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国会

第198回国会における茂木内閣府特命担当大臣の経済演説

2019年1月28日

茂木内閣府特命担当大臣

一.はじめに

経済財政政策担当大臣として、我が国経済の現状と課題、政策運営の基本的考え方について所信を申し述べます。

二. 経済財政運営の基本的考え方

日本経済は、六年に亘るアベノミクスの推進により、大きく改善しています。名目GDPは五百五十兆円と過去最大、企業収益も過去最高の八十三兆円を記録しました。雇用環境も大幅に改善し、有効求人倍率は四十四年ぶりの高水準、失業率は二十五年ぶりの低さとなっています。アベノミクス開始とともに始まった今回の景気回復は、昨年十二月で七年目に入り、戦後最長期間に並んだとみられます。
本日閣議決定した政府経済見通しでは、来年度の日本経済についても、十月に予定される消費税率の引上げに対して万全の対応を図ることなどにより、経済成長率は実質で一・三パーセント程度、名目で二・四パーセント程度と、内需を中心とした堅調な景気回復を見込んでいます。
ただし、通商問題が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等のリスク要因には十分注意しながら、経済運営に万全を期してまいります。

三.全世代型社会保障改革と成長戦略の新展開

その上で、経済成長をさらに持続させ、加速させていくためには、日本経済が直面する大きな壁、少子高齢化の進展、経済成長と財政健全化の両立、そして、保護主義と通商問題、これら三つの課題に全力で取り組んでいく必要があると考えています。
一つ目の壁は、急速に進む少子高齢化です。教育無償化やリカレント教育の充実で質の高い人材を育成するとともに、健康長寿に向けた取組を進めます。さらに、人生百年時代に対応し、これまでの雇用制度や社会保障制度全体を見直し、誰もがいくつになっても、安心し、活躍できる「全世代型社会保障」へと改革していきます。
まず、本年夏までに、働く意欲のある高齢者が何歳になっても働き続けられる社会を目指して、六十五歳以上への継続雇用年齢の引上げに向けた検討を進めます。また、新卒一括採用の見直しや中途採用・経験者採用の拡大を図り、誰もがその能力を十分に発揮できる社会を目指します。
これらの改革は、人材の質を高め、「人生の再設計」を可能とするための改革であり、その実現は「全世代型社会保障制度」の基盤となります。こうした基盤を整備した上で、本年夏頃から、給付と負担の見直しも含めた社会保障制度全体の改革を本格的に検討していきます。
また、日本経済の課題である潜在成長率の向上に向け、成長戦略をさらに加速させる必要があります。今、世界では、AI、IoT、ビッグデータなど、第四次産業革命の技術革新によって、より高度な経済、より便利で豊かな生活、いわゆる「Society 5.0」が実現しつつあります。
人手不足感が高まる我が国においても、これを労働生産性向上のチャンスと捉え、例えば、車の無人自動走行といった「次世代モビリティ」、ビッグデータに基づく最適な予防・ケア・医療サービスを提供する「次世代ヘルスケア・システム」、さらに、金融分野でのフィンテック・キャッシュレス化など、「Society 5.0」の実現に向けた取組を一気に進めます。

四.財政再建と消費税率の引上げ

二つ目の壁は、経済成長と財政健全化の両立です。政府として、「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下、経済・財政一体改革に着実に取り組み、2025年度のプライマリーバランス黒字化、債務残高GDP比の安定的な引下げを目指します。
本年十月に予定されている消費税率の引上げは、財政健全化だけでなく、幼児教育・高等教育の無償化など「人づくり革命」の実現、社会保障の充実・安定化に不可欠なものです。
ただし、引上げ前後に駆け込み需要、反動減といった大きな需要変動が生じると、景気の回復力が弱まり、結果的に経済、そして財政にも悪影響が及んでしまいます。前回の引上げ時の経験を活かし、あらゆる施策を総動員して万全の対応を図ってまいります。
今回、消費税率引上げの実質的な負担は、幼児教育の無償化や軽減税率の導入など、既に決められている負担軽減措置により、二兆円程度に抑えられます。これに対し、新たに低所得者や中小・小規模事業者に対する支援策、自動車・住宅といった耐久消費財の需要平準化措置、防災・減災、国土強靱化を通じたマクロの需要下支え策など、合計二・三兆円程度の予算・税制措置、消費税率引上げによる経済への影響を乗り越える十二分の対策を講じてまいります。

五.保護主義と通商問題

三つ目の壁は、保護主義と通商問題です。今、世界で保護主義の動きが広がる中、我が国が主導して自由貿易システムを守っていかなければなりません。
昨年十二月三十日に、TPP11が発効しました。一昨年一月の米国のTPP離脱以降、まさに我が国が主導して交渉を進めてきましたが、それが今、結実したわけです。また、本年二月一日には日EU・EPAも発効します。TPP11と日EU・EPAの経済効果を合算すると、GDP押上げ効果十三兆円、七十五万人の雇用増と大きな効果が見込まれ、日本経済の新たな成長エンジンとなることが期待されます。
そして、保護主義や海外経済のリスクが懸念される今だからこそ、我が国には、自由貿易の旗手として、TPPや日EU・EPAなど二十一世紀型の自由で公正な共通ルールを世界に拡げていく動きを主導していく役割が求められています。
米国とも、これらの課題について議論を進めます。昨年九月の日米首脳会談で「日米物品貿易協定」の交渉を開始することに合意しました。その日米共同声明には、農林水産品について過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であることなど、日本の立場が明記されています。この共同声明に基づき、我が国の国益に沿って、今後の日米交渉をしっかりと進めてまいります。

六. むすび

以上、日本経済が乗り越えるべき三つの壁は、日本が直面する課題であると同時に、やがて先進国や世界各国が直面していく課題でもあります。日本がフロントランナー、「課題先進国」として、世界に向けて解決モデルを示していく。このことに全力で取り組んでまいります。国民の皆様、議員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。

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