クリエイター・アーティスト育成支援PT提言
~人生を変え、コンテンツ文化立国につながる
「挑戦」の拡充に向けて~
令和8年5月27日
自由民主党 政務調査会 文化立国調査会
クリエイター・アーティスト育成支援PT
1.クリエイター・アーティスト育成支援の方向性
(コンテンツ文化振興の必要性)
- マンガ、アニメ、実写映像、ゲーム、音楽等のコンテンツは、我が国が誇るべき文化資源であり、基幹産業でもある。文化的側面と産業的側面は相反するものではなく、両輪である。政府は「日本成長戦略」の柱となる戦略17分野の一つに「コンテンツ」を立て、2033年までにコンテンツ産業の海外売上を20兆円とする目標を立てている。
- 人々の心を豊かに元気にするコンテンツが生まれれば経済活動が活性化するとともに、経済的利益が高まることが、次の製作や人材育成の原動力となる。
- コンテンツそのものの売上だけでなく、グッズやライブ、イベントなどを通したIP(作品やキャラクター、世界観といった資産)展開が大きな市場をもっている。
- 若い世代を中心に、アニメ等のコンテンツを通して日本に興味を持ち、来日する人が多い。作品ゆかりの土地への訪問(コンテンツツーリズム、聖地巡礼)などにより、インバウンドの増加、地方創生にも大きな働きをしている。
- 海外売上を伸ばすということは、コンテンツを通して、その中で描かれた我が国の社会や文化に親しみや信頼をもってもらうことにもつながっている。
(人材の力)
- コンテンツを生み出すのは人の力である。かつ、「よいものを作れば売れる」というものではない。コンテンツを製作し、海外発信していくには、作品のアイディアを生み出す人材、それをビジネスとして展開できる人材、制作現場を支える様々な技術を担う人材、いずれが欠けても実現できない。
- 国内では人口減少が進み、海外では各国がコンテンツ政策に力を入れ、国際競争が激化している。こうした中、コンテンツを生み出す人材を育成・確保し続けることは、もはや経済安全保障の一部であり、日本を守る上での重要な抑止力の強化や平和な世界への貢献につながるといえる。
- このため、クリエイター等のコンテンツにかかわる人材の育成・確保に向けて、国策として強力に支えることが必要である。その際、我が国のコンテンツは、自由な創造環境、商業活動から生まれ育ってきたことに鑑み、それを守っていくことは大前提である。
(クリエイター支援基金の創設)
- そのような考えから、令和5年度補正予算でクリエイター支援基金事業が始まった。令和5年度補正予算(60億円)により、世界で活躍が期待されるクリエイター等の海外発信の支援や文化施設の高付加価値化を支援。令和6年度補正予算(95億円)では、人材育成のコースやプログラムの創出のための取組を支援。令和7年度補正予算(175億円)では、クリエイターが生み出すマンガ等のコンテンツのデジタル配信による普及に向けた取組(コンソーシアムの構築)や、製作現場を支える中核的な専門人材の育成・確保等に関する取組を支援することとなった。
- 政府の基金の方針により、同一の事業は原則3年までとし、成果を検証してその後の措置を検討することとなっている。第一弾となった令和5年度補正予算事業(実質的な事業開始は令和6年度)が3年目を迎え、その検証が必要となっている。(令和6年度補正予算事業、令和7年度補正予算事業に関しては、今後、事業の進捗を見つつ検証を行い、今後の展開を検討する必要がある。)
(令和5年度補正予算事業の評価)
- 本PTでは、クリエイター支援基金による支援対象団体、過去の人材育成事業の支援対象者などにヒアリングを行ってきた。それによると、令和5年度補正予算事業では、育成対象のクリエイター等が独創性を発揮し、海外でも評価を得つつあり、大きな成果を出し始めていることが明らかになった。
- 特に意義が大きいのは、複数年度にわたる支援が可能となったことである。これにより、海外の機関やキーパーソンとの関係構築、中期的な計画の策定、海外会場の確保、渡航調整などが行いやすくなった。また、作品や舞台を発表するだけでなく、企画段階における英語でのピッチや、ワークショップ等を行い、単なる発表にとどまらない成長機会が生まれている。このように、年度単位ではなく複数年度にわたる支援はクリエイター等支援にとってのスタンダードとなるべきものである。
- 人材育成においては、育成対象者をどう評価し選抜するかということが問題の一つである。クリエイター支援基金事業では、国が直接クリエイター等を選抜するのではなく、様々な支援団体・業界団体等が育成対象者を選抜・抜擢し、国がそれを支援する仕組みとなっている。国が一つだけの物差しで評価・価値づけを行うよりも、様々な団体が育成プログラムを用意することにより、結果として多様な人材が支援対象となりうるようになっている。
(クリエイター支援基金の抜本的な拡充)
- こうした成果を最大化するために、令和5年度補正予算事業の継続及びさらなる拡充は不可欠と考える。基金による取組は、すでに試行的な段階を越え、仕組みとして定着させる段階に入っている。今後、文化庁・(独)日本芸術文化振興会において、団体ごとの取組状況の評価も行い、採択時に5か年で計画を立てた各団体が最後まで事業を継続できるようにするとともに、さらなる事業拡充を行うことを強く提言する。
- 令和8年度当初予算及び令和7年度補正予算により、政府全体では初めて500億円を超えるコンテンツ関係予算が措置された。画期的である。一方、諸外国のコンテンツ関係予算に比べると、まだまだ十分な水準とはいえない。クリエイター支援基金事業も含め、予算全体を倍増し、複数年度化して、政府全体で5年5,000億円以上の予算措置を確保する必要がある。
- 支援対象となった各団体やクリエイター等からは、上述のとおり、基金事業による支援の効果が強調されつつ、諸外国もコンテンツ政策に力を入れる中、さらなる充実を求める声が挙げられている。個別の支援施策については2.に示すが、クリエイター・アーティスト育成支援全体の方向性としては、以下のように整理する。
方向(1):人材育成の「取組」から「エコシステム」へ
- 基金事業の継続・拡充により、人材育成支援、活躍の基盤強化、次世代への投資などに関する個々の「取組」を、持続可能な「システム」にまで高めることが必要である。
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① 必要な人材に応じた育成支援
優れたコンテンツを世に送り出し、人々のもとに届けるためには、様々な人材が必要である。分野によっても課題は様々である。例えば独創的な発想ができる人材や、アイディアをビジネスへと展開させる人材を育てるには、座学での知識・技能習得だけではなく、実際にリスクをとってプロジェクトに「挑戦」する中で鍛えられると考えられる。他方、制作現場を技術で支える人材には、製作現場のニーズを踏まえた上で、系統的に学べる過程が必要である。
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② キャリアステージに応じた育成支援
クリエイター支援基金事業で目指すことは、新人クリエイター等をデビューさせる段階にとどまらず、世界での活躍が期待される人材を羽ばたかせることにある。そのためには、クリエイター等としてのキャリアの各段階における困難を乗り越えることができるような後押しが必要である。そして、製作や発表などを直接的に助成する支援だけでなく、人材が育つ・活躍できるための環境を構築する取組、次世代のクリエイター等への裾野を広げる取組など、個々の企業や団体の努力だけでは難しいことに、様々な角度から総合的に取り組む必要がある。基金事業と、従来の文化庁の当初予算事業や、経済産業省、総務省等の事業などと連携し、総体として充実することが求められる。
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③ 官民協働による循環構造(エコシステム)
我が国がコンテンツを大きな軸にした文化立国となるためには、各取組を一つ一つばらばらに行うのではなく、大きなエコシステムとしなければならない。クリエイター支援基金による人材育成支援や、制作環境整備、デジタルを含むアーカイブ化の推進等の基盤整備、次世代への投資等と、製作支援、海外展開支援等が連携し、ひとつひとつの取組を一過性のものにせず発展的に継続できるようにすること、育成の成果が次の世代の育成へと循環できるよう、官民で協働することなどが必要である。
方向(2):コンテンツ振興を柱にした文化立国の実現
- コンテンツの海外展開を促進する施策と、舞台芸術や伝統芸能(ライブ)、工芸や美術品(アート)などの幅広い文化芸術と相乗効果で活性化させ、コンテンツを軸とした文化立国を目指すということである。 コンテンツとライブ、アートを一体として振興することの意義として以下のようなことが考えられる。
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① コンテンツに厚みや多様性を生み出す
- 我が国が世界でも高く評価されるコンテンツを生み出し続けてきた強みの一つとして、物語性や世界観、キャラクターの多様な魅力や奥行き・厚みがある。それらの厚みや多様性をもたらすものは、我が国の伝統、歴史、思想、生活、地域性、テクノロジーなどであると考えられる。
- 例えば、マンガ原作のミュージカル化や古典題材のアニメ化など、コンテンツからライブ・アートへ、またライブ・アートからコンテンツへのクロスオーバーにより、相乗効果が生まれる。このことは、我が国の強みであると同時に、例えば韓国もK-POPと映像、舞台の融合により高い評価を受ける作品を生み出しており、世界的な潮流ともいえる。
- また、分野を超えた才能の交わりが、それぞれの人材育成を豊かにすることや、新たな独創性を生むことも期待される。
- 我が国コンテンツのクオリティの高さの背景にも、ライブやアートが存在している。例えばアニメの背景美術に日本画の技法が用いられていたり、ゲームやアニメのキャラクターの動きが実際のダンサーや俳優等のモーションキャプチャーにより作成されたりしているのは、その一例ともいえる。
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② ライブの熱狂、体験がIPや日本に対するファンを増やす
- 舞台芸術を海外発信することは、単に海外で公演を行い、多くの観客を集めることだけにとどまらない意義がある。海外公演がいわばショーケースとなって、上映権をライセンスアウトしたり、日本文化への興味を高め、訪日旅行(インバウンド)につなげたりすることで、大きな経済効果をもたらす可能性を持っている。また、ライブの舞台芸術を映像アーカイブ化することで、コンテンツ化して発信することも可能になる。
- デジタル化したコンテンツは、世界中に、時間や空間を超えて人々に届けることができる。限界費用が小さいため、ファンが広がるほど大きな利益を生み、次の創作に還元することができる。一方、ライブ(舞台芸術や伝統芸能)やアート(工芸や美術品)は、機会や数量が限られることによりプレミアムな価値を生み出すことができる。「そこでなければ見られない」ライブによる直接体験は、IPやアーティストに対する深い愛着、熱狂を有するファンダムを形成する。これらを両輪で進めることで、我が国のコンテンツ産業の勝ち筋とするとともに、我が国の文化が世界で理解され、親しみや信頼を生んでいくことにつながると期待できる。
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③ コンテンツ文化とライブ・アートを両輪とした文化芸術立国
- 一方で、商業性を中心としたコンテンツ文化と、寄付や公的支援も必要な舞台芸術や伝統芸能は、国の支援の在り方としては異なる関わり方が必要であることに留意すべきである。
- 商業活動をベースとしたコンテンツ文化の振興に当たっては、国の支援が企業の自由な活動を妨げることのないよう留意が必要である。一方で、経済合理性だけでは解決できない問題や、産業全体で共通の課題への取組、採算性だけではリスクのある挑戦を後押しすることは、国の支援として重要である。
- 歴史的にも、オーケストラ等の音楽や舞踊、歌劇等は、公的支援によって支えられてきた伝統があるが、これらの舞台芸術は、保護される対象としてだけでなく、人々の心を打つ新たな創作活動を続けることで、経済に貢献しうる力をもっている。公演収入その他の事業収入や寄付金を安定的に確保することによって、より持続可能に発展していくことが期待される。各団体等の強みを生かして新規の観客を開拓するとともに、収入の多角化を図っていくことができるように支援するべきである。
- 一方で、舞台芸術団体は、より採算性を高めることを考えると、人口の多い東京等に集中しがちになる。文化体験の地域間格差が生じないよう、全国的な視点からの支援も考える必要がある。
- デジタル発信可能なコンテンツによる海外発信と、ライブなどの本物の魅力・熱気によるインバウンド・地方創生の取組を、両輪としていくことが期待される。
2.具体的な施策
上記の方向性を踏まえ、クリエイター支援基金とその他の予算措置等により、以下のような施策の充実を図ることが必要である。
(1)人材育成支援
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(挑戦を通して才能を磨き、認められる機会の充実)
- クリエイター等にとって、監督やプロデューサー等として企画開発段階から主体的に関わり、作品を最終的に世に送り出す経験は、自身の表現を大きく広げる貴重な機会となる。とりわけ若手や独立系のクリエイター等にとっては、資金や人脈の制約によりその一歩を踏み出しにくい場面もあるが、ひとたびそうした機会が得られれば、自らの発想や感性を存分に発揮し、才能が大きく花開く可能性を秘めており、実際にこうした挑戦の機会を得て「人生が変わった」という声が数多く上がっている。そのため、資金や製作体制を支援し、クリエイター等が企画・製作・海外展開を通じた「挑戦」を重ねる中で才能を磨き、評価・認知につなげていく機会を、クリエイター支援基金の抜本的な拡充により、大幅に強化すること。
- 作品製作を通じた人材育成においては、企画から作品の完成・発表までに長期間を要することや、海外進出に当たって必要なスキルの習得に時間を要することから、単年度の支援では十分な成果につながりにくいという課題がある。例えば、アニメ分野においては、海外進出に向け、言語の習得やワークショップ、研修など多様な育成プログラムを段階的に実施していく必要があるほか、舞台芸術分野においては、発表の場である劇場等を1~2年前から確保しつつ計画的に作品製作を進める必要がある。そのため、複数年度にわたり継続的に人材育成や作品製作を支援するクリエイター支援基金を抜本的に拡充すること。その際、海外宿泊費など高騰している経費への対応や、収益を上げた場合の取扱いについて、ニーズを踏まえつつ現場の実態に即した支援を検討すること。
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(キャリアステージに応じた切れ目のない支援)
- 若手クリエイター等がデビュー後、映画祭等で国際的に評価されても、次の製作機会を得られずさらなるキャリアアップにつながらない場合があるなど、キャリアステージごとに様々な課題が見られる。そのため、クリエイター支援基金や関連する予算事業を抜本的かつ一体的に拡充した上で有機的に組み合わせ、若手から中堅やトップ、他業種からの参入を含め、キャリアステージに応じて切れ目なく支援する仕組みを構築すること。
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(国際共同製作等の推進)
- 国際的な活躍を志向するクリエイター等が、国による信用力の裏付けを得つつ、海外の優れたクリエイター等と協働し、作品製作を通じて才能を磨く機会は重要なものである。そのため、国際共同製作をはじめ国際的な活動機会の創出を強力に支援すること。
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(プロデューサーや海外法務、知的財産等、グローバルビジネスの専門人材)
- グローバルな市場環境においては、作品の企画、予算管理から海外展開までを担うプロデューサー等の役割も重要である。また、単にコンテンツを海外に持っていくだけでなく、適切な対価をクリエイター等に還元できるよう、配信事業者等との交渉をはじめ、海外展開に当たっての権利処理ができる海外法務や知的財産管理に長けた人材も必要である。このようなグローバルビジネス人材の育成についても、座学ではなく、実際の作品製作や公演製作のプロジェクトを通して実践的に学ぶことができるよう、複数年度にわたり継続的に支援し、強力に進めること。
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(製作環境の整備や大学・専門学校等における産業界のニーズを踏まえた人材育成)
- コンテンツの製作には、アイディアを生み出すクリエイターに加え、その製作工程を支えるクリエイター、プログラマー等の人材が質、量ともに必要とされているため、人材定着や人材育成のための研修の充実、尊厳ある創造環境の整備、活動基盤強化などが引き続き必要である。
- 大学、専門学校等の養成機関において教育が行われているが、産業界のニーズを十分踏まえられていないという指摘があり、そのニーズを踏まえ、制作現場で活躍できる人材を育成することが求められている。コンテンツ製作に必要となるスキルを特定し、その習得・検証を段階的に行うアプローチも重要であり、例えば、ゲーム分野においては技術革新のスピードが極めて速く、実践的なスキルを継続的に更新していくことが必要となっている。
- そのため、クリエイター支援基金(令和6年度、令和7年度補正予算事業)をさらに拡充し、教育機関における体制の構築・強化を図りつつ、教育機関と産業界が連携して行う教育やそのためのカリキュラム構築、プログラムやコースの設置を一層支援すること。
(2)人材育成・活躍促進の基盤強化
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(発表や交流の機会の充実)
- 若手クリエイター等にとって、かつてのメディア芸術祭やその後継であるENCOUNTERS(メディア芸術クリエイター育成支援事業の成果発表会)、クリエイター支援基金の成果発表会のように、自身の作品を発表し評価を得るとともに、異分野のクリエイター等と交流する機会は、斬新で新たな発想に基づく創作につながる重要なものである。そのため、統括団体等様々な民間団体等による表彰の機会を後押しするなど、多様な分野の多様な作品の発表機会や分野横断的なクリエイター等同士の交流の場を充実し、さらなる才能の発掘や化学反応につなげること。
- 美術の分野において、海外での評価は国内での評価、例えば公共の場所でいかに展示されているかが重要となる。そのため、作品の選定・評価プロセスの透明性と質を確保した上で、美術館や公園などのパブリックスペースにおける展示機会の充実を支援すること。
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(制作環境の支援)
- クリエイター等がAIなど新技術を活用した高度な制作を行うには、最新の機材や技術を活用できる環境へのアクセスが求められるが、独立系のクリエイター等をはじめ個々での整備は困難である。そのため、諸外国の事例も参考にしつつ、各種機材を備えた共用スタジオ等の利用を可能とすることや、開発ツールの支援を含め、制作環境の支援を推進すること。
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(AIの活用)
- 制作におけるAIの活用については、クリエイター等の創作を後押しし、才能を発揮する助けとなる可能性を有しており、今後不可欠な技術の一つになっているが、導入に当たっては、企業の風評リスクを含め、丁寧に進める必要がある。加えて、制作そのものにとどまらず、ローカライズやアクセシビリティ確保等に係る業務の効率化にもつながるものである。業界や大学等の研究機関の連携により、AIを活用したコンテンツ制作に関する注意点や人材育成の方向性の整理などを促進すること。
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(地方創生やインバウンド誘致に資する取組への支援)
- 近年、作品の舞台となった地域を訪れる「聖地巡礼」が活発化し、地域経済の活性化やインバウンド誘致にも寄与している。さらに、アニメ制作スタジオなどが地方へ広がるなど、地方においてコンテンツの人材の育成や産業の集積が行われている。こうした流れを持続的な地方創生につなげるため、地方自治体を中心とした取組を強力に支援すること。
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(海賊版対策の抜本的強化、適切な対価還元)
- 海賊版の撲滅のため権利者の権利行使の支援強化など対策を抜本的に強化するとともに、正規版のコンテンツの流通を促進すること。
- クリエイター等や権利者への対価還元に向けて、AI学習用データの構築等に関する調査研究・実証を進めること。
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(誰一人取り残さない公演実施環境)
- 障害のある者が文化芸術に容易にアクセスできる環境を整備することは、包摂的な社会の実現に不可欠であり、その前提となるアクセシビリティの確保は重要かつ緊要な課題である。また、コンテンツによる経済価値を最大限に発揮するためには、ライブやイベント等の熱狂、リアルな体験機会を通して、海外ファンの拡大や来日を促進することが必要である。そのための環境整備として、誰もが容易に公演情報を入手しチケットを購入できる環境を早急に整えるとともに、公演中のセリフや場面設定をユニバーサルに届ける仕組みを構築することが待ったなしの状況である。そのため、チケッティングや情報発信を一元的に行うプラットフォームの開発を強力に支援するほか、字幕化・多言語化など世界標準のアクセシビリティに対応した鑑賞環境を早急に整備すること。
- 映画や美術等に比べ、演劇等の舞台芸術に関しては、我が国において国内外の多くの企業、人々とのつながりを生むような国際的な舞台芸術の祭典がない。そのため、上述の訪日外国人等の鑑賞環境整備とあわせ、民間が行う国際的な舞台芸術の祭典を強力に支援すること。
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(文化芸術団体や施設の自立性向上)
- 舞台芸術団体や文化施設が自立して持続可能な活動を可能としていくため、事業収入を高めたり、寄付収入を増やしたりするための体制強化など、収入の多角化や事業基盤の安定強化のための取組を支援すること。
- 劇場等は、施設の老朽化により閉鎖や休業が続発し、都市圏では不足が問題となっている一方、地方では稼働率が低調となっている。そのため、都市圏の舞台芸術団体と地方の劇場等が連携して公演を行う取組をさらに強化するとともに、優れた舞台芸術のバーチャル映像をライブで鑑賞できるようにするための取組を支援することなどを通して、文化施設の有効活用、文化体験格差の縮小に取り組むこと。
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(アーカイブの充実)
- 過去のマンガ、アニメ、ゲーム等の作品や、その原画、絵コンテ、設定資料等の中間生成物は、作品の価値を高め、後世のクリエイター等による創作活動の深化を促す貴重な資産である。そのため、資料等の収集・保存・デジタル化や、調査研究・人材育成等のリサーチ機能、情報発信や展示・活用の機能を有する、メディア芸術ナショナルセンター(仮称)構想を推進すること。
(3)次世代への投資
- 子供の頃に自分の身体を使って表現することや文化芸術に触れる経験は、豊かな感性や創造性を育む上で極めて重要であり、とりわけ感受性の高い時期に多様な芸術に触れることは、それらを身近なものとして捉え、将来的に職業として意識し、次代の担い手へと成長していく契機にもなる。
- その上で、従来の小・中・高等学校では、ゲームやアニメ、マンガなどのコンテンツに学校教育の中で触れる機会はほとんどなかった。しかし、コンテンツが我が国が世界に誇るべき文化として国内外で認知されてきたことや、一人一台端末が普及し、情報活用能力の育成や、探究的な学びが推進されていることを踏まえると、学校教育でコンテンツの創作などを体験することは、極めて意義深い。
- 一方、教師自身がそうした教育の経験に乏しいことから、プロのクリエイターや、各業界の支援を受けながら進めていくことが必要になる。そのため、子供たちがクリエイターから直接指導を受けたり仕事の魅力を聞いたりできる機会の拡大、教師も指導ができるような教材、教育プログラムの開発・普及や研修などについて、各業界の協力を得ながら、強力に推進すること。
- 音楽や美術、演劇などの文化部活動は、子供たちが文化芸術活動に取り組む貴重な場であるが、急速な少子化の中で、中学校単位の部活動の維持が困難になっており、部活動の地域展開(地域文化クラブ活動への移行)を進めることが喫緊の課題となっている。部活動の地域展開を機に、これまでに中学校の部活では例の少なかった、ゲームやアニメ等のコンテンツの創作に関わるクラブを創設することも期待される。そのため、部活動の地域展開が各地域の実情を踏まえて着実に進むよう、財政支援や相談対応・伴走支援を行うこと。
(4)「コンテンツ文化立国」を支える産学官の協働
- クリエイター等の育成を持続的かつ効果的に推進していくためには、産業界・教育機関・行政機関がそれぞれの知見と役割を持ち寄り、相互に連携して取り組む体制を構築するとともに、施策を担う行政機関の専門性を高め、実践と知見の蓄積を図ることが必要である。また、作品が国内外で適切に評価、発信されるためには、研究者や専門家の存在とその育成・確保も不可欠である。
- そのため、文化庁をはじめ行政機関(独立行政法人を含む)における専門的知見や実務能力の向上や体制の強化を図りつつ、知見の共有・蓄積の仕組みを整備し、産学官が一体となって施策を企画・推進する枠組みを構築すること。
- さらに、コンテンツに関する研究者や専門家の社会的価値を高め、その育成・確保を図るため、大学・大学院におけるコンテンツ研究の全国的な拠点整備などに取り組むこと。