
衆院本会議で就任後初となる所信表明演説を行う高市早苗総理
高市早苗総理は10月24日、就任後初となる所信表明演説を衆参両院の本会議で行いました。高市総理は「責任ある積極財政」で暮らしや未来への不安を希望に変え、強い経済を作る決意を強調。日本維新の会との新たな連立政権で、「政治の安定」をもたらし、広範な政策合意へ各党と柔軟に、真摯に議論する姿勢を示しました。
「強い経済」をつくる
「経済あっての財政」 戦略的に財政出動
高市総理は所信表明の冒頭で「責任ある積極財政の考え方の下、戦略的に財政出動を行う」と経済財政政策の基本方針を力強く宣言しました。積極財政で所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げなくても税収を増加させる道筋を示しました。
最優先で取り組むこととして物価高対策を挙げ、「継続的に賃上げできる環境を整えることが政府の役割」としました。
物価高対策を最優先 補正予算提出を明言
高市総理はすでに経済対策の策定を閣僚に指示しており、「必要な補正予算を国会に提出する」と明言。ガソリン税の暫定税率については、今国会での廃止法案を期し、軽油引取税の暫定税率の早期廃止も訴え、国・地方の安定財源を確保すると述べました。
また、医療・介護施設への対応として診療報酬・介護報酬の改定の時期を待たず、経営の改善・従業者の処遇改善につながる補助金を措置するとしました。自治体向けの重点支援地方交付金の拡充し、物価高に影響を受ける生活者や、中小企業・小規模事業者、農林水産業等、地域の実情に合った支援を速やかに届けることも約束しました。
日本列島を、強く豊かに
成長戦略の肝は「危機管理投資」
中長期的な経済戦略として高市総理は、「危機管理投資」を行い、経済安全保障、食料安全保障、健康医療安全保障、国土強靭化等、さまざまなリスクや社会課題に対して、官民が連携して先手を打って行う戦略的な投資の重要性を強調。「日本成長戦略会議」を立ち上げ、課題解決に資する製品・サービス・インフラを提供して、日本の成長につなげる決意を示し、「未来への不安を希望に変え、経済の新たな成長を切り開く」と宣言しました。
高市内閣が示す「危機管理投資」の対象は、先端技術や食料安全保障、エネルギー、国土強靭化対策に加え、「国民のいのちと健康を守ることは重要な安全保障」として、健康医療安全保障という概念を示しました。人口減少・少子高齢化を乗り切るため、社会保障制度における給付と負担の在り方について「国民的な議論が必要」として、超党派で有識者も交えた国民会議を設置し、与野党を超えた議論を呼び掛けました。
「女性の健康総合センター」の成果を全国展開
「攻めの予防医療」を徹底することも高市総理は主張しました。特に、自ら長年、女性の生涯にわたる健康の課題に取り組んできたことを挙げ、女性特有の疾患について、診療拠点の整備や研究、人材育成に取り組む「女性の健康総合センター」の成果を全国展開することを提唱しました。
外交・安全保障
世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す
「自由で開かれた安定的な国際秩序は、パワーバランスの歴史的変化と地政学的競争の変化に伴い、大きく揺らいでいる」――高市総理は中国、北朝鮮、ロシアの軍事的動向等に懸念を示しました。
歴史的な国際情勢の転換点にある中、高市総理は「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」と述べ、日本の外交・安全保障政策の基軸である日米同盟をさらに強め、抑止力・対処力を高めることを強調。「自由で開かれたインド太平洋」を外交の柱に、基本的価値を共有する同志国やグローバルサウス諸国との連携強化に取り組むとしました。
北朝鮮による拉致問題は「この内閣の最重要課題」として、全ての拉致被害者の帰国実現へ、「あらゆる手段を尽くす」と決意を示しました。
令和4年末に策定した防衛3文書については「新しい戦い方の顕在化等、安全保障環境の変化もみられる」として、防衛費の対国内総生産(GDP)比2%水準を、今年度中に前倒しで達成し、来年中の3文書改定に向けた検討開始を表明しました。
外国人政策については違法行為やルールから逸脱する一部外国人に対しては「排外主義とは一線を画するが、こうした行為には政府として毅然と対応する」とルール順守を求める考えを強調。治安・安全の確保にも厳正に対応する姿勢を示しました。