北海道や東北、信越地方を中心に市街地でのクマの目撃情報が相次ぐ中、人慣れしたクマが山から下りて人の生活圏に侵入するケースが増えています。近年の異常気象による木の実の不作や個体数の増加による生息分布域の広範囲化が主な原因と考えられています。
クマの出没が増加する10月に向け、今年9月からクマやイノシシが人の日常生活圏に出没したり、建物への侵入が見られた場合、住民の安全確保や一時的な通行制限など一定の条件下であれば特例的に市町村長の判断・指示で委託を受けたハンターが緊急に猟銃を使用することを可能にする「緊急銃猟制度」が開始されます。
危険鳥獣への対応 より迅速に、より柔軟に

緊急猟銃の4条件
近年、人の日常生活圏に食料を求めて山を下りてくるクマが増加しています。
環境省では人への被害の大きさを鑑み、昨年4月に絶滅可能性のある四国の個体群を除くクマ類を指定管理鳥獣に追加し、わが党は政府や自治体とも連携しながら被害の縮小に取り組んできました。しかし従来の鳥獣保護管理法では自治体や警察が住民からの出没通報を受けた場合、都道府県知事への捕獲許可申請や捕獲許可証の交付、警察の立ち合いを要する等、さまざまな手続きを踏む必要があり、迅速に駆除できないケースが多くありました。また、これまで住宅が集合している地域での鳥獣捕獲も具体的な被害が生じた際には駆除が行われてきましたが、クマが興奮している場合やこう着状態にある場合において迅速な対処を行い、被害を防止する必要性も高まっています。
今年4月18日に可決され、9月1日から施行される改正鳥獣保護管理法では、地元自治体が人の日常生活圏内に出没したクマやイノシシに対して人身被害の恐れが高いと判断し、一定の条件を満たした場合、市町村長の判断による緊急銃猟が可能になります。

環境省資料より『緊急猟銃が行われているイメージ』
緊急銃猟を行う可能性がある市町村は対応マニュアルの作成や机上での訓練、銃猟に伴う事故に備えた保険への加入等、いつでも緊急銃猟を行えるよう平時からの準備を行うことが推奨され、実際に緊急銃猟を行う際には、市町村は銃猟の実施行為を市町村職員以外のハンターに委託することができます。