2021年6月1日
政府与党
迅速なワクチン接種へ体制整備
菅義偉総理は5月28日、記者会見を行い、9都道府県に発出されている新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言を6月20日まで延長することを表明した。「これからの3週間が感染防止とワクチン接種という二正面の作戦の成果を出す極めて大事な期間」と述べた菅総理は、「感染収束の切り札がワクチン」として、全国的にワクチン接種を加速させる決意を示した。また、党新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長・下村博文政務調査会長)は5月24日、ワクチン接種について加藤勝信官房長官に申し入れを行った。政府与党は一体となり迅速なワクチン接種体制の整備に全力を挙げる。
菅義偉総理は感染防止とワクチン接種を「新たな挑戦」と位置付け、「必ずやり遂げる」と決意を示した
大規模接種「協力の輪が全国に広がる」
全国の新規感染者は減少に転じる一方、依然として増加傾向にある地域もあることから、緊急事態宣言は延長された。菅総理は変異株の影響について「実施される対策が感染者数の減少につながるまで、以前より長い時間を必要としている」と指摘し、延長への理解を求めた。
対策の切り札となるワクチン接種については、「接種回数は1日に40万から50万回となり、これまで1100万回を超える接種が行われた」と、成果を強調。企業、Jリーグ、プロ野球施設、全国の大学などから会場提供の申し出があるなど、大規模接種センター開設に向けた動きも続々と出ていることについて、「協力の輪が全国に広がりを見せていることを実感している」として、自治体、医療関係者などへの謝意を示した。
打ち手確保へ「できることは全てやる」
菅総理はワクチン接種回数を「1日100万回」との目標を掲げる。ワクチンはすでに6月までに1億回分、9月までにはさらに1億回分を上回る量が確保できる予定だ。
課題となるのは打ち手の確保や、接種費用の上乗せ支援。菅総理は「医師、看護師に加え歯科医師に接種を行っていただいている。さらに救急救命士、臨床検査技師が接種を行い、薬剤師が診断にご協力いただけるよう取り組んでいる」と現状を説明。財政支援にも取り組む考えを示し、「できることは全てやる」とワクチン接種に向けた体制を迅速に整える考えを強調した。
7月に開幕する東京五輪・パラリンピックについては「多くの方々から不安や懸念の声があることを承知している」として、来日人数制限と、大会に参加する選手、関係者の行動管理を徹底することを説明。「一般の国民と交わることがないようにし、悪質な違反には資格のはく奪を含め、徹底した行動管理を行う」と、安心・安全な大会実現へ決意を示した。
政府与党は感染防止とワクチン接種の加速という「新たな挑戦」に立ち向かっている。菅総理は「私自身、先頭に立ってやり遂げる」と述べ、リーダーシップを発揮し難局を乗り越える覚悟だ。
接種順位の弾力化など提言
党コロナ対策本部
加藤勝信官房長官(中央右)に提言を手渡す下村博文党新型コロナウイルス感染症対策本部長ら
同本部が申し入れた提言では、全ての希望者へ一日も早く接種を行う観点から、接種順位の弾力化などを求めた。
規模の大小などにより自治体間で接種の進み具合に差が出る中、提言は「接種順位の硬直化によって円滑な接種に支障が出る事態を避けるべき」と指摘。高齢者以外に対する接種の前倒しなどを自治体の判断で弾力的に行えるようにする必要があるとした。
余ったワクチンは接種現場の判断で誰に接種してもよいというルールをあらためて周知することも訴えた。現在接種が行われているワクチンは常温にすると数時間しか有効性が維持できないため、キャンセルなどで余ったワクチンの廃棄を避けようと首長などが接種を受けたところ、一部で批判される事態が生じていた。
また、早期の接種完了には集団接種とともに医療機関での個別接種も進めることが重要だとして、既存の「ワクチン接種体制確保事業」の予算をもとに医療機関への協力金が上積みできることの明確化に加え、時間外加算や休日加算など、医療機関が進んで接種に乗り出すような対応を検討すべきとした。
接種前に体調や持病などを確認する「予診」に時間がかかっているとの指摘があることから、薬剤師などによる予診票の記入支援や予診のオンライン化も提案した。
国民や自治体などの目線に立った的確な情報発信を促し、特に、いつ接種が受けられるか見通せないことが国民の行政不信につながっているとして、高齢者以外の接種時期についても見込みを示すべきとした。
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