成長戦略及び経済安全保障の実現のためのルール形成・国際標準化の戦略的な推進

令和8年5月12日
国際標準化小委員会
小委員長 阿達 雅志
小委員長代行 滝波 宏文
小委員長代理 朝日健太郎
事務局長 塩崎 彰久
事務局次長 根本  拓
西田 英範

【現状と課題】

今日、地政学的対立が激化し、一方で新たな技術の開発スピードが上がっている。既存の国際秩序・ルールの遵守が、もはや当然の理とは言えなくなっている中で、国際社会における我が国の生存やプレゼンス確保に向けては、より一層、国際連携も通じた国際的なルール形成を主導することがますます不可欠となっている。

我が国産業の国際競争力は、長期の低落傾向にあった。その要因は様々考えられるところであるが、もっぱら企業の技術面での強みに恃み、国際標準化・ルールメイクを意識的に行ってこなかった結果、技術がガラパゴス化し、投資が滞り、結果として国際的な技術革新の波に乗り遅れてしまった面も否めない。そのため、政府における成長投資・危機管理投資における戦略17分野の官民投資ロードマップの策定においても、市場創出・需要創出に向けて、「国際標準化」を組み込むことが求められるようになっており、人口減少・高齢化によって、我が国の経済的・社会的プレゼンスの低下が懸念される中、国際的なルール形成・国際標準化の取組は、国内外の社会課題解決を通じた新たな価値創出や市場創出を実現する有力なツールであるという認識が広がりつつある。

さらに、海外によるレアアースの輸出制限や、中東における紛争により、重要物資の安定供給を通じた自律性の確保やサプライチェーン強靭化といった、経済安全保障の確保がより一層重要となっている。

さらに、標準の活用の遅れは、日本の重要な技術や機微な情報の流出を招き、また日本市場に危険な製品やサービスが入り込むリスクを生じさせる。すなわち、他国市場で求められる他国の基準の認証について他国の認証・試験機関に依存した場合、その試験及び認証の過程で、製品・サービスに関する技術やデータが流出するリスクが生じ得る。また、特に外国のデジタル製品・サービスについては、常にその製品やサービスを通じた他国への情報の流出について注意する必要があるところ、このような製品・サービスの国内市場での販売について適切な標準が設定されない場合には、このような情報流出の危険が高まることになる。

他方、この裏返しとして、日本において標準が適切に策定され、海外標準及び国内標準の試験・認証のために国内の試験機関・認証機関が積極的に活用されるようになれば、日本製品、さらには日本の試験機関・認証機関の競争力が高まることが期待できる。

以上を踏まえ、国際標準・国内標準の積極的かつ戦略的な活用は、我が国の産業競争力を高め、我が国の安全を守るために必要不可欠である。そのために、我が国は、標準の戦略的活用の重要性に関する政府および民間の意識を抜本的に変え、必要な予算措置を講じ、官民の体制を強化し、いわば「標準に関する国際競争力」を強化しなければならない。

昨年度の本調査会提言を受け、政府としては19年ぶりに「新たな国際標準戦略」を定めるとともに、「日本型標準加速化モデル2025」を策定し、官として標準化について前面に立つ姿勢が示された。その後、これらの戦略を踏まえ、官民司令塔としての役割を担う「国際標準に係る官民ハイレベルフォーラム」を新たに立ち上げるとともに、在外公館やNEDO、JETROといった在外事務所の協力による国際標準インテリジェンスの強化が図られている。

また、ペロブスカイト太陽電池、水素・アンモニア、量子、データ連携基盤、バイオものづくり、通信といった分野において、政府が主導して官民連携体制を構築し、国際標準化の戦略作りが進められている。

加えて、試験・認証機関の育成強化に向けて、国内外の認証機関との連携強化や試験設備の導入支援、認証機関等によるコンサルティング活動の範囲の明確化といった対応が図られたところである。

また、標準の活用を促進する観点から、国内標準の最たるものである国家規格(JIS)の活用状況の網羅的な調査や、公共調達等との連携についても取組が始められている。

しかしながら、取組はまだ緒についたに過ぎない。すなわち、依然として我が国企業、特にその経営層においては、ごく一部の例外を除き、欧州など海外に比して、経営戦略の一環としてのルール形成・国際標準化を戦略的に組み込み、適切にリソースを配分することが出来ていない。民間においては、経営層の意識改革、予算や人のリソース配分も含めた社内体制の強化が求められ、一方で、政府においては、それらを強力に後押しするための更なる取組が必要となる。

政府においても、産業政策を始め多様な政策実現の手段として取り組む意識が総じて希薄で、施策も体制もいまだ脆弱と言わざるを得ない。今回の成長戦略における戦略17分野の官民投資ロードマップを奇貨として、政府は、産業政策・科学技術政策・経済安全保障政策などと一体的に、民間との連携を深め、民間の国際標準作りに関する取組の支援を強化する十分な予算の確保、体制構築を図るとともに、民間に委ねた場合に国際競争において後れを取ったり経済安全保障上の問題が生じたりする場合には、政府が思い切って標準作りをリードする姿勢も求められる。

さらに、標準は策定しても実装されなければ意味がない。今回、政府において公共調達における規格の活用のためのガイダンスを取りまとめたところであるが、各省庁がこのガイダンスも活用しながら適切に規格の活用を図っているのかをしっかりとフォローアップする必要がある。さらに、公共調達に留まらず、国内規制、補助金交付の条件等の場面においても標準を積極的に活用するとともに、民間の調達における規格の活用も促していくべきである。国際的には、確立した国際標準や日本の標準が、他国の標準として採用されるよう官民で取組を進める必要がある。

国内標準の活用や試験・認証機関の体制強化も重要である。国内標準については、海外製品に対する競争力を確保するためのツールであるのみならず、日本の安全を守るためのツールであると位置づけられるべきであり、公共調達等における規格・標準の活用においても、そうした観点を旨に運用を図るべきである。また、試験・認証機関の強化によって、増大する試験・認証ニーズに対応するとともに、日本の技術力を生かし、試験も含め「認証産業」自体を一つの産業として位置づけ、競争力ある産業として振興していくことも引き続き取り組んでいくべきである。

そもそも、海外、特に欧州などに比して、上述のような経営戦略と一体的に標準化を活用しようとする意識の弱さについては、その適否はさておくとして、規制(ハードロー)と標準・認証を一体化させ、標準・認証への対応がそのまま経営に直結する欧州と、企業や業界の自主的な取組(ソフトロー)を重視する日本では、自ずから企業経営における標準・認証のプライオリティに相違が生じることになる。

こうした状況を前提に我が国としての対応策を考えたときに、今後、縮小する国内市場を見据えて海外に打って出る必要性、国内市場において粗悪品等が出回ること等により生ずるリスク、あるいは経済安全保障の重要性の高まりなどを踏まえれば、ルール形成・標準化について、欧州型でもアメリカ型[1]でもない、我が国として望ましいガバナンスや規制の在り方を再考した上で、政府が民間をよりリードあるいはサポートしていくことが不可欠である。

なにより、これらの取組は、場当たり的に行われるのではなく、大きな戦略に基づいて行われるべきである。ただし、求められているのは、抽象的な方向性が書かれるにとどまっている戦略ではなく、具体的に実施するべき施策やスケジュールが明示されているロードマップ的な戦略である。その点、政府の取組は一部の分野に留まっており、まだまだ途上であると言わざるを得ない。そのような戦略の構築に際しては、KPIやエビデンスでもって客観的に進捗を評価できるPDCAサイクル実施の十分な体制を整えるとともに、継続的なフォローアップと、状況の変化に応じたアジャイルな対応についても引き続き深掘りを図っていくべきである。

国益があからさまにぶつかり合う世界、これまでのルールが通用しない世界へと移行しつつある今日において、成長戦略とも連動して、デジュール[2]・フォーラム[3]・デファクト標準[4]、国際標準・国内標準を柔軟に駆使し、国民の安全を守る一方で、我が国の産業競争力やプレゼンスを高め続け、世界に咲き誇るために、以下、提言する。

【提言】

(1)国家標準戦略の実行・見直しと司令塔機能の強化

(国家標準戦略の実行・見直しと他の国家戦略との連動)

  • 昨年策定した「新たな国際標準戦略」について、引き続き政府において責任をもってその実行を図るとともに、その進捗や課題を分析した上で、これまでの提言及び今回の提言の内容や趣旨に沿って、不断に内容を見直し、深掘りすること。
  • 主要SDO[5]における幹事国引受数など、我が国の官民における国際標準化の進捗を適切に図れるようなKPIを検討・設定すること。特に、それぞれの分野における国際標準化の具体的進捗が把握できるよう、工夫を行うこと。
  • 政府内における取組の進捗評価に留まらず、民における取組についても適切に把握・分析できるような体制を構築すること。
  • 日本成長戦略における戦略17分野・61の技術・製品等の官民投資ロードマップ素案について小委員会で総ざらいした結果、その多くで国際標準化に係る記載が既に盛り込まれ、あるいは今後記載を検討することとなっている。国際標準化は、たとえ技術で劣後していてもビジネスで勝ち得るツールである。海外主導の国際標準化に対する守りの観点も念頭に、現時点で記載予定のない技術・製品等を含め、改めて各ロードマップにおいて国際標準化対応の盛り込むとともに、各分野・技術・製品等において、ビジネスで勝つための国際標準活動にリソースを割いて取り組んでいくこと。その上で、第七期科学技術・イノベーション基本計画とも連動し、国際標準化の進捗評価を図ること。

(領域の柔軟な設定とリソースの戦略的配分、ロードマップの策定、必要な予算の確保)

  • 国家標準戦略において、成長戦略や科学技術・イノベーション基本計画で示された重要技術・製品等を踏まえ、また、産業界の意見も聴取しつつ、国際社会及び我が国にとって重要であり、かつ、我が国に強みがある、あるいは死守すべき領域(環境・エネルギー、デジタル・AI、情報通信、量子、宇宙、素材、防衛など) を柔軟に、メリハリをつけて選定した上で、それらの領域に官民のリソースを集中投下すること。
  • それらの領域については、企業投資を促すために主体やその取組等を盛り込んだロードマップ等の策定を通じて予見可能性を確保しつつ、アジャイルに見直しを行うこと。
  • 経済安全保障の観点も含め、各領域や分野の検討に留まらず、複数の領域や規格を含めた、領域横断的・システム的な規格・標準体系や、サイバーセキュリティ(IoTやSBOM等)、日本が主導的な立場で進めているロボットインフラに係る国際標準化について、産業界・学術界とも連携して戦略的な対応を図ること。
  • これらの取組のために、日本成長戦略や科学技術関係予算を最大限活用するとともに、標準活用加速化支援事業(BRIDGE事業の一部)や政府がリードする分野別のロードマップ策定・規格開発・交渉予算を拡充すること。この際、技術開発から知財戦略、標準化戦略、事業戦略まで一気通貫で支援できるよう取り組むこと、さらに、高市総理から指示のあった複数年に跨る予算執行についても併せて検討し、中長期的に支援が出来るように取り組むこと。

(司令塔機能の実効性の担保)

  • 今回政府と経済界の連携の下で新たに設けられた「国際標準に係る官民ハイレベルフォーラム」は、現状では情報共有や会議開催に留まっていることから、より実効性のある司令塔となるよう、国際標準化に係る一元的な情報プラットフォームや支援機能を具備する、あるいは省庁単位や業界単位では対応困難な横断的な国際標準化に取り組むなどの具体的な取組を進めること。
  • 集められた国際標準・ルールに関する情報について、そのままでは情報量が過多であって活用が難しいことから、我が国にとって影響が大きい情報を抽出し、情報管理に留意しつつ必要な関係者にリーチできるよう、その方法論の精緻化を図ること。
  • 司令塔がその役割を十全に果たすためには、その事務局機能を強化することが不可欠であることから、引き続き政府における体制強化を図るとともに、民の協力も得て、官民一体で持続的な事務局機能の強化を図ること。
  • ルール形成・国際標準化の戦略的重要性に鑑み、政府部内で関連施策を府省横断的に統括する能力を向上させ、より高次元の政府における司令塔機能を発揮できるよう、国際対応を含む標準政策を統括する「標準戦略監」(仮称)を設けることも含め、体制の強化を図ること。
  • これらの司令塔機能の実効性担保に向け、必要十分な予算の確保を図ること。

(2)ルール形成・国際標準化を促進する産業界等の取組の強化

  • 企業、特にその経営層において、国際的なルール形成・国際標準化が経営において重要なツールであることの意識改革を徹底させるべく、オープン&クローズ戦略に基づき、経営戦略におけるルール形成・国際標準化戦略や知財情報の分析・組み込み、ルール形成・国際標準化の国際動向の把握や現地でのロビイング、知財の国内外での権利取得の推進や国際会議への積極参画、そのためのCSOChief Standardization Officer)の設置や標準化人材の育成、標準専門機関などによる政府に対する伴走機能の強化、キャリアパスの明確化などを積極的に進めることとし、政府としてもその取組を後押ししていくこと。
  • 大学や研究機関といったアカデミアにおいて、標準人材育成を図るとともに、研究開発を社会実装するための国際標準化の取組を組織として適正に評価することとし、政府としてもその取組を後押ししていくこと。
  • 企業や大学による国際標準戦略やオープン&クローズ戦略の実行を後押しするため、グリーンイノベーション基金事業やBeyond 5G基金事業などにおける研究開発支援と国際標準化の一体的推進を、政府の他の研究開発事業や支援事業等においても実施すること。
  • 金融機関において、自ら能動的に標準化活動に取り組むとともに、スタートアップなどによる知財や国際標準化への取組を、経営戦略の一環として適切に評価し、その投融資活動を通じて、国際標準化を後押しすること。
  • 官民で連携し、経営層などに働きかけるための国内セミナーやシンポジウム、国際標準化に関する国際会議を開催すること。

(3)国内標準を含む標準の積極的な活用と担当省庁の意識改革

  • 国際標準および国内標準の活用は、産業政策、科学技術・イノベーション政策、デジタル政策、社会インフラ整備政策、経済安全保障政策等を推進する一つのツールであるとの認識を官庁において徹底すること。そのため、各省庁の国際標準化窓口のみならず、担当課室を対象とした研修を実施すること。この際、戦略的標準化に向けた「型」や「方法論」を整理した上で、国際標準に係る官民ハイレベルフォーラムに参加する関係省庁の政務三役や、関係省庁の局長級からなる標準活用推進タスクフォースを通じて、関係府省において、担当課室における意識の涵養や知見強化、「型」「方法論」の横展開を図るとともに、各省庁内における国際標準戦略の推進体制(統括的な責任体制を含む)の更なる整備・強化を図ること。
  • 重要な産業分野について、産業界での自然な議論に委ねた場合に世界での競争に乗り遅れるおそれがある場合や、リターンが見えにくいが経済安全保障などの外部性の観点から重要な場合などにおいては、政府が主体的にリードする形で国際標準化活動を推進すること。
  • 国内標準も、日本の産業競争力の強化や海外のリスクの高い製品の流入防止に有用であるという認識の下で、そのような認識が妥当する領域においては、国内標準を積極的に策定すること。特に、安全保障・経済安全保障の観点から重要となる国内標準については、民間に委ねていても必ずしも発展しないため、担当省庁が主体的に標準作りを行うこと。
  • 標準は策定しても実装されなければ意味がないという理解に基づき、一方で企業 に標準の有用性を認識してもらうために、国際標準・国内標準が確立している分野については、政府が率先垂範することとし、今回策定されたJIS規格の公共調達引用ガイダンス(Ver.1.0)」に基づき、(ルールの範囲内でという前提のもと)原則として標準に適合した製品・サービス等であることを調達の条件とすることを省庁横断的に徹底すること。加えて、今後実施するJIS規格の総ざらいレビューの結果も踏まえつつ、JIS規格が更に有効に活用されるための方策について検討すること。
  • 補助金の交付の場面において、標準が確立している製品・サービスが関係する場合、標準に適合した製品・サービスを用いることを補助金交付の条件とすることを促進すること。
  • 研究開発予算において、研究テーマに係る知財や標準化について分析・検討することを支援の要件あるいは支援メニューとして盛り込むこと。
  • 国内規制への標準・認証の組み込みについても、戦略17分野における官民投資ロードマップにおいて規制改革による需要創出が謳われていること等を踏まえ、官民共同規制・アジャイルガバナンスや経済安全保障、イノベーション促進の観点から、モデル事業やガイドライン等の策定を通じて、関係省庁連携による積極的な検討を促すこと。その際には、我が国にとって望ましい規制の在り方とはどのようなものか、企業の創意工夫やイノベーションに繋がり得るか、国際競争力の強化につながり得るか、アジャイルな規制を阻害しないか等の観点から、そのメリット・デメリットを分析し、メリットがデメリットを上回る分野についてはその一体推進を図ること。
  • 経済産業省が現在進めているJIS規格の総ざらいレビューを参考に、各省庁においても、既存の規制・認定・認証等をレビューし、国際標準や国内標準との整合性や相互運用性を図るようにすること。
  • 自国のイニシアティブで確立された国際標準や、自国の産業力強化の観点から重要な国内標準については、それらが他国の国内標準として組み込まれることに向けて、産業界と協力しながら、他国への働きかけを行うこと。
  • 我が国において様々な制度に基づいて設けられているJISをはじめとする認証マークについて、欧州のCEマークの事例も参考に、我が国のブランドとして国際的な認知度を高めるための取組を進めていくこと。

(4)標準化人材の育成と活用

  • ルール形成・国際標準化に取り組む人材不足により、我が国が国際コミュニティの場において不利な立場に陥ることのないよう、企業、アカデミア、政府が連携して若手や現場を始めとした標準化人材の育成強化を図ること。
  • 大学や研究機関といったアカデミアにおいて、標準化人材育成を図るとともに、研究開発を社会実装するための国際標準化の取組が組織として人事評価に適正に評価されるよう、政府として国際標準化の重要性及び優良事例の大学等への幅広い周知等、その取組を後押ししていくこと。
  • 人材育成に当たっては、会議プロトコル(ルール)の習熟やマーケティング、チームでの対応力を涵養するため、OJTやシャドウコミッティの開催、国際標準化会合の日本誘致、SDOツールの活用等を図ること。
  • 特定の国が多数のエキスパートを国際会議の場に投入し、戦略的に標準化活動を進めていること等を踏まえ、人材育成及び国際的なネットワーキングをより一層強化する観点から、企業等による国際会議への参加やロビイングについて国が積極的に支援すること。
  • 司令塔組織などにおいて、領域横断的・省庁横断的な人材データベースの拡充・機能の強化を図っていくこと。

(5)標準化機関、試験・認証機関等の育成・強化

  • 中小やスタートアップを含む国際標準化に取り組む企業が、国内でも優れたサービスを受けられるよう、海外の主要標準化機関と遜色のないような国内の標準化機関、試験・認証機関等の専門機関のサービス拡大・体制強化に向けて支援を強化すること。
  • 我が国からの良質な国際規格の提案数の増大や、国際規格と連動する国家規格の増大を図るべく、AIの適正な活用等を通じた国際規格・国家規格の策定の迅速化を図ること。
  • 海外への情報流出への懸念に対応するべく、海外の機関のみに依存しない試験・認証体制の強靭化を図るため、企業からのニーズを踏まえつつ、海外の試験・認証機関との連携(日本の試験機関による試験結果の海外認証における承認等)、日本の認証機関による海外の試験・認証機関の買収の促進、国内の試験・認証機関間の連携等を図ること。
  • さらに、国内の試験設備等の基盤強化に向けた政府による支援の必要性について検討し、そのための必要十分な予算措置を図ること。
  • 日本の産業競争力を強化するという観点から、国内における試験・認証の合理化・効率化の可能性について検討すること。
  • 国内の試験・認証機関の育成強化を図るべく、企業においても国内の試験・認証機関を積極活用すること。試験・認証機関側においても、企業のニーズに応えられるよう、試験・認証機関間の連携や、産業界との連携強化、体制の強化を図っていくこと。

(6)国際連携、国際標準インテリジェンスの強化

(国際連携の強化)

  • 同盟国・同志国やグローバルサウスなどの外国政府や国際機関等とのパートナーシップを戦略的に構築・強化して、我が国主導の国際標準化に加え、我が国主導でなくとも、相互運用性を確保しつつ同盟国・同志国と連携した国際標準化・ルールメイクを展開すること。また、国内市場における財・サービスの安全・安心や質の確保という観点からの国内標準の活用を推進すること。
  • 国際標準化に関する国際コミュニティに積極参画するとともに、ポスト獲得自体が自己目的化しないよう、戦略的な目標を持って国際機関における重要ポストの獲得を図ること。
  • 産学官の意識醸成や国際ネットワーク構築のため、官民で連携し、ISOやIEC、ITUといったデジュール国際標準機関の国際会議や、主要なフォーラム標準の国際会議の国内開催を促進するとともに、より多くの日本人がコンビーナを務めることの推進並びにコンビーナを務める日本人の支援を行うこと。

(国際標準インテリジェンスの強化)

  • NEDO、JETRO等の政府の海外事務所や、在外公館によるネットワークを通じて、国際標準化への積極的な対応を進める、あるいは国際コミュニティに積極的に参加するなどして、現地の情報収集を含めた標準インテリジェンス機能を強化すること。また、そこで得られた情報について、情報管理に十分に注意しつつ、国内の必要なステークホルダーに提供し、適切なアクションに繋げられるような枠組みの構築を図ること。

(7)必要な財政措置等の確保

  • (1)~(6)の取組を進めるために、従来の予算にとどまらず、複数年に亘る予算管理も含めて、メリハリやターゲットの明確化を図りつつ、各種予算の抜本的な拡充や人員体制の強化を行うこと。
  • 本提言については、政府において速やかに(遅くとも2027年までには)取組に着手し、遅くとも2030年までにその実現を図ること。

(以上)

開催実績

(国際標準化小委員会)

第1回 令和7年12月9日(火) 1.知的財産推進計画2025の進捗状況について
(各省庁より報告)
第2回 令和8年3月30日(月) 1.政府における国際標準化の対応状況について
(各省庁より、令和7年度の取組状況とその成果、省庁内の国際標準化に係る体制整備、戦略17分野における国際標準化の検討状況等を報告)
第3回 令和8年4月16日(木) 1.国内標準策定機関、国内認証機関、試験認証基盤の強化状況についてのヒアリング
①一般財団法人 日本規格協会(JSA)
②一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)
2.国際標準化の検討状況についてのヒアリング
③一般社団法人 データ社会推進協議会
④野村総合研究所
第4回 令和8年5月12日(火) 1.国際標準化における経済界の取組についてのヒアリング
①日本経済団体連合会
2.アカデミアにおける標準化活動の評価向上についてのヒアリング
②早稲田大学理工学術院 田辺教授
3.国際標準に係る官民ハイレベルフォーラム提言と官民投資ロードマップ素案における国際標準化の組み込み状況について
(内閣府より報告)
4.提言案について

[1]ここでいうアメリカ型とは、公的な事前規制よりも、市場競争を通じて形成されるルール(後述のデファクト標準を含む。)や訴訟等を通じた事後救済を中心とするガバナンス形態を指す。

[2]政府や国家間、標準化機関における合意を経て制定される、公的な性格を有するもの

[3]特定の技術や製品分野などに関係する企業・専門家群の合意で制定される、緩やかな共通ルールとしての性格を有するもの

[4]特定の製品・サービスが世界中に普及することで生まれる、事実上のスタンダード

[5]Standards Developing Organization(標準化機関の総称)