消費者行政の発展に向けた提言

令和8年5月26日
自由民主党政務調査会
消費者問題調査会

高市内閣総理大臣の「日本列島を、強く豊かに」という基本方針の下、消費者行政の司令塔として、常に消費者目線で様々な課題に向き合い、現場の声に耳を傾け、福祉行政とも連携しながら、消費者施策の推進に取り組むことが不可欠である。そのため、地方消費者行政、公正で信頼のある取引、食品安全の確保及び食品表示への対応を推進し、物価の動向も注視しつつ、さらに持続可能でより良い消費社会の実現に向けて、消費者への適切な情報提供、適切な法執行、必要に応じた新たな制度検討等の取組を進めることが重要である。

昨年5月、本調査会において、「地方消費者行政強化交付金推進事業の活用期限到来を受けた今後の地方消費者行政支援に関する提言」を取りまとめ、政府にて地方消費者行政の一層の充実・強化に必要な予算及び体制が確保された。

このほか、消費者庁において、消費者が安全・安心に取引できるための制度整備に向けた検討、所管法令の適切な運用や施行準備に加え、「消費者力」の育成・強化、食品ロス削減及び食品の安全性確保等に向けた取組を行ってきた。

さらに、今年度も調査会として、(独)国民生活センターや地方自治体からも意見の聴取を行い、相談体制等の一層の強化に向けた検討を行った。こうした観点から、政府として早急に対応すべきものとして以下の提言を行う。

地方消費者行政の充実・強化に向けた継続的な措置

大幅な見直しが行われた地方消費者行政強化交付金の活用を促し、消費生活センターの機能強化等を図るとともに、地方公共団体が交付金を効果的に活用できるようにすること。また、地方公共団体が消費者行政の充実・強化に継続的に取り組むためには国の支援の安定性・予見可能性を高めていくことが重要であることや、地方公共団体のニーズ等も踏まえながら、交付金に関して、引き続き必要額を措置するようにすること。

国民生活センターにおいて、デジタル化など複雑・高度な相談対応力を強化するための地方支援等の充実、相談員や消費者行政担当職員への研修の拡充、商品テストの迅速かつ効果的な実施等のための機器等の整備及びこれらに対応するために必要な人員等の体制整備を推進すること。

デジタル取引等の消費者を取り巻く社会変化に伴う環境整備

超高齢化、デジタル取引の普及等といった消費者取引を巡る近年の環境の変化により、消費者の力を弱め、危害にさらされやすくする状態が急速に拡大し、誰もが単独で十全な意思決定をすることが一層困難になっている。また、情報通信技術の進展等により取引における消費者の利便性が向上した一方、デジタル技術の悪用によるインターネット上での悪質な勧誘等や、訪問販売等の取引分野においても引き続き消費者トラブルが生じているものがある。こうした点を踏まえ、消費者が安全・安心に取引できる制度整備に向けた検討を進めること。

さらに、年々多数の消費者に深刻な財産被害を及ぼす詐欺的な悪質商法が依然として発生する中で、消費者被害の未然防止及び拡大防止等を図る観点から施策を充実させ、体制整備を進めること。

改正公益通報者保護法の円滑な施行

公益通報者保護については、本年12月1日の改正法の円滑な施行に向け、制度の理解を深めるための事業者団体等に対する説明会や就労者等に向けた効果的な広報・啓発等に引き続き取り組むこと。

消費者教育及び食品ロス削減の推進等

消費者教育の推進に関する基本的な方針や消費者教育推進会議における議論等を踏まえ、47都道府県・20政令市等に配置された消費者教育コーディネーターの更なる配置促進に加え、その役割を十分に発揮できるための活動支援等に注力し、あらゆるライフステージの消費者が継続的に消費者教育を受けることができる機会の充実を図ること。その際、青少年の健全なスマートフォン利用を含め、社会環境の変化に即した実践的な「消費者力」の育成・強化を図る視点から、教材・コンテンツの作成・提供やアクセス改善・活用事例の横展開及び効果的な広報・啓発等に取り組むこと。

また、フードバンク認証制度の着実な運用やコンビニ型コミュニティパントリー事業の導入に向けた検討など、食品ロス削減及び食品寄附促進に向けた国民運動を関係省庁が連携して推進し、さらに、社会的ニーズを踏まえ最新の科学的知見に基づき食品安全を確保するとともに、正確で分かりやすいリスクコミュニケーションや時代に即した食品表示への対応を推進すること。

上記を踏まえ、「経済財政運営と改革の基本方針2026」に反映させるとともに、令和9年度予算要求並びに機構・定員要求では、これらの対策を講ずるために必要な予算・体制整備の要求を行い、必要十分な規模の予算・体制を確保すること。

以上