
厚生労働省は8月30日、新型コロナウイルス感染症の新たな治療薬として、英アストラゼネカ社が開発した中和抗体薬「チキサゲビマブ・シルガビマブ(販売名:エバシェルド)」を特例承認しました。同薬は、感染源にさらされる前に投与することで発症予防効果が得られる初めての治療薬で、ワクチンの効果が得られない免疫不全症の方々等の新たな予防手段として期待されています。
2種類の人工抗体で増殖抑制
この中和抗体薬は、新型コロナに感染し回復した人の抗体を基に人工的につくった2種類の抗体(チキサゲビマブ・シルガビマブ)を筋肉注射で投与する薬です。新型コロナウイルスがヒトの細胞に侵入する際に鍵のような機能を果たす「スパイクタンパク質」に抗体が取り付くことで、鍵として使い物にならない状態にし、細胞への侵入を防ぎます。これにより、新型コロナの発症・重症化を予防します。既に欧州連合(EU)や英国、米国で実用化されています。