機関紙「自由民主」2961号より
臨時国会
補正予算の早期成立に全力
2021年12月08日
新型コロナ対応を強化
第207回臨時国会が12月6日召集され、同日、岸田文雄総理は衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。今国会には新たな経済対策を強力に進めるための財政的な裏付けとなる今年度補正予算案が提出されており、わが党は早期成立に全力を挙げる方針。

「新型コロナを克服し、新しい時代を切り拓く」と決意表明する岸田文雄総理(衆院本会議)
所信表明演説の冒頭、岸田総理は「(衆院総選挙で)国民の皆さんから頂いた信任を背に、新型コロナを克服し、新しい時代を切り拓くという極めて難しい課題に挑んでいく」と力強く決意表明。これを実現するための新たな経済対策について「危機に対する必要な財政支出はちゅうちょなく行い、万全を期す」と強調した。
その上で岸田総理は、今後重点的に取り組む課題として、(1)新型コロナウイルスへの対応(2)経済回復に向けた支援(3)新しい資本主義(4)外交・安全保障(5)災害対応(6)憲法改正――を挙げた。
新型コロナへの対応では、病床の確保や公立・公的病院の専用病床化、飲める治療薬の年内の薬事承認などを進めるとともに、来年6月までに司令塔機能の強化を含めた抜本的な体制強化策を取りまとめる方針を示した。3回目のワクチン接種をできる限り前倒しすることにも言及した。
経済回復に向けた支援については「断固たる決意で、新型コロナでお困りの方の生活を支え、事業の継続と雇用を守り抜く」と述べ、さまざまなメニューを用意し、対応していくとした。
「新しい資本主義」実現を

召集日に開かれた党役員会では補正予算案の早期成立に全力を挙げることなどを確認した
「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした「新しい資本主義」については、世界で新たな資本主義モデルの模索が始まっているとした上で、「わが国としても『新しい資本主義』を具体化する。世界、そして時代が直面する挑戦を先導していく」と表明。来春、新しい資本主義実現会議で全体のグランドデザインと実行計画を取りまとめる方針を示した。
外交・安全保障では、日米同盟の強化や防衛力の抜本的強化など、災害対応では、盛り土規制を行うための法整備や軽石被害対策などに取り組むとした。憲法改正については「国会議員は憲法の在り方に真剣に向き合う責務がある」として、国会での積極的な議論を重ねて求めた。
所信表明演説のポイント
新たな経済対策
- ●「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」と命名した。必要な財政支出はちゅうちょなく行い、万全を期す
新型コロナウイルスへの対応
- ●病床の徹底的な確保と個々の病院の病床利用の「見える化」に取り組む
- ●公立・公的病院に法律に基づく要請を行い、新型コロナの専用病床化を進める
- ●3回目のワクチン接種は、優先度に応じ、できる限り前倒しする
- ●飲める治療薬の年内の薬事承認を目指す
- ●来年6月までに、司令塔機能の強化を含めた抜本的な体制強化策を取りまとめる
新しい資本主義
<成長戦略>
- ●「イノベーション」「デジタル田園都市国家構想」「気候変動問題」「経済安全保障」に大胆な投資を行う
<分配戦略>
- ●看護・介護・保育・幼児教育などの分野において、給与の引き上げを行う
- ●民間企業の賃上げを支援するための税制を抜本的に強化する
- ●下請けGメン倍増による下請け取引の適正化に取り組む
外交・安全保障
- ●防衛力の抜本的強化については、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する
- ●「核兵器のない世界」の実現に向け、現実的な取り組みを進めていく
- ●拉致問題は最重要課題。あらゆるチャンスを逃さず、全力で取り組む
災害対応
- ●熱海市の土石流災害を踏まえ、これまで規制が及ばなかった区域においても盛り土規制を行うための法整備を進める
- ●軽石被害に対し、回収・処理への支援、漁業被害への支援などを行う
- ●東日本大震災からの復興に全力で取り組む。国際教育研究拠点の長期・安定的な運営を実現する
憲法改正
- ●与野党の枠を超え、国会において積極的な議論が行われることを期待する
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