お知らせ「自由民主」先出し総裁選2025

[有識者論考]高市自民党への期待と注文
宮家邦彦(キャノングローバル戦略研究所理事・特別顧問)

時代が求める役割を丁寧に果たせ

自民党の第29代総裁に高市早苗氏が選出された。高市氏という選択は、自民党のみならず、日本国全体にとっても画期的な慶事だと思う。ただし、それは「日本政治初の女性リーダー」の誕生とか、「タカ派」「強硬保守派」の復権等といった次元の話ではない。
高市氏の総裁就任は、次の2つの意味で、日本が歴史的転換期を迎えつつあることを象徴すると考える。第1は、近年世界的潮流となりつつある「保守系ポピュリズム」の時代がついに日本でも始まったこと。第2は、第2次大戦後80年間続いてきた「豊かで安定した時代」が終わりつつあることだ。
この2つ、実は同じコインの「裏表」の関係にある。第2次大戦後、世界は自由、民主、法の支配、人権、人道といった普遍的価値を重視する国際主義の時代を迎えた。日本を含む西側諸国はこれで繫栄し、冷戦を戦い、ソビエト連邦は崩壊した。ところが、冷戦後はIT革命と「弱肉強食」的資本主義により各国で経済格差が拡大していく。
現在世界各国で「保守系ポピュリズム」が台頭する最大の理由は、格差拡大で負け組となった「忘れ去られた人々」の憤怒と不満が高まったからだと考える。こうした声の受け皿となったのが、ドイツのAFD、フランスのルペン氏、米国のトランプ大統領等、いずれも不健全な政治運動だったことは、決して偶然ではないだろう。
最近の日本内政を見ると、過去に「失われた30年」を経験した日本にも、ついにそうした流れが及び始めたのではないかと心配になる。もちろん、高市氏は「保守系ポピュリスト」ではない。高市氏が選ばれたのは、「不健全なポピュリズム」ではなく...

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