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[有識者論考]高市自民党への期待と注文 中北浩爾 中央大学法学部教授

立党70年 統治に責任持つ政党として

自民党は今年の11月15日、立党70周年を迎える。自民党が結成された背景には、何があったのか。
米ソ冷戦下の1953年、朝鮮戦争が休戦を迎えると、ソ連を中心とする国際共産主義勢力は、平和攻勢によって自由主義諸国に浸透し、同調者を増やして権力を奪取しようとした。そこで、当時、ソ連の影響下にあった日本共産党も武装闘争を放棄し、社会党との統一戦線を推し進めた。
自民党の結党時に作成された「党の使命」は、国際共産主義勢力の脅威について次のように述べている。「その終局の目標たる世界制圧政策には毫(ごう)も後退なく、特にわが国に対する浸透工作は、社会主義勢力をも含めた広範な反米統一戦線の結成を目ざし、いよいよ巧妙となりつつある」。
ところが、保守勢力は分裂し、昭和28年に自由党首班の第5次吉田茂内閣が成立して以降、翌年に民主党の鳩山一郎内閣が発足する等、衆院の過半数の議席を持たない不安定な少数与党政権が続いていた。左右両派に分かれていた社会党は、「非武装中立」を唱える左派の主導で再統一を実現し、保守勢力の分裂を利用して政権の獲得を狙った。
以上の背景のもと民主・自由両党は保守合同に踏み切った。前述の「党の使命」が「独裁を企図する共産主義勢力、階級社会主義勢力と徹底的に闘う」と謳ったのは、共産党の統一戦線の対象である社会党が政権を獲得するのを阻止し、議会制民主主義を安定させるために、自民党が結成されたことを示している...

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