機関紙「自由民主」2963号より
対談
沖縄本土復帰50周年
これからも共に歩む
2021年12月23日
沖縄は令和4年3月末に現行の沖縄振興計画が期限切れとなり、5月には本土復帰50周年を迎える。この節目の年の年頭に当たり、党沖縄振興調査会長の小渕優子衆院議員と名護市長の渡具知武豊氏が対談し、現行計画後の新たな沖縄振興に向けた取り組みや自民党が沖縄で果たしてきた役割、渡具知市政が取り組む課題などについて語り合った。

渡具知 武豊(とぐち たけとよ)名護市長/小渕 優子 党沖縄振興調査会長
政府与党と地元一体で
新たな沖縄振興を議論
小渕優子党沖縄振興調査会長 これまで国は5次にわたる沖縄振興計画に基づき、本土との格差是正や「強く自立した沖縄」の実現に向け、各種社会資本整備や産業振興などに取り組んできました。その結果、本土復帰時に比べて県内総生産は約10倍、入域観光客数は約20倍に増加するなど一定の成果を上げる一方、依然として1人当たり県民所得の低さや子供の貧困問題などの課題が指摘されています。こうした中、沖縄は令和4年3月末に現行の振興計画が期限切れとなり、5月15日には本土復帰50周年を迎えます。
渡具知武豊名護市長 沖縄は本土と比べるとさまざまな点で格差があり、特に名護市をはじめとする沖縄本島北部地域は中南部と比べても所得面を含め格差が大きいのが実情です。そのような格差を解消して、本土との格差がない沖縄をつくり上げていくことが必要です。令和3年8月には自民党の沖縄振興調査会が、現行計画後の新たな沖縄振興の在り方について提言をまとめました。
小渕 提言の取りまとめに当たり、新型コロナウイルス感染対策のため調査会をリモート形式も含め17回開催し、地元の首長や経済界関係者、離島医療、漁協、海保・海自OBなど34名のご意見を伺いました。
渡具知 私も令和3年5月にリモートで出席し、振興計画で実施されてきた北部振興事業の必要性について意見を述べました。
小渕 皆さんからご意見を伺う中で5次にわたる振興計画で達成できたこと、課題として残ったことが見えてきました。17回のヒアリングで皆さんが共通して言及されたのは、沖縄の豊かな人材の育成です。提言でも教育・人材育成を沖縄振興の中心の一つに位置付けています。ただ、沖縄はひとり親家庭が多く、子供の貧困問題が深刻ですから、ソフト面でのサポートも掲げています。
渡具知 提言には北部振興と離島振興も盛り込まれましたね。
小渕 これからの沖縄本島北部地域には、ものすごく可能性と夢があると思います。また、沖縄の課題は基地問題が一番大きく取り上げられがちですが、わが国の国境を守っているのは沖縄の離島です。決して沖縄だけの課題ではない安全保障を沖縄が担っていることを、国民の皆さまにはご理解いただきたいです。提言は地元にも提示していますので、新たな沖縄振興について共に議論し、これからも共に歩んでいきたいと思います。
沖縄で果たしてきた
自民党の役割は大きい

党本部に寄贈されたシーサーの前で対談後に記念撮影する両氏
渡具知 戦後の沖縄とは振興事業を活用し、大きな発展を遂げてきた時代だったのだと思います。例えば、平成9年から実施された米軍基地所在市町村に対する各種事業や平成12年から始まった北部振興事業です。このように沖縄振興に国が尽力した際には、自民党が輩出した時の総理や大臣の思いと英断が必ずあり、沖縄で果たしてきた自民党の役割は非常に大きいです。その中には、小渕先生のお父様である小渕恵三元総理もいます。
小渕 沖縄では昔から自民党の政治家がさまざまな形で汗をかいてきました。古くは初代沖縄開発庁長官の山中貞則先生、米軍普天間飛行場の返還で米国と合意した橋本龍太郎元総理、九州・沖縄サミットの名護市開催を決断した父・小渕恵三。野中広務先生や梶山静六先生もいました。
渡具知 小渕元総理には本当に強い思いを持ち、沖縄振興に取り組んでいただきました。名護市で開かれた九州・沖縄サミットは歴史に残る1ページです。
小渕 そうした歴史の中に今の沖縄があると思います。父が初当選した頃は「沖縄を語れない政治家は政治家ではない」とまで言われていたようです。沖縄には当時から変わらず残る課題もあるので、沖縄選出の国会議員だけでなく皆で向き合っていくことが大事です。
北部地域発展を担う
渡具知市長の再選へ
小渕 令和4年1月に行われる名護市長選には、渡具知市長も出馬予定です。渡具知市政1期4年の成果をご紹介ください。
渡具知 子育て支援関連で保育料・学校給食費・子供医療費の無償化を早期に実現できたことは、とても大きな成果です。また、名護市営球場の整備による北海道日本ハムファイターズの春季キャンプ再開や21世紀の森公園でのサッカー・ラグビー場整備の着手など、スポーツコンベンションの推進にも力を入れました。長年課題であったごみ処理問題についても、高額な費用がかかる施設整備に国の予算で高補助率の財源を充てていただきました。
小渕 数多くの成果を残されましたね。今後の課題はいかがですか?
渡具知 名護市は待機児童解消のため毎年2つほどの小規模保育施設を整備していますが、保育士の確保が大きな課題です。平成30年度からは名護湾沿岸地域を活用した街づくり構想を進めています。交通結節点や物流拠点の整備による市街地の活性化を目指しており、国にもこの構想への支援を要望していきます。老朽化が進む市民会館や建物の文化的価値が評価されている市庁舎の更新・保存も検討が必要です。
小渕 現在取り組まれている課題も数多くあり、1期4年だけでは全然時間が足りませんね。これまでの経緯を考えると、これらの課題は渡具知市長にしか実現できません。名護市政のさらなる発展に向け、渡具知市長の再選を目指し全力を挙げていきます。
渡具知 ありがとうございます。必勝を期して、全力で戦い抜く決意です。
本土復帰以降の沖縄の主な歴史
- 昭和47年
- 本土復帰、第1次振興計画スタート(現在は第5次)
- 昭和50年
- 沖縄国際海洋博覧会を開催
- 平成4年
- 首里城正殿などを復元
- 平成7年
- 「平和の礎」を建設
- 平成8年
- 米軍普天間飛行場の返還で米国と合意
- 平成12年
- 九州・沖縄サミットを開催
「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界文化遺産登録
- 平成14年
- 沖縄美ら海水族館が開館
- 平成15年
- 第3回太平洋・島サミットを開催(平成18年に第4回)
沖縄都市モノレールが開業
- 平成17年
- 米州開発銀行年次総会を開催
- 令和元年
- 首里城正殿などが焼失
- 令和3年
- 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が世界自然遺産登録

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