スポーツの力で日本列島を強く豊かに

スポーツ立国調査会提言

令和8年5月28日
自由民主党政務調査会
スポーツ立国調査会

<スポーツの持つ力>

スポーツは、心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心その他の精神の涵養等のために行われものであり、今日、国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のものとなっている。スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利であり、スポーツの実施は我が国における重要な健康インフラと位置づけることができる。

令和7年6月には、「スポーツ基本法」が改正された。スポーツを取り巻く社会環境が大きく変化し、健康長寿社会や共生社会の実現、地域や経済の活性化、デジタル化の中での人と人との豊かなつながりなど、スポーツを通じた社会課題の解決に期待が高まっている現状に対応するとともに、ウェルビーイングの向上に向け、スポーツ権の実質化を図る観点からの大改正であり、この改正法の趣旨を実質化するための力強い施策の展開が今まさに求められているところである。

2026 ミラノ・コルティナ冬季大会において、冬季オリンピックでは過去最多となるメダルを獲得、冬季パラリンピックでも通算 100 個を超えるメダルを獲得するなど、国民に多くの感動が届けられた。本年9月~ 10 月には愛知・名古屋においてアジア競技大会・アジアパラ競技大会が日本で開催されるとともに、ワールドマスターズゲームズ 2027 関西、オリンピック Q シリーズ 2028 、 2028 ロサンゼルスオリンピック・パラリンピック等の大規模国際大会などの国際メガスポーツイベントの開催が今後も続いていく。こうした機会も活用し、スポーツを通じた国際交流・協力を推進し、諸外国の相互理解を深め、我が国の国際的な信頼性を向上させることが重要である。

こうして一層熱を帯びるスポーツであるが、同時に、この間スポーツを取り巻く環境は大きく変化するとともに、スポーツに求められる役割も多様化し、今やスポーツは全国各地の地域活性化の鍵でもある。少子高齢化や人口減少により、地域の経済停滞や活力低下が課題となる中、人々のつながりの機会創出、地域の経済活性化、住民の健康など、スポーツを通じた社会課題の解決に大きな期待が寄せられている。

スポーツと地域・社会が連携し、その発展を地域・社会に還元していくことで、地域のスポーツ環境の充実や地域活性化へつながり、スポーツに親しみ、関わる人々の増加やスポーツへの投資が拡大していくという、スポーツと地域・社会の双方の持続的な発展に資する好循環を形成することが重要である。

我々は、こうした社会環境の変化と求められる役割の多様化の中で、地域・社会に寄与するスポーツの裾野の広さと正面から柔軟に向き合い、今こそスポーツの可能性を最大限に引き出し、その価値を全国津々浦々に広げるとともに、国際交流・協力の推進を通じて、諸外国との相互理解を深め、我が国の国際的な信頼を向上させることで、スポーツを通じて日本列島を強く豊かにしていく必要がある。

<スポーツ立国調査会における取組>

スポーツ立国調査会では、スポーツ立国の実現に向けた取組を強力に進めることが重要であるとの認識の下、特に取り組むべき3つの課題として、

  • スポーツ市場の更なる拡大とともに、スポーツの自立的な環境整備や地方創生・社会課題解決にも貢献する等の視点を踏まえた、スポーツの成長産業化の継続・強化等
  • まちづくり政策としての一体的なエリアマネジメントが進められ、スポーツ以外の関連施策とも連携した取組として展開していくスポーツコンプレックスの推進
  • スポーツの新たな可能性を切り開く e スポーツとスポーツ DX の推進

について検討を進めるため、「スポーツビジネス小委員会」、「バーチャルスポーツ・スポーツ DX 推進PT」、「スポーツコンプレックス推進PT」において、それぞれ、現場で活躍するスポーツ関係団体・地方自治体・民間事業者等の説明や意見、要望等を丁寧にヒアリングしながら鋭意議論を重ねてきた。

こうした様々な検討を重ねた成果として、提言のとりまとめが行われたところであり、これらを統括して、ここに本調査会としての提言をまとめることとする。

政府は、本提言内容について今年度の経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)に盛り込み、スポーツ立国を強力に推進することを要望する。特に、具体的な事項として以下の通り要望する。

『主な要望事項』

≪1. 第四期スポーツ基本計画策定へ向けた検討の推進≫

  • 改正スポーツ基本法の理念を踏まえ、スポーツの「楽しさ」で人や地域の可能性を引き出し、未来を切り開くため、第四期スポーツ計画策定へ向けた検討を着実に進めること

≪2. 2028 ロサンゼルスオリンピック・パラリンピック等に向けた国際競技力の向上とガバナンスの確保≫

  • アジア競技大会・アジアパラ競技大会や 2028 ロサンゼルスオリンピック・パラリンピックをはじめとする国際競技大会等において、日本代表選手団が素晴らしい成績を残せるよう、 2026 ミラノ・コルティナ冬季大会競技結果の検証も踏まえつつ、オリ・パラの垣根を超えて、以下に取り組むこと
    ・現地サポート拠点の設置やハイパフォーマンススポーツセンターの機能強化等をはじめとするアスリート支援
    ・競技団体の組織基盤の強化
    ・地域 と連携したスポーツ医・科学等の知見の活用
    ・競技の不正操作防止を含むスポーツ・インテグリティの確保や誹謗中傷等への対応を通じたアスリートが競技に専念できる環境の整備
    ・冬季競技も含めた競技の特性に応じたアスリートの発掘・育成・強化方策の着実な実施
  • アスリートがオリンピック・パラリンピックの予選大会等への参加及び、それらに向けた海外合宿等が確実に実施できるよう、遠征費等について、現下の物価高、原油価格高騰を踏まえた特段の支援を講じること
  • 2026 年の愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会、 2027 年のワールドマスターズゲームズ、オリンピック Q シリーズ 2028 等の日本で開催される大規模国際大会の成功を目指した開催支援や今後の大規模国際大会の継続的な招致活動支援などに取り組むこと
  • 国際競技大会の運営において中心的な役割を担うことができる人材の確保・育成に取り組むこと
  • 大規模国際大会の日本での開催に向けて、諸外国との相互理解を深め、我が国の国際的な信頼を向上させるため、スポーツを通じた国際交流・協力に取り組むこと
  • アスリートが持つ高い能力は社会の財産であり、その能力が社会に還元されるよう、競技力向上と並行して、セカンドキャリア・デュアルキャリア形成の支援に取り組むことが必要不可欠であること。

≪3. 運動・スポーツを通じた健康インフラの構築、パラスポーツの振興≫

  • 運動・スポーツが持つ効果・価値を最大限活用して、成長分野を支える人材の定着や生涯に渡る能力発揮と生産性の向上、現役期間の拡大等を図り、経済成長を支える人材の心身の健康の保持・増進や生産性向上の基盤である「人材の健康インフラ」を構築するため、以下に取り組むこと
    ・運動・スポーツ推進企業に対する支援
    ・関連ビジネス市場の拡大を含めた企業向け運動・スポーツ関連サービスの強化
    ・スポーツ事業人材の確保・育成やスポーツ団体の経営力強化等
    ・学校施設などの地域の運動・スポーツ資源の開放による身近な運動・スポーツの場や機会の拡大
    ・生涯スポーツにつなげるための子供の頃からの運動・スポーツ基盤の構築と子供の体力向上
    ・地域で運動習慣の構築等の取組が進むよう、地域と共同利用する学校体育施設や学校プールの屋内化を含むスポーツ施設環境の整備を支援
  • 2020 パラリンピック東京大会、東京 2025 デフリンピック等により醸成された、スポーツを通じた共生社会の実現に向けた機運を確実なものとするため、以下に取り組むこと
    ・パラスポーツセンターの充実
    ・全国障害者スポーツ大会の円滑な運営に向けた支援
    ・パラスポーツ人材の充実

≪4. 部活動の地域展開等の全国的な実施に向けた財政支援の拡充≫

  • 生涯にわたる運動・スポーツの基盤を構築するためには子供の頃からスポーツに親しむ機会を確保することが極めて重要であり、部活動の地域展開等が果たすべき役割は非常に大きい。子供たちのスポーツ環境の充実に向けて、令和8年度にスタートした「改革実行期間」において、部活動の地域展開等を加速し、全国的に実施していくため、国として必要な支援を行うこと。
  • 「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関するガイドライン」(令和7年 12 月)を踏まえ、部活動の地域展開等の全国的な実施を加速し、地方公共団体が中期的な見通しを持って各地域の実情に応じた改革を安定的・継続的に進めることができるよう、国として十分な財政支援に必要な予算を継続・拡充して確保すること。

    その際、①推進体制の整備(コーディネーター配置や人材バンクの設置・運用等)、②地域クラブ活動の指導者謝金等の支援、③経済的困窮世帯への参加費等の支援、④平日も含めた地域展開等の加速化のための重点課題への対応、⑤部活動指導員の配置支援について、市町村等への補助を弾力的かつ継続的に実施すること。

  • 希望する教師が引き続き子供たちのスポーツ・文化芸術活動を指導することができるよう、兼職兼業に向けた環境整備を強力に推進すること。その際、中学校の教師に加え、小学校の教師(体育専科教師を含む)や高等学校・特別支援学校の教師など、志ある様々な方が、希望に応じて円滑に兼職兼業を行うことができるよう、教育委員会における規程や手続きの整備・周知等を促進すること。

    また、希望する教師が兼職兼業により地域クラブ活動の指導者となる場合、指導者謝金を適切に支払い、その処遇の充実を図ること。

  • 部活動の地域展開は、地域の民間企業との連携による地域活性化にも資するものであり、部活動が地域展開された場合においても、子供たちが安全・安心な環境の下、質の高い指導を受けることができるよう、地域クラブ活動に関する認定制度の運用や、日本版 DBS の活用を含めた不適切行為の防止徹底、指導の手引きの作成、学校施設の有効活用等の環境整備を着実に進めること。
  • 中山間地域・離島など、地域資源に恵まれていない地方公共団体においても着実に必要な改革が進められるよう、相談窓口の設置やアドバイザーの現地派遣など、国はきめ細かな伴走支援を行うこと。

≪5. スポーツの成長産業化の推進、スポーツを活用した地方創生等≫

  • 我が国においてスポーツは、競技力向上や健康増進にとどまらず、地域活性化、観光振興、共生社会の実現、経済成長、安全保障上の国際的プレゼンス向上など、多面的な価値を有する重要な社会基盤となっている。我が国が有するスポーツ資源、地域資源、コンテンツ力を最大限活用し、スポーツ市場規模について、遅くとも 2030 年までに 15 兆円を達成するとともに、更なる高みを目指す必要がある。

    そのため、第4期スポーツ基本計画も見据えつつ、スポーツの成長産業化及び社会価値創出の双方を実現する観点から、政府に対し以下の取組を着実に推進するよう提言する。

  • (1)スポーツを核とした新たな成長産業化と資金循環モデルの構築
    • スポーツを通じた収益化モデルの高度化、スポーツ経営・事業運営人材の育成・確保、新たな資金調達のあり方について、政官財の関係者を交えて検討を進めること。特に、スタジアム・アリーナ改革やスポーツコンプレックス形成においては、民間資金や地域資本がスポーツ分野へ継続的に流入する仕組みづくりを進めるとともに、デジタル技術や STO (セキュリティ・トークン)等の新たな金融手法も含め、地域参加型の資金循環モデルについて検討を進めること。
    • スポーツ界以外の産業との共創を促進し、スポーツ DX 、スポーツオープンイノベーション、課題解決型パートナーシップ等を通じて、スポーツ産業の生産性向上と新市場創出を図ること。
    • 放映権が高騰する中、スポーツ振興の観点から幅広くスポーツの観る機会を確保することは重要であり、ユニバーサルアクセス権も含め、観る機会の確保に向けた検討に取り組むこと。
  • (2)国際競技大会の戦略的招致とレガシー創出
    • 東京 2020 大会のレガシーを継承・発展させ、今後我が国で開催される国際競技大会を、単なる一過性のイベントではなく、地域課題解決や持続的な価値創出につなげる国家戦略として位置づけること。現在、日本オリンピック委員会( JOC )は、オリンピック Q シリーズ 2028 の開催に向け準備を進めている。東京都渋谷区を中心とした開催が想定されており、アーバンスポーツを中心とした新たな国際競技大会は、若年層との接点創出、都市ブランド向上、観光需要創出など、多様な波及効果が期待される。
    • 2026 年愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会等も見据え、今後、我が国で開催される国際競技大会の戦略的な招致・開催支援を推進すること。その際、国、自治体、競技団体、経済界、地域企業、大学等、多様なステークホルダーの参画を促し、スポーツを核とした地域エコシステム形成を推進すること。
    • 既に進めているラグビーワールドカップ招致や将来的な FIFA ワールドカップ招致等も見据え、スタジアム・アリーナ機能の高度化、スポーツホスピタリティ、スポーツツーリズム、放映・デジタルコンテンツ、インバウンド受入環境等、国際競技大会開催を支えるスポーツ産業基盤の強化を戦略的に推進すること。
  • (3)競技力向上を支える強化環境整備とスポーツテック推進
    • 我が国選手の国際競争力向上に向け、 NTC (ナショナル・トレーニングセンター)の機能強化、現場ニーズを踏まえた柔軟かつ戦略的な強化拠点整備を推進すること。特に冬季競技においては、仮設施設や先端機材等を活用し、高難度技術を反復練習できる環境整備が競技力向上に大きく寄与している。選手・指導者・競技団体等の現場の声を的確に把握し、従来の前例にとらわれない強化環境整備を推進すること。
    • Japan Sport Council ( JSC )及び High Performance Sport Center ( HPSC )等の機能強化を図るとともに、スポーツ医科学、データ活用、コンディショニング、映像解析等、スポーツテック分野への投資を促進すること。
    • デジタルデバイス等を活用した健康増進、身体活動促進、運動習慣形成等の取組を推進すること。
  • (4)スノースポーツ・冬季産業の再興等スポーツツーリズムの推進
    • 我が国が有する世界有数の雪資源等の地域資源を、観光・スポーツ・地域産業の重要資源として再評価し、スノースポーツを核とした冬季産業の再興も含めたスポーツツーリズムを国家戦略として推進すること。
    • 例えば、 1990 年代のスキーブーム期に整備された地域資産やインフラも活用しながら、スノースポーツとエンターテインメント、観光、食文化等を融合した新たな地域価値創出を図ること。
    • 海外富裕層を含むインバウンド需要獲得を見据え、国際競技大会やアクティビティ、滞在型観光との連携を強化し、地方創生につなげること。
  • (5)地域スポーツ環境の整備と部活動地域展開への支援
    • 部活動の地域展開を進めるにあたり、その受け皿となる地域スポーツクラブや地域団体について、持続可能な運営体制の構築を支援すること。特に、適切な指導環境、安全管理体制、指導者育成、人材確保等を推進するとともに、地域企業による支援や官民連携を促進し、安定的な財源確保に向けた取組を進めること。
    • スポーツを通じた地域コミュニティ形成や子どもの健全育成、多世代交流の推進にも資する環境整備を図りつつ、その担い手となる地域スポーツコミッション等の育成・組織運営基盤の強化を図ること。
    • 大学スポーツの潜在価値を引き出し、大学スポーツそのものの裾野の拡大と振興を図るとともに、大学スポーツによる地域振興の促進を図ること。

≪6. スポーツコンプレックスの推進≫

  • 令和9年度以降、スポーツコンプレックスの実現に向けて、スポーツ施設単体の整備ではなく、周辺の関連する様々な主体・分野も含めて面的・複合的にエリアをとらえた、まちづくり政策としての一体的なスポーツエリアマネジメントが進められ、スポーツ振興のためのスポーツ政策を超えて、他の関連施策の観点からスポーツを活用する取組が展開されるよう、下記の取組を着実に実行すること。
  • (1)スポーツコンプレックスの概念や考え方等の普及啓発

    スポーツコンプレックスは、核となる施設の規模や、そのエリアにおける興行利用の自由度によって、「高集客型」と「地域拠点型」に大きく分類できる。特に「地域拠点型」については、周辺エリア全体で経済的価値向上、社会的価値創出を実現する官民連携、公的関与の在り方を検討することが必要であるため、こうした概念や分類、考え方を広く周知し、普及啓発を図ること。

  • (2)地域特性等に応じた資金調達方法等の整理・発信

    上記(1)に示す官民連携、公的関与の在り方の検討を行う観点から、スポーツコンプレックスの具体的な取組事例を分析し、それぞれの事情や状況、地域特性等に応じた資金調達方法、多様な補助金・支援等の活用例などを整理し、周知・発信すること。

  • (3)スポーツコンプレックスの推進による地域課題の解決等に向けた人材確保・育成支援

    スポーツコンプレックスの推進によって、スポーツ以外の興行や施設周辺の商業活動等を含めた幅広い取組を推進するとともに、社会的価値の創出を通じてスポーツによる地域課題(地域産業振興・イノベーション創出、健康、防災等)の解決に寄与することも可能となる。こうしたスポーツコンプレックスの重要性を踏まえ、プロスポーツチーム等において、地域課題の解決等の取組も支えうる事業運営人材の確保・育成を支援すること。

≪7. スポーツの新たな可能性を切り開く e スポーツとスポーツ DX の推進≫

  • 近年、 e スポーツ市場は世界で約 3,300 億円規模、日本では約 160 億円規模( 2024 年)となり、成長産業としての期待を集めている。こうした e スポーツの広がりは、スポーツの新たな可能性を切り開き、地域・経済の活性化への効果も示すようになっており、スポーツ振興の観点から e スポーツの一層の推進を図る必要がある。また、リアルスポーツの競技力向上や健康増進、地域課題の解決等が期待されるスポーツ分野の DX 推進に向けても、デジタルとリアルの相乗効果が図られるよう必要な体制整備を進める必要がある。日本発の e スポーツ及びスポーツ DX に係る技術や知見を世界のスタンダードとしていくことが、我が国の競技力ひいては国力を向上させることにつながるとの観点から、下記の取組を着実に実行すること。
  • (1)スポーツ関連データの利活用を通じた、官民連携による新しいサービス等の展開の推進
    • ロサンゼルスオリンピック・パラリンピック等も見据え、 HPSC と民間企業との連携を強化し、民間企業が持つ先端的な DX 技術をスポーツ選手の強化プロセスでも活用し、効果的・効率的な国際競技力の向上へとつなげること。
    • HPSC におけるデータ統合及び AI 等を用いたデータ分析の高度化・高速化のための情報基盤の整備を進めること。
    • JISS においてアスリートの権利保護とデータの利活用促進のための在り方の検討すること。
  • (2) e スポーツの競技力向上とさらなる活用の推進
    • e スポーツの広がりを踏まえ、 e スポーツをきっかけとしたリアルスポーツへの活用の検討や、 e スポーツの在り方に関するエビデンスを収集・蓄積し、心身の健康の保持増進及び安全確保にも配慮しつつ、 e スポーツの促進へ向けたガイドラインの作成など e スポーツに関する部活動や国内大会等を含め機運醸成に取り組むなど、スポーツの裾野拡大へとつなげること。
    • とりわけ、愛知・名古屋で開催される第 20 回アジア競技大会において、 e スポーツが正式競技に決定したことを踏まえ、 NTC における強化合宿の実施や、 HPSC における e スポーツラボの開設、 e スポーツ選手に対する医・科学支援をはじめとする先端技術を活用したコンディショニングサポートの実証を行うなど、取組を加速すること。
    • アジア大会に向けた各種施策を通じて、安心安全な e スポーツの在り方に関するエビデンスの収集・蓄積を進めるとともに、トレーニングのデータログの蓄積・解析など、バーチャルスポーツ、リアルスポーツ双方の競技力強化へ向けたバーチャルスポーツの活用を促進すること。
  • (3)バーチャルスポーツ、スポーツ DX を通じた新たな価値の創出
    • バーチャルスポーツやスポーツ DX を推進していく上で必要不可欠なデータ分析・活用や AI の活用等も含めたテクノロジー人材の確保を進めるため、 IT 業界を含めたビジネス業界とスポーツ業界との人材交流の活性化を推進すること。
    • スポーツ DX の活用による顧客体験価値及び社会的価値向上、収益性拡大のため、スポーツ団体等のテクノロジー活用・実装を支援するとともに、デジタル技術を活用し、高齢者や障害者を含め全ての国民が日常の生活空間の中で手軽にリアル・バーチャルを通じてスポーツができるよう実施環境の改善・普及を促進すること。
    • e スポーツ市場が国内外で急速に拡大していること、また、 e スポーツが高齢者や障害者などスポーツの裾野拡大に寄与していることや、シミュレータの幅広い活用の可能性を含むバーチャルスポーツ・スポーツ DX の推進が、リアルスポーツの競技力向上やライフパフォーマンス向上、社会課題の解決にも資することを踏まえ、官民協議会の立ち上げへ向けてスポーツ庁と経済産業省との連携を推進すること。
    • スポーツ DX 技術を活用し、ハイパフォーマンス領域での高度な技術や知見を集積・分析し、競技領域にとどめず社会全体へと広く還元する「スポーツ DX データバンク」の構築を検討すること。

スポーツ庁をはじめとする政府関係機関は、提言に示された要望事項に関し、その実現に向けて、必要な制度改正や予算獲得など実効性ある取組を進めることを強く求める。そして、地方自治体、スポーツ関係団体、民間事業者等においても、提言に示された内容を踏まえつつ、それぞれの立場から、我が国のスポーツ振興に資する取組を行っていただくことを期待したい。

また、本調査会としても、本要望事項を更に推し進められるよう引き続き議論を進めていくとともに、世界があらゆる課題に直面している中で、我が国として先進的に課題解決に取り組み、スポーツが持つ様々な価値を向上させ、スポーツ関係予算を大幅に増加させるとともに、スポーツ庁を含むスポーツ関係団体の体制の充実も図ることにより、世界に類を見ないスポーツ立国の実現を目指すことを決意し、本提言の結びとしたい。