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コラム

「ヒゲの隊長に聞いてみよう!」第2弾 ~平和安全法制QA~

ネットメディア局次長 小林史明 ×国防部会長 佐藤正久

(小林): カフェスタをご覧の皆さま、こんばんは。本日は、ヒゲの隊長こと佐藤正久国防部会長をお迎え

して、平和安全法制Q&A、第2弾をお送りします。どうぞよろしくお願いします。

(佐藤): よろしくお願いします。

(小林): 注目の平和安全法制ですが、まさに今、参議院の特別委員会で審議が行われています。先月このカフェスタでも、安倍総理が直接ネットを通じて、法案の説明を行いました。加えて佐藤正久国防部会長にもQ&Aにご協力をいただいて、多くの方からいろいろな質問、ご意見をいただきました。大好評なのと、もっともっと詳しく知りたいというお話もありましたので、今回、第2弾ということになりました。皆さまからも、たくさんのご質問を事前にいただきまして、本当にありがとうございます。早速お話に入りますが、佐藤正久部会長、先程、平和安全法制の特別委員会を終わられたということですが、どういう状況ですか。

(佐藤): おかげさまで、ここまで順調に審議が進んでいるという感じがします。ただ、やはりどうしても、我々は法案を成立させたい、野党は廃案にしたいということで、ぶつかり合いますので、なかなか日程協議や時間配分を含めて、色々なせめぎあいがあるところですが、ここまで充実した審議ができていると感じています。

(小林): 衆議院での質問時間は、与党1、野党9ということで、なかなか与党の話がないので、体系的に

説明が難しいということでしたが、今回、参議院の場合はこの比率はどうされるでしょうか。

(佐藤): 今回は、参議院は通常のルールに従って、委員の数の人数比に応じ、まずドント方式で時間を割ります。そうすると、自民党が一番多くなります。そこから、一人会派や野党のところに、自民党が少しずつ時間を与えて、最終的な時間配分を決めます。そうやっても、さすがに衆議院のときのように、1対9まではいきません。与党の自民・公明対、オール野党でも、現時点でだいたい3対7くらいかなという感じがします。

(小林): それくらいの比率になって、皆さんのご意見もちゃんと深まるようにということですね。

(佐藤): 特に、国会、あるいは県議会もそうですが、政府は答弁する方で、質問権がありません。聞かれたことに答えるだけなので、この法案がなぜ必要か、どういう安全保障環境が変わったんですか、ということを質問者が聞いてくれなければ、政府は答弁できません。だから衆議院の方では、なぜこの法案が必要なのか、なぜ今なのか、どういうメリットがあり、どういうデメリットがあるのかという議論が深まることが難しかったんです。どちらかというと、憲法違反かそうではないのかという、概念の議論、あるいは憲法議論が主流で、法案の中身とかにいかなかったという反省が若干あったようです。

我々参議院は、そこはしっかりと時間をとっていますので、なぜ法案が必要なのか、周辺環境はどう変化しているのか、特に衆議院の方では時間が足りなかった、中国の海洋進出や、今どれだけ中国が挑発行為を行っているのかを含めて質問させていただきました。安倍総理からも、中国の挑発行為への対応など、今まで以上に踏み込んだ形の答弁もあり、いい議論ができていると思います。

(小林): 実際に私も見させていただいていて、参議院の方がより具体的に、深堀りした内容が議論されて

いますので、ぜひ皆さんにも参議院の議論も注目していただきたいと思います。

(佐藤): まだ参議院の審議も始まったばかりで、これから長い審議が続きますので、我々もこういう機会

を捉えて、このカフェスタでも、第3弾、第4弾という形でやっていければと思っていますので、よろしくおねがいします。

(小林): 是非よろしくお願いします。

さて、ショートアニメ「教えて!ヒゲの隊長」のパート2ができましたので、ぜひ皆さまに一度ご覧いただきたいと思います。

(「教えて!ヒゲの隊長」Part2 ショートアニメ放送)

(小林): 皆さまにご覧いただきましたパート2でしたが、パート1はパロディもできて、非常にネットでも盛り上がりました。

(佐藤): パート1のパロディですが、よくできていますよね。本当に、敵ながらあっぱれと思うくらい、すごくいい出来で、私も最初見たときに噴いてしまいました。そんなに自分も気持ち悪い男なのかなというくらい、アカリちゃんにはダメ出しをされて。おかげで、パロディを見た方は、本家はどうなんだということで、本家の方も見てもらい、再生回数も上がりました。自民党の広報が作った動画で40万をこえる再生回数は、今までなかったらしいです。しかもほとんど宣伝していないんです。パロディのおかげで宣伝してもらったんです。そのおかげでテレビにも取り上げてもらったり、非常にいい効果が出ています。逆に、パロディのまたパロディも出ているんです。パロディがパロディを生んで、また友達のパロディができて、いろんな風に広がっています。

ポイントは、関心を持ってもらうということが一番だと思っています。どうしても安全保障というと、生活から遠いです。前に言いましたように、よく選挙応援に呼ばれます。言われることは「雇用、医療、年金、介護、子育て、これをお願いします。時間があったら安全保障もお願いします。」、ということです。私を呼んでおいてですよ。でもそれがやはり国民の関心に近いんです。関心が低い安全保障に、これだけ多くの方が興味を持ってもらっています。賛成、反対はあるでしょうが、関心を持ってもらうことが第一歩ですから、そういう意味で、パート2も作らせていただきました。いいペースで再生回数も上がっているようですが、またもしかしたら、パート2もパロディができるのかもしれませんし、若干期待している自分がここにいます。いろんな面で多くの関心を持ってもらうためには、もしかたらパート3もあるかもしれませんし、このカフェスタのツイッターコーナーも、第3弾、第4弾と色々な形で盛り上がって、国民の関心が広まることが一番だと思っています。

(小林): ぜひ皆さんにもご協力をいただいて、特にコメントにもあった通り、「よくわからないから反対」という方にもしっかり届くように、ぜひ拡散をしていただきたいと思います。

早速、この第2弾のムービーに関して質問をいただきましたので、1問目はその質問から行かせていただきたいと思います。「動画第二弾で『日本と無関係であるアメリカの戦争には参加しません』とありましたが、世界情勢、日本とアメリカとの関係から言って、そんなものはほとんどないと考えますがいかがでしょう?」という質問です。

(佐藤): アメリカの戦争に巻き込まれるとか、日本が自分の意思に反してそういう戦争に対する後方支援をするということは、絶対にありえません。ただ、日米同盟を強化するということは、抑止力を高める上でも、実際何かあった時に対処を行う上でも非常に大事です。日米同盟を強化するうえで、日本とアメリカがシステムで連携していく方向にありますし、共同訓練も、日本、アメリカだけではなく、オーストラリアや他の国を交えた、多国間の訓練も増えていることも間違いありません。

ただ一方で、我々は主権国家ですから、今回の法案にあるように、一つの目的は、日本国の平和と安全のためです。もう一つは、国連決議に基づいて、しっかりと国際社会の一員として責任を果たすためです。この二本立てでやっています。今回、日米防衛協力のガイドラインというアメリカとの合意文書に、こういう条件のときにだけ、我々はアメリカを守るという、限定的な集団的自衛権だということと、日本が武力行使をするときの新しい三要件も、しっかりと明記されています。さらに、国際社会の平和と安全のための後方支援についても、日本とアメリカ、それぞれが主体的に独自の判断をします。これは正式な合意文書ですから、そこは心配には至らないと思いますし、さらに、国会承認という歯止めもあります。

(小林): 国会内で決議が必要なんですよね。

(佐藤): 普通の政府はやりませんが、時の政府が、万々が一、そういう

合意にもかかわらず、アメリカの要請に応じると言って、ふらついたとしても、国会があります。しかも、衆議院と参議院があります。衆議院を通ったから参議院で通るというわけではありません。参議院が、良識の府としてのチェック機能をしっかり果たすということも求められておりますから、そんなに簡単なものではありません。我々はしっかりと、日本の平和と安全にこだわって、武力の行使をいたしますし、後方支援もします。アメリカに言われてということは、全くありません。

ただ、我々も説明不足ということがあるかもしれません。

ある衆議院議員が夏祭りに行ったら、小さな子供10人くらいに囲まれたそうです。「おじちゃん、僕たち戦争に行くの?」と。びっくりして、「なんでそう思うの?」とその議員が聞いたら、「だって、テレビもそう言ってるし、お母さんもそう言ってる」と。これはやはり、我々が正しい情報をもっと説明しないといけません。子供たちが戦争に行く、そのための法案では全くないし、逆にこの法案は、日本とアメリカの共同訓練を強化し、平時の抑止力を高めることによって、戦争をしない、戦争を抑止するための法案だということをもっともっと説明しないと、誤解を招きかねないし、実際に間違ったイメージを持っている子供たちがいます。これは、我々は深刻に考えないといけませんし、しっかりと青年局も女性局も一体となって、若い人、あるいは間違ったイメージを持っている方々に、説明をすることが大事だとつくづく思っています。

(小林): ぜひ皆さんにも拡散にご協力いただくのと、我々も汗をかいて説明に回ることをがんばらないといけないと思います。では次の質問に移りたいと思います。「ネガティブリストとポジティブリストの違いを教えて下さい!」という質問です。よく自衛隊がこれに縛られているという話がありますが。

(佐藤): 例えば普通の国の軍隊が、行動を起こす、あるいは武器の使用をするという時に、ネガティブリストは、「これをやってはだめです」という規定です。ということは、「それ以外はやっていい」という形になります。ポジティブリストは、「何々することができる」、「それはできます」という形で、じゃあそれ以外についてはというと、そこはあいまいなままという部分があります。普通の国の軍隊はやはり、これはやっちゃいけません、それ以外は現場に任せます、というネガティブリストの形じゃないと、実際に作戦の計画や、実行動が非常に複雑になってしまいます。

通常、作戦の一つのポイントは、「簡明」、「簡潔」、「シンプリシティ」です。単純じゃないと、現場が混乱し、迷ってしまうので、そういう面においては、「何々を、にしてはいけません」。「それ以外はやってもいい」という形でやるのが、普通の国の軍隊です。

ただ日本の場合、自衛隊はもともと警察予備隊からはじまっています。憲法上も、自衛隊は明記されていません。そういう中で、自衛のための必要最小限の実力行使は、国民の命を守るために必要だということから出来たのが、警察予備隊です。警察ですから、まさにポジティブリストの発想です。そこからずっと法律を積み重ねてきていますから、いまだに自衛隊は憲法上の関係で、ポジティブリストの延長でしか動くことができないという縛りがあります。

これを直そうと思えば、やはり、憲法というものに行きついてしまいます。国民の合意を得て、自衛隊を軍隊というものに位置付けをすることができれば、その時に初めて正式にポジティブリストからネガティブリストに、それ以外はいいですよという形になるかもしれません。ただ、現場の方では、武器使用についてはできるだけ分かりやすくするために、ネガティブリストに近づくような形で努力はしておりますが、元々の法律が警察の発想から来ていますから、なかなかそこまでは行っていないという課題があります。

(小林): そういう意味では今回、国際協力の部分では少しやりやすくなったということはありますが、まだまだ法整備の関係で、自衛隊員の皆さんが活動しづらい部分があるということをご理解いただけたのではないでしょうか。

(佐藤): 我々も海外に行ったときに、自分達の位置付けが非常にあいまいでした。特に、自衛隊は「セルフディフェンスフォース(self-defense force)」といいます。これはなかなか理解してもらえないんです。「自警団」に聞こえてしまうんです。どこの国も、自衛権に基づいて軍を持っています。にもかかわらず、わざわざ「セルフ」という部分を冠につけている軍隊はありません。通常は、「アーミー」、「ネイビー」、あるいは「エアフォース」です。

(小林): セルフをディフェンスする前提で軍があるわけですからね。

(佐藤): そういう時、わざわざ「セルフディフェンスフォース」となると、セルフィッシュ、わがまま、というように聞こえるという事も言われました。我々はセルフディフェンスフォースについて、そこから説明をしないといけないし、しかもポジティブリストなので、やはり他の国とは、武器使用を含めても基準が違います。国連の基準とは違う、日本独自の武器使用の基準がありますから、他とは違う形での活動でした。しかし、現場の工夫や日頃の訓練の成果で、そういう中においても、海外で素晴らしい結果を残しているという事実もあります。非常に、現場の苦労という部分については、私も敬意を表したいと思っています。

(小林): やはり日本国内だけではなく、海外からどう見られているか。そしてもう一つ皆さんに気を付けていただきたいのは、世界はこう言っている、という表現がありますが、実は各国によって全く意見が違います。こういうところをチェックしながら、いろいろな報道も見て、情報を得ていただきたいと思います。

(佐藤): 今回の法案もそうです。平和安全法制を周りの国はどう見ているかと言うと、ほとんどの国が賛成なんです。なぜかと言うと、どこの国も国連憲章に認められた、個別的自衛権、集団的自衛権の両方を持っています。日本は、持っているけれど憲法との関係で、あるいは周辺環境を考えたら「使えません」とこれまで言ってきました。我々が一部限定的に使えるようになったからといって、じゃあ戦争にまっしぐらだなんて、他の国は思っていません。日本に、国力に応じて地域の安定のために貢献をして欲しいという国がほとんどで、ほとんどの国が賛成なんです。

ただ、一部の国には、賛成と言っていただいていません。それが中国であり、韓国です。韓国の場合は別な理由で賛成と言っていませんが、集団的自衛権を含めた、今回の法改正の重要性は認識している人は、やはり多いんです。朝鮮半島と日本は近いので、朝鮮戦争がまだ終わっておらず、休戦状態という中においては、今回の法改正を評価する人も多いです。中国自身も、中身について反対とはなかなか言えません。中国も集団的自衛権を持っている以上、100%反対という言い方は、さすがにしていません。

多くの国々が賛成をしているということを、もっと我々も国民に説明しないといけません。もしかすると、反対をされている方々の中には、世界もこれに反対していると思っている方もいるかもしれません。多くの国が賛成しているという事実をもう少し我々もPRすべきじゃないかなと思います。

(小林): そういう情報提供のやり方もあると思いますので、そのあたりは我々も作戦をしっかり検討したいと思います。また、皆さんにも、そういう形で情報を広めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。それでは3つ目の質問に移りたいと思います。「法案は反対だが、選択肢としては賛成しか有り得ない。本来なら主権者を守ることに不備のない新憲法を制定し、矛盾のある現行憲法を破棄(改憲は不可)した上で、解釈不要のしっかりとした法案を用意するのが正攻法だと考えるが、何故そういう動きにならないのか?」という質問です。

(佐藤): 憲法をまず改正して、それからそれに応ずる法整備をすべきだというのも、一つの考え方だと思います。ただ、今回我々は、周辺の安全保障環境を考え、また、憲法と今までの法的安定性を図った上で、憲法改正をしなくてもできる部分をまず今やろうとしています。自民党の党是として、自分たちで憲法を作ろうというのは、党是として持っています。憲法草案もありますし、それを目指す部分はあります。ただ一方で、今の憲法の範囲内でもまだできる部分があり、特に、この周辺環境を考えたら、早くそこを手当てせずに手遅れになってしまったら、本当に国民の命が守れない場合がやはりあるんです。

法律がなければ、自衛隊は訓練もできません。法律が通ったからといって、自衛隊がすぐ結果を出せるかといえば、無理です。自衛隊はスーパーマンじゃありませんから。事前に訓練をして、そしてやっと初めて結果が出せます。であれば、リードタイムが必要なんです。今この厳しい環境の中で、法律を作り、法的な隙間を埋めることによって、自衛隊は訓練ができます。訓練をすることによって自衛隊のリスクも下げることができますし、結果として国民のリスクを下げることができます。なので、今ある憲法の中で、隙間を埋められる部分、これをまず埋めましょうというのが、今回の我々の考え方です。

一方で、この安全保障法制だけではなく環境権の問題や、意思決定の問題など、やはり昔と違って改正した方が良い部分があるんです。その部分については、しっかりと憲法改正という形でやらないといけませんし、その上では、まず国会の中での合意形成を図ることや、国民の皆さまに国民投票でそれを判断していただくということも大事です。そこから我々は絶対に逃げてはいけないと思っています。逃げてはいませんが、その前にやるべきことがあるということで、今回しっかり憲法の中で、どこまでできるのか、憲法が認める国民を守るための必要な自衛の措置はどこまでが限界なのかを、今回議論させてもらっています。それが実情だとご理解いただければと思います。

(小林): 今回の法整備が憲法の中でのぎりぎりの整備でしっかりやっていることと、これからしっかりと話を進めていくことをご理解いただきたいと思います。

(佐藤): 多くの国民も分かると思うんです。私も一番最初の参議院の委員会の時に、約2時間、どれだけ日本を取り巻く環境が変わったのかを質問させていただきました。北朝鮮も中国もそうです。北朝鮮の弾道ミサイルの話はよく言われます。まさに日本を射程に入れる弾道ミサイルを数百発、金正恩指導者が持っています。そこから守らないといけません。そのためには、本当に法的隙間を埋めないといけないというものがあります。

一方で中国です。南シナ海の埋め立てだけでもすごい話なのに、実はまさに日本の目と鼻の先の東シナ海において、中間線を逆利用して中間線の中国側の方に巨大な海洋ステーションを建設しており、2年前は4基だったものが、今は16基もあるんです。そこは資源エネルギー庁いわく、そんなに大きなガス田の埋蔵量を期待できないそうです。にも関わらず、なぜ4基から16基に増やすんですか。中谷防衛大臣が国会で言われているように、そこにレーダーを設置したら、九州・沖縄は全部丸見えです。そのガス田の海洋基地のヘリポートから一番近い日本が、実は尖閣諸島なんです。中国本土よりも一番近いところにあるヘリポート、これがあのガス田なんです。そういうものに対して、本当に早く手当てをして、これ以上中国が挑発行為や海洋進出をしないためにも、抑止を高めないといけません。そのために、やはり憲法改正は筋ですが、今ある憲法の枠内でできる所は最大限にやって、その動きを抑えて、国民の命を守らなければいけません。そういう危機感を我々は持っています。

民主党さんや他の党も、環境が変わったという認識は持っているんです。ならば、国民の命を守るのは政府だけではありません。国民の代表として、国会の場に送っていただいた立法府の我々も、国民の命を守る義務も責任もあるはずなんです。環境が変わったというのであれば、国民の命を守るための法整備や、どう自衛隊に動いてもらうかという法案は、それぞれの政党が出すべきだと、私は思っています。特に民主党さんの場合は、政権与党を経験した政党ですから、やはり党としての考えはこうだという対案を出して欲しいと思っています。

(小林): それでは、続いての質問にまいります。「『集団的自衛権ではなく、個別的自衛権で対応できる』『集団的自衛権の拡大解釈だ』という野党の意見もありますが、なんでもかんでも個別的自衛権で対応することの方が、国際社会的にも危険だとおもうのですが?」という質問です。

(佐藤): まさにご指摘は正しいと思います。一番怖いのは、国際法や定義を無視して、自分で都合よく拡大解釈することです。特に個別的自衛権の拡大解釈はまさに、いつか来た道です。これは自国防衛です、個別自衛権ですということで、どんどん拡大するのは、非常に怖い発想だと思います。個別的自衛権は、まさに自分の国に攻撃があったということを契機として自衛権を発動するものですから、自分の国に攻撃がなされていないにも関わらず、それを個別的自衛権として武力を行使するのは、どう考えても国際法的に違反です。そういうことを我々は認めるわけにはいきません。それが、あくまでも日本国民の命を守る目的であっても、手段として他国の軍艦や航空機を守るということになってしまえば、それはやはり国際法上、集団的自衛権と言わざるを得ません。確かに、自衛隊がアメリカまで行ってアメリカを守るためや、他国を守ることが目的の集団的自衛権ではないにせよ、仮に自国を守るための集団的自衛権でも、日本に攻撃がなされていない以上は、これは個別的自衛権と言っては絶対いけないと思います。

そんな国際法に違反したようなことを、現場の自衛隊、警察・消防・海上保安庁の人にさせるんですか?私は、それは絶対にやってはいけないと思います。特に私は自衛隊出身、そして現場上がりの国会議員の一人として、国際法に違反した形の個別的自衛権の拡大解釈、これには強く反対したいです。

(小林): 日本国内の報道だと、個別的自衛権は何となく良いことで、集団的自衛権は全部悪だ、といった報道や表現がありますが、やはり自分たちを守るために、一緒にやらなくてはいけない、必要な部分もあるということで、個別的自衛権が国際的に何でもOKというものではないということですね。

(佐藤): 危ないですよ。色々な人間関係の中で、あの人は好きだ、あの人は嫌いだと、全部自分の都合でぼんぼん殴ってもいい、これはあり得ないですよね。

少なくとも、個別的自衛権は自分が殴りかかられた時に守る、反撃するものです。それを自分が殴られていないのに、他でドンパチやりそうだという時に自分で入っていってどんどん殴る。これを個別的自衛権と言うのは、やはりおかしいです。自分の国が攻撃されたというのが、厳格な定義ですから、定義は簡単に変えてはいけないと思います。

(小林): 続いてのご質問です。「今回の法制によって、これまで戦闘地域と言われた所まで自衛隊の活動範囲が広がるそうですが、安倍総理は特措法ではなく恒久法にすることによって、訓練もできリスクは低減できるとおっしゃってましたが、実際にサマーワで部隊を率いていた、佐藤さんのお考えを伺いたいです。」という質問です。

(佐藤): これは、正しい部分と間違っている部分が混在しています。一つは、戦闘地域と言われた所にまで自衛隊の活動範囲が広がるというのは間違いです。今回、現に戦闘が起きている現場ではやらない、それ以外の地域から活動地域を選ぶというように法的制度を変えましたが、それはイコール戦闘地域まで行くという話ではありません。あくまでも、自衛隊が活動する実施区域というのは、安全かつ円滑に活動できるという地域です。委員会質疑でも、戦闘現場とはしっかり間合いを取って、安全な地域で活動するという政府答弁を、明確にいただきました。まさに戦闘現場の横や後ろでやるだなんて、誰も言っていません。そこは誤解になります。今まで同様、後方地域あるいは安全な場所で、しっかりと実施区域を選んでやるというのは変わりません。

正しい部分ですが、特措法は、事態が起きてから新たに作る法律で、恒久法はあらかじめ法律があって、事態が起きた時に法律に基づいてその中で計画を作って派遣をします。日頃からある法律ということなんですが、要は、事態が起きてから法律を作るとなると時間がかかります。法律ができてからじゃないと自衛隊は訓練も情報収集もできないんです。

(小林): やってはいけない訳ですよね。

(佐藤): 法的根拠がありませんから。しかも、同じように国連あるいは他の国との調整もできないんです。ところが、あらかじめ法律があって、そういう事態が起きて国連決議があれば、その段階から国連や他の国との調整もできます。決議が出来る前から、ある程度想定をして訓練もできます。全然違うんです。訓練に裏付けられなければ自信はできません。事前に準備している以上のことはなかなかできませんから、事前に訓練ができる、できないというのは、現場の隊員にとってものすごく大きいんです。

今日の国会でも言いましたが、私がイラクに派遣された時の特措法は8月にできました。そして最初に航空自衛隊が行ったのは、5か月後の12月です。陸上自衛隊が行ったのは1月です。半年後なんです。この半年間で、訓練をヨーイドンで始めます。しかもそれから調整をして、どこで何をやるのか、最初我々もサマワに行くのか、あるいはバグダッドの方で給水をやるのか、北部のモスルという所のセメント工場で働く人を輸送するのかなど、いろんなアイデアがあったんです。全部そこから調整を始めました。そして、やっとサマワに決まりました。私が派遣隊長に指定されたのは、11月の上旬でした。その1週間後にはもう調査でサマワにいたんです。向こうに2週間いて、帰ってきた1か月後には派遣です。本当にドタバタで非常に忙しかったです。二次隊以降は訓練ができますが、一番最初に行く部隊はなかなか訓練ができません。よって、恒久法があればリスクはかなり減ります。

上手くいった例として、南スーダンがあります。南スーダンのPKOで、今、施設部隊を派遣しています。道路を直したり、学校を作ったりという自衛隊が得意な分野の一つです。しかも、首都のジュバという、比較的治安が良い場所です。PKO法が恒久法なので、決議が出て早くから調整ができ、施設部隊はジュバという良い場所を選ぶことができました。残念ながらお隣の韓国は、国会での承認が長引いたり、色々な理由から、自分で手を挙げるのも遅かったんです。日本隊が首都のジュバにいるので、比較的治安がいい場所に施設部隊を送りたいと、彼らもそこを希望しました。しかし国連側からダメだと言われて、中部の方のボルという所で活動を始めました。どちらかというと治安があまり良くない地域で、今も南スーダンの内紛の最前線です。韓国の工兵隊が行って、この前暴動が起きた時、弾薬が足りなくなった韓国隊が、日本隊に助けてくれって来ました。まさにその前線にいて、そこにいた韓国のNGOも襲われて、韓国隊が駆けつけ警護で助けに行ったり、韓国はそういう場所に活動地域を選ばざるを得ませんでした。この恒久法と特措法では、色々なところで差が出てしまうと言えると思います。

(小林): 最後の質問に行きたいと思います。「維新の党が独自案を作っていますが、そちらでは不十分だ

とお考えでしょうか?」という質問です。

(佐藤): 実は独自案は、まだ参議院には出ていません。衆議院に出た案は否決されましたから、今国会には維新の案はないんです。参議院に改めて独自案を出してもらわない限りは、国会で議論はできないんです。それが出た後、また協議が始まりますが、衆議院の案を見る限り、我々と差があります。我々としては政府与党案が一番良いという思いで、今法案を出せていただきましたが、維新の案でも、彼らにとっては自分たちの案が良いと思っていますから、そこの部分はお互い調整をして、さらに良いものができる可能性はあります。お互いにそこは政党間協議をやればいいと思っています。

ただ、維新案の限定的な集団的自衛権の範疇を見ると、ちょっと狭いような気がします。条約に基づいてしか支援をしないと言っていますから、アメリカだけなんです。アメリカ以外のオーストラリアやイギリスなどが朝鮮戦争の国連軍という形で近くに来て、日本と一緒にやろうと思っても、日本はアメリカ以外の国は支援できません。邦人がオーストラリアやイギリスの船に乗って、朝鮮半島から日本に帰ってくる時に襲われた時も、守ることができないという縛りが維新案にはあります。そのように色々細かい差があります。

しかし政党として、変化した安全保障環境に応じて、自分たちはこういう考えだという案を出すことは、非常に大事だと思います。これは本当に民主党さんにも出していただきたいと思います。政府与党案を批判して、国民のリスクが下がったり、自衛官のリスクが下がるのであれば、私も文句を言ったり批判します。しかしそれでは解決しないんです。

我々は、国民の命を守るための法的な基盤や、備えの法律をいかに作るかを今議論していますから、維新の党に再び案を出していただいて、議論できればと思います。聞くところによりますと、衆議院での案とはまた違った、若干手直しをした案を出してくる部分もあるようですので、期待をしたいと思っています。

(小林): ぜひ対案を出していただいて、国会の中で論戦が深まれば、皆さんにとっても理解が深まることにつながるでしょうし、より良いものになっていくと思いますので、期待したいと思います。

さて、法案がなかなか分かりづらいとか、良い読み物はないのかというお声をいただきますが、何とこんな本が発売されるということです。最後宣伝みたいになりますが、大変重要な本ですから。これは佐藤部会長が書かれたんですか?

(佐藤): はい。『高校生にも読んでほしい安全保障の授業』という本で、分かりやすく1時限目、2時限目、3時限目という形で構成しています。非常に読みやすく、分かりやすく書いたつもりですので、読んでいただければと思います。ただ、うちのスタッフから言われたんです。「この表紙の女性はアカリちゃんですか?」と。雰囲気が似ているでしょ。自民党の広報動画とうまくコラボレーションできたのかもしれませんね。アカリちゃんに一生懸命説明していますから。また、このパロディー版までできるかもしれませんね。ただ、それはそれでまた良いのかなと思っています。

(小林): 文字も大きく、具体事例も書いてあり、地図も入っていますので、非常に分かりやすくお読みいただけるんじゃないかと思います。ぜひこちらも読んでみていただければと思います。

(小林): 本日もみなさんから沢山のコメントをいただきまして本当にありがとうございました。佐藤部会長、今回もやられてみていかがでしたか?

(佐藤): 非常に短い時間でしたが、また第三弾、第四弾を小林先生にお願いして、この企画をやっていただきたいです。また自民党の責任として国民の理解を広げるという意味でも、色々な方がこういう形でカフェスタを通じてでも、こういう本でも良いですから、みんなで頑張って国民の理解を広げる努力をするのが、今大事ではないかと思います。

子供たちが間違った情報に基づいて、国会議員をみんなで取り囲んで、「僕たち戦争に行くことになっちゃうの?」と。これは悲しいですよね。こういうことは絶対あってはいけないし、こういう誤解を解くのも我々の大事な仕事だと思います。一生懸命頑張っていきたいと思います。

(小林): ありがとうございます。ぜひみなさんからもご要望をいただいて、できる限り分かりやすくお伝えできる番組を引き続きやっていきたいと思いますので、応援のほど宜しくお願いします。そして最後にお願いをしたいのは、今回の動画もyoutubeにアップされますし、前回の第一弾も大変分かりやすく解説をいただいていますので、是非シェアをお願いいたします。

我々も誤解が広がるというのが一番問題ですし、これから将来にわたって日本の国民の安全について議論をする上で、前提を大切に作るタイミングだと思います。だからこそ我々も逃げずに丁寧にお話をしていきたいと思いますので、何卒ご協力を宜しくお願いいたします。

それでは本日も沢山のみなさま、ご覧いただきましてありがとうございました。そして佐藤国防部会長、ご協力ありがとうございました。また、お会いしましょう。

(佐藤): See you!

(小林): See you!

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