クビアカツヤカミキリ対策の強化に向けた緊急提言

令和8年7月29日
自由民主党政務調査会環境・温暖化対策調査会
クビアカツヤカミキリ被害対策プロジェクトチーム

クビアカツヤカミキリは、平成24年に愛知県で初めて被害が確認されて以降、令和8年7月現在、被害地域が20都府県にまで拡大している。全国各地でサクラへの被害が深刻化しているほか、ウメやモモなどの農作物への被害も急速に拡大している。さらに、本年7月には山梨県、岡山県及び香川県においても被害が初めて確認されるなど、その分布拡大に歯止めがかからない状況となっている。

現在は、被害発生地域の対症療法的な対応にとどまっているが、本種の極めて高い繁殖力及び分散能力に鑑みると、被害が顕在化してからの対策では遅く、未侵入地域における予防対策の強化を含め、対策の見直し・強化が必要な段階に至っている。また、被害の拡大を未然に防ぐことは、将来的な防除コストの抑制にもつながるため、危機管理投資にも当たり、緊急的な対応が必要である。

サクラは、日本人の暮らしや文化に深く根ざしたかけがえのない存在であり、入学式や卒業式を彩る風景として、また、地域経済やインバウンド観光を支える重要な春の観光資源として守っていく必要がある。加えて、ウメやモモなどの農作物被害の拡大は、生産現場や地域経済にも深刻な影響を及ぼすおそれがあり、その対策は喫緊の課題である。

このため、今こそ、国、地方公共団体、民間団体及び国民が一体となり、我が国全体の課題として全国規模で対策を抜本的に強化し、分布拡大の抑止に取り組まなければならない。

以上の状況を踏まえ、今後、政府として重点的かつ集中的に推進すべき施策について、以下のとおり提言する。関係省庁においては、緊密に連携し、各施策に取り組むことを強く求める。

1.全国的な防除戦略の策定

地域一体となった戦略的かつ面的な防除が推進されるよう、国として科学的知見に基づく全国的な防除目標及び防除戦略を策定すること。当該戦略においては、①未侵入地域及び飛び地における侵入予防・初期防除の徹底、②分布最前線地域の分布拡大防止、③まん延地域における生息密度の低減の三本柱で、対策を強力に推進すること。

また、各関係省庁において管理対象(果樹園、街路樹、道路、河川、公共施設、国立公園、観光地、学校等)ごとに、各種支援メニュー(資材・薬剤購入費用、伐採・伐根費用、樹木代+植栽費用、活動費用、マニュアル公開、未収益期間の支援等)を強化すること。

特に、①未侵入地域及び飛び地における侵入予防・初期防除の徹底及び②分布最前線地域の分布拡大防止に重点的かつ積極的に取り組むこと。

都道府県においては、国の防除戦略を踏まえ、管内の市町村における防除を民間団体や住民等と連携し、戦略的に進めることが必要である。これに対し、国は十分な支援を行うこと。

2.広報の推進、住民からの通報の促進

住民等のクビアカツヤカミキリの認知度を高め、被害の早期発見につながるよう、広報活動を推進すること。また、正しい防除方法についても周知を行うこと。

被害の早期発見には、住民からの通報による情報が重要である。地方公共団体においては、住民が通報しやすい体制や方法を整備することが必要である。これに対し、国は十分な支援を行うこと。

3.広域的な分布状況の調査及び把握

クビアカツヤカミキリの新規分布の多くが前年度の被害地から3km圏円にあることに鑑みると、クビアカツヤカミキリの分布地点情報を速やかに把握し、参照できることが重要である。このため、全国的にクビアカツヤカミキリの分布地点情報を把握するための仕組みづくりを進めるとともに、誰でもアクセスできる全国的なマッピングシステムを構築・運用すること。

4.効果的な防除手法等の研究・開発

クビアカツヤカミキリに選択的に効果のある薬剤、予防に効果の高い防除手法、分布拡大シナリオの予測手法、クビアカツヤカミキリの被害を受けにくい樹種等の研究・開発を推進すること。

5.地方公共団体に対する財政的な支援

危機管理投資の観点から見ると緊急的な対応が必要であることから、国は、地方公共団体が行う対策について、その効果的な手法を検討し、令和8年度内の更なる予算措置の検討を含め十分な財政的支援及び地方財政措置を実行すること。特に、未侵入地域における侵入予防及び飛び地的発生への初期の徹底対応、分布最前線地域の分布拡大防止等の対策に関しては、支援の拡充を検討すること。

6.対策の進捗状況の点検

政府において、防除戦略に基づく全国的な対策の進捗状況を毎年度点検するとともに、被害状況も踏まえ、必要な対策見直しを行うこと。