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【特番】ゼロから知りたい「働き方改革」~働く人の視点に立った平成の大改革~

【特番】ゼロから知りたい「働き方改革」
~働く人の視点に立った平成の大改革~

(平成30年03月12日収録)

(左から)
木原誠二政務調査会副会長/ネットメディア局筆頭次長
田村憲久政務調査会長代理

「働き方改革」の3大テーマ

木原
カフェスタをご覧いただきありがとうございます。今日の特番の司会を務めます、自民党の政務調査会副会長、ネットメディア局筆頭次長の木原誠二です。

今日の特番は「ゼロから知りたい働き方改革~働く人の視点に立った平成の大改革~」という事で、働き方改革を真面目にゼロから掘り起こして皆さんにお伝えしたいと思います。
今日は、元厚生労働大臣で現在、私の上司にあたります、政務調査会長代理の田村憲久さんにお越し頂いております。先ほど申し上げたように、田村さんに「働き方改革」をゼロからしっかり解説してもらいたいと思います。難しい話に入る前にご挨拶をいただきたいと思います。
田村
こんにちは。衆議院議員、政調会長代理、もう8期生になりました。田村憲久でございます。
「働き方改革」は非常にややこしいと思われる方が沢山おられると思いますが、今日はなるべく分かりやすくお話ができればと思っております。
「皆さま方の生活が変わる」そんな法律ですので、よろしくお願いいたします。
木原
この国会、元々は「働き方改革国会」だと言われていましたし、総理も「働き方改革」はアベノミクスの最大のチャレンジだと仰っていました。70年ぶりの大改革との事ですが、なかなか国民の皆さんは自分にどう関係があるのか分かり辛いと思います。
どのような経緯で何をしようとしているのか。そんなところからお願いします。
田村
いくつかにパートが分かれています。元々のスタートは「裁量労働制」それから「高度プロフェッショナル型」の働き方という、労働時間に縛られない(働き方)と言った方が良いかも知れません。第2次第1期安倍内閣、つまり私が厚生労働大臣の任期中(2012年12月から2014年9月)に、「働き方をどう変えていくんだ」という議論の中で少し出ていた話です。

(1)裁量労働制・高度プロフェッショナル制度とは

田村
「裁量労働制」という働き方があります。これには「専門業務型」と「企画業務型」というのがあります。
「専門業務型」と言うのは、例えばマスコミの記者さんと言うと一番イメージとして湧きますかね。研究職もそうなのですが、専門的な知識を持ってやられるお仕事。
もう一つは「企画業務型」と言い、経営の中枢で経営企画業務などをやっておられる方々です。
忙しい時とそうではない時との幅が結構あるものですから、そういうのは「裁量労働制」と言い、例えば「1日9時間労働とみなしましょう」と言うものです。日によっては7時間、日によっては10時間働くかも分かりません。この働き方は今もあるのですが、「そのような働き方をちょっと広げたらどうだ」という議論。

それから、今言った「高度プロフェッショナル制度」という全く労働時間を対象にしないと言いますか・・・。
先ほどの「裁量労働制」はみなし労働時間というものがありますから、そこからあまりかい離し過ぎると「ちょっとこれおかしいんじゃないの」と指導を受けるわけです。

ところが「高度プロフェッショナル制度」と言うのは、もっと高度で専門的。例えばアナリストとか、金融のディーラーとか、高度な研究開発などをやっておられる方など。成果を出す事と労働時間があまり関連性のない様なお仕事ですね。例えば、研究開発で何か新しい発想が必要な時には、時間ではなく、自分の周りの環境が変わった事によって発想が生まれるかも分からない。このように成果と労働時間の結びつきが弱いものを言います。

しかも、それだけだと働き過ぎてしまう可能性があるので、年収が1,075万円以上(の方が対象)。これはどういう基準かというと、国民の平均給与の3倍をある程度超える金額です。
有期の労働契約の上限が3年というものありますよね。これを一発で5年まで(延長可能)とする働き方があります。これもやはり、年収が1,075万円以上と職種という要件があります。5年でクビになっても次にすぐにどこかで働く専門性と能力があるという方々ですから、それに基準を合わせて、雇う側と交渉力のある労働者の方々を対象に、職種も絞ってやりましょうという事でした。これにより、言うなれば、効率的に働ける、生産性が上がる。ただし一方で、働き過ぎにならない様に企業はちゃんと健康確保措置をしなければいけない。「高度プロフェッショナル制度」は年間104日以上休ませなければいけません。
木原
年間104日という事は、最低週に2日以上ですかね。
田村
休ませなければいけないというのが入っていますし、ちゃんと健康診断を受けさせるなどの健康管理もしなければいけません。
<田村憲久政調会長代理1>

(2)長時間労働の是正について

田村
一方で、働く方々が生き生きと働けるという事。日本は長時間労働が多いじゃないですか。それを是正しないといけない。(法定労働時間は)本当は週40時間ですよね。そこに労働基準法36条、よく「36協定(さぶろくきょうてい)」と呼ばれるものがあり、労働組合と雇い主が協定を結ぶと月45時間、年間360時間は残業させても良いと言う事になっています。

でも日本人ってもっと働いていますよね。何故かというと、更に特別条項というややこしいものがあって、36協定を結んだ上で特別条項というのを結ぶと、なんと6カ月にわたって上限がないような、青天井の協定を結べてしまうのですね。「それはちょっと酷いのではないか?」という事で、上限をしっかり作る。やはり家庭で奥様と一緒に家事もやる、子育てもやる。日本はただでさえ少子化国家ですから、それも是正しなければいけないし、何よりも疲弊して生産性が落ちてしまう可能性もあります。パフォーマンスを上げてもらうためにも「上限はちゃんと決めましょうよ」という事もこの中に入れる。
木原
それが「長時間労働の是正」ですね。

(3)同一労働同一賃金について

田村
さらに「同一労働同一賃金」。もっと分かり辛いでしょう?
木原
分からないので、お願いします。
田村
ヨーロッパは本当の「同一労働同一賃金」になっています。
それはなぜかというと、職種によってどこの企業に行っても大体これぐらいの賃金というのは決まっているのです。
木原
という事は、日本で言えばトヨタに行っても日産に行っても、大体同じような金額になるようになっていると。
田村
ですから、日産の下請けで日産と同じ事をやっている人も同じ給料になると。労働組合も産業別にありますから、日本のように、それぞれの企業別労働組合が賃金交渉するのではなくて、日本でいうと春闘をもっと強くした感じですよね。ですから、この産業ならば、この職種ならば、これぐらいの給料というのは決められる。これは本当の「同一労働同一賃金」ですよね。

ところが日本の場合はそうではありません。労働組合も企業別ですし、発注する側の会社、そして下請けをしている会社も同じ作業をしている場合もあるわけです。しかし、給料は大きく差があります。そのような状況があるので、なかなか「同一労働同一賃金」が一足飛びにできない。

"正規"雇用労働者と"非正規"雇用労働者の給与をなるべく近づける

田村
そこでまず、同じ企業ならば、非正規雇用労働者と正規雇用労働者を「同一労働同一賃金」にしよう。同じ仕事ならば、同じ賃金にしてくださいねと。日本の場合はヨーロッパと比べ、正規の方々よりも非正規で働く方々の給料が低いと言われていますから。
木原
どれぐらい違うんですか。
田村
大体、日本のパートは正規の6割弱ぐらいって言われています。
木原
日本ではパートの皆さんは、正規の皆さんと比べて大体6割ぐらいになっていると。ヨーロッパは?
田村
ヨーロッパならば7割から8割くらい。
木原
それくらい違うと。
田村
違いますので、それを何とか引き上げていかないと。
非正規で働く方々も増えています。正規で働けないからと言うだけではなく、例えば高齢者の方々が引退した後に非正規で働いたり、女性の方々も本当は正規で働きたいという方は今どんどん正規になっていますが、「私、パートが良いわ」という方々も今、増えています。そういう方々の処遇を改善する。もちろん正規になりたくてもなれなかった方々の処遇も改善しなければいけない。

ただし、そうなると「正規の方が責任が重いのに、おかしいじゃないの」と言われますので、この「同一労働同一賃金」がどういうものかは因数分解をしないといけないんですよね。
木原
何が同一で、何が同一でないかと。

何をもって「同一労働」というのか

田村
「職務の内容」と「人材活用の仕組み」。これが同じなら同じにしましょうと。
では、「人材活用の仕組み」は何かと言うと、転勤や転属。「今まで経理をやっていたけれど、突然、総務に行ってくれ」とか。言うならば、『無限定』に働くような方々の使い方。それと、「あなたの場所はここです」「仕事はずっとこの組み立てです」という人とは当然違います。

では、「職務の内容」は何かと言うと、「業務の内容」と「責任」に分けられます。責任というのは、例えば「饅頭を1日に100個作ってくださいよ」というのは責任ですよね。これが有るか無いかによって違います。業務の内容というのは、作業の内容ですね。饅頭を作るときの。それから知識や経験、つまり能力なんです。
つまり、同じ饅頭を作る作業でも1時間に10個作れる人と5個しか作れない人とは当然給料が違っていて良い。その上で、10個作らなければいけないという責任の有無によっても給料が違う。

このように因数分解していくと、やはり、正規社員と非正規では責任も違うし、人材活用の仕組みも違ってきます。「能力も見ましょう」という形の中で、それらが全く同じなら、同じ賃金にして下さいというのが「同一労働同一賃金」です。
働き方改革のテーマは大きく3つ
「長時間労働の是正」
「同一労働同一賃金」
「裁量労働制/高度プロフェッショナル制度」
木原
なるほど。そうすると、今回のパッケージは大体3つ。
1つ目は、時間にとらわれず、むしろ成果でいくという働き方。「裁量労働」や「高度プロフェッショナル」という世界。
2つ目は、時間では働くが、しっかり長時間労働の是正をしていかなければいけないというもの。
最後は、非正規の皆さんの給与を正規の皆さんになるべく近づける「同一労働同一賃金」。
こういう理解でいいですかね。
田村
そうです。他にもありますが、議論をし、色々な所で議題になっているのは、大きくはこの3つと考えていただければ。
<木原誠二政務調査会副会長1>

なぜ今働き方を改革するのか

木原
少し勉強不足ですが、僕は1993年に入省しました。「24時間働けますか」という広告がいつも流れていました。私の時代は大学を出たら一括採用。そして、同じ会社で、年功序列で勤め、終身雇用というのが一つの世界だったのですが、そこからスピルオーバーして現実が変わってきた。それに対応しているという事で良いですか?
田村
「24時間働けますか」という宣伝もあれば「5時から男」というものもありました。両極でしたね。
今、日本とヨーロッパの違いを言いましたけれども、ヨーロッパというのは比較的、その職種に就くと、ずっとその職種をやり、スキルアップして給料が上がっていくという方々が多い国家、社会ですよね。日本は製造業ではそのようなところがあります。だから逆に言うと製造業の生産性は日本はそんなには低くない。世界と比べて平均以上です。
ところが、一番低いのは、サービス産業のような飲食業や、小売業。これは生産性の低い理由があります。私なりに分析しているのですが、24時間みたいな過剰サービス。それを金額化していませんよね。
木原
おもてなしがお金になっていないと。
田村
コンビニなど本来は効率の良い運営の仕方なのですが、それにもかかわらず生産性が低いのは、24時間、お客が来ないときも開店しているのですから、それでは労働生産性が下がります。タクシーのように深夜料金をつければ良いのですが、それも無いです。そのように生産性が低いのはあるのですが、ホワイトカラーも生産性がすごく低いのです。

なぜかと考えると、やはり日本の場合、先ほど言った『無限定』な働き方。新卒で一括採用し、残業をやらせ放題。それから転勤も転属も会社の命令を受けなければいけない。
ヨーロッパでこの働き方をしているのは一部のエリートなのですよ。1割弱くらいですかね。
大学も大体このような大学と決まっていて。彼らは『無限定』で(働きますが)その代わり給料は他の者と比べて高いし、さらに経営者サイドに立っていくような方々が多いです。

ところが日本は、昔は大卒はあまりいませんでしたから、同じような事を一括採用でやった。経済もどんどん大きくなり、みんな部長や取締役になれたのです。全員が。仮に本社でなれなくても子会社の取締役になれた。そういう国だったのですね。ですから、そのような『無限定』でエリートのような形で良かった。
ところが今は、課長にもなれない。だけど働き方は『無限定』。長時間労働をやらせ過ぎ。これはやはりおかしいじゃないですか。もう少し企業の方も考えて頂かなければならない、そういう時期に来ているのかも知れません。

ですから、これから、新卒一括採用というものも見直し、総合職という『無限定』な働き方も変えていく必要があるのかも知れません。
木原
総合職という言葉は世界にはないですからね。英語で総合職っていう言葉はないですから。日本特有の言葉ですよね。
田村
だから、やはり労働者に無理をさせ過ぎてきたのかも知れません。その歪が少子化に(影響)しているのかも知れませんし、色々な意味で生産性が低くなっています。いくらでも働かせられるのならば、無駄な仕事でも残業してしまうわけです。だから今回の長時間労働是正をすると、特にホワイトカラーは要らない仕事はどんどん会社側が減らしていく、いらない会議はしなくなる。日本くらい会議が多くて長い国は無いでしょう?
木原
われわれ自民党も多いですけどね。
田村
いや、これはまた少し違うのですけどね・・・。
そういうものも変えていき、効率的に働く事によって、家に早く帰ってもらって家族団らん。休みの日はみんなで遊びに行ってという様に消費なども盛り上げていく。それによって「もう1人子供を作ろうか!育てようか!」と言う話になったら少子化にも対応できる。こういう事があるのだと思います。
木原
今、田村さんにお話しいただいたのは、今回の改革をやる一つの背景ですね。
1つは少子化。そして、労働力人口が減っている。生産年齢人口も減っている。こういった事へのひとつの対応だと言う事ですね。
田村
もう一つ、少し誤解されてしまうと困るのですが。厳しい事を申し上げると・・・。
今回の長時間労働の是正について、小規模事業主や中小零細企業は厳しいという話があります。もちろん、法律が出来たらすぐに取り締まるという事はありません。きちんと、どうやれば生産性が上がるか、長時間労働を直していけるかというアドバイスが出来る窓口を作り、色々な助言をしていく。労働基準監督署じゃありませんから・・・。

知っていますか?労働基準監督署って警察ですからね。厚生労働省には「特別司法警察職員」と言うのですが、一つは「労働基準監督官」もう一つは「麻薬取締官」という2つがあります。2職種とも手錠を持っている人達で、この人達が「バッ」と入っていくと、やはり「ギョギョッ」となりますよね。
木原
これは逮捕権限もありますよね。
田村
あります。ですから、そういうところ(労働基準監督署など)ももちろんアドバイスをしますが、そういうところではない、社会保険労務士の皆さんや商工会や商工会議所の窓口で指導員の方々にしっかりと提案をしていただければ。そういう事をやっていただいて、中小零細小規模事業主の方々も、将来的にはきちんと守れるような形にしていただく。と、いうのは結局、どれだけ働いても何とか成り立っている産業というのは、どちらかというと、発展途上の国々の働き方です。そのような国と日本が争っても先はないです。だってそこの方が賃金は安いのですから・・・。そこと戦うのではなく、そうではない国々と戦う。それが実は産業構造の転換なのですね。

強い中小零細になっていただくというのも、今回を機に上手くまわっていけば良いなという期待感もあります。そういう意味では、全体で言うと社会構造が変わるという様な話なのでしょうね。

深刻な人手不足

自国に帰る事を前提とした外国人労働者の活用

木原
僕も地元へ帰ると、「『働き方改革』分かったような、分からないような・・・」という意見がある中で、特に中小企業の皆さんから「人手もないのに仕事は増えている。こんな時に『働き方改革』をやられたら、もう大変だよ」と言う声があります。
田村
例えば長時間労働をそのまま温存すると、人が足りませんから、良い条件の所にみんな移ってしまうのです。
木原
要するに長時間労働をやめて、働きやすい職場、給料の良い職場にどんどん行ってしまう。
田村
だからこういう時はやはり労働条件を良くしていかなければならない。今まで「ブラック」と言われていたような企業が、正規社員にしている。その様に変わっていかないと企業が生き残れない。

ただし一方で、(人手は)いません。確かに。驚くべき事に昨年は、外国人労働者が約20万人増えました。私が大臣に就任した時約68万人だったんです。120万人超えました、この5年で。どういう事かというと、今、放っておいても(人手は)増えています。だから「外国人」というものをどう考えるのかという事も我々は真剣に向き合っていかなければならない。

今は「技能実習ですよ」と言って日本に来て、雇用なんですが。(3年から5年に延ばしましたが)5年経ったら自国に戻ってその学んだ能力を生かしてやっていただくやり方。
それ以上に伸びているのは留学生です。留学生は現在、週28時間はアルバイトが出来るのですが、たぶん実態はダブルワーク、トリプルワークを超え、ギリギリ学校を辞めないでも良い時間だけ学校に行き、あとは働いている。もしかしたら雇用を目的に(日本に)来ている方もいるかも知れない。そちらの方が多いと言われる方もおりますが。少しいびつですよね。
私はラーメンが好きで、住まいの近くのいくつかのラーメン屋に行くのですが、(労働者の)ほぼ全部が外国の方です。東京は外国の方々がいないと、特にバックヤードは回らなくなっていますから、東京の消費を支えているのは外国人の方々なのですね。
<田村憲久政調会長代理2>
つまり日本人が(職に)就かない所ですよね。日本人(が職に)就いているところに外国人が来ると、日本人の給料が下がってしまう。これはだめです。日本人が働いていない、日本人はもうそこで働かないという職種に外国人を入れていくというのを、真剣に(考えなければならない)。安倍総理も仰い始めましたし、我々はもっと前から提案していたのです。

ただし、移民ではなく、何年か経ったら(自国に)お帰りいただく事が前提です。結婚してお子さんが産まれた場合、それを受け入れる社会環境が日本には出来ていません。その社会環境を作ってからでないと、軋轢が生まれてしまったら国としてお互いに不幸です。ですから、帰っていただくという前提で考えております。

介護は特に、介護福祉士の養成学校で2年学ぶと介護福祉士の資格が自動的にもらえます。その方々にはそのまま日本の在留資格を与えて、日本の介護の現場で働いてもらう。何年か経って自国に戻った時には、自国でも高齢化が始まりますから、日本から介護産業事業者が行き、そこで彼ら彼女らを使って介護をする。その時点では彼ら彼女らは「介護エリート」ですから、キャリアパスをうまく回す。
賃金の格差も段々と無くなってきていますから、日本に来てもらえない時代が来ます。そういう日本に来るインセンティブを作りながら・・・という様な事も現在考えています。
木原
なるほど。外国人労働者の活用は良い事だと思いますし、やらなければいけない事ですが、他方で、直ぐに中小の現場でそれが活用できるわけではないでしょうから、生産性を上げていくという事も大切な事だと思います。それも、今回の予算に入っていますね。
田村
色々な生産性を上げたり、働く方々の研修などへの補助を手厚くして、直ぐに効くかどうかは別にして、色々な努力をする企業の皆さんがしっかり成果を出していただけるようなメニューは用意をさせていただき、全面的に中小零細企業の支援をしていこうという体制を組んでいます。
木原
なぜこれをお話しするかというと、日本の企業の99.7%は中小企業。働いている方の7割も中小企業。中小企業の皆さんがこの「働き方改革」、特に長時間労働の是正に対応できなければ、日本全体が沈没してしまうというか、競争力を失うという事だと思います。
生産性を高める一方で、予算など色々な手当てもしています。人が足りなくなるところは外国人の皆さんも含めて手当てしています。心配ないという事でしょうか?

長時間労働の是正は重要な少子化対策

田村
いえ、心配はあります。そんなに簡単ではなくて...。要するに、これだけ生産年齢人口、15歳から64歳までの方々の人口が急激に減っていきますから、もちろん高齢者も元気ですからね、75 歳くらいまで働ける方、働きたい方は働ける社会になってくるでしょうし、女性の方々も今のようにパートで働いている方々で「いや、私もっと力を発揮したいの!」という方は正規社員となって頑張ってもらう。

統計を見ますと、大学を卒業してずっと定年まで、総合職で働いていた女性の生涯年収は2億7000万円だそうです。一方で、20代で結婚し、同じ職に入ったけれども、結婚して出産のために仕事を辞めて、一定程度は子育てをし、その後パートで復帰という方々の生涯所得は5000万円。2億2000万円も違うそうです。
木原
そんなに違うのですか。
田村
ですから、女性も働きたければずっと、一時育児休業は取ったとしても、その後、キャリアが途切れる事なく、男性と同じように、キャリアアップと言うか、出世が出来るというような社会にしていけば、当然女性が力を発揮していただく場は増えますよね。
女性も男性も変わらない位に大学は出ているわけですし、場合によっては女性の方が優秀な人はいっぱいいますから。やはり、女性の力を貸していただくのも重要。でも、それでも足りません。

ですから今、早急にやらなければいけないのは、早く出生率を最低2.0まで戻す事。今 1.44ぐらいですね。今度、教育改革などで消費税の使い方を変えて支援をする幼児教育の無償化などを総理が仰っていますが、とにかく全面的に子供を育てやすい環境にして、出生率を上げていく。
でも、仮に10年後15年後、出生率が2.0まで戻っても、その子供たちが働くまでは20年、30年、35年かかります。また、その子供たちが社会一般で多数を占めるまでの話となると50年仕事です。ですから、これから50年間の労働力をどう確保したら良いのか。

今、無人コンビニなどと言われていますが、そのように極力人を減らす。AIやロボットや色々なもので人の代替が出来るという話もあります。そういうものを徹底的に使って、これから急激に減る労働者の方々を何とか満たしていかないと、これからの日本は乗り越えられない。
木原
少子化の問題を出して頂きました。出生率をこれから2.0に戻す。しかしまだ時間がかかるだろうという事ですね。そうすると長時間労働の是正は、少子化対策としては重要ですよね。
田村
重要ですね。
<田村憲久政調会長代理・木原誠二政務調査会副会長2>
木原
それから、この非正規雇用労働者がきちんと給料をいただけるようにする事も少子化対策としては重要ですね。そういう意味で「同一労働同一賃金」というのは格差をなくし、色々な働き方で女性の皆さんが、正規にはならないけれども、非正規でも同じようにきちんとお給料がもらえると。こういう理解でいいですか。
田村
そうですね、やはり社会構造の改革ですよね。
今まで日本が普通にやってきた常識が、もう変わらないと、多分「世界と共に日本が輝き続けられない」と言うところに来ているのではないかと思います。

裁量労働制のデータ問題について

木原
もう一点、伺っておきたいのは、パッケージとして本来はやる事だったのですが、ひとつパッケージから落ちました。この事については?
田村
裁量労働制。裁量労働は若干範囲が広がる。企画業務型が広がって、例えば、課題を解決して開発を行い、提案するという職種まで広げようという話でした。何万人も増えるという話ではなかった。そういう職種の方があまりいないので。

ただ「データ問題」が・・・。厚生労働省どうなってしまったのだろう?もう一度気合を入れてもらわなければならないミスですね。そもそも一般と裁量労働の方々を比べてどうという事も間違っています。

裁量労働というのは基本的には経営の中枢で企画をやるような方ですから、責任が重くて、どちらかというと長時間労働になりがちな方々。それを裁量労働で効率的に働いておさめて下さいという事です。本来は同じ業種ごとに裁量労働とそうじゃない方を比べるとか、同じ集団で裁量労働になる前となった後を比べるという調査をしないと。まず、比べようがないものを比べた。一般の方は定時で帰られる方も沢山いますから、そちらが(労働時間が)長いなどという事は普通はありえない。比べていた物差しも、こっち(一般)は月の内で(労働時間が)一番長いものを出し、こっち(裁量労働)は平均だった訳ですから、月の内で一番長い時間を出していた一般労働の方が長くなるのは当たり前の話です。

こんな単純なミスを、資料を作った人もミスだけれど、世に出す前にチェックをする人がきちんとしなければいけない。それが出来ていない。ミスは人間誰しもおこりますから、組織の中で、システムの中でちゃんと見つけて表には出さず、事前に止める。という事が出来ていない。

私が厚生労働大臣の時にもいくつかそういう事があって、厚生労働省のみなさんには何度も口を酸っぱくして、しつこいと思われたかも知れないがお伝えしてきた。まだそれが出来ていない事が残念です。しかし、国民のみなさんの信用を失ったわけですから、これ(裁量労働制)に関しては(パッケージから)外すと。

ただ、裁量労働も規制を強化する所はあったので、それは見て頂きたかったなと。例えば、始業・終業を自分で決めないと裁量労働にならないが、実は会社に勝手に決められて・・・という所もあるので、そういうところも直して行こうという中身もあったのですけれどね。 しっかりとしたデータを取った上で、もう一度チャレンジしたいと思います。

働き過ぎなくてもきちんと給料がもらえる社会の仕組み作りを

木原
視聴者の方からご質問をいただいています。2つともなるほどと思う内容ですが、真逆の質問です。
(1)忙しくて家族との時間が作れない。もっと家族と過ごせるように改善してほしい。
ワークライフバランスをしっかりして欲しいという事ですね。他方で、
(2)残業代が無いと暮らしていけない。むしろ今のままで良いのではないか。
両方の見方があると思いますが・・・。
田村
(1)の質問の方は、まさに長時間労働の是正をしていこうと。日常生活の中で家族との団らんを持てるような働き方にしましょう。今回の法律の肝となる部分です。
木原
それは、長時間労働の是正でという事ですね。
田村
同一労働同一賃金もそうかも知れません。その方向を目指して我々はこの法律を提案しているという事です。
(2)番目の質問の方。このように言われる方は結構います。これは本来なら固定給を上げなければならないのです。
木原
べ―スのところ、残業代ではなくですね。
田村
残業をしなければ生活が出来ないというのは問題がある。ただし、同じ成果を出してもらわなければならない。残業が減って産出量も減ったという事が無いように、企業も努力して頂いて生産性が上がるシステムを導入いただいて。何の職種かわからないので何とも言えませんが。残業代が払われなくても、その分固定給にオンしてもらうような構造に変えていかなければならない。
木原
私自身も元々役人で、考えてみたら結構残業をしていました。残業代があったから今月も何とかやっていけるという感じでした。

これからは時間を有効に使いながら、給料も前と同じようにもらえるようにする。そのために我々は賃金アップや最低賃金の引き上げに取り組んでいますが、あと何をすべきでしょうか?もう働くなと言われていると心配があると思うのです。
田村
誤解があるのは、残業をしてはいけないとは言っていない。年間最大720時間、月60時間を週休2日だったとして20で割ると3時間。1日平均3時間の残業をする事を禁止しているわけではない。それが良いかどうかは別として。本当はもっと残業が無い方が良いと思いますが。

残業手当が無くなる場合、毎月60時間、単月で言うと80時間、100時間を超えてまで働くのはやりすぎじゃないの?と。残業するなとは言いません。もちろん忙しい時と暇な時がありますから、残業を完全に否定している訳ではない。けれど、80時間、100時間は労災の認定の基準ですから、そこまで何とか働かないような残業にしていただきたい。
木原
逆に言うと、そこまで働かなくてもちゃんと給料がもらえる社会。そのような取り組みを我々もしていかなければならないし、各企業にも労働分配率を上げてもらい、しっかりやってもらわなければいけない。
田村
最低賃金と言われるものも、この5年間ですごい勢いで上がりました。今、最低賃金1000円を目指していますから。中小企業の経営者の皆さんからは「もう少しちゃんと発注単価を上げてもらわないと。我々中小零細は、賃金は上がるわ、発注単価は上がらないわという事ではやっていけない」という話があります。今度はそういう発注側の企業に「ちゃんとした単価で下請けに発注して下さい」という事も我々はやっていかなければならない。

これはひとつは独占禁止法をね、優越的地位の乱用とかありますから。また、中小企業庁からそういうようなアドバイスをやって頂いたり、色々な事をやる中において、徹底的にそこの金額を上げて、中小零細企業が給料を上げても十分に利益を出せるよという環境にする。これも実はやらないといけない。

自民党はきちんと丁寧に説明責任を果たしていく

木原
時間もだんだんなくなってきました。もうひとつ僕から質問ですけど、今日の田村さんの話しを聞くと、ひとつは長時間労働は是正していきます。皆さん、家に帰っても子供と過ごすような時間を取れるようにしましょう。一方で給料は最低賃金を上げたり、労働生産性を上げていきましょうと。非正規の皆さんも「同一労働同一賃金」で同じように出来るようにしましょうと。良い話づくしの様な気がするし、本来なら野党の皆さんも政権を取った事があるから、その時にやれば良かったのではないかと思いますが、何となく反対されています。なんで反対されているんでしょうか。
田村
野党には野党の立場があるのだと思います。我々も野党の時に立場がありましたから。それ自体、我々は否定するつもりはありません。ただ、心配がある点、これは野党の方々が分かっていて言っているかを別にして、我々は国民の皆さま方に説明をする責任があります。

そういう意味からすると例えば、「同一労働同一賃金」は、中小零細の方々には、きちんとこういう相談窓口を使って、このような説明の仕方をすれば従業員の方々に理解いただけますよと言うような事を言わなければならない。長時間労働を是正したら本当に企業としてやっていけるのかと思われている中小零細の方々に対しても、こうすれば回りますよという事を説明していかなければならない。

一方で裁量労働だとか、裁量労働は今度抜けましたが、高度プロフェッショナルで、働かされ過ぎてしまうのではないかと心配する方々には、そもそも高度プロフェッショナルは、そのような方々は対象にはなっていませんよと。自分のペースで働く方です。ただし、ワーカーホリック、働き虫になってしまう可能性はありますから、そこはちゃんと会社側が歯止めをかけないと。

一番怖いのは、フリーランスみたいな形で契約すれば、これは(高度プロフェッショナル制度と)同じような事が出来ます。実際問題。労働契約でなくて、下請け元請契約みたいな形でやれば出来てしまうのです。ところが、そうなると労働時間はもう何も問題ないですよね。

それから比べるとこちら(高度プロフェッショナル制度)の方が企業側も健康を確保する義務がありますから、ワーカーホリックになるのを防ぐなど、色々な形を入れる中において、説明をし、「それならば理解できるね」と言っていただけるよう、我々が説明責任を果たしていく事が重要だと思います。
<田村憲久政調会長代理・木原誠二政務調査会副会長3>

「働き方改革」は「社会構造の改革」

木原
これから国会でも議論になりますから、ぜひ田村さんにも引き続き色々な所で今日の様にわかりやすく説明をしていただきたいと思います。時間も来てしまいましたので、大変申し訳ありませんが最後に、「働き方改革」を一言で言うと?
田村
さっき申し上げた「社会構造の改革」という事ですね。
やはり、雇用のみならず、日々の生活などが変わっていく、それによって日本の国が今までより、より成熟した社会になっていくための改革だと思います。
国民の皆さんが幸せに働ける、生活できる。そのような改革が今回の改革であり、国民生活を豊かにする、そんな改革だと思っています。
木原
今日は「働き方改革」について田村さんにお話をいただきました。もっとたくさん喋りたい事はありますが、ご理解いただけたかなと思います。

これから、『生産性革命』や『人づくり革命』など我々が取り組んでいるものがあります。カフェスタの特番でまた田村さんにもお越しをいただいて、皆さんにわかりやすくお話をしていきたいと思います。

今日のお話は自民党のYouTubeやFacebookでもアップしていますのでぜひご覧いただければと思います。

それでは、今日の特番「ゼロから知りたい働き方改革」はこれで終わりにしたいと思います。
本当に今日はどうもありがとうございました。皆さまありがとうございました。
番組動画はこちら
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