自由民主党 日・グローバルサウス連携本部 決議

令和8年5月26日
自由民主党
政務調査会

昨今の不透明化・複雑化する世界情勢や国際秩序の揺らぎの中でのグローバルサウス諸国との連携の重要性の高まり等を受けて、当本部は2024年6月に「日・グローバルサウス連携本部 提言~パートナーとして選ばれる国へ~」を取りまとめ、昨年11月には「経済対策及び令和7年度補正予算」に向けた決議を行った。

また、インフラシステムの海外展開については、インフラシステム輸出総合戦略特別委員会において、戦略的な視点を持って意欲と能力のある日本企業の海外展開を最大限に後押しするべく、20255月に「インフラシステム海外展開戦略2030の実現に向けた提言」を取りまとめ、政府に対して当該戦略の実現に向けた取組の強化を求めている。

国際情勢の激変が継続している中、経済安全保障の確保や高市総理が発表した進化した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を含め、自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けてグローバルサウス諸国との連携強化の重要性は一層高まっている。また、本年4月に高市総理が発表した「アジア・エネルギー・資源供給力強靭化パートナーシップ(パワー・アジア)」(POWERR Asia: Partnership On Wide Energy and Resources Resilience Asia)の立ち上げにおいても確認されたように、グローバルサウス諸国からの日本への期待が高まっている中で、我が国の経済力を向上させていく観点からも、日本企業がグローバルサウス諸国へ積極的に進出してともに成長していくための後押しが必要である。

このような問題意識の下、当本部では、昨年の決議以降、政府、経済団体や個別企業、有識者等からのヒアリング等も通じて議論を重ねてきた。政府に対しては、これまでの支援ツールの検証を含め、グローバルサウス諸国との連携強化に向けた以下の取組を求める。

  • (1)グローバルサウス全体を俯瞰しつつ、進化したFOIPの実現に関する取組も含め、各国・地域ごとの特性やニーズを踏まえた戦略的な取組を行うこと。その際、産業界との連携を一層強化し、共通認識を持って取り組んでいくこと。この他、学識者や研究機関間の連携を深め、グローバルサウス各国の自律的な政策形成を支える共通知識基盤の構築にも取り組むこと。
  • (2)我が国に対する信頼を高めると同時に、日本成長戦略の実行を支える観点から、グローバルサウスとの経済関係を一層強化し、日本企業の進出に向けた一層の環境整備に取り組むこと。新たなEPA等の戦略的な作成を含め、経済連携の推進等を通じて自由貿易体制にグローバルサウスの関与を確保するとともに、ODA・OSAの強化も通じて、重要鉱物・エネルギー等の資源の確保による経済安全保障や我が国の経済外交を推進すること。その際、資源の確保に当たっては、インフラ整備や現地の住民の生活向上にも資する取組など、相手国の発展にも配意すること。
  • (3)グローバルサウス諸国とともに成長していく観点からは、AIを始めとする先端技術分野のイノベーション・エコシステムの共創に取り組むとともに、スタートアップのエコシステムの形成やビジネスの実証支援を含め、グローバルサウス諸国の社会課題の解決に貢献する意欲と能力のある日本企業の取組への支援を一層強化すること。その際、外国のスタートアップと我が国企業との連携も行うこと。
  • (4)認知戦が激化する中、グローバルサウスにおける我が国の信頼・プレゼンスを高めるべく、AIなどデジタル技術の更なる活用や産学との連携、有識者、専門家やインフルエンサー等の招へい・派遣を含む活用といった民間部門との連携を進めつつ、広報文化外交を強化すること。具体的には、これまで日本が国際社会で果たしてきた役割や貢献を含め、客観的事実に基づく形で我が国の立場・政策・取組に関する平素からの発信・広報を強化するとともに、我が国からの発信が好意的に受け入れられる素地として、歴史を含めた文化的・人的な交流の強化を通じて、我が国に対する理解や親近感、好感度、信頼感を向上させること。このような取組は、日本企業によるグローバルサウス市場への展開に好ましい環境の形成にも資する。
  • (5)2033年に20兆円の海外売上を目指すアニメ・マンガ等のコンテンツや2030年に5兆円の輸出を目指す農林水産物・食品といった戦略分野について、さらなる市場の獲得に向けてJETRO等を中心に海外展開の支援策を強化すること。コンテンツ産業については、在外公館、国際交流基金、ジャパン・ハウスによる取組を強化するとともに、ODAを通じて海外展開を支援すること。コンテンツから派生するビジネスにおいて我が国の国内総生産の向上に資する製造・販売を伴走支援する。加えて、高度人材の獲得支援を含む人材育成・交流の取組を強化することで相手国と我が国の双方の産業基盤を高めていくこと。その際、グローバルサウス諸国の事例から学び、日本もともに成長していく視点を持つこと。
  • (6)インフラシステムの海外展開については、2025年5月にインフラシステム輸出総合戦略特別委員会が取りまとめた提言も踏まえ、2030年のインフラシステム受注額45兆円の目標を達成すべく、「インフラシステム海外展開戦略2030」の下、実証事業や人材育成、政策金融機関の活用などを通じ、日本企業の海外市場への円滑な参入に向けた支援を継続・強化すること。
  • (7)上記のインフラシステム海外展開戦略2030の実施においては、総理・閣僚によるトップセールスや官民ミッションの派遣、在外公館やJETRO・JICAの現地事務所などを通じた相手国政府・機関のキーパーソンなどとの関係構築や現地政府からの発注状況の適時の把握と共有、スタートアップ企業や地方の企業・中小企業の海外展開支援など、海外展開に向けた国内企業の動向の把握にも努めつつ、日本企業の「稼ぐ力」を向上するための一層の環境整備に取り組むこと。
  • (8)オファー型協力や相手国政府の能力強化支援といったODAを通じた取組や社会課題の解決に向けた意欲と能力のあるスタートアップ企業の進出は、我が国のインフラシステムの海外展開の観点からも有用なものであり、これらの強化に向けて着実に取組を行うこと。
  • (9)これらの取組を支えるべく、①グローバルサウスとの連携を推進する国際会議の積極的な開催、②二国間または国際機関を通じたODAやOSAの強化、③官民フォーラムをはじめとした政策発信・広報、文化外交、経済外交、④グローバルサウス諸国との共創に向けた我が国企業の取組の強化(グローバルサウス補助金)、⑤我が国企業の海外展開を支援するためのJETROの体制強化、⑥有為な人材の招へい・派遣等の支援ツールの拡充などについて、当初予算の中で十分な予算確保を確実に行うこと。

政府の取組と並行して、自民党としてもグローバルサウス諸国との議員外交に取り組んでいく

以上、決議する。