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第212回臨時国会閉会にあたって岸田内閣総理大臣記者会見(全文)

岸田内閣総理大臣

本日、55日間の会期を終え、第212回国会が閉会いたしました。会期末に当たり、所感を申し述べます。
何よりも経済に重点を置く、この決意で総合経済対策を決定し、裏付けとなる補正予算の成立に全力で取り組んできました。与党のみならず、国民民主党、日本維新の会を含め、党派を超えた幅広い賛成によって成立したことを心強く感じています。

法案は、政府が提出した14本全てが成立いたしました。10月に解散命令請求を行った旧統一教会の被害者救済のための新法も、議員立法により、ほぼ全党の合意の下、成立いたしました。この臨時国会の円滑な運営に御協力いただいた全ての関係者の皆様方に感謝を申し上げます。

まず冒頭に、自民党の政策集団の政治資金パーティーに関連した問題について申し上げます。
それぞれの政策集団の活動、ひいては自民党の政治活動に政治資金の観点から厳しい目が向けられ、国民から疑念を持たれるような事態を招いていること、これは極めて遺憾です。
信なくば立たず、国民の信頼なくして政治の安定はあり得ません。党全体として強い危機感を持って、一致結束した対応を図ってまいります。総理総裁として政治の信頼回復に向けて、自民党の体質を一新すべく、先頭に立って闘ってまいります。これが自分の務めであると思い定めています。
政治改革を求める国民の皆様の厳しい声、その声に真摯に耳を傾けて、党所属の議員と膝詰めの議論を集中的に進めていきます。改革については、これから確認される事実に基づいて明らかにしてまいります。まずは、第一歩として、各政策集団のパーティーを当面開催しないことを申し合わせました。さらに、国民の信頼回復に向けて党の先頭に立って闘っていく姿勢を明らかにすべく、私自身が政策集団から離れることといたしました。
これから年末に向けて、予算、税制、診療報酬・介護報酬等の同時改定など国民の生活や国の基本政策に関わる重要な決定がめじろ押しで、正に大詰めを迎えています。政府・与党として、国政に遅滞を来すことがないよう全力を挙げなければなりません。
こういった考え方の下、国会終了を待って、明日、速やかに人事を行うことが適切であると判断いたしました。早急に必要な手続を進めることといたします。
これから年末にかけて重要な政策決定が続きます。私自身が党の先頭に立って、国民の政治への信頼を回復すべく、そして、それに全力を尽くし、政策の推進に支障が生ずることがないよう、政府・与党を挙げて高い緊張感を持って臨んでまいります。

岸田政権は、先送りできない課題に結果を出すべく、真摯に取り組んできました。外交では、インドなどグローバルサウスの主要国やウクライナの首脳も招き、平和国家日本としてG7広島サミットを主催いたしました。韓国の尹(ユン)大統領との深い信頼関係を築き、急速に日韓関係を進展させました。そして、歴史を画する日米韓のキャンプ・デービッド首脳会談、さらには、11月に行われた日中首脳会談を皮切りに、様々なチャンネルで日中の対話が再開しようとしています。
来年、2024年は、緊迫の1年になるでしょう。ウクライナ侵略、イスラエル・パレスチナ情勢、米国大統領選を始め相次ぐ主要国の国政選挙、ロシア・北朝鮮の連携など複雑化する東アジアの安保環境、日本の外交力を駆使して難局を乗り越え、日本ならではのリーダーシップを発揮していくことが求められます。そのためにも、日本の政治の安定が求められます。

経済では、新しい資本主義で掲げた様々な取組もあり、賃上げ、設備投資、株価など、いずれも30年ぶりの高い水準となりました。物価上昇を乗り越える賃上げ、グリーンやデジタルの攻めの設備投資、会社の枠を超えた労働移動、企業の活発な新陳代謝、こうした熱量の高い、新しい経済ステージへと移っていくため、デフレ心理とコストカットの縮み志向に支配されていた30年間から脱却する千載一遇のチャンスを迎えています。来年、2024年は、その千載一遇のチャンスをつかめるか、後戻りしてしまうかの正念場です。物価高から国民生活を守り、物価上昇を上回る賃上げ、これを必ず達成しなければなりません。そのために政府の総力を挙げて政策を実行してまいります。

今年の年頭会見では、次元の異なる少子化対策に挑戦すると申し上げました。4月にはこども家庭庁を発足させ、6月には子供一人当たりの支出をOECD(経済協力開発機構)トップのスウェーデン並みへと大幅に拡充することをお示しいたしました。
そして、来週には、拡充する支援策の詳細などを盛り込んだ、こども未来戦略を正式決定いたします。これまで必要性が唱えられながら長らく実現し難かった困難な課題に、一定の答えをお示しいたしました。
引き続きこれらの取組の実行に全力を挙げるとともに、少子化問題やデジタル行財政改革を含めて、人口減少社会への対応という長期戦略を視野に入れ、日本社会の持続可能性を維持するための大きな課題に挑戦してまいります。

以上、申し上げた先送りできない課題への取組は、政治の安定があればこそ進展してきました。国民の信頼なくして政治の安定はありません。現在のこの状況、政治の安定なくして政策の推進もないということを改めて強く感じています。現在の政治資金をめぐる様々な課題に、事態の推移を踏まえつつ、正面から取り組んでまいります。
国民の信頼回復のために火の玉となって自民党の先頭に立ち、取り組んでまいります。国民の皆様の御理解をお願い申し上げます。