらみを利かせるイージス・アショアの配置が不可欠であることは間違いありません。イージス・アショアの配備により弾道ミサイル攻撃に対する抑止力も大きく向上します。
しかし、配置される地元住民の皆様への不安に寄り添う説明がなされなければ、地域で理解が深まることもありません。イージス・アショアが我が国・国民の安全、安心を守り抜くために不可欠であることや、しっかりとした調査結果に基づいて候補地選定の理由を説明することはもちろん、住民の皆様の不安が解消されるよう親身になって誠実に対応していくことが大切ですが、安倍総理のお考えをお聞かせください。

今お伺いした北朝鮮問題に関して無視できないのが、韓国との協力関係です。最近、韓国は、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を更新しないという理解に苦しむ決定を行い、北朝鮮に誤ったメッセージを送っているという現実があります。対ロシア、対中国を含め、日韓の結束を国際社会に示していくことは死活的に重要だと考えます。
一方、GSOMIA破棄に至る動きの引き鉄となった韓国側の不誠実な対応、すなわち、1)旧朝鮮半島出身労働者問題などに関して国と国の約束を守らないこと、そして、2)兵器に転用される恐れがある物質についての韓国側の管理体制に不十分な点がある中で、日本からの申し入れにもかかわらず、十分な意見交換の機会が長年なくなっていたこと、については、毅然たる対応が必要であることは論を俟ちません。各種世論調査等でもこうした政府の姿勢は国民の支持を強く受けています。
こうした難しい状況下、韓国とどのように向き合い、どういうきっかけで両国関係を健全な関係に戻していくのか、総理の見解を伺いたいと思います。

次に、日本外交の基幹ともいうべき日米関係、特にその貿易関係についてお伺いします。
現地時間9月25日、日米首脳会談において、総理とトランプ大統領は、日米貿易交渉の最終合意を確認し、共同声明に署名されました。また先刻ワシントンで協定への署名が行われました。昨年9月の日米首脳会談において、交渉を開始することで一致してから僅か一年、米国側の要求事項が相当強いものだったにもかかわらず、安全保障上の脅威を理由に導入をちらつかせていた自動車への追加関税を回避するとともに、米国産米の輸入枠も設けず、さらには日本の農業輸出を後押しする成果を得る形でまとめられたことに、交渉に当たられた茂木大臣をはじめ関係者の努力は高く評価されるべきだと考えます。
今回の日米貿易協定の主な成果をあらためてお示し頂くとともに、それがどのように、我が国の経済産業にメリットをもたらすかという点について総理の見解をお伺いします。

同じく貿易関係では、我が国はRCEPの交渉にも臨んでいることを忘れるわけにはいきません。日中韓やASEAN、インド、オーストラリア、ニュージーランドを含み、妥結すれば世界人口の約半分、世界の国内総生産、そして貿易額でも約3割を占めるアジアで最大の自由貿易圏となるRCEPはメガ経済連携協定です。
同時に、アジアを中心とする参加国の経済活性化だけでなく、関税自由化に今まで後ろ向きであった中国やインドを自由貿易圏へと組み込む点でも大きな意義があります。そのような背景もあって、私自身、経済産業大臣当時、RCEPの交渉には、並々ならぬ決意を持って臨んでまいりましたが、関税引き下げ交渉が大きく進んだこともあって、目標とする年内妥結も不可能ではない状況になりつつあると認識しています。
世界中において保護主義の流れが強まる中、TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定、そしてそこにRCEPが加われば、世界の主要な貿易交渉に主導的立場で参加している日本は、今や世界の自由貿易の要となっているということになります。
総理は、このRCEP交渉を我が国の国益という観点から、どのように位置づけておられ、早期実現に向けてどのような方針で交渉に臨むお考えか。見解をうかがいたいと思います。

続いて、日中関係についてお尋ねします。
既に両政府間で合意されていますが、来年春には習近平国家主席の国賓としての来日が決まり、日本と中国の間に良好な関係構築の機運が高まっています。中国では、丁度、建国記念日である国慶節を迎えましたが、安倍総理のお祝いメッセージが、TVやネットで広く視聴されて話題になっているとの報道もあります。
日中関係の安定及び深化は、東アジアはもちろん、世界全体の繁栄に寄与することは明らかですが、一方で、世界各地での中国の影響力の拡大、特に港湾の権益等の中国国有企業などへの売却には注意を払う必要があります。
このような情勢下、中国が推進する「一帯一路」政策についても、アフリカやタイにおけるいわゆる第三国協力など、我が国の国益を一つ一つ慎重に検討しつつ、是々非々で進めて行くことが肝心だと考えます。
こうした中、総理はどのように対中外交を進めていく所存か、見解を問いたいと思います。

外交に関しては、ロシアとの関係も無視できません。
安倍総理とプーチン大統領の会談は、通算27回に及び、私も官房副長官として、また、ロシア経済分野協力担当大臣として、そのほとんどに間近で同席し、両者の強固な信頼関係を目の当たりにしてきました。
未だ両国間で平和条約が締結出来ていないという不幸な状態から脱却するために、まず、求められるのは、言うまでもなく北方領土の返還に向けた動きです。プーチン大統領であっても、現下のロシア国内での支持率の低下状況などを踏まえると、大きな決断は出来ないと言う分析もありますが、強力な指導者であるプーチン大統領でなければ、この問題は難しいと私は考えます。
この動きを加速させるべく、また、我が国企業のロシア市場への展開などを促進させるべく、8項目の協力プランをベースとして、対ロシア経済関係構築に努めてきました。北極圏における巨大なLNGプロジェクトの実現から、平均寿命の短いロシアに対するヘルスケア分野での協力など、数多くの成果が生まれてきています。
一方で、8月のメドベージェフ首相の択捉島訪問や、7月の竹島上空へのロシア空軍機の領空侵犯など、我が国として看過しがたい事案も継続的に発生しています。
こうした状況下、総理は、現在のロシア側の姿勢をどのように分析しているのでしょうか。また、どのような道筋での北方領土の返還や平和条約の締結を思い描かれているのでしょうか。見解をお聞かせください。

今年6月には、日本がホスト国となったG20サミットが開催され、総理は、データの自由な流通や電子商取引に関するルール作りを目指す「大阪トラック」を宣言しました。
我が国やアメリカなどがデータの自由な流通を訴え、プライバシーを重視するEUはむしろ規制を強化することに熱心である一方、中国は国家主導によるデータの管理を主張するなど、国によってさまざまな考えがある中で、「来年6月を予定されている世界貿易機関(WTO)の閣僚会議までに実質的な進展を目指す」と安倍総理が強調したことは、政治的な推進力を与えたものと評価されます。
大阪トラックのコンセプトを実現するためには、信頼性のある自由なデータ流通、すなわちData Free Flow with Trust、DFFTを確立させなければなりません。本年1月のダボス会議で安倍総理は、「経済成長のエンジンはもはやガソリンではなくデジタルデータで回っている」と主張しましたが、消費者や企業行動が生み出す膨大なデータについて、国をまたいで活用できる体制構築が今後の課題となります。With Trustの「信用」の部分については、どこの国であればデータを共有できるのか、外交的な見極めが必要となってきます。
我が国が標榜する「コネクテッドインダストリーズ」の構築に関しては、企業と企業、機械と機械、人と人がデータを通してつながり、さまざまな製品やサービスが遠隔地で相互に連携する世界が描かれています。日本を支えてきたモノづくり産業は、コネクテッドインダストリーズにより、ロボット、自動走行、ヘルスケアなどの次世代のビジネスへと発展する可能性を秘めています。
日本の製造現場には正確なデータが大量に蓄積されており、これらの利活用により価値創出ができれば、日本が新たに強みを発揮していける領域を持つことができます。
今後、どのような方向で、大阪トラックを進めながら、国際的なルールを創設し、それを我が国の経済産業の発展にどのように生かしていくのか、総理の戦略をお聞かせください。

来年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。
東京オリンピック・パラリンピックが日本にもたらす経済効果は30兆円を超えるともいわれています。現在、ラグビーワールドカップが我が国で開催され、日本代表の3連勝もあって大きな盛り上がりを見せていますが、東京オリンピック・パラリンピックは、これを上回る盛り上がりを見せるものと思われます。
ただ、肝心なのはその後です。この盛り上がりの火を消さないために、どのようにするべきか。そうした観点から、私は経済産業大臣当時、文字通り身命を賭して2025年の大阪・関西万博の誘致に取り組み、政府・国民一丸となって、何とかこれを実現させることができました。
東京オリンピック・パラリンピック、そして、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして実施される大阪・関西万博、これらを通じて、総理は、どのように日本全体の活性化につなげることを考えておられるか、特に冒頭にお尋ねした地方創生との関係も踏まえて見解を伺いたいと思います。

我々自民党は、先の参議院選挙において、改憲論議を進める候補者か、議論しない候補者かを選ぶ選挙であると訴えてきました。そして参議院選挙の結果は、憲法改正について少なくとも議論すべきだという国民の審判があったことは明白です。
参議院選挙後の8月末から9月の初めにかけて行われた世論調査でも、憲法改正に向けて各党が国会で具体的な議論をすべきという回答は77%、内閣支持層では84%、内閣不支持層でさえも70%となっています。選挙直後の別の新聞社による緊急世論調査では、今後、国会の憲法審査会で憲法改正に向けた議論が活発に行われることを期待するとした人は66%となっています。各種世論調査も国民の声は憲法改正については少なくとも議論はすべきだということを示しています。
しかし忘れてはなりませんが、憲法改正の発議はあくまでも国会自身が行うものです。行政府が行うものではありません。また、憲法改正は、安倍政権のレガシー作りにあるわけではありません。憲法の審議を進めていく責任は国会にこそあります。「熟議の院」たる参議院として、建設的な議論を進める環境を我々は整えていかなければなりません。
憲法改正の最後の判断は国民のものです。この臨時国会において各党が憲法改正に対するそれぞれの意見をしっかりと開陳し、さすがは参議院だといわれるような審議を進めようではありませんか。そこで最後に総理に、参議院における憲法改正に関する議論に期待するところをお尋ねし、私の代表質問を終わります。

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