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お知らせ「自由民主」先出し沖縄県地方創生

<沖縄特集>連載シリーズ「がんばる日本」
沖縄県沖縄市

昨年3月に開業した「沖縄アリーナ」の北側正面。来年は「FIBAバスケットボールW杯2023」の予選ラウンドが開催される

昨年3月に開業した「沖縄アリーナ」の北側正面。来年は「FIBAバスケットボールW杯2023」の予選ラウンドが開催される

中心市街地の活性化が進み、県内最大の「沖縄アリーナ」が稼働

沖縄第二の都市である沖縄市は第2次大戦後、米軍基地の「門前町」として栄えたが、近年は消費者ニーズや商環境の変化によって中心市街地の活力低下が指摘されていた。そこで、主要な商店街の改修や公共施設などの環境整備に取り組み、県内最大の1万人規模の「沖縄アリーナ」を令和3年2月に竣工。メジャーなスポーツや音楽イベントなどを誘致し、市内に新たなにぎわいを創出する起爆剤にしたいと考えている。同市の中心市街地活性化と沖縄アリーナの現況を報告する。

Bリーグの試合に熱狂する観客。摺鉢状のアリーナは最上階でもコートが近くに感じられ、どの席からも楽しめる(令和3年10月、提供/琉球ゴールデンキングス)

Bリーグの試合に熱狂する観客。摺鉢状のアリーナは最上階でもコートが近くに感じられ、どの席からも楽しめる(令和3年10月、提供/琉球ゴールデンキングス)

来街者や居住者が集うにぎわいのある町へ バスケW杯開催へ高まる期待

沖縄本島の空の玄関口、那覇空港から高速バスで約50分、沖縄南インターチェンジの東側に広がる沖縄市には戦後、市域の約34%を占める米軍嘉手納基地建設に伴い、多くの人々が移住。那覇市に次ぐ人口14万人の中核都市に成長した。
しかし、近年は中心市街地(約239㌶)の人口や事業所数が減少し、空き店舗が増えてきたため、平成28年度から令和3年度までの6年間、総理大臣が認定した「第二次中心市街地活性化基本計画」に基づき、多くの来街者や居住者が集うにぎわいのある町づくりを目指した。
沖縄市経済文化部の天願(てんがん)亮商工振興課長によれば、その目的を実現するために市の商工会議所や特定NPO法人、商店主や企業などが参加する「活性化協議会」を組織した同市は、胡屋(ごや)及びコザ十字路地域の商店街の整備や山里地区の市街地再開発事業、コザ運動公園や「沖縄こどもの国」の拡充事業などに注力。胡屋十字路地区では空き店舗の2階に本土からIT企業が進出し、流行のファッション店の隣りに飲食店が並ぶ新たな「一番街商店街」が誕生したという。
「当市では、商店街の環境整備において他地域のように家賃を補助するのではなく、既存店のリフォームか新規開業かを問わず、店舗改修費用の半額(上限100万円)を補助することにしました。この政策は非常に好評で家主による改修にも適用され、過去5、6年間で400~500軒の改修実績を残すことができました」(天願課長)。また、琉球諸島や世界の貴重な野生種が見られる動物園「沖縄こどもの国」は今後、約12㌶拡張。「夜の動物園」(ナイトZOO)がオープンすれば、市内の夜の観光をパワーアップする方策の一つになりそうだ。

観客と主催者の利便性を重視するアリーナで行われた「エンジョイ沖縄市民イベント」(令和4年3月、提供/沖縄アリーナ)

観客と主催者の利便性を重視するアリーナで行われた「エンジョイ沖縄市民イベント」(令和4年3月、提供/沖縄アリーナ)

最大1万人収容 充実した館内設備

これらの活性化策に加えて沖縄市が今、最も力を入れているのは昨年3月に開業した県内最大の屋内施設「沖縄アリーナ」である。4月24日に再選した桑江朝千夫市長が中心となって平成27年3月に基本構想を策定し、防衛省所管の「再編推進事業補助金」や内閣府所管の「沖縄振興特定事業推進費補助金」などを活用。コザ運動公園の野外ステージ跡地に建設された同アリーナの総工費は約162億円で、6階建てコンクリート床仕上げの摺鉢状イベントフロアは、最大で8000~1万人の観客を収容できる。
同市企画部プロジェクト推進室によれば、国内外のアリーナを視察・検討した結果、スポーツや大規模コンサート、展示会などに対応できるように館内設備を充実させ、多様なエンターテインメントを「観る」ことに主眼を置く施設として設計した。その象徴がアリーナの天井から吊り下げられた510㌅のメガビジョンと60台の4Kカメラで、スポーツなどの決定的瞬間の映像を360度の視点でメガビジョンにリプレイできる。また、VIP専用のエントランスや30室のスイートルームで特別なゲストをもてなし、女性の化粧室やトイレを充実させて空き状況をスマホで知らせるなど、ソフト面のサービスにも他にない工夫を凝らしたという。
公設民営の沖縄アリーナの指定管理者は、地元のBリーグ・B1所属プロバスケットボールチーム「琉球ゴールデンキングス」を運営する会社の関連企業で、今年はBリーグの優勝を競うチャンピオンシップに加え、アーティストの公演も多数予定されている。さらに来年8月からバスケットボールのワールドカップが開催され、世界からも注目されるアリーナになる。
昨年はコロナ禍のため観客数は最大5000人止まりだったが、世界的なチェリスト、ヨーヨー・マの日本初のコンサートも開催され、同アリーナの知名度が上昇。初年度の指定管理者の年間収支は黒字となり、コロナ禍さえ収束すればさらに上向きになるのではないかと期待されている。 沖縄市では今後、このアリーナを町づくりの新たな核として活用し、中心市街地の回遊性を向上させてホテルや商店などに利益を還元。同市経済の飛躍的な発展を図りたいと考えている。

コザ運動公園の陸上競技場で開催される「沖縄全島エイサーまつり」。コロナ禍で2年間中止となったが、3日間で約30万人が来場する沖縄を代表するイベント(提供/沖縄市商工振興課)

コザ運動公園の陸上競技場で開催される「沖縄全島エイサーまつり」。コロナ禍で2年間中止となったが、3日間で約30万人が来場する沖縄を代表するイベント(提供/沖縄市商工振興課)

【沖縄市へのアクセス】
那覇空港からバスで沖縄市まで約50分

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