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コラム

骨太方針、未来投資戦略2017
人材への投資で生産性を向上

 政府は6月9日、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2017」、「未来投資戦略2017」などを閣議決定した。これに先立ち、わが党では6日に政務調査会全体会議と党経済構造改革に関する特命委員会(委員長・茂木敏充政務調査会長)の合同会議が開かれ、各案について政府から説明を受けた。茂木政調会長は、アベノミクスによる4年半の取り組みで大きく改善した雇用・所得環境を挙げながら「こういった成果を国民生活の実感につなげ、さらに日本経済を新たな成長の段階に引き上げていく」との意向を述べた。

経済再生なくして財政健全化なし

ソサエティー5.0を実現

合同会議の開会にあたり、「経済財政一体改革を着実に、しっかりと進めてまいりたい」とあいさつし、わが党の議論を骨太方針などに反映させる姿勢を示す茂木敏充政務調査会長

合同会議の開会にあたり、「経済財政一体改革を着実に、しっかりと進めてまいりたい」とあいさつし、わが党の議論を骨太方針などに反映させる姿勢を示す茂木敏充政務調査会長

 骨太方針と未来投資戦略は、政務調査会の各部会や調査会などによる政府への提言を踏まえて策定された。

 骨太方針は、「人材への投資」を通じた生産性の向上を今後の取り組みの中心に据えた。わが国が直面する少子高齢化や人口減少など中長期的な課題の克服を急ぐ。

 具体策として、幼児教育・保育の早期無償化や待機児童の解消を進める方針を強調。家庭の経済事情にかかわらず、子供が未来に希望を持ち、夢に向かって頑張ることができる社会を創る。財源については、財政の効率化、税、新たな社会保険方式の活用の3案を挙げ、年内に結論を得ると盛り込んだ。

 高等教育では給付型奨学金や授業料減免など必要な負担軽減策を、財源を確保しながら講じるとした。大学教育の質を向上させるため、私学助成の配分を教育の成果に基づいて見直すことや、国公私立の枠を超えた大学の連携や統合、経営が厳しい大学の撤退、事業承継を可能にする枠組みの整備なども盛っている。

 大人と子供が向き合う時間を増やすため、小中学校の夏休みなどの一部を春や秋に分散する「キッズウイーク」を平成30年度から始めることも打ち出した。有給休暇の取得、休日を利用した多様な活動機会の確保を官民一体で行う。

 社会保障の改革に関しては、30年度の診療・介護報酬の同時改定などを見据えた。後発医薬品の使用割合が32年9月までに8割となるよう、さらなる使用促進策を検討すると記した。バイオシミラーの研究開発支援を拡充し、品目数の倍増を目指すことなどを挙げている。

 また、財政健全化の目標として32年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指す従来からの姿勢は維持しつつ、国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率を安定的に引き下げる目標を併せて明記。「経済再生なくして財政健全化なし」の方針で、デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革の「3つの改革」を確実に進める。

 一方、成長戦略の「未来投資戦略2017」は昨年9月に新設された未来投資会議が初めて取りまとめた。新たな方向性に伴い、名称を従来の「日本再興戦略」から改め、ソサエティー5.0を世界に先駆けて実現する改革などを掲げた。ソサエティー5.0とは、狩猟、農耕、工業、情報社会に続く人類史上5番目の社会のことで、サイバー空間の積極的な利活用を通して新しい価値やサービスを創出し、豊かさをもたらす。IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットなど「第4次産業革命」の技術革新を産業や社会生活に取り入れ、一人ひとりのニーズに合わせてさまざまな社会課題を解決する。

 柱となる「戦略分野」は、(1)健康寿命の延伸(2)移動革命の実現(3)サプライチェーンの次世代化(4)快適なインフラ・まちづくり(5)金融とIT(情報技術)を融合した「フィンテック」――の5点。

 このうち健康寿命では、遠隔診療と対面診療の組み合わせにより、効果的な医療を提供する。

 移動革命では、運輸業での人手不足の深刻化を受け、小型無人機「ドローン」による荷物配送を来年に山間部で実施、2020年代の都市部での本格化に向けて、技術開発を進める。高速道路で、1人の運転手が運転するトラックを複数の無人トラックが自動運転で追尾する隊列走行を34年に商業化することも目指す。

 建設現場での人手不足に対応するため、ICT(情報通信技術)やロボットの活用によって、37年には生産性を2割向上させる目標もうたっている。

 フィンテックの普及へは、今後3年間で「オープンAPI」と呼ばれる口座情報などの銀行システムを外部に開放する仕組みを80行以上に導入するとしたほか、キャッシュレス決済比率を10年間で倍増させ、40%程度に引き上げる目標も定めている。

 さらに、これらを実現するため、法規制を一時的に適用しない新たな規制緩和制度「サンドボックス」の創設が盛りまれた。実証実験を迅速に行えるようにし、技術開発を促す環境を整備することで、新しい市場の創出などにつなげる。

骨太方針2017 主な項目

  • 地方創生のモデルとなるような東日本大震災からの復興を実現。福島の復興加速へ、教育、医療・介護、買い物など生活環境の整備を一層推進
  • 同一労働同一賃金のガイドライン案の実効性を担保するため根拠を整備する法改正、罰則付きの時間外労働の限度を具体的に定める法改正。労働時間規制の執行強化へ、労働基準監督官の業務を補完できるよう民間活用を拡大
  • 幼児教育・保育の早期無償化や待機児童の解消に向け、財政の効率化、税、新たな社会保険方式の活用を含め、安定的な財源確保を検討し、年内に結論を得る
  • 過去最高の企業収益を賃金引上げに確実につなげる。最低賃金を年率3%を目途に引き上げる
  • 地域経済を牽引する中堅・中小企業・小規模事業者の生産性向上へITやロボットの導入など技術開発を促進
  • 国土強靭化の「基本計画」「アクションプラン2017」を着実に推進。防災、成長力を強化する公的投資を重点化
  • 患者本位の最適な健康管理・診療を提供する基盤として、健康・医療・介護のビッグデータを連結。必要なデータベースを平成32年度に本格運用
  • 所有者の特定が困難な土地や十分に活用されていない土地・空き家を有効活用する法案を次期通常国会に提出
  • 地方行政サービスの地域差の「見える化」を通じ、行財政改革を推進
  • 基礎的財政収支を32年度までに黒字化し、同時に債務残高対GDP比を安定的に引き下げる
  • 「経済再生なくして財政健全化なし」との方針の下、デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革を推進

未来投資戦略2017 主な項目

  • ソサエティー5.0の実現へ、わが国の「強み」に政策資源を集中投資
  • 健康・医療・介護データを一元的に把握できる仕組みを構築し、32年度から本格稼働。かかりつけ医による対面診療と遠隔診療の適切な組み合わせ(次期診療報酬改定において位置付け)。AIを用いて医師の診療を的確に支援
  • 利用者の生活の質の向上と介護者の負担軽減の両方を実現する介護ロボットの導入を促進(次期介護報酬改定において位置付け)
  • 高速道路でのトラック隊列走行を34年に商業化。地域における無人自動走行による移動サービス、ドローンによる荷物配送の都市部での本格化を32年に実現
  • IoT・データを活用した「スマート保安」に対応する規制の高度化。国内外の複数企業のデータを連携
  • ICTを活用する「i-Construction」の対象を拡大。公共工事の3次元データをオープン化。インフラ点検・災害対応ロボットの開発を促進
  • フィンテックの活用を促進し、オープンAPIを32年6月までに80以上の銀行で導入。キャッシュレス決済比率を39年6月までに倍増。「フィンテック実証実験ハブ」(仮称)によりチャレンジを容易化
  • 「官民データ活用推進戦略会議」を司令塔に、公共データをオープン化
  • IT人材需給を把握する仕組みを構築
  • 既存の規制を受けずに先端事業の実証実験を行える特例制度「サンドボックス」を創設
  • 行政手続きコストが原則20%削減され、国内外の企業にとって世界で一番活動しやすい事業環境を32年3月までに重点9分野で提供
  • 地域未来投資促進法を活用し、地域経済牽引事業を集中的に支援(3年で2000社程度)

機関紙「自由民主」2746号(2017年6月20日)1-2面に掲載



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