自由民主党 ガバナンス体制に関する報告書

令和85
自由民主党 ガバナンス委員会

1.はじめに

自由民主党は、立党以来、国民の信頼を得て長きにわたり政権を担ってきた。わが党は、「政治は国民のもの」との原点の下、多様な民意を結び合わせ、自由と民主主義を基調とする議会制民主政治の大道を歩んできた地域に根差した国民政党である。その基盤には、地域や現場に根ざしながら、わが国の将来を語り、政策を担うことのできる人材を幅広く擁してきたことがある。そうした多様で厚みのある人材の存在は、党の政策形成力、統治能力及び危機対応力を支える重要な源泉であった。

今般のガバナンス委員会においても、有識者から、「自由民主党の強みは有能な人材にある」との評価が示された。今回の年次報告書の柱も、まさにこの「人」にある。すなわち、「派閥」なき自由民主党において、いかに人を発掘し、支え、育て、活躍へとつなげるか、また、いかに人を律するとともに、個に起因する問題から組織全体を守るかが、党運営の根幹に関わる課題となっている。

所属議員その他の「個」の問題が、直ちに党全体の信頼に関わる問題として受け止められる今日においては、従来の分権的な運営の長所を生かしつつも、党全体の信頼に関わる課題については、党本部が必要な情報を適時適切に把握し、横断的かつ一体的に対応し得る体制を整えていくことが重要である。また、選挙を通じて所属議員が増加した今日においては、「派閥」が従来その一部を担ってきた情報共有、人材育成、意見集約、意思疎通の機能を、党組織としていかに代替し、持続可能で透明性の高い統治構造へと転換していくかが問われている。自由民主党が今後も国民政党としての役割を果たし続けるためには、自由闊達な議論、多様な人材、現場の主体性という強みを損なうことなく、より効率的かつ効果的に、ガバナンスの効いた組織として運営されることが強く求められている。

もとより、自由民主党の存在意義は、第一に、多様な民意を結び合わせる国民政党であること、第二に、自由と民主主義を守り次世代につなぐ責任を負うこと、第三に、国家の安定した統治を担う責任政党であること、第四に、多様で有為な人材によって支えられる政党であること、第五に、国民の信頼に応える統治能力と信頼回復力を不断に高め続ける政党であること、の五つの視点に集約される。こうした視点を踏まえるとき、本報告書で取り上げる人材育成、コンプライアンス、業務効率化といった課題は、いずれも自由民主党が責任ある国民政党としての役割を果たし続けるための基盤整備にほかならない。

本報告書の目的は、現在の党運営の状況と課題を整理するとともに、その検証結果を踏まえた改善提言を示すことにある。自由民主党が今後も国民の信頼に応えていくためには、将来を語り、政策を担うことのできる人材を育て、支えることとあわせて、自由と民主主義を次世代につなぐ責任ある国民政党として、党全体としての統治能力と信頼回復力を一層高めていかなければならない。

2.党運営の状況について

本委員会は、関係部署ヒアリングの結果を踏まえ、令和7年報告書及び提言において示した問題意識に照らして、現在の党運営の状況を検証した。その結果、全体としては、ガバナンスコードに沿った取組は着実に進められており、一定の前進が認められる。他方で、その進捗には分野ごとの差があり、制度としての定着や全党的な実効性の確保という点では、なお途上にある項目も少なくない。

こうした検証は、単に個別の制度や運用の進捗を点検することにとどまるものではない。自由民主党は、多様な民意を結び合わせ、政策を立案し、国民の負託を受けて政治的意思決定を担う公共的かつ政治的な組織であり、その党運営のあり方は、国民政党としての信頼そのものに直結する。したがって、現在の党運営の状況を検証するに当たっては、各取組が個別に進んでいるか否かのみならず、それらが相互に連関しながら、自由民主党が責任ある国民政党としての役割を果たし続けるための基盤強化につながっているかという観点から評価することが重要である。

近年、企業経営においてコーポレートガバナンスの重要性が広く認識されているのと同様に、政治においても、政党が透明性、説明責任及び実効性を備えた政党としてのガバナンスを確立することが求められている。もっとも、政党は、各選挙を通じて選出された議員によって構成される組織であり、その構成や意思形成の在り方は、株主と経営陣との関係を基礎とする企業のコーポレートガバナンスとは、その性質を異にする。

政党ガバナンスとは、単なる内部管理にとどまるものではなく、政党法による組織運営の規律が存在しない我が国において、政党が自らの規律、倫理及び意思決定のあり方を明確にし、それを公表し、遵守することを通じて、国民政党としての信頼を支える統治の基盤である。その認識の下、自由民主党は、他党に先駆けてガバナンスコードを策定し、党内改革を進めてきた。

自由民主党が目指すべき改革とは、伝統を空洞化させるものでも、現状維持に安住するものでもなく、守るべきを守り、変えるべきを変えることによって、組織に常に新たな生命力を与えていく営みである。新ビジョンにいう「常若(とこわか)」の考え方になぞらえれば、党運営においてもまた、不断の自己点検と改善を通じて、みずみずしい活力と信頼を保ち続けることが求められている。政党のように多様な人材、多様な意見、多層的な組織を抱える組織においては、一度制度を整えれば足りるのではなく、ガバナンス委員会による検証、提言、実行、進捗確認及び見直しというPDCAサイクルを着実に機能させ、継続的な改善につなげていくことが重要である。

「派閥」なき時代においては、従来、情報共有、人材育成、意見集約、意思疎通等派閥がその一部を担ってきた機能を、党組織としていかに代替し、持続可能で透明性の高い形で再構築していくかが大きな課題となる。その際に求められるのは、党が主導して枠組みを示したり規律を働かせたりしつつ、各部署及び各地方組織の主体性と自律性を十分に生かすという、いわば「集権」と「分権」の適切な均衡である。すなわち、自由民主党の強みである自由闊達な議論、多様な人材、多様な民意との接点を損なうことなく、国民の信頼に足る統治体制をいかに構築するかが、現在の党運営における核心的課題である。

以下、令和7年の取組について、ガバナンスコード基本原則に則して紹介する。

「基本原則1 政策立案力の強化」

  • 政務調査会ならびに参議院自由民主党において、有識者(研究者や企業経営者)や首長、各種団体からのヒアリング、部会・調査会による視察等を通じ、現場の実情や客観的知見を踏まえた政策形成に努めている。
  • 選挙対策本部においては、「候補者専用サイト」を通じて、公職選挙法解説、政策解説、アンケート対応資料等を共有する等、所属議員・候補者に対する研鑽機会の提供も進められている。

「基本原則2 多様な人材の育成と登用」

  • 女性候補者の擁立、公募の活用、新人参議院選挙区支部長への子育て・介護支援金制度の運用、女性候補者人材データベースの活用等、多様な人材の育成・登用に向けた具体的な取組が進められている。
  • 公募基本方針の見直しに向けた検討開始、女性候補者人材データベースの定期更新、公募情報の提供、女性未来塾や地方政治学校との連携強化等、「派閥」に依存しない新人発掘・育成体制の整備も一定程度前進している。
  • 「女性議員の育成、登用に関する基本計画」に基づき、女性候補者支援金制度、子育て・介護支援金制度、ハラスメント相談窓口、メンター制度等の整備が進められ、継続的に運用されている。

「基本原則3 地方組織との連携強化」

  • 地方組織や所属議員からの相談対応、選対役員による地方訪問、執行部によるオンライン会議や現地での意見交換等を通じ、地方の声を党運営や政策形成に反映させる取組が行われた。
  • 地方議員センターや支部長ポータル等の活用、情報共有チャネルの整理、デジタル支援の充実といった取組は進められている。

「基本原則4 広く開かれた対話とデジタル技術の活用」

  • 総裁選挙における公開討論会の地方開催や、一般の質問を受ける政策討論会のオンライン開催等、多様性と透明性の確保に資する取組が進められてきた。
  • 地方との各種会議もオンラインや対面で緊密に開催され、地方議員や支部長を対象としたサイトを設けて情報発信が行われている。
  • 党内業務ネットワーク基盤の整備、イントラネット拡張、入党のオンライン化や党員管理のデジタル化に向けた検討、デジタル活用推進体制の整備等、技術基盤の面で相応前進した。
  • 入党申込み手続及び党費納入のオンライン化については、eKYCシステムを活用した実証実験が行われた。

「基本原則5 党運営の新たなルールの確立」

  • ガバナンス委員会から毎年提言を受け、党大会等で報告し、党運営の改善に努めていること、コンプライアンス理解の増進や情報発信、研修・勉強会の機会を設けていること等、党運営の新たなルールづくりに向けた諸施策は進められている。
  • 情報共有の強化、若手育成、党幹部間の協議、外部専門家の活用、全体進捗のモニタリング等も行われており、党運営の新たなルールの確立に向けた取組が継続して進められている。

「基本原則6 政治資金の透明化と政治資金問題への厳格な対応」

  • 政治資金規正法違反等を巡る処分審査・離党審査については、該当事案がなかったものの、改正された党則・規律規約・ガバナンスコードの下で規律保持の徹底を図る方針が示されている。
  • 法改正に伴う監督責任の強化や政策活動費の廃止等について、さらなる周知徹底を進めるため、国会議員事務所や地方組織への支援やAIを活用した事務支援体制の構築等が行なわれた。

3.提言

本委員会は、今後の党運営に当たって、ガバナンス強化を更に進めるため、以下のとおり提言する。

もとより、党のガバナンス強化は、単に権限や情報を中央に集中させることを意味するものではない。従来、「派閥」が担ってきた情報共有、意見集約、人材育成等の機能が変容する中で、党として新たに構築すべきガバナンスとは、党が主導して枠組みを示したり規律を働かせたりしつつ、各部署及び各地方組織の主体性と自律性を十分に生かすという、「集権」と「分権」の適切な均衡の上に成り立つものでなければならない。

特に、コンプライアンスや危機対応のように、迅速かつ一体的な判断を要する事項については、執行部において関連情報を把握し、分析し、未然防止や早期対応につなげる体制を明確にする必要がある。他方で、党運営の活力は、各部署、地方組織、所属議員が、それぞれの立場において責任を果たし、創意工夫を発揮することによって支えられるものである。したがって、今後の改革において求められるのは、必要な権限集約と適切な権限分担とを両立させ、党全体としての統治能力、政策形成力及び信頼回復力を高めることである。

また、提言の実施に当たっては、単に制度や体制を整えるだけでは足りない。将来を語り、政策を担うことのできる人材を発掘し、育成し、支え、その力を地域と国政の双方において十分に発揮できるようにするとともに、個に起因する問題が党全体の信頼を損なうことのないよう、規律と危機対応の仕組みを不断に見直していく必要がある。そうした営みの積み重ねこそが、自由と民主主義を次世代につなぐ責任ある政党としての基盤を強めることにつながる。

以下の提言は、以上の考え方に立ち、令和7年提言の進捗状況及び今回のヒアリング結果を踏まえ、引き続き改善が必要と認められる事項を中心に整理したものである。

(1) 国民政党としての多様で公平な人材の育成と登用

(ア)人事への組織的影響力行使の継続的抑止

我が党は令和6年のガバナンスコード改正をもって、政策集団は「お金や人事から完全に決別する」(原則6−1)ことを決めた。党内の各政策集団のあり方について、引き続き世間の厳しい目が注がれる中、ガバナンスコードで禁止された「派閥」の復活・回帰と見られることがないよう、特に人事への組織的影響力行使に関しては、これまで以上に襟を糺す必要がある。

( 提 言 )

  • 原則2-1および原則6-1に則り、過去2年に渡り実施してきた人事に関するオンライン希望調査につき、これまでの運用実態及び実績を検証し、登録議員数と要望充足率の更なる向上を図るための改善を行うこと。
  • 人事に関し、政策集団からの組織的な人事要望は党内各機関において、引き続き受け付けないこととすること。

(イ)公募による候補者選定の徹底

有権者の幅広い支持を得られる有為な人材を確保し、また候補者の正統性を担保するために、空白区の支部長・国政選挙候補者の選任に当たっては、公募が徹底されなくてはならない。

( 提 言 )

  • 原則2-5に則り、空白区における候補者の選定については公募実施を原則とし、公募のあり方及び選挙直前の候補者交代への対応等について議論を進め、選挙対策要綱や候補者選定基準等の必要な改正を行うこと。
  • 公募応募者については、人材データベースとして蓄積し、国政選挙(特に比例代表)や地方選挙の候補者選定の際等に活用すること。
  • 立候補に伴うキャリア上のリスクを軽減し、有為な人材が挑戦しやすい環境を整えるため、落選後や任期満了後の再挑戦、または、いわゆるセカンドキャリアの支援のあり方について検討を進めること。

(ウ)女性議員の育成、登用の強化

女性議員を増やすことは、単なる数値目標ではなく、政治の代表性を高め、社会の実態をより的確に映し出し、政策課題への対応力を強化するとともに、党の組織基盤を強化し、国民の信頼に応えるために積極的に取り組むべきである。また、多様な分野において女性の視点が政治に反映されることにより、政策の幅と深みが増すことが期待される。

こうした認識を党全体として共有し、候補者の発掘、育成、登用の各段階において着実な取組を進めていくことが求められる。

( 提 言 )

  • 原則2-2に則り、「女性議員の育成、登用に関する基本計画」(以下、「基本計画」という)の推進や、関連する各種支援制度について、その利用状況や運用実態を検証し、その結果を踏まえた改善を図ること。
  • 基本計画における行動計画に示されている「候補者選定に関わる施策」に係る実施状況の検証を行い、新たな支援策を含めた必要な見直し検討すること。
  • 党本部は、都道府県連に設置されている「女性議員の育成、登用に関する基本計画実現PT」において議論すべき事項ならびに取組等について、来年の統一地方選挙に向けて明確な指示を行うこと。
  • 政務調査会をはじめとする各種会議において、女性役員を必ず含めるとの考え方を徹底し、会議体の運営の見直しや人選の工夫、女性人材の計画的な登用を進めることにより、党内の意思決定過程における女性参画の充実を図ること。

(2) 党全体のコンプライアンス・ガバナンス体制の強化

(ア)コンプライアンス委員会の設置による危機予防

近年、所属議員その他の「個」に起因する問題が、直ちに党全体の信頼に関わる問題として受け止められる中で、これまで以上に高い透明性と説明責任、迅速かつ的確な危機対応が求められている。同時に、党内に寄せられる様々なコンプライアンスに係る情報等について集約・分析し、事案を早期に収束させ、コンプライアンス違反を未然に防止することが求められている。

( 提 言 )

原則5-3に則り、令和7年提言のうち未実施である「コンプライアンス委員会」を、幹事長のもとに早急に設置すること。

(イ)政治資金規正法改正に伴うコンプライアンスの徹底

政治資金をめぐっては、近年、制度見直しの動きが活発化しており、法改正も重ねて行われている。こうした中、政治資金規正法の改正により国会議員本人の責任が一層強化されていることを踏まえ、その内容について、経理担当の秘書のみならず議員本人に対し、有効な形で周知徹底を一層進める必要性は増している。

( 提 言 )

  • 原則5-5に則り、令和7年提言のうち未実施である「所属議員及び党職員を対象とした年次のコンプライアンス研修」について、政治資金規正法改正に関する事項を内容として、着実に実施すること。
  • コンプライアンス室が監修する「ルールブック」については、単に配布するだけでなく、研修等を通じ議員及び事務所の関係職員の理解と遵守を徹底する場を設けること。

(ウ)政治制度改革本部の責任と体制強化

党のガバナンスを実効性があるものとするためには、制度の整備に加え、その運用を支える推進体制を強化することが不可欠である。中でも特に重要なのは、ガバナンスコードに基づき、ガバナンス委員会を動かし、能動的にPDCAサイクルを回していく責任を負う政治制度改革本部の責任と役割である。

ガバナンス委員会が毎年作成する提言についても、同本部が提言作成主体としてのより明確な自覚を持ち、党内各部署への直接的な指示・調整権限を有する幹事長室と連携し、党内に寄せられる情報を適切に把握・集約し、コンプライアンスの徹底、未然防止、再発防止及び業務改善につなげていくことが求められている。

( 提 言 )

  • 原則5-2に則り、ガバナンス委員会の提言の着実な遂行に向け、政治制度改革本部には提言作成主体としてのより明確な自覚と、PDCAサイクルを推進していくためのこれまで以上に能動的に取り組むこと。
  • 毎年のガバナンス委員会におけるヒアリングを通じ、党改革、組織改革を継続的に進めていく重要な役割に見合う、政治制度改革本部の人員・体制を強化すること。

(エ)非違行為に対する適正な処分

非違行為に対して適正な処分が行われるのはガバナンスの要諦である。しかるに、党紀委員会が行う処分としての「選挙における非公認」(自民党規律規約9条2項)については、実質的な効力が生じるのが数年後かもしれない選挙時点となってしまい事案の即時解決になじまないこと、党紀委員会による他の処分を受けた後に当該処分理由となった非違行為が考慮されて選挙直前に党としての非公認決定がなされると実質的な二重処罰の疑いが生じること等の問題がある。

( 提 言 )

  • 原則5-3に則り、事案の即時解決を図り、また実質的な二重処罰を防ぐために、党紀委員会が行う処分(規律規約9条2項)から、「選挙における非公認」(5号)を削除すること。
  • 一方で、重い非違行為に対しては、例えば、長期にわたる「党員資格の停止」処分(6号)を躊躇なく下す等して、国民の信頼を確保するに足る適正な処分を行うこと。

(オ)ご意見ボックスの適正な運用

ガバナンスコード原則5-6に則り、令和8年度より常設されることとなった「ご意見ボックス」の実効性を確保するため、適正な運用がなされなければならない。

( 提 言 )

  • 原則5-6に則り、令和8年度から設置されることとなった「ご意見ボックス」については、事前に定められた対応プロトコルに沿った運営が徹底され、かつ、実施の過程で必要に応じたプロトコルの改善もなされること。
  • 特に、ご意見ボックスの信頼性を確保し、また意見提出者を保護するため、意見に関する守秘性が厳格に管理されるとともに、ご意見ボックスについての周知や広報に関する工夫がなされること。

(カ)「守り」の広報(誹謗中傷対策、危機広報)の強化

政策的アピール等いわゆる「攻め」の広報については、昨年の提言に沿って動画配信やSNSの積極活用等を通じて大きな前進が見られた。一方で、誹謗中傷対策やトラブル対応等の「守り」の広報については、選挙期間中こそ「コミセン」として部署横断のチームが臨時に組成され対応にあたったものの、平時は対応部署が明確でない。また、危機広報の経験や専門性を有する職員も党内におらず、依然として体制に重大な脆弱性を抱えている。

( 提 言 )

原則5-3および原則1-5に則り、平時における誹謗中傷対策やトラブル対応等の「守り」の広報の抜本的強化に向けて、党内の関係部署(広報本部、幹事長室、情報調査局、政調等)が参加して検討する場を設け、党として対応部署の責任と役割の明確化、外部専門家の起用を含む専門性強化、対応事案の範囲の整理等について本年秋までに結論を得ること。

(3) 党のリソースを最大限活用するための業務効率化および生産性向上

(ア)効率的な会議運営の確保に向けた取組強化

政務調査会及び政策に係る79条機関は、政策の調査研究及び立案ならびに党の意思決定に至る政策調整を担う中核的機関である。政策課題が高度化・複雑化する中にあって、政務調査会等が実質的な議論と的確な意思形成の場として機能し続けるためには、会議体の構成、運営方法、事務処理体制等について、限られた時間と人的資源を踏まえて効率性を確保することが求められる。しかるに、現状において、重複する会議体の設置や、運営事務負担の増加といった問題が存在すると考えられるため、これらについての見直しが求められる。

( 提 言 )

  • 基本原則1に則り、会議体の総数や頻度について適正な規模を維持する観点から、新たな会議体の設置に関するルール及び会議運営方式の基本原則を定めること。
  • 既存の会議体については、その目的、機能、開催実績等を点検し、必要性の乏しい会議体については、統廃合や整理を含め、縮減を進めること。
  • 会議前に党職員が会議室の卓上にタブレット端末を準備している現行の運用については、業務効率化及び事務負担軽減の観点から、そのあり方を見直すこと。
  • 政務調査会の業務効率化については、毎年のガバナンス委員会への報告及びこれに対する委員会からの指摘の機会を活用し、継続的な改善を図ること。

(イ)デジタル技術や生成AIの積極的活用

現在、党本部では、オンプレミス型の各種サーバ群を今年末までにクラウドネイティブにする、近々生成AIサービスを全職員に導入する、事務局業務へのAgent機能導入についての検討を進めること等が予定されている。

( 提 言 )

  • 基本原則4に則り、業務の効率化や生産性の向上のために、現在党本部で進めようとしているクラウドネイティブ型のシステムの実現、生成AIサービスの全職員への導入、事務局業務におけるAgent機能の活用といったデジタル技術や生成AIの活用に向けた取り組みを着実に進めること。
  • これらの新しい技術を用いた業務のアウトプットの質を最大化するために、研修会等を通じた職員のスキルアップの機会も充実させること。
  • 党本部と都道府県連との連携を強化する観点から、地方議員専用サイト等を中心とした情報共有の充実を図ること。また、党員管理については、シンクライアント機能を活用したシステムの安定的運用と機能向上を引き続き進めること。
  • 入党申込み手続及び党費納入のオンライン化については、eKYCシステムを活用した実証実験の結果を踏まえ、課題を整理した上で、組織運動本部において早期に具体的な方向性を取りまとめること。
  • 政治資金収支報告書のデジタル提出の義務化に伴い、透明性の向上や事務負担の軽減から、入力誤りや記載漏れ等の人的ミスを軽減し、正確性及び効率性を高める観点から、AI技術の活用について検討を進めること。