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WTO上級委員会報告書の公表について

本日、韓国による日本水産物等の輸入規制に係るWTO紛争解決手続きについて、上級委員会報告書が公表された。
これをめぐり、「韓国の輸入規制措置が認められた」、「日本の逆転敗訴の判決が出た」といった報道がなされているが、これは事実関係をよく確認しない報道である。
今回の上級委員会報告は、韓国の輸入規制措置がWTO協定に違反するとした第一審の判断について、判断に至る分析が不十分(本来考慮すべき全ての事項を考慮していない)であるとして取り消しただけのものであり、WTO自身の手続きの不備を理由にしたもの。日本産の食品は科学的に安全であり、韓国の安全基準を十分クリアするとした第一審の事実認定は維持されている。
つまり、今回の上級委員会報告書は、WTOの第一審の分析に不備があった、したがって第一審判決を取り消すとしているのに等しく、この報告書を公表したのみで放置するとすれば、そもそもの紛争処理機関としての使命、責任に鑑みて極めて無責任であり、不十分と言わざるを得ない。特に、このような判断は、日本の一部マスコミに見られるように誤って伝えられやすく、日本が食品を輸出している他の国々への国際的な風評被害ともいうべき影響を考慮すれば、このまま座視することはできない。
WTOは紛争処理機能の重要性を自覚し、日本産の食品が安全であることについては広く世界に公表、発信すべきである。また、政府もそのことをWTOに強く迫るべきである。あわせて、政府は韓国との二国間協議を引き続き粘り強く進め、輸入禁止措置の撤廃・緩和を働きかけていくとともに、各国に安全性を積極的にアピールし、一層の日本産食品の輸出拡大を実現して漁業者の安心確保に努めるべきである。