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コラム

全ての女性が社会で輝くために

馳 浩 女性の権利保護プロジェクトチーム座長に聞く

性的虐待に関し時効の見直し
被害者救済制度の整備など柱

加害者を絶対に許さない

 女性活躍の推進が政権の最重要課題となる中、党女性の権利保護プロジェクトチーム(PT座長・馳浩衆院議員)が提言をまとめ、性的虐待対策への取り組みを本格化させている。性的虐待に関する時効制度の改正や被害者救済制度の整備などが柱。「被害者を絶対に泣き寝入りさせない」(馳PT座長)との方針で、児童虐待防止法の改正など必要な法改正や予算措置などの検討作業を急ぐ。児童虐待防止法の平成19年改正では超党派の議論も主導している馳PT座長に聞いた。

 

政府・与党の議論が加速 最重要課題へ連携強化

 ――性的虐待の被害は特に表面化しづらいと言われます。

 馳浩党女性の権利保護PT座長 私は平成14年から児童虐待防止法の改正に一貫して関わってきました。以来、感じていることは暴力やネグレクト(子育ての怠慢や拒否)など、児童虐待の類型の中で性的虐待が最も親子再統合が難しい案件であるということ。親族が加害者であるケースが多く「家族の恥になるから黙っておいてくれ」「お前さえ我慢すれば」などと、被害者をコントロールするため、早期の発見や対応が難しくなっています。

 被害者が思い切って訴えたとしても、児童相談所やカウンセリング、警察、検察と関係各所で同じことを何度も聞かれて、さらに傷つくことになるのです。思春期以降、被害者がようやく性的虐待の意味を理解すると、衝撃を受け、うつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、自分が自分であるという感覚が失われる「解離性障害」など精神的な疾患を発症することもあります。

 さらに、男性恐怖症になり、性的行為が汚らわしく思え、恋愛も結婚も家庭を持つことさえもできなくなる。「魂の殺人」と言われるように、体以上に心が虐待され、被害者は生涯、苦しむことになります。

 ――PTは政府への提言に、性的虐待に関する時効制度の改正を盛り込みました。

  被害者が、幼少期に加害者である親族を訴えることは並大抵のことではないでしょう。そこで、大人になってから、けじめをつける意味でも、訴えたいと考えたとします。しかし、損害賠償を請求できる民法の除斥期間は20年、刑法の強制わいせつの公訴時効は7年です。その期間が経過していれば、被害者は「泣き寝入り」せざるを得ません。

 そこで、民法や刑法で加害行為の発生時となっている時効の起算点を性的虐待に限っては、被害者が成人した時点に変えることについて検討を始めました。実現すれば、被害者が大人になってから加害者の責任を問えるようになります。

 その一方、課題も少なくありません。法の公平性の観点から見ると、時効制度に特例を設けることが果たして妥当なのかということ。加えて、訴えられる側の立場で考えると、時間の経過が証拠の散逸や関係者の記憶の薄れによる誤判を招き、冤罪につながる恐れがあるということです。よって、時効制度の制度趣旨を考慮し、特例の必要性については、さらに議論する余地があるのかもしれません。

 ――これ以外でも、政府内ではPTの提言を踏まえた議論が進んでいます。法務省の「性犯罪の罰則に関する検討会」は8月にも報告書をまとめる予定ですが。

  PTでは法務省から検討会の報告を受け、しばらく経緯を見守りながら、バックアップしてまいります。われわれの主張が形になりそうで、大きな前進と言えるでしょう。今後は法制審議会に諮り、法改正も視野に入ることになります。

 中でも画期的と受け止めているのは、強姦罪や強制わいせつ罪等の性犯罪を非親告罪にすること。これにより、被害者本人からの申し立てがなくても、捜査機関が立件できるようになるのです。加害者を絶対に許さないよう、見て見ぬふりはせず、社会的制裁を課さなければなりません。

 次は、優越的地位を利用した性的行為に関する規定です。親子関係や教員と生徒など、一定の関係性を利用した性犯罪に新たな犯罪類型を設けるなど、罰則の強化を検討すべきでしょう。

 

「ワンストップセンター」を全国に整備

性犯罪は生きる権利の侵害

 また、性犯罪の法定刑の見直しも求めました。強姦罪の量刑は強盗罪より軽いのです。そもそも強姦罪は法的概念上、性の自己決定権や自由の侵害となっていますが、それが問題の本質なのでしょうか。後遺症に長く苦しめられていることからも、生きる権利の侵害なのです。人としての尊厳を蹂躙する重大な犯罪であることを強く訴えなければなりません。

 ――救済措置の充実を求める声もあります。

  成人を含む性犯罪被害者に対する「ワンストップセンター」を全都道府県に少なくとも1カ所は整備し、児童相談所と連携することが必要です。内閣府などが取り組んでいますが、未だ設置されていない県が少なくありません。

 現在、児童相談所が単独では、性的虐待を診断する医師も含め、十分に対応しきれていないのが現状です。病院や警察、司法関係者との連携を強化するほか、児童相談所職員や教職員への教育啓発などを充実させることにより、被害者をたらい回しにすることなく、スムーズに救済システムに乗せるよう提言しました。

 併せて、司法面接の導入も検討してまいります。専門的な訓練を受けた面接士が事実を特定できるように話を聴くことで、子供に何度も被害状況を説明させて、つらい思いをさせずに済みます。

 このように社会全体で被害者を救済するメッセージを発信するため、関係省庁の予算を拡充しなければなりません。これから始まる来年度予算の概算要求にも盛り込みます。

 ――「全ての女性が輝く社会」の実現には避けて通れません。

  女性の力も原動力に、皆さんが生き生きと活躍できる社会をつくるために、わが党と政府は一体となった取り組みを強化します。その前提として、女性であるがゆえに、社会や家庭の生活の中で不当な不利益を被ることがあってはならない。性的虐待は9割以上が女児の被害で、家庭の中で起きています。わが党は絶対に許しません。

 25年度に全国の児童相談所に寄せられた相談件数のうち、性的虐待は全体の2.1%(1582件)にとどまっています。しかし、この数字は氷山の一角に過ぎないでしょう。女性にとって絶対に許されない行為が闇に埋もれることがあってはなりません。PTでは、社会に広く訴え、必要な施策を講じてまいります。

 

機関紙「自由民主」2661号(2015年8月4日)1面-2面に掲載

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