情報通信分野の成長戦略に関する提言
令和8年6月2日
自由民主党 政務調査会
情報通信戦略調査会
情報通信成長戦略小委員会
1.はじめに
(1)背景
我々は今、情報通信の歴史において大きな転換期に立っている。生成AIの爆発的普及は、デジタルインフラの在り方を根本から塗り替えつつある。インフラの支配構造そのものが、経済成長及び国家安全保障の帰趨を決定づける構造へと変化している。さらに近年では、生成AIの進化がロボティクスや自律システムと結合するフィジカルAIの登場により、デジタル領域にとどまらず、製造、物流、防衛を含むあらゆる分野が変革の波の中にある。同時に、人間の指示に依存せず目的達成のために自律的に判断・行動するエージェンティックAIが台頭し、意思決定やオペレーションの主体そのものが再構築されつつある。
超大国の間では、すでにデジタル覇権競争が本格化しており、半導体、AI、デジタルインフラ、データなどの戦略資源をめぐる争奪戦は、単なる市場競争を超え、国家戦略の中核へと昇華している。
我が国においても、情報通信政策は、国家戦略の根幹に据えられるべき課題である。昨年の「新たな情報通信成長戦略に向けた提言」(令和7年4月24日)においても、「情報通信産業は戦略基幹産業であり安全保障面からも重要」と明確に位置付けたところであり、具体的な政策への落とし込みは進みつつあるが、今後、国家として大胆かつ継続的な投資と政策的支援を可能とする政策転換を断行し、その実行を加速させるべきである。
高市政権は、日本成長戦略本部を設置し、「危機管理投資」と「成長投資」を二本柱とする成長戦略のもと、重点投資対象として17の戦略分野を定めている。本提言で対象とする情報通信分野は、これら17分野の1つとして位置付けられており、「強い経済」の実現に向けた基盤を成すものである。情報通信は、それ自体が成長産業であるのみならず、他の戦略16分野の成長を支える基盤として機能する 「インフラの中のインフラ」である。加えて、情報通信は災害時も含めて、なくてはならないライフラインであるということを再認識する必要がある。本提言は、このような現政権の政策プライオリティや情報通信分野の特性を踏まえて、情報通信分野における成長戦略の枠組みを具体化・深化させるものである。
(2)日本が直面する構造的課題
我が国の情報通信分野の現状を見ると、構造的な脆弱性が顕在化している。
第一に、いわゆるデジタル赤字の構造的拡大である。2024年の統計でデジタル関連収支は6.7兆円の赤字となっており、年々拡大傾向にある。クラウドサービスやプラットフォーム利用料等の対外支払いがその大半を占めており、デジタル経済における日本の収支は構造的な赤字体質に陥っている。我が国は、デバイス、ネットワーク、プラットフォーム、アプリケーションの4層構造において、ネットワークインフラの部分に偏って競争を促進してきたきらいがある。その結果、莫大な利益を生むチョークポイントであるプラットフォーム層において海外事業者が支配的地位を占めており、日本企業がその上位レイヤーで価値を創出しても、それ以上にプラットフォーマーに利益が流れる「付加価値の海外流出構造」が固定化しており、デジタル赤字の拡大が続いている。
第二に、研究開発投資・インフラ投資の圧倒的な規模の差である。情報通信分野における日本企業の研究開発投資は、売上高の10%未満にとどまる一方、米国のビッグテックは、売上高の数十%を研究開発に充てており、投資規模に桁違いの差がある。国全体の研究開発費についても、日本(名目額19.1兆円)は、米国(87.6兆円)・中国(66.1兆円)に大きく遅れを取っている。また、地方部を中心に投資を行うインセンティブが十分に働かないといったことを背景として、主要通信事業者における2024年度の設備投資額は前年度に比べて減少しており、呼び水となる大胆な公共投資による官民一体となった戦略的投資が必要である。この投資格差は単なる規模の問題ではなく、技術覇権の帰趨を決定づける「時間軸の格差」をも生んでおり、我が国の国際競争力低下の一因となっている。
第三に、デジタルインフラの自律性の欠如である。設備に関しては、携帯電話基地局市場は、グローバルベンダーの寡占状態が続いており、プラットフォームについても、クラウド市場は米国3社が国内市場の8割超を占有している。また、ネットワークの保有・運用については、地上網こそ我が国事業者が担っているものの、非地上系ネットワーク(NTN)については、海外のグローバルプレーヤーが存在感を発揮している。このように、有事・平時を問わず、重要インフラの根幹を外国企業に委ねている現状は、国家の意思決定の自由度を制約し得る重大な構造的リスクであり、国家安全保障及び経済安全保障上の重大な脆弱性となっている。我が国は通信インフラ投資について、通信自由化以降、基本的に民間事業者の自主性を重んじてきたもののデジタルインフラが「インフラの中のインフラ」である以上、他の社会インフラと同様、公費も活用して面的展開を推進すべきである。通信・放送、地上系・非地上系を含む情報通信インフラについて、サイバーセキュリティを含む安全性・信頼性を確保しつつ、中長期的な観点で戦略的に再構築する必要がある。
これらの課題は、いずれも個別企業の問題ではなく、情報通信政策も含めた日本の構造的課題である。個々の民間企業は、株主に対する説明責任等の観点から自社利益を最大化するための企業戦略を採用し個別最適を追求しているが、これは必ずしも全体最適とは合致しない。このような構造的課題を解決するためには、政府をはじめとする外部の力で全体最適を実現するための環境を整備する必要がある。しかしながら、こうした危機は、同時に戦略的機会でもある。日本企業が強みを有するオール光ネットワーク(APN)、量子暗号通信、衛星光通信、オープンRAN(vRAN、AI RAN)といった分野は、いずれも次世代のゲームチェンジャーとなり得る技術である。特に既存プレイヤーが支配的地位を確立していない領域において、戦略的チョークポイントを確保できるか否かが、今後10~20年の国際競争の帰趨を左右する。このような戦略領域に集中的にリソースを投入し、チョークポイントを獲得することで、日本企業がグローバル市場における不可欠性を獲得できる現実的かつ具体的な勝ち筋が存在する。
(3)成長戦略のアップデート
昨年の「新たな情報通信成長戦略に向けた提言」においては、情報通信産業の国際競争力の強化の必要性とともに、国家の神経である情報通信を海外事業者に過度に依存することのリスクも踏まえ、①生成AI等のデジタル活用を支えるデジタル基盤の整備、②情報通信産業の国際競争力強化、③地域課題の解決に資するソリューションの創出と実装のための成長戦略を策定し、官民を挙げて推進すべきとした。
その後、政府においては、昨年5月に策定された「DX・イノベーション加速化プラン」に基づき、AI社会を支えるデジタルインフラの整備及びデジタルインフラの中核となる技術・システムの競争力強化・海外展開に取り組んでいるところであるが、これまで述べてきた状況の変化等を踏まえ、既存の戦略を着実に実行するだけでなく、「危機管理投資」と「成長投資」に支えられる「強い経済」の実現に向け、情報通信分野の新たな成長戦略を策定し、その実行を加速させるべきである。
2.取組の方向性
(1)危機管理投資と競争力強化に向けた基本的な考え方
諸外国に比べ、地震を始めとした災害や急速に進展する少子高齢化の影響を強く受ける我が国においては、リスクや社会課題に先手を打って投資を行う「危機管理投資」を徹底し、こうした投資によって生まれる製品・技術、ソリューション等を基に更なる成長へとつなげていくべきである。また、米国Anthropic(アンソロピック)社が2026年4月に発表したAIモデル「クロード・ミュトス・プレビュー」を始めとするフロンティアAIモデルは、ソフトウェアの「脆弱性」を発見・分析する性能が極めて高く、これらが悪用された場合には、情報通信システム・サービスに対して短時間で大規模なサイバー攻撃が行われ、重要インフラ等の機能停止を引き起こすおそれがある。したがって、我が国におけるデジタルインフラの在り方について考えるに当たっては、レジリエンスやサイバーセキュリティの確保、地域社会課題の解決といった観点を持つことが欠かせない。
加えて、日本企業の国際競争力を強化していくに当たっては、昨年も提言したとおり、経済安全保障上重要な概念である次の3つの戦略軸のいずれか、または双方に施策を位置づけ、重点的に取り組んでいくことが必要である。
第一の軸は、「自律性の確保」である。経済安全保障の観点から、デジタルインフラにおける過度な外国依存を避け、自律的な開発、生産、供給、保守、運用、管理の体制を確立することを目指す。
第二の軸は、「不可欠性の獲得」である。ハイパースケーラーや同志国政府等の大口需要家が日本企業の技術なしには成立しないと認識するポジションを獲得し、持続的な競争優位を確立することを目指す。
第三の軸は、「国際ルール形成の主導」である。技術・市場の優位性のみでは持続的な競争力は確保できず、自国にとって有利な「場」や環境を作る必要がある。我が国にとって望ましいルールや標準を、企画・立案段階から積極的に提案・主導することで、技術標準、セキュリティ要件、市場参入条件等を自国企業の強みに沿った形で形成することを目指す。ITU、3GPP等の標準化機関や、QUAD等の多国間枠組みを戦略的に活用し、同志国と連携しながら、国際的なデジタル秩序の形成において、日本が主導的な役割を担う状態を実現することが必要である。
戦略的自律性の確保は国家としてのリスクを最小化する基盤である。他方、戦略的不可欠性の獲得や国際ルール形成の主導は日本企業の国際競争力を積極的に高め、我が国の国益の最大化を図るものである。3つの軸を同時に推進することで、日本のデジタル産業基盤を強化することが可能となる。
(2)3つの政策原則
個別施策の立案・実施にあたっては、次のとおり、3つの政策原則を前提とすべきである。
1つ目は、積極的な戦略投資の推進である。「投資なくしてリターンなし」の原則のもと、研究開発費・設備投資において海外主要国に劣後しないよう、財政支援・税制優遇・政府系金融機関の活用等を通じ、産官学連携による大規模かつ継続的な投資を実行することが必要である。その際には、民間投資を誘発するため、投資分野・規模・時期等について、予見可能性を高めることが重要である。
2つ目は、需要創出政策の重視である。サプライサイドからデマンドサイドへ政策を拡張すべく、従来の研究開発・設備投資支援に加え、デュアルユースの促進を含めた政府調達、制度設計や安全性・信頼性確保、国際展開等を一体的に推進し、国内外の市場形成・需要獲得を図り、サプライチェーン全体の好循環を創出することが必要である。
3つ目は、同志国連携の強化である。信頼できる技術・インフラのエコシステムを同志国と共同で形成し、「集団的自律性」を確保することが重要である。我が国を含めどの国も自国のみで、デジタル分野における自律性を確保することは困難である。QUAD等の多国間枠組みを戦略的に活用し、技術標準形成・市場開拓・資金動員を一体的に推進するとともに、二国間でも個別に連携を深化させる必要がある。例えば、モバイル分野におけるベンダーレベルでの国際協調や、海底ケーブル分野における新規プロジェクト組成に当たっての政府間協力・官民協力などの推進策を検討すべきである。
(3)2つのドメイン
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①成長の基盤となるデジタルインフラ
デジタルインフラは成長を創出する戦略資産であり、その強化は日本経済全体の競争力向上に直結する極めて重要なものである。我が国経済の持続的成長には、デジタルインフラへの資金拠出を「コスト」ではなく「戦略投資」として位置づけ、産業全体の生産性向上と新たな付加価値創造の実現のため、大胆な財政的支援を講ずることが不可欠である。
高市政権が掲げる「攻めの成長戦略」を情報通信分野で具現化するため、デジタルインフラを「守りのインフラ」から「成長投資・危機管理投資」の中心に位置付けられる「攻めのインフラ」へと戦略的に転換し、日本経済の新たな成長エンジンに位置づけることが必要である。成長の基盤であるインフラが整備されて初めて、個々のビジネス活動に対する民間投資が実現するものであり、民間投資を誘発する乗数効果の高い政策領域として、最優先投資分野に位置付けるべきである。インフラなくして成長なし、投資なくして成長なしの精神のもと、民間活動・マネタイズの基礎となるインフラの整備・強靭化自体を推進すべきである。
そのためには、昨年の提言を受けて総務省において策定された「デジタルインフラ整備計画2030」を民間事業者がスピード感を持って実施する必要がある。また、そのために取り得る国の支援はどのようなものか政府は検討し、着実に実施すべきである。
例えば、APNの面的展開については、ハイパースケーラー・通信キャリアに委ねた場合、収益性の高い幹線(東京―大阪間等)に集中して地方への整備が進まず、結果として、国土全体での最適配置が実現されない市場の失敗が生じるリスクがある。インフラに対して国等が積極的に投資し、整備をすることで、それを基盤に民間事業者がグローバル市場に挑戦する構図を描くべく、国・自治体が主体的に関与し、中長期的な視点から、戦略的に面的展開を推進する体制を構築すべきである。
海底ケーブルの分野では、我が国の地形学的な特徴から、離島との通信から国際通信に至るまで、海底ケーブルが国内外の通信をつなぐ「大動脈」としての役割を果たしており、製造技術を含めた世界でも有数の海底ケーブル大国として我が国が世界をけん引してきた。こうした中、昨今のAI・クラウドサービスの利用拡大に応じてデータセンターなどを含めたデジタルインフラの重要性が増しており、その中核たる海底ケーブルネットワークはデジタル産業の集積化にとっても重要な戦略インフラである。他方、昨今では、海底ケーブルを巡る地政学的なリスクの高まりや政府支援を受けた競合外国企業との市場競争の激化などが指摘されている。また、海底ケーブルの陸揚局などについても集約化・老朽化が顕在化し、その脆弱性が明らかになっている。こうした状況を踏まえ、国が積極的に投資を行うことで、保守体制も含めて自律的な供給体制の早急な確立・強化を行うとともに、陸揚局も含めたネットワーク全体の強靱化に向けた取り組みを推進すべきである。
ワイヤレスの分野においては、新たな通信サービス市場の需要や立ち上がり時期の不透明性に起因し、通信事業者によるインフラ投資判断が遅れ、スピード感で海外に劣後している。今後、自動運転車の普及展開にも大きく寄与するフィジカルAI・IoT等の実現や次世代ワイヤレスの通信基盤整備を加速するとともに、その需要創出を図るため、国による大胆な支援など積極的な投資をしていくことが必要である。また、我が国の通信事業者の設備投資が伸び悩んでいる中、設備投資の効率化やコストの削減等を実現できるインフラシェアリングについて、条件不利地域における基地局整備など競争が働きづらい領域を中心に推進していくことは極めて重要であり、そのために必要な環境整備を進めていく必要がある。あわせて、有限希少な国の資源である電波についても、周波数の有効利用といった観点に加えてミッションクリティカルな用途かどうかの観点などから、弾力的でスピーディな周波数の移行・再編の方策について検討することが重要であり、我が国においても将来の産業利用を見据えた戦略的な周波数再編を検討すべきである。特に、次世代移動通信システム、いわゆる6Gに用いられる周波数について、ITU等における標準化動向を踏まえ、我が国として6G候補周波数をできるだけ早く特定し、導入に向けた検討に着手すべきである。
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②デジタルインフラを基盤とし成長を実現する戦略投資
整備・強靭化されたデジタルインフラのもとで行われる個々のビジネス活動の支援、特に通信・電力・AIが有機的に連携するワット・ビット連携をはじめとするインフラを活用して行われるサービスの社会実装や旺盛な海外需要を取り込むための海外展開支援については、成長を実現する戦略投資として位置づけ、従来の延長線を超えた規模とスピードで大胆に推進する必要がある。
また、あらゆるものが「いつでも・どこでも」ネットワークを通じAIやクラウドにつながることを可能とする通信基盤である次世代ワイヤレスを最大限に活用し、ロボット、ドローン、自動運転などのフィジカルAIを製造、物流、医療、建設、農業などの分野で労働力不足の解消といった社会課題の解決に役立てるとともに、新たな付加価値を創造することは我が国の成長に不可欠である。
デジタルインフラを流通するコンテンツに関しては、海外の配信プラットフォームが台頭する中、我が国の視聴データ等の自律性を確保する観点から、放送・配信コンテンツの海外展開と併せて、日系配信プラットフォームの海外展開を戦略的かつ強力に推進することが求められる。
グローバルサウスや同志国に対するデジタル技術・システムの展開支援は、単なる輸出支援ではなく、国際秩序形成に主体的に参画する戦略的取組として位置づけるべきである。具体的には、日本の価値観・技術標準の国際的浸透、外交的影響力の拡大、さらには国際ルール形成における主導権確保につながる、中長期的な国益の確保に資する戦略投資である。
「人」への投資も重要である。例えば、サイバーセキュリティ、AI、ワイヤレス、海底ケーブル、標準化などすべての分野において専門的知識を持つ人材が圧倒的に不足している。人材がボトルネックとなり成長が阻害されることがないよう、大学・研究機関との連携、リスキリングや資格試験の充実・支援など人材育成に向けて総合的に取り組むべきである。
海外需要の獲得を通じて、国際社会における日本の技術的・外交的プレゼンスを向上させるため、「デジタル海外展開総合戦略2030」に定められた取組を着実に実施するとともに、一層の加速が求められる。技術・資金・制度・人材を一体的に動員する国家的オファー能力の抜本的な強化が不可欠であり、具体的には、大型の海外実証実験の実施・技術検証環境の整備等の海外展開支援の強化、JICT・JBIC等の出融資やODAとの戦略的連携の強化、同志国との官民協調投資の推進等を含め、これらを一体的かつ機動的に推進すべきである。
以上を踏まえ、政府に対しては、「強い経済」の実現や経済安全保障の確保に向け、以下に掲げる施策を含め、本提言の内容を具体的かつ迅速に実行するとともに、官民一体となった危機管理投資・成長投資が進むなかで、政府の対応の遅れが国家とての機会損失やリスク増大につながることのないよう、そのための定員増を含めた体制の抜本的強化を図るよう要請する。
3.重点分野別の施策
次に掲げる分野については、我が国が抱えるデジタル赤字、投資格差、自律性欠如といった課題に対して解決策となるポテンシャルを有しており、それぞれの分野について「現状」、「重点投資をすべき理由、勝ち筋」、「目指すべき姿(目標)」、「実施すべき施策(制度見直しを含む。実施主体等も明記)」を明確にしたうえで重点化を図る。
オール光ネットワーク(APN)
海底ケーブル
AI RAN(オープンRAN)/Beyond 5G(6G)
非地上系ネットワーク(NTN)
フィジカルAI・IoT通信基盤・バーティカルAI(領域特化型AI)
AI評価技術等
量子通信
サイバーセキュリティ
放送・配信コンテンツ
オール光ネットワーク(APN)
<現状、重点投資をすべき理由、勝ち筋>
- ·APN分野での我が国の技術的優位性を引き続き確保し、国内ベンダがグローバルシェアを確実に獲得していくため、我が国の強みを生かした研究開発・国際標準化・社会実装・海外展開に取り組む必要がある。
- ·関東圏等に集中するデータセンターの電力需要への対策として、APNを活用したワット・ビット連携による分散データセンターの展開が急務。
- ·北米市場において顕在化しつつあるハイパースケーラー等の旺盛な需要を的確に取り込み、それを梃子としてグローバル市場全体における競争力とシェア拡大を目指す。
- ·APNとデータセンターの分散立地を掛け合わせた柔軟性と効率性に優れたAIインフラの構築。
<目指すべき姿>
- ·ハイパースケーラー等によるAPNハイエンド機器の需要が顕在化している北米市場を起点としてプレゼンスを着実に強化し、これを足掛かりとしてグローバル展開を加速させることで、2030年までにグローバルシェア10%(現状 約5%)を獲得。
- ·AIサービスの普及に伴う、国内各地域におけるAPNやデータセンターからなる先進的なAIインフラ市場の獲得。
- ·2040年までに累計6兆円規模の官民投資を目指す。
<実施すべき施策>
- ·全国津々浦々でAPNサービスを利用できるよう、都市部・地方部をカバーするAPN基盤の早期の面的展開
- ·APNで接続された分散データセンターの促進のための全国特定地域における実証支援
- ·APN関連ビジネスの立ち上げのための、実証環境整備やユースケース創出等の社会実装支援、人口減少に起因する地域の社会課題を解決するためのAPNを活用したソリューションの地域実証やデジタル人材・体制の確保支援
- ·APNの基盤となる光ファイバの未整備地域への整備支援
- ·ハイパースケーラー等のAI・データセンター事業者の要求仕様を先読みした研究開発・国際標準化への支援
- ·基金等を活用した官による中長期的・安定的な研究開発費補助
- ·情報通信分野の優れた研究開発を重点的に支援する税制措置によるファイナンス環境整備
- ·北米をはじめとする海外における実証・技術検証環境整備、ハイパースケーラー等との戦略的な関係性の構築、営業・サポート体制の構築、有望なユースケース創出等を総合的に支援
- ·ネットワークを介した高度な協調動作等に必要な技術検証のための大規模実証環境の整備
海底ケーブル
<現状、重点投資をすべき理由、勝ち筋>
- ·地理的位置関係から、我が国は北米とアジアを結ぶ「ハブ」として機能。一方、既存の海底ケーブルの老朽化や切断・損壊リスクへの対応が課題。
- ·NECは世界三大サプライヤーの1つであり、マルチコア光ファイバー技術を世界初実装するも、競合企業(米仏)への政府支援・中国の参入で競争激化。
- ·敷設・保守船の逼迫等により供給能力が追いつかず、熟練技術者の減少等人手不足も深刻で、経済安全保障上の観点から持続的な自律性の確保が急務。
- ·マルチコア光ファイバー技術の優位性を梃子として国際競争力を強化するとともに、更なる研究開発の推進やその成果の社会実装等を通じて、継続的かつ高度な技術的優位性の確保を図る。
- ·生産基盤や敷設・保守能力の強化を通じて競争力の一層の向上を実現し、ハイパースケーラーを始めとする主要なケーブルオーナーの需要等、安定的な受注機会の確保を図る。
- ·耐災害性・強靭性・冗長性等を踏まえ、海底ケーブルの多ルート化や陸揚局の地方分散・堅牢化を推進することで、国内全体へのデジタル投資を戦略的に誘引。また、我が国企業がインド・太平洋地域を中心に海底ケーブル網の整備を牽引することで、拡大を続けるグローバルな通信需要の獲得を目指す。
<目指すべき姿>
- ·マルチコア光ファイバー技術等の優位性の確保を通じ、海底ケーブル敷設市場において35%程度のシェアを確保することを目指す。
- ·海底ケーブルの多ルート化・陸揚局の分散により新たな地方拠点を拡大。海底ケーブルの「ハブ」機能の維持・拡大により、国内外のAI社会を支えるインフラの高度化・強靭化を実現。
- ·2040年までに累計2兆円規模の官民投資を目指す。
<実施すべき施策>
- ·競合他国に劣後しないための敷設・保守船確保、生産施設拡充に向けた戦略的投資
- ·国際海底ケーブルの多ルート化・陸揚局の地方分散や国内海底ケーブルの高度化を通じた冗長性の確保に向けた投資
- ·陸揚局等の堅牢性確保を通じた海底ケーブルの強靭化支援
- ·海底ケーブルの損壊等による通信途絶リスク低減に向けたリスク分析等に係る体制強化
- ·将来の海底ケーブル技術(大容量化、センシング技術等)に対するニーズを先読みした研究開発・実用化支援
- ·大規模な実証支援、JICT・JBIC等による出融資やODAを活用した海外市場獲得・案件形成支援
- ·技術者の養成に向けた海底ケーブル人材育成拠点の整備支援
- ·海底ケーブルシステムに係る国際標準化、サプライチェーンの強靱化、第三国への海底ケーブル整備支援等に係る同志国等との連携強化
AI RAN(オープンRAN)/Beyond 5G(6G)
<現状、重点投資をすべき理由、勝ち筋>
- ·我が国ベンダの5G基地局の世界シェアは1.7%(2024年)にとどまり、国際競争力の低下が課題。一方、ミリ波通信に用いられるフィルタ、発振子、通信モジュール等の部品・デバイス分野では、日本企業が大きな世界シェアを確保。モバイル通信分野ではオープンRAN(vRAN・AI RAN)等の新たなアーキテクチャの進展による競争構造の変化(ゲームチェンジ)が期待される。
- ·次世代ワイヤレスの自律性を確保するためには、需要創出を含めたインフラ整備、関連産業の国際競争力の強化、サプライチェーンの強靱化を一体的に推進する必要がある。
- ·日本が強みを有し、競争優位の源泉となり得るvRAN・AI RAN、ミリ波等の高周波数帯活用技術等について、技術的優位性を引き続き確保するため、研究開発支援、国際標準化、技術人材の育成等に取り組む必要がある。
- ·技術検証負荷軽減や海外営業・サポート体制強化等を通じて海外市場におけるシェア獲得を図り、国内のサプライチェーンの強靱化に繋げる必要がある。
<目指すべき姿>
- ·次世代ワイヤレス通信に係るインフラの自律性の確保・不可欠性の獲得に資する通信事業者の継続的なインフラ投資体制を確保する。
- ·上記インフラの主たる需要を質量ともに賄うに足る通信機器、部品・デバイス、ソフトウェア(セキュリティ等)の産業基盤(技術・生産)を確立する。
- ·ワイヤレス技術人材の持続的な育成体制を確保する。
- ·国際標準化及び海外展開を戦略的に推進する実効的な体制を確立する。
- ·2040年までにAI RAN/Beyond 5G、NTN、フィジカルAI・IoT通信基盤等を含む次世代ワイヤレス技術全体で累計20兆円規模の官民投資を目指す。
<実施すべき施策>
- ·高品質な通信サービスや自動運転の基盤となる5G SAの全国的な普及促進
- ·国際的な動向等を踏まえた6G用候補周波数帯(例えば、7~8GHz帯等)等の早期特定に向けた周波数の共用・移行・再編の検討の加速化
- ·5Gを始めとするモバイル通信等の、ネットワークの強靱化支援、インフラシェアリングの活用も含む条件不利地域へのインフラ整備支援
- ·vRAN・AI RAN、ミリ波等の高周波数帯活用技術等の研究開発支援
- ·vRAN・AI RAN時代において国際競争力を左右するソフトウェア統合力の強化
- ·国際共同研究等による同志国等との連携強化、国際標準化の推進・普及
- ·上空での円滑な電波利用の推進等のための電波法関係法令に係る制度整備
- ·産学連携によるワイヤレス人材育成のプラットフォーム形成支援
- ·オープンRAN(vRAN・AI RAN)等の次世代ワイヤレス技術に関する国内外の市場開拓に向けた実証や技術検証環境整備、海外営業・サポート体制の構築等に対する支援、JICT・JBIC等による出融資を活用した海外展開支援
非地上系ネットワーク(NTN)
<現状、重点投資をすべき理由、勝ち筋>
- ·衛星通信については、世界的に、低軌道衛星コンステレーションによるサービスが普及し始めている中、海外勢が市場を席捲しており、わが国も依存しつつある状況。
- ·他方で、将来的には、宇宙空間を流通するデータの増大が見込まれ、電波による通信だけでなく、大容量通信が可能で国際調整が不要な衛星光通信の普及が見込まれている。
- ·HAPSについては、陸上の携帯電話基地局との一体運用により、離島、海上、山間部を効率的に携帯電話のエリアとすることが可能であり、事業者では実用化に向けた取組が加速しており、総務省では普及に向けて令和8年4月に制度整備を行ったところ。
- ·衛星光通信については、海外勢の中に一部、実用化・商用化で先行する事業者が現れ始めている。他方で、市場全体としては依然として成長の初期段階にあり、新たなプレイヤーが参入する余地はある。
- ·我が国では技術を有する事業者が存在し、地上向けの技術を宇宙に応用しようとする事業者も存在するなど、技術的な国際競争力を有している。この分野への投資意欲を有する民間事業者がいることから、この動きを加速し、国内外の市場をおさえることが経済成長及び自律性の双方の観点から重要。
<目指すべき姿>
- ·衛星光通信用の製品(ハード)については、市場が立ち上がりつつある段階であり、今後、激しい国際競争が生じることが予想される。現在、我が国事業者のシェアはほとんどないものの、2030年代前半までに市場シェアの10%を確保する。
- ·衛星光通信サービスについては、圧倒的な資金力を有する海外衛星事業者と通信衛星の基数で対抗することは現実的ではない一方で、地上網の運用には長けていることから、地上側で光通信を送受信する「衛星光地上局ネットワークサービス」について、2030年代前半までに国内外で展開する。
- ·HAPSについては、平時には複数の機材により複数の地域でサービスの提供に用いられ、自然災害等の非常時に迅速に対象地域でサービスの提供が可能な環境の実現を目指す。
- ·2040年までにAI RAN/Beyond 5G、NTN、フィジカルAI・IoT通信基盤等を含む次世代ワイヤレス技術全体で累計20兆円規模の官民投資を目指す。
<実施すべき施策>
- ·地上系ネットワークの整備が比較的遅れている地域において低軌道周回衛星(LEO : Low Earth Orbit)を活用したサービスを普及・展開させるための環境整備
- ·これまでの開発成果や地上の光通信で培った技術等を応用した超高速な光通信端末等の研究開発を推進
- ·衛星光地上局ネットワークサービスの開発・実装支援
- ·HAPSの研究開発支援
フィジカルAI・IoT通信基盤
<現状、重点投資をすべき理由、勝ち筋>
- ·新技術に関する市場の立ち上がり時期の不透明性により、自動運転やドローン、ロボット等に必要なフィジカルAI・IoT通信基盤に対する投資が十分に行えていない状況。
- ·自動運転車やドローンの運行を支える通信技術の社会実装・通信インフラ整備を図ることや地域でのワイヤレスソリューションの実証・社会実装等により、自律性の確保と成長分野での需要創出に両面から取り組む。
<目指すべき姿>
- ·自動運転等のフィジカルAIを支えるワイヤレス通信インフラの構築・展開を進めるとともに、それらを継続的に維持・高度化するに足る需要を確保する。
- ·2040年までにAI RAN/Beyond 5G、NTN、フィジカルAI・IoT通信基盤等を含む次世代ワイヤレス技術全体で累計20兆円規模の官民投資を目指す。
<実施すべき施策>
- ·フィジカルAI・IoT通信基盤の整備・発展に必要不可欠な周波数の確保に向けた、国際的な動向を踏まえた周波数の共用・移行・再編の検討の加速化(例えば、多様なシステムが存在する業務用無線に関する使用実態の調査等)
- ·自動運転の遠隔監視等に必要な携帯電話網の整備・拡充・高度化(5GSA化等)や安全・円滑な自動運行を支援するためのITS通信インフラやドローン向け通信環境及びそれらを支える情報通信基盤の整備・拡充・高度化の支援、通信システムの信頼性確保等に関する実証・実装等の支援
- ·デジタル人材/体制の確保支援を含めたワイヤレスを活用したソリューションの地域実証
- ·世界に先駆けたエッジAIや高精度な時刻同期技術の実現など、新たなビジネス創出に向けた実証環境整備とユースケース等のモデル実証の支援
バーティカルAI(領域特化型AI)
<現状、重点投資をすべき理由、勝ち筋>
- ·我が国でもようやくAI利活用の機運が高まりつつあり、市場の急成長が期待されるところ、企業でのAI利活用は、将来的に、領域特化型のバーティカルAIが汎用AIを上回る可能性がある。
- ·現状では、AI研究開発人材や、現場とAIの双方を理解してAX(AIトランスフォーメーション)を推進できる実装人材の不足、現場固有データの活用やデータ整備(暗黙知の形式知化など)の不足等の課題がある。
- ·現状のままであれば、バーティカルAI市場も海外に依存し、デジタル赤字の更なる拡大を招く恐れ。
- ·バーティカルAIは、暗黙知を含めた現場データが豊富な我が国において開発・利活用が大きく進む可能性が高く、また、国内のみならず世界各国の現場の課題解決にも有効なものとして海外展開も期待できる。
- ·経済安全保障の観点から戦略的自立性・戦略的不可欠性の確保が求められるバーティカルAIの開発・利活用は、我が国の新たな勝ち筋として、初期需要の創出を官需主導で図りつつ、官民で研究開発等への集中投資を行っていくことが必要。
<目指すべき姿>
- ·あらゆる経済社会活動の基幹インフラを提供する情報通信分野において、バーティカルAIの導入を進め、労働力不足に直面する我が国の供給力を維持するとともに、海外展開を推進し、「強い経済」を実現する。
- ·情報通信分野を含むバーティカルAI全体で、2030年の世界市場が33兆円として、内外で少なくとも5兆円の獲得を目指す。
<実施すべき施策>
- ·情報通信分野におけるバーティカルAIモデルの構築、AI実装人材の育成強化、ユースケースの創出等を目的として、情報通信分野におけるバーティカルAIに係る実証(例えば、通信設備の維持管理や通信ネットワーク制御の効率化・自動化を行うバーティカルAI実証等)の実施
- ·各国のニーズも踏まえ、現地語対応バーティカルAIの開発・実証及び海外展開を推進
AI評価技術等
<現状、重点投資をすべき理由、勝ち筋>
- ·国内外のAIサービスを利用するいずれの場合においても、AIの技術的リスクを把握したうえで利用することが健全なAI社会の構築につながるが、現在、我が国は適切な評価手法を有していない。また、日本語の言語的特性から海外で提案されている評価手法が日本語に対応できない場合や、対応できたとしても適切な評価が困難な場合もある。
- ·AIの評価及び学習用データは開発(学習)/利用(推論)時に最も重要な要素となる。そのため、日本の文化等を正しく表現した日本語のデータソースの整備及びAIの安全性・信頼性を評価する基盤技術が重点投資先として極めて重要。
- ·国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)においては、2008年からweb上の日本語データを収集し、国内のAI開発企業等に提供してきているところ、当該データの活用がAIモデル開発に重要な役割を果たす。
- ·映像や言語等の日本の文化を含むデータにより学習されたAIは、教育分野や公共分野などの正しい日本の文化・知識が必要な分野での活用が期待される。
- ·加えて、日々進化するAIに対応可能なAIの信頼性評価技術が必要であり、かつその評価は日本固有の知識・文化・情緒等に沿って行う必要があるところ、我が国として独自に評価技術の開発を行うことが求められる。
<目指すべき姿>
- ·データセット整備、AIの開発、利用に向けた評価等、AIエコシステム全体を通じて自律性及びAI主権を戦略的に確保することを通じて情報通信分野を含むバーティカルAI全体で、2030年の世界市場が33兆円として、内外で少なくとも5兆円の獲得に寄与する。
<実施すべき施策>
- ·AIの安全性・信頼性を評価するため、AIの進化に対して柔軟で動的にAIを日本固有の知識・文化・情緒も踏まえて評価する「能動的評価基盤」を開発する。その際、AISI(AI Safety Institute)と開発段階から連携し、早期の試用、円滑な社会実装を行う。
- ·関係省庁と連携し、NICTを中心として日本語をはじめとした日本関連データ収集・提供を継続的に実施する。
- ·各国における母国語AIの構築ニーズや非英語圏対応の重要性も踏まえ、日本の基盤モデルも活用しつつ、各国との連携の下、母国語AIの共同開発を推進する。
量子通信
<現状、重点投資をすべき理由、勝ち筋>
- ·量子コンピューティングの実用化で従来の暗号が解読される危険が迫っている中、量子技術を活用し理論的に解読不可能な量子暗号通信(QKD)や耐量子計算機暗号により、機微情報を安全に伝送・共有するための量子通信・ネットワークの構築が急務。衛星量子通信を含めた全国規模での次世代通信基盤構築は安全保障に直結。
- ·QKD装置の開発・生産や光ネットワーク技術において世界的な競争力を有する本邦企業が存在し、国産QKD装置は、世界で唯一欧州での商用サービスに導入されている。
- ·量子通信・ネットワークは、量子コンピューティング及び電子センシングを融合し相乗効果を生み出す新たな社会基盤となり得るとともに、投資の波及効果が大きく、運用・保守・鍵管理等を含むサービスに加えて、競争力を持つ装置・部素材等に関する国内事業者の取組を梃子に、不可欠性を確保。
- ·需要面では、まず安全保障など公共分野及び医療・金融・電力等向けのサービスを段階的に提供。ガイドライン整備や導入支援により、多様な分野への展開を促進。供給面では、現状世界トップレベルの性能を有する国産QKD装置を継続的に性能向上させ、技術優位性を確保。運用・保守を含めたサービスを提供する主体を通じて、国内外へ一体的に展開。
<目指すべき姿>
- ·2030年に東名阪でQKDを社会実装し、全国に量子通信網を順次拡大。
- ·2040年、世界に先駆けてオール光・量子ネットワーク(APQN)の社会実装を実現。量子コンピューティングや量子センシングと接続された統合的通信基盤を実現。
- ·日本における研究・実証、装置・部素材、ユーザーまでを含む産業エコシステムを形成。
- ·国内外で本邦企業が市場を開拓、量子暗号通信装置・関連サービスを20カ国で展開、2035年に世界シェアの3割を確保。
<実施すべき施策>
- ·QKD装置・関連サービスの競争力強化や量子ネットワークの実現に向けた、コア部品・装置・量子メモリ・量子中継器などの要素技術を含めた研究開発・実証支援・国際標準化
- ·実証環境としての東名阪QKDネットワークの整備加速、ユーザーの利活用円滑化、QKDネットワークの全国への拡充(APNとの連携、衛星利用等)
- ·安全保障等公共調達等による需要創出。ガイドライン整備や導入支援による民需の立ち上がり加速
- ·量子ネットワークを通じて量子コンピューティングや量子センシング等を融合した、量子技術全体の先進的・包括的な技術・応用例の開発・実証の支援
- ·国研等のテストベッド環境、研究プロジェクトや研究教育環境の充実を通じた研究・人材基盤の強化
サイバーセキュリティ
<現状、重点投資をすべき理由、勝ち筋>
- ·サイバー空間の拡大に伴い、サイバー攻撃による重要システムの停止や機微情報の漏えい等、サイバーセキュリティ上の脅威が増大。
- ·現状、我が国はサイバーセキュリティ製品・サービスの多くを海外製が占めており、製品・サービス開発の源泉となる一次情報も海外に依存。
- ·また、複雑化・巧妙化するサイバー攻撃に対処可能な人材も不足。
- ·加えて、近年、サイバー空間を通じた偽・誤情報の流通・拡散が社会的混乱や意思決定への影響を及ぼす事例が増加しており、サイバー空間における重要な関連リスクとして留意が必要。
- ·政府が中心となって国内におけるサイバー攻撃等の観測・分析網を拡大し、これにより得られた技術、情報及びノウハウを、民間を含めて広く展開することにより、国産製品・サービスの開発及びサイバー攻撃への早期対処に資する情報生成を強化。
- ·IoT機器等のネットワーク接続機器の増加により攻撃対象が拡大し、セキュリティ対策が不十分な機器が外部からの侵入経路やサイバー攻撃の踏み台として悪用されていることから、社会全体で対策を強化。
- ·AIの急速な発展を踏まえ、AIを活用したサイバーセキュリティ対策を強化。
<目指すべき姿>
- ·2035年頃までに、政府機関・重要インフラ等の重要端末に国産検知ソフトを普及させ、我が国自らが脅威を検知できる体制を構築すること等を通じて、関連市場の創出を推進。
- ·国産技術を核としたサイバー対処能力向上のためのエコシステムの形成。
- ·各組織の必要な人材像に応じたサイバーセキュリティ人材の育成・確保。
- ·IoT機器のセキュリティ対策の強化による社会全体のレジリエンスの向上
- ·AIを活用したサイバー対処能力の強化(AIを悪用したサイバー攻撃等の脅威への対応)。
<実施すべき施策>
- ·我が国独自のサイバーセキュリティ情報収集・分析システム(CYXROSS)の導入拡大
- ·AIを活用したサイバーセキュリティ製品・サービス等の創出に向けた官民関係機関によるサイバー脅威情報等のデータの収集・活用
- ·サイバーセキュリティ人材の育成に向けた教育・演習の充実、政府機関・重要インフラ事業者等の対処能力向上のための演習の実施
- ·不正なIoT機器や脆弱性を有するIoT機器の対策の推進
- ·AIをサイバーセキュリティ対処能力の強化に活用するための実証の支援
- ·AIを活用したサイバーセキュリティ人材の育成、AIのサイバーセキュリティ対策への積極的な活用に向けたAI×サイバーセキュリティの研究開発の推進
- ·偽・誤情報対策に関する技術開発支援・人材育成を通じた情報流通空間等の利用環境の整備
放送・配信コンテンツ
<現状、重点投資するべき理由・勝ち筋>
- 放送・配信コンテンツ(ドラマなどの実写コンテンツ)は国内市場中心であり、製作費、製作期間、高機能かつ先端的な映像技術の活用などの面で海外展開や配信を当初から目指した実写コンテンツが少ない。
- 配信による海外展開が世界的潮流になる中で、日系の配信プラットフォームの海外展開は限定的。
- 番組製作会社や放送事業者がコンテンツ製作や海外展開の戦略策定に必要な 海外視聴データを十分に持てておらず、持続的・自律的な海外展開の基盤が 脆弱。
- VFXなどの高機能かつ先端的な映像技術を駆使する人材やプロデューサー・脚本家が不足しており、育成設備やスタジオが不足。
- デジタルインフラ上で配信プラットフォームを通じたコンテンツ展開が世界的に成長する中、ドラマなど実写コンテンツについて当初から海外展開や配信を目指すモデルに転換し、海外・配信を目指した作品の製作、日系配信プラットフォームの強化、製作力強化海外輸出額を大きく拡大できる。
<目指すべき姿>
- ドラマなどの実写コンテンツについて海外展開や配信を当初から目指す展開モデルへの転換と官民の投資増による海外輸出額の増加(2033年に2500億円)。
- 海外展開・配信を当初から目指すコンテンツの製作と海外展開。
- 日本企業の参画する配信プラットフォームの強化・海外展開とこれによる海外視聴 データの入手経路の自律性の確保。
- 視聴データを活用したコンテンツの製作と展開による持続的・自律的な海外 展開。
- 人材育成、先端的な映像技術導入など、海外展開・配信を当初から目指すコンテンツが持続的・自律的に製作できる製作力の強化。
<実施すべき施策>
- ドラマなどの実写コンテンツの高機能かつ先端的な映像技術を活用した製作への大規模かつ長期間の支援
- 日本企業の参画する配信プラットフォームの強化・海外展開に対する大規模かつ長期間の支援
- 海外展開時のPF上の視聴データの収集・分析・クリエイター提供への支援
- 製作における外部資金調達や海外視聴データの活用、海外展開における他のコンテンツジャンルや他産業等との連携の促進
- NHKと民間が連携し、年間1000人規模のコンテンツ人材の育成
- NHKと民間が連携し、先端的な映像技術を活用できるスタジオを有する 「実写コンテンツ人材育成トレーニングセンター」の設置