
会見を行う高市総理
皆様、お疲れ様でございます。
まず冒頭に、青森県東方沖を震源とする地震を始め、最近の相次ぐ災害により被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。
さて、本日、臨時会が閉会をしました。
内閣総理大臣に就任してからこれまで、国民の皆様が直面している物価高への対応を最優先に、果敢に働いてまいりました。
まずは、「補正予算の成立」という形で、国民の皆様とのお約束を果たすことができました。
また、「強い経済」、「強い外交・安全保障」の実現についても、この補正予算により、政権として一定の方向性を出すことができたと考えています。
補正予算の編成に当たりましては、日本維新の会との広範な連立政権合意を基礎としつつも、各党からの政策提案についても柔軟に取り入れ、国民民主党、公明党の皆様からも御賛同を賜りました。
短時間で精力的に議論をしてくださった与野党の皆様に、心より感謝を申し上げます。
また、就任以来、「日本成長戦略本部」、「地域未来戦略本部」、「人口戦略本部」、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」、「クマ被害対策等に関する関係閣僚会議」など、幅広い政策課題にスピード感をもって対応していくための体制を整備してまいりました。
丁寧かつ迅速に議論を進め、結果を出してまいります。
さらに、今国会におきましては、政府提出法案について、臨時会提出の10本に、通常国会から継続審議となっていた1本を加え、11本全てが成立しました。
あわせて、自由民主党、日本維新の会、立憲民主党、国民民主党、公明党、日本共産党の6党合意に基づき、「ガソリン・軽油引取税の暫定税率」を廃止する法律も成立を見ました。
また、身を切る改革として、国会議員から任命される総理大臣を含む閣僚等について、議員歳費を超える閣僚等としての給与を受け取らない法改正も成立しました。
日本維新の会との重要な約束である議員定数削減法案については、大変残念ながら、審議すらされませんでした。
引き続き、通常国会において、野党の皆様の御理解を求め、成立を期したいと思います。
年内は、(12月)19日に「令和8年度与党税制改正大綱」の取りまとめ、26日に「令和8年度当初予算」の閣議決定を予定しています。
引き続き、気を引き締めて、政権運営に当たってまいります。
補正予算においては、「生活の安全保障・物価高への対応」として、約8.9兆円を措置しました。
「ガソリン・軽油の引下げ」、「電気・ガス代支援」、「重点支援地方交付金」、「物価高対応子育て応援手当」により、夫婦とこども2人の4人家族の場合、1世帯当たり、標準的には年間8万円を超える支援額となることが見込まれます。
中でも、ガソリン・軽油については、暫定税率廃止を待たず、補助金引上げにより、既に負担軽減の効果を実感していただけていると思います。
事業者向けには、国民の皆様の命と暮らしを守るため、赤字の医療機関・介護施設を中心に、報酬改定を待たずに、前倒しで、「医療・介護等支援パッケージ」を約1.4兆円措置しました。
これにより、経営基盤強化や処遇改善を支援いたします。「令和8年度報酬改定」におきましても、しっかりと対応をしていきます。
また、中小企業・小規模事業者の賃上げ環境の整備についても、約1兆円の大胆な措置を講じました。
これらについて、一日も早く施策の効果を実感いただけるよう、迅速な執行に努めてまいります。
いわゆる「103万円の壁」につきましては、「令和7年度税制改正法」により、今年の年末調整から、納税者1人当たり2万円から4万円の所得減税が行われますが、加えて、「基礎控除を物価に連動した形で更に引き上げる税制措置」について、令和8年度税制改正において措置すべく、与野党間で最終的な調整を行っております。
いわゆる「教育無償化」については、来年度からの実施に向け、令和8年度当初予算の編成において、しっかりと対応していきます。
さて、日本に今、必要なことは、「行き過ぎた緊縮財政により国力を衰退させること」ではなく、「積極財政により国力を強くすること」です。
次の世代のためにも、「成長する経済」により、「企業収益の改善」と「賃金上昇に伴う個人所得の増加」を生み出すことにより、「経済の好循環」を実現し、「税率を上げずとも税収が増えていく姿」をつくっていくことで、「財政の持続可能性」を実現してまいります。
一方で、「責任ある積極財政」は、先を見据えた「戦略的財政出動」であり、決して、規模ありきで、いたずらに歳出を拡張していくことを意味するものではありません。
内閣官房に設置した「租税特別措置・補助金見直し担当室」において、片山大臣を中心に、無駄をそぎ落とした、筋肉質の財政支出を目指します。
令和8年度の税制改正・当初予算から、可能な項目については見直しを進めます。
こうした「ワイズスペンディング」の考え方に基づく「戦略的財政出動」により、「強い経済」を構築し、成長率を高めていくことと相まって、「政府債務残高の対GDP(国内総生産)比」の着実な低下を図り、「財政の持続可能性」を確保しながら、国内外の市場の信認を高めていきます。
実際、当初予算と補正予算を合わせた「補正後」の国債発行額は、昨年度の「補正後」の発行額を下回っており、「財政の持続可能性」にも十分配慮した姿になっております。
令和8年度予算につきましても、令和7年度補正予算と一体として編成を進めているところですが、予算全体のメリハリ付けを行う中で、重要施策に予算を重点化しつつ、市場の信認を確保できるものとしてまいります。
「強い経済」を構築することで、国民の皆様の今の暮らしや未来への不安を希望に変える、そのための成長戦略の肝は「危機管理投資」です。
「危機管理投資」とは、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障、健康医療安全保障、国土強靱(きょうじん)化対策、サイバーセキュリティなどの様々なリスクや社会課題に対し、官民が手を携え、先手を打って行う戦略的な投資です。世界共通の課題解決に資する製品・サービスやインフラを国内外の市場に展開できれば、更なる日本の経済成長につながります。
補正予算では、必要な政策に早期に着手するため、頭出しとなる予算を約6.4兆円措置しました。
令和8年度税制改正におきましても、大胆な「投資促進税制」創設など、成長に向けた税制を措置する方針です。
令和8年度当初予算でも、「AI(人工知能)ロボティクスの汎用基盤モデル」の開発に対する支援など、戦略分野に対する支援の深掘りを行い、切れ目なく「危機管理投資」を推進していきます。
高市政権では、「日本成長戦略本部」を立ち上げ、17の戦略分野と8つの分野横断的課題を確定しました。
17の戦略分野につきましては、複数年度の財源フレームに基づく枠組みや、大胆な「投資促進税制」を含む官公庁による調達や規制改革等による需要創出・拡大策を含む「官民投資ロードマップ」を来年夏までに策定します。
事業者の予見可能性を高めることで、強力に民間投資を引き出してまいります。
さらに、「新技術立国」に向け、宇宙やフュージョンエネルギーなどの、成長が見込まれ、かつ、研究開発の難易度が高い技術領域について、「研究開発税制」の深掘りを行う方針です。
補正予算に続き、令和8年度当初予算でも、大学等における基礎研究基盤の強化のための措置を大幅に拡充いたします。
また、「J-POP」、「マンガ」、「アニメ」、「映画」、「ゲーム」といった日本の魅力的なコンテンツを生み出すアーティスト・クリエイターの皆様に、より多くの国で新たな活躍をしていただけるよう、550億円を超える補正予算を活用し、海外売上高20兆円を目標に、複数年での御支援をお約束し、官民連携で、強力に後押ししてまいります。
私自身が、関係者の皆様のお声を直接お伺いする機会も持ちたいと思っております。
加えて、レアアースを含む「サプライチェーンの強靱化」は急務です。
国民の皆様の生活及び日本の生産活動の安定的確保の観点から、政府を挙げてリスクを徹底的に洗い出し、補正予算の活用を含め、躊躇(ちゅうちょ)なく迅速な措置を講じてまいります。
あわせて、昨今の国際情勢を受けた供給不安定化について、懸念を共有する同志国との連携強化のため、あらゆる機会をいかして対話を積み重ねていきます。
また、国民の皆様に不安を与えているクマ被害について、対策パッケージを策定しました。
129億円の補正予算は、既に自治体が緊急的に実施した事業に対しても遡って交付可能であります。令和8年度当初予算の前倒し執行も含めて、冬眠期の前と後での対策を切れ目なく実施してまいります。
内閣総理大臣就任以来、「ASEAN(東南アジア諸国連合)関連(注)首脳会議」、「AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)首脳会合」、「日米首脳会談」、「APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議」、「G20」など、様々な貴重な外交機会に恵まれました。
6回の国際会議に出席し、18か国・機関との間で22回の会談を実施しました。
変化の激しい国際社会の中で、日本のプレゼンスを高めることができたと考えています。
外交・安全保障政策の基軸である日米同盟について、トランプ大統領の訪日や電話会談を通じ、「新たな黄金時代」の構築を相互に確認し、「いつでも電話ができる信頼関係」を構築しました。
米国とは、インド太平洋からウクライナ、中東、グローバルサウスに至るまで、世界的課題について、常に連携しながら取り組んでいく関係にあり、このような日米関係を更に発展させていきたいと思います。
また、中国は、日本にとって重要な隣国であり、建設的かつ安定的な関係を構築していく必要があります。
他方、日中間には、経済安全保障を含む安全保障上の懸念事項が存在しています。
率直に対話を重ね、「戦略的互恵関係」を包括的に推進していきたいと思います。
存立危機事態に関する私の答弁は、日本政府の従来の立場を変えるものではありません。
この点を、様々なレベルで、中国及び国際社会に対して粘り強く説明していく考えです。
広く東アジアや東南アジアのリーダーにお目にかかる中で、首脳同士の信頼関係を構築できました。これを出発点として、「自由で開かれたインド太平洋」、いわゆるFOIPの進化に取り組んでまいります。
とりわけ、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領とは、隣国ゆえに立場の異なる諸懸案はありますが、両首脳のリーダーシップでそれらを管理し、日韓関係を未来志向で安定的に発展させていくことで合意をいたしました。
今後、日韓のシャトル外交を積極的に進めてまいります。
安全保障環境の激変を踏まえ、「防衛力の抜本的強化」を、我が国の主体的判断によって実施していく必要があります。
そのため、来年中の「戦略三文書」の改定に向けた議論を加速させます。
また、安全保障関連経費1.1兆円を措置した補正予算の成立により、令和7年度当初予算と合わせて「国家安全保障戦略」に定める「対GDP比2パーセント水準」に結果として達することになりました。
そのための財源については、与党税制調査会で議論が進んでいますが、新たな家計の負担増とはならない形の決着を目指します。
私は、若い頃、松下政経塾において、現在のパナソニックの創業者である松下幸之助塾頭の薫陶を受ける機会に恵まれました。
政経塾の「五誓」、すなわち5つの誓いの1つに、「素志貫徹の事」というものがあります。
すなわち、「常に志を抱きつつ、懸命に為(な)すべきを為すならば、いかなる困難に出会うとも道は必ず開けてくる。成功の要諦は成功するまで続けるところにある。」という意味でございます。
高市内閣は、まだ始動したばかりです。
必ずや、日本列島を強く豊かに、そして、日本を再び世界の高みに押し上げてまいります。
その志を遂げるまで、「決断と前進の内閣」として、決して諦めずに、国家国民のために、全力を尽くしてまいります。
私からは以上です。ありがとうございました。