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コラム

衆院予算委員会 小野寺五典衆議院議員

平成27年6月18日木曜日 予算委員会(衆議院)

質問者小野寺五典 衆議院議員
答弁者安倍 晋三 内閣総理大臣
中谷 元 防衛大臣
岸田文雄 外務大臣

 

集団的自衛権に関する具体例【1】
―邦人救出・輸送中の米艦防護について

(小野寺五典衆議院議員)

自由民主党の小野寺五典です。おはようございます。本日は、主に平和安全法制についてお伺いをしておきたいと思います。

今回の平和安全法制の議論を聞いていますと、この法律の本来の目的、日本人の生命と平和な暮らしを守ること、国際社会の一員として日本の役割を果たすこと、そのことから議論がそれていることを大変残念に思います。この平和安全法制は、あくまでも日本人の生命財産、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くために切れ目のない対応をするため、この目的で法律を制定し、そして今、国会で審議をいただいております。きょうは、そのことを、例を挙げながら質問させていただきたいと思います。

まず、集団的自衛権、存立危機事態に対する問題であります。一つの例として、よく邦人輸送の米輸送艦の護衛についての例が挙げられます。少しこのことについて触れてみたいと思います。

我が国の近隣で武力紛争が発生し、多くの日本人が救助を求めている事態を想定します。この紛争当事国双方がミサイルや砲撃を繰り返し、危険な状況になれば、当然、民間の航空機は飛行禁止となります。民間船舶も運航を停止することとなります。この場合、相手国の要請があれば、自衛隊の輸送船が日本人の救出に当たることができます。

しかし、その隻数には限界があるため、多数の日本人を退避させるために、アメリカ軍の輸送船などを共同でお願いし、輸送することになります。このことは、日米の防衛協力ガイドラインにも規定があります。これにより、米軍の輸送艦が日本人を含めた市民を輸送して、我が国に退避させることになります。

仮に、この日本人を含めた多数の一般市民を輸送する米軍の輸送艦が公海上で、日本の沿岸から約二十キロ沖はもう既に公海ということになります、その公海上で攻撃国の軍艦から攻撃を受け、多くの日本人が殺されようとしている、そしてその近くに自衛隊の護衛艦があり、十分な攻撃能力を持っていたとします。自衛隊が武力をもってこの日本人を乗せた米軍の輸送艦を守るのは当たり前だと思います。この委員会に出席されている委員も、日本人を守るために自衛隊の船が武力をもって、この攻撃する船を威嚇あるいは抑止し、日本人を守る、このことに反対する人はいないんだと思います。

しかし、まだ日本が攻撃されていないという時点で、日本人を助けるために自衛隊の船が公海上において武力を行使したら、この行為は国際法上どのように判断をされるか、外務大臣にお伺いしたいと思います。

(岸田文雄外務大臣)

ただいま委員が示された例、すなわち、我が国への武力攻撃がない場合に、在留邦人を輸送している米艦艇が武力攻撃を受け、そして同艦艇を我が国が防護すること、こうした行為は、国際法上、集団的自衛権の行使に該当すると考えられます。

(小野寺五典衆議院議員)

国際法上、この事案が集団的自衛権に該当する可能性があるということであります。

もし集団的自衛権に該当した場合、日本の自衛隊の船は、この攻撃されようとしている、あるいは日本人が攻撃されている米軍の護衛艦を守ることができるでしょうか。防衛大臣にお伺いいたします。

(中谷元防衛大臣)

現行法制におきましては、我が国に対する武力攻撃を受けない限り、自衛権を行使することはできません。

(小野寺五典衆議院議員)

そうなんです。実は、この場合には自衛隊は日本人を守れない。当然、私たちの感覚では、これは個別的自衛権だろう、日本人を守るんだから個別的自衛権だろう、そう考えますが、国際法上は、外務大臣がお話しされたように、集団的自衛権に解釈されてしまう。これが今回の平和安全法制の最も難しいところなんです。

では、このようなケースに直面したとき、現場の自衛官はどのような対応をするでしょうか。もちろん、日本人を見殺しにはできません。そして、集団的自衛権に解釈されるような行動もとれません。

私は、実際、防衛大臣当時、このような問題について現場の隊員に聞いてみました。答えは大変悲しいものでありました。攻撃を受けている船の間に自分の船を割り込ませ、まず自分が敵に攻撃を受け、自分が攻撃を受けたことをもって反撃をし、日本人の乗ったこの米軍の船を守る。まず自分の船を危険にさらし、部下を危険にさらし、そして自分が攻撃されたことをもって反撃をする。日本人を守るためにこのことをしなければいけない。こんなことってあるでしょうか。

今回の存立危機事態を想定した平和安全法制、これが整備されれば、この自衛官が無事に日本人を守るための行動ができるのか、市民を守ることの行動ができるのか、そのことについて改めて防衛大臣に伺いたいと思います。

(中谷元防衛大臣)

委員の御指摘のように、我が国自身が攻撃を受けていなければ日本人を助けることはできません。米国の船を守ることはできません。

しかし、国民の命、平和な暮らし、これを守るということは政府の非常に重要な責務でありまして、現在は十分な法制となっていないのが現状でございますので、この国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、新三要件、これを満たす場合におきまして、自衛の措置といたしまして集団的自衛権を行使できるようにする必要がございます。

また、こういった法整備をすることによって、世界にこれを発信するということで、紛争を未然に防止する力、すなわち抑止力、これがさらに高まりまして、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていくということでございまして、このような措置を可能とするように今回法律の整備をするものでございます。

 

集団的自衛権に関する具体例【2】
ー弾道ミサイルから日本人を守るために

(小野寺五典衆議院議員)

これは日本国民も聞いていますし、多くの自衛官の家族も聞いています。ぜひ議論について真摯な国会を、野党の皆さんにもお願いしたいと思います。

次に、同じような集団的自衛権をめぐる事例についてお伺いをします。我が国上空を横切る弾道ミサイルの迎撃の問題であります。

日本の防衛力は専守防衛を基本としています。しかし、近年の軍事技術の向上により、例えば北朝鮮の弾道ミサイルも長距離化して、正確に目標を狙うことができるようになっています。

ある国が日本を目標に大量のミサイル攻撃をしてきた場合、日本はミサイル防衛システムを持っており、それで防御いたします。しかし、繰り返し繰り返し大量のミサイルが飛んできた場合、防衛能力には限りがあります。我が国を狙ってくる敵ミサイル基地をたたかなければ、もとをたたかなければ、いつかは我が国の防衛システムも破られてしまいます。

この日本を攻撃してくる敵ミサイル基地に対して反撃することは、日本の憲法でも自衛の範囲で認められております。しかし、日本は、政策的にこのような敵基地を攻撃する反撃力を持たずにおります。かわりにこの役割を果たすのが、同盟国であるアメリカであります。これを日米の盾と矛の関係といいます。日本の武力はあくまでも日本に向かってくるものを防ぐ、ミサイルを迎撃する。ですが、これが何度も繰り返されたら、これはいつか防御は破られてしまう。だから、そのもとを断つ、撃ってくるミサイルのもとを断つ、その反撃力、これを実はアメリカの防衛力に負っているというのが、これが現在の日米関係であります。ですから、日本の安全保障にとって、米軍の存在は不可欠であります。

一つの事例を取り上げます。日本の近隣で武力紛争が起こり、米国は、日本が位置する東アジアの平和を回復するために、武力攻撃をしかけてきた国と戦っている、このような状況を想定します。武力攻撃をしかけた国は、弾道ミサイルを数多く保有し、米軍のグアムやハワイに対してミサイル攻撃をしようとしています。これらのミサイルは我が国上空を横切ることが想定され、このミサイルがグアムやハワイに到達した場合、現地の多くの日本人が多数死傷するだけでなく、実は、米軍基地も攻撃されてしまいます。

米軍基地には、万が一日本が攻撃されたとき、そのミサイルのもとを断つ、反撃をする、その能力を有する多数の航空機や多数の装備があります。もしこれが無力化されてしまえば、実は、日本の反撃力、これが失われてしまいます。反撃力が失われた後に日本がミサイル攻撃をされたら、日本は決定的な損害をこうむり、多くの日本人が恐らく被害を受けることになると思います。

日本のミサイル防衛システムがさらに向上し、この迎撃ができるようなことを前提に、例えば、我が国に対する武力攻撃の前に、米軍の基地を攻撃するために発射された弾道ミサイルを迎撃することは、国際法上、集団的自衛権に当たるかどうか、改めて外務大臣にお伺いします。

(岸田文雄外務大臣)

今委員が示された例、我が国に武力攻撃がない場合に、米国に対する武力攻撃の一環として発射された弾道ミサイルを迎撃すること、こうした行為は、国際法上、一般に集団的自衛権の行使に該当すると考えられます。

 

なぜ、平和安全法制の整備が必要なのか?

(小野寺五典衆議院議員)

結局、これも集団的自衛権に国際法上は解されてしまう。そうすると、できないということなんです。

私どもとして、自分の国を守るため、自分の国の防衛力を、しっかり今後とも日米関係を強くするため、そういうことで防衛力整備を行っていますが、実は、この事例ですら、集団的自衛権に該当すると、日本は何もできないということになる。

今回、このような例、ほかにも幾つもあると思います。そして、この例が、いずれも、我が国の国民の生命財産、領土、領海、領空を断固として守り抜くため必要な武力の行使であるということ、恐らく、事例を知っていただいた多くの皆さんに理解していただけると思います。

悩ましいのは、自分たちを守ろうと思ってやっていることが、実は、国際法上、集団的自衛権に解釈されてしまうということなんです。これがいつも直面する課題でありました。歴代の防衛大臣は、恐らくいつもこの課題に直面したと思います。

今、平和安全保障法制の委員長をされています浜田先生も、筆頭理事をされています江渡先生も、きょうこの会場にいらっしゃいます小池先生も、そして中谷防衛大臣も、私もそうでありますし、民主党政権時代の森本大臣も同じような認識でいらっしゃったと思います。高村副総裁も防衛大臣でいらっしゃいました。

一度、防衛大臣、長官を経験されれば、このすき間があるということ、我が国を守ろうと思ってやることが、実は集団的自衛権に国際法上解されてしまってできないということ、このすき間を埋めなきゃいけない、これをみんなが感じていたんだと思います。そして、思い悩んでいたんだと思います。

ですが、この問題を国会の場で正面から議論すると、必ず日本が戦争に巻き込まれるとか、日本が戦争する国になるとか、果ては、徴兵制が行われるとか、おおよそ内容に反したレッテル張りが行われることは火を見るより明らかです。

今回、安倍総理のイニシアチブで、この長年の問題に正面から議論することができるようになりました。安全保障環境が急激に変化し、こうした事態に備えなければならないこと、これに対応するために、今回、武力行使の新三要件を法制として整備し、国民の命を守るために限定的な集団的自衛権を行使することに関して、総理のお考えを伺いたいと思います。

(安倍晋三内閣総理大臣)

ただいま小野寺委員から、まさに、私たちがなぜ今回、平和安全法制を整備しようとしているのか、その核心についてお話があったと思います。

かつては、自衛権があるかないかという論争すら行われていたわけでございます。そして、昭和三十四年の砂川判決、最高裁の判決、まさに法の最終的な番人である最高裁の判決によって、我が国が国の平和と安全を維持し存立を全うするために必要な自衛の措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならない。まさに、自衛権はあるということを最高裁は判断しました。

この必要な自衛の措置とは何か。この判決においては、個別的自衛権、集団的自衛権については触れていなかった。しかし、その時々の内閣が、その必要な自衛の措置とは何か、これをとことん考えるのは当然のことであろうと思います。昭和四十七年の段階においては、集団的自衛権については、それは必要最小限度を超えると考えられたわけであります。

しかし、現在はどうか。今、小野寺委員がおっしゃったように、我が国の近隣に、たくさんの弾道ミサイルを持ち、そして、そこに大量破壊兵器、核兵器を載せる能力を今開発しているという中にあって、そしてまた、それを迎撃するミサイル防衛という能力を日本も持った。しかし、この能力を使うには日米の協力が必要であるということであります。

大きく状況が変わっている中において、私たちは、この国際状況の中において、必要な自衛の措置とは何か、国民の安全を守るために突き詰めて考える、その責任があるんです。国際情勢にも目をつぶって、その責任を放棄して、従来の解釈に固執をするというのは、まさに政治家としての責任の放棄なんですよ。

私たちは責任政党としては決してそんなことをしてはならないという考え方のもとに、我々は、昨年七月一日に閣議決定を行い、集団的自衛権の行使においても、まさに我が国の存立が脅かされ、これは米国ではありません、我が国です、そして、国民の生命、日本人の国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるときに、まさに国の存立を全うし、国民を守るために行うということ、その部分においては行うとい

う判断をしたわけであります。その結果、今、小野寺元大臣が御紹介をしていただいたそういう例においては、日本人を私たちは守り抜くことができるということであります。

そもそも、このことを考えないことが、私は、政治家として責任ある態度かどうか、極めて疑問があると言わざるを得ない、このように思う次第でございます。

 

国際社会への貢献の具体例【1】
―PKO派遣における、いわゆる「駆けつけ警護」について

(小野寺五典衆議院議員)

やはり、政治家はさまざまな責任を負っています。そして、さまざまな事案を想定して、いざというときの備えをすることが私どもの役割だと思っております。

それでは、また次の事例を少しお話をしたいと思います。次は、武器使用の問題、海外における武器使用、いわゆる駆けつけ警護の問題について少し触れたいと思います。

昨年、私は、防衛大臣として、アフリカの南スーダンのPKO部隊を激励し、訪問してまいりました。自衛隊のPKO部隊は約四百人、立派に南スーダンの人々のために活動を行い、現地で大変感謝をされています。実は、自衛隊の宿営地の隣には国連の事務所があります。ここには多くの国連職員、NGOの関係者が職務に当たっています。

部隊を視察したとき、私は隊員に尋ねました。もし、この自衛隊の宿営地に武力集団が仮に武力をもって襲撃してきたら、これにしっかり対抗することができるのか。実は、そのことに関しては、私どもはしっかりとした装備を持っている、そしてしっかり対応できる、そのような答えがありました。

では、仮に、もし、この自衛隊の宿営地の隣に位置する国連の事務所、NGOの事務所が武力集団に襲われた場合、そして、この国連の職員から、日本の自衛隊、助けてくれ、そのような要請があった場合、これは現実に起こり得ることだと思います。この場合、自衛隊員は武器を使用してこの国連職員を守ることができるのか、現行法制でできるのかどうかを防衛大臣に伺いたいと思います。

(中谷元防衛大臣)

PKO活動というのは国連が実施をする平和維持活動でありまして、日本の自衛隊も二十年以上、この活動を実施してまいりました。小野寺大臣も現地の視察をされましたけれども、現行法では、御指摘のように、ともに現場に所在をしない国連の職員、またPKO活動に従事する者などから救援の要請を受けても、自衛隊が武器を使用してこれらの者を守ることができません。

他方、このような者を対象としたいわゆる駆けつけ警護、これの必要性は、これまでも現実に発生をしてまいりました。現在、自衛隊の活動の現場におきましても、平素よりこのような者と情報交換、交流を初めとする各種の連携協力を行っておりまして、今後、このような者が危険に遭遇した際に、自衛隊が救援の要請を受ける場合もあり得ると考えるのが自然でございます。

このようなことから、今回、駆けつけ警護、これを法整備の対象に盛り込むことといたしました。これは、現地の治安当局が対応できないときに、施設活動等の業務を行う部隊が、活動関係者からの緊急の要請を受けまして、その侵害や危難から救うものでありまして、実施に当たりましては、受け入れ同意の安定的維持を前提といたしまして、自己保存型を超えた武器使用を可能としておりまして、これによりまして、武力の行使に及ぶことがなく駆けつけ警護を行うことができるようになると考えております。

(小野寺五典衆議院議員)

私の質問よりも先に随分言っていただきまして、ありがとうございました。

今、まず前提としましては、現行法規では、実は自衛隊員は、自分の隣の宿営地にいる、例えばPKO職員、そしてNGOの職員、これはもちろん日本人もいます、その日本人ですら実は助けを求められても助けることができないという状況にあります。もし、国連から、この職員を助けてくれと要請があって、すぐ脇に十分能力がある自衛隊員が何もしなかったら、そして、この国連職員の中に被害者が出た場合、あるいはNGOの職員の中、日本人に被害者が出た場合、恐らく国際社会の中で日本に対する評価は大変厳しいものになると思います。

実は、現場の隊員は、いつもこのような問題に直面をしております。現場で、同じくある隊員に私は聞きました。このような状況にあった場合、やはり法規を守って、当然この問題について黙って見過ごす、救援要請があってもそれを黙って聞き流す、そのことしかないのか。そのとき答えた隊員の言葉、これもまた同じく悲しいものでありました。

恐らく、危険とわかっていても、みずからの判断で、例えば情報収集という名目で、この武装集団がある面では攻撃しているところに状況を見に行き、そして武装集団の攻撃に身をさらすこと、そして我が身が攻撃を受けたことをもって武器を持ってこの武装集団に立ち向かう、そして自分の後ろを振り返ったら、たまたまそこに国連の職員や日本のNGOの人たちがいた、だから、自分の管理下にあるからこの人たちを守れる、恐らくこういうことをとる可能性もあります。

実際、平成十四年に東ティモールのディリ市において、現地の日本人から自衛隊派遣部隊に救援要請があったときに、自衛隊員は現地視察という名目でそこに赴き、無事この隊員を救出したこともあります。でも、この事例もそうなんですが、隊員がみずからの判断で、まずみずからが危険にさらされる、このようなことが実は現実にあるわけです。

今回の武器使用の権限の新しい考え方において、現場の自衛官も戸惑うことなく、現場の自衛官もみずからを危険にさらすことなく、無事に日本人や国連職員を守ることができるようになります、今、中谷大臣からそのようなお話がありました。

自衛隊員のリスクのことについてさまざまな議論がありますが、現場に行ってみて、実際部隊を視察してみて、隊員から声を聞いて、それを聞けば、何をすべきかということ、そして、私たちが行わなければいけない、政治の責任でこれは決着しなければいけない、現場の隊員にこのような惑わしを与えてはいけない、現場の隊員がみずから危険に身をさらすことがあってはならない、このことはぜひ政治の場で、国会の場で決着をつけていただきたい、私はそのように思います。

 

国際社会への貢献の具体例【2】
―事前に十分な訓練と準備ができる「一般法」

(小野寺五典衆議院議員)

次に、同じく今回提案があります国際平和支援法について行います。

国際平和支援法につきましては、これは国際社会の要請に基づいて、私どもとしてさまざまな国際社会に貢献する、後方支援を行う、このような内容だと思います。

このような活動、過去には、政府が判断を行った中で、必要な場合には、特別措置法としてその都度法律をつくって派遣をいたしました。平成十三年のテロ特措法では、インド洋で給油支援を行いました。平成十五年のイラク特措法では、イラク・サマワにおいて人道復興支援を行いました。いずれも難しい任務ではありましたが、隊員は高い能力で任務を完遂し、国際社会から高い評価を受けました。

実際、このような任務には十分な準備が必要です。しかし、現実には、法律が国会で成立するまでは、本格的な情報収集や装備の準備、訓練を行うことはできません。もし特措法が成立する前に自衛隊が準備を始めたら、恐らくこの国会は紛糾し、とまると思います。ですから、国会で法律が成立するまでは、隊員は準備ができないんです。そして、いざ法律が成立した後、これはニーズがあるんだから早く現地に行け、恐らくこういう声になると思います。

実際、テロ特措法では、わずか成立後二週間で自衛隊員はインド洋に派遣されました。イラク特措法では、成立後四カ月で、あのイラクの地に自衛隊員は派遣されたわけです。このような、ある意味でしっかり準備ができているかどうか難しい状況の中で現地で活動すれば、隊員が危険にさらされるリスクは高まり、十分な活動ができないことになるかもしれません。

今回の国際平和支援法の成立により、事前に派遣のための根拠法ができます。そうすれば、事前に情報収集や教育訓練、必要な装備、これを備えることができる。訓練が十分できる。準備が十分できる。これがむしろ、より安全で、自衛隊の得意な分野の能力を十分発揮した活動ができ、国際社会により一層貢献できる、そう思っております。

私は、特措法によらず、その都度法律をつくるのではなく、一般法を成立させて自衛隊に十分な準備をさせること、このことの方がよほど安全に任務を遂行できると考えますが、防衛大臣、いかがでしょうか。

(中谷元防衛大臣)

委員が御指摘のように、法律がなければ事前の準備も訓練もできないわけでございます。国際平和支援法が成立しましたら、この法律に定められた協力支援活動、捜索救助活動などを効果的に実施するために必要な情報収集、また各国との共同訓練、これをより幅広く実施することができるようになるほか、派遣に際しての現地調査、そして各国との調整、こういうことが迅速に実施できることになりまして、速やかに派遣準備を行うことが可能になるものと考えられます。この結果、国際平和支援法に基づく活動を実施するに当たっても、十分な準備が可能になりまして、これが隊員の安全確保に資するものになると考えております。やはり、派遣される隊員の安全を確保する上におきましても、この法律に基づく準備、訓練、そういうものが必要だと私は考えております。

(小野寺五典衆議院議員)

私は、防衛大臣当時、中谷元大臣のアドバイスもあり、なるべく部隊視察を多くさせていただきました。百五十カ所以上の部隊を視察し、現場の隊員からさまざまな声を聞いてまいりました。その中で、特に、やはりこのようなさまざまな任務、これは隊員としてしっかり完遂したいけれども、その準備とそしてさまざまな装備についてはできるだけ配慮をいただきたい、このような現場の声をたくさん聞いてまいりました。

ぜひ一般法という形で、そして、最終的には国会の承認がなければ自衛隊は外に行けません。言ってみれば、準備は日ごろしっかりし、そして、いざ国会で御承認いただければ、しっかりこの国のために、国際社会のために、国際社会の中で役割を果たす、そのことが自衛隊員の誇りということになります。ぜひ、その誇りを十分に感じて、しっかりとした準備ができる体制をつくっていただきたい、そのように思っております。

 

自衛隊員の健康管理について

(小野寺五典衆議院議員)

次に、この隊員の誇りについて、私は、少し残念な報道が最近あること、そのことについて話を伺いたいと思います。自衛官の自殺の問題、心の病のことについてであります。

この平和安全法制の議論の中で、自衛官のリスクが高まるのではないかという議論を国会の中でよく聞きます。そして、最近では、平和安全法制の整備において、自衛官の中で自殺者や心の病を抱える隊員が急増することになる、そのような危機感を持つような論調も見受けられます。

気になるのは、そのような論調の中で、そもそも自衛官の自殺率は世間一般よりも高いんだとか、イラク派遣隊員はさらにその十倍程度にもなるとか、心の病を抱える自衛官は全体の一割以上にも及ぶとか、あたかもこれが事実のように国会で議論され、そしてまた報道されるということ、私は、このような議論自体が、自衛官のみならず、その家族、この大変な不安、そしてまた自衛官の誇り、これにも影響を及ぼすものだと思っております。

私が実際、大臣として現場を視察し、さまざまな部隊長、隊員の話を聞く中で、どうもこのような議論や、このような数字というのが腑に落ちない。ぜひ、きょうは、改めて防衛大臣にお伺いしたいと思います。

今ここで出ているような自殺率の問題、あるいは心の病の問題、これが現実にはどのような状況なのか、そして自衛隊として、この問題について、メンタルヘルスケアや自殺防止についてどのような取り組みを行っているのか、中谷防衛大臣にお伺いいたします。

(中谷元防衛大臣)

数字についての御質問でございますので、お答えをさせていただきます。

イラク特措法に基づきまして派遣された自衛官の総数は八千七百九十名でございますが、平成十七年度から二十六年度までの十年間に自殺した自衛官二十九名につきまして、一般的な自殺率の算出方法であります、十万人当たりの人数を一年間の自殺率に換算いたしますと、約三十三人でございます。

さらに、同時期の、自衛官の約九五%を占める男性自衛官と、一般成人男性、これは二十から五十九歳でございますが、この自殺率は、一般自衛官が平均約三十五・九人であり、また、一般成人男性が平均約四十・八人でございます。心の病につきましては、一般の公務員、また、一般国民と同様に、自衛隊員にも一定数はおるわけでございます。

防衛省といたしましては、全隊員に対するメンタルヘルスチェックを平成二十五年度から実施しまして、隊員の心の健康状態の把握、また、メンタルヘルスケアにつきまして努めて実施をいたしておりまして、平成二十六年度のチェックの結果、高得点者、これはうつの傾向、これが全体の七・七%となっております。

この七・七%の隊員全てが心の病であるということではなくて、あくまでも傾向を把握したものでございまして、必要な場合にはカウンセリングなどを実施させていただいておりますが、WHO調査によりますと、一般社会における一定時期に何らかの精神障害と診断された割合は、日本は八・八%となっておりまして、これと比較しても、メンタルヘルスチェックによる七・七%という数字は低く、心の病を抱える隊員というのは、一般社会と比較して、決して高いとは言えないわけでございます。以上、数字のことについてお答えさせていただきました。

(小野寺五典衆議院議員)

数字では、一般社会人と比べて自衛隊員の自殺率が高いわけでもないし、そして、派遣された隊員が高いわけでもない。また、心の病の隊員も、一般の成人男性から比べて高いわけではないということでありました。

ただ、一人でも自殺者が出ないように、一人でも心の病がある方が出ないように、これは今後とも防衛大臣としてしっかり隊員のために活躍をしていただきたいと思っております。

 

安全保障上の「すき」を埋める平和安全法制

(小野寺五典衆議院議員)

最後に、今回の平和安全法制について総理にお伺いをさせていただきます。

この平和安全法制の今までの歩み、これは、日本が平和国家として歩んできた道そのままでございます。戦争に巻き込まれることになるとか、あるいは日本が戦争をする国になるとか、そのようなことを言う方がおられますが、私は、防衛大臣として、さまざまな安全保障の実際に起こり得るケースを常々想定してまいりました。

その中に、日本人の生命財産、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、そのことでケースを想定すると、残念ながら法制度のすき間がありました。特に、私たちの立場から見れば、日本人を守る、日本を守る、そのために必要な武力を行使する、これが、たまたま国際法上、結果として集団的自衛権に解釈されてしまうものがある。先ほど事例で幾つかお示しさせていただきました。

今回の法整備は、そのことに限定をした上で、必要な、すきのない法整備を行い、そして米国を初めとする同盟国、友好国との関係を強化する、そのことをもって日本の抑止力が高まり、結果として、日本が戦争に巻き込まれたり、日本が攻撃を受ける危険性はなくなると考えております。平和国家としてこれからも、その歩みを前に進め、国際的にもその立場を高めること、これができることになると私は間違いなく確信をしております。

今回の平和安全法制に関して、私がこの議論を一連ずっと委員会で聞いて感じますのは、やはり、現場を預かる責任者を経験した一人として、ぜひ、この法案については、隊員の安全のことも十分考えながら進めていただきたい、そして、一刻も早く国会の御了承を得て、隊員に十分な準備をさせていただきたい、そのような思いでございます。

今回の平和安全法制の整備についての総理のお考えを改めてお伺いしたいと思います。

(安倍晋三内閣総理大臣)

私たちは、七十年前、二度と戦争の惨禍に苦しむことがない、そういう世界を、国をつくっていこう、こう決意をしたわけであります。そして、七十年、ひたすら平和国家としての道を歩んできた。同時に、日本人の命と平和な暮らしは断固として守り抜くという決意の中で、自衛隊を創設し、そして日米安保条約を締結したわけでございます。

そして、その中において、今までこの質問を通じて小野寺委員が指摘をされた、法律のいわば切れ目がある、課題がある、これについてはずっと我々は議論をしてきました。この法制そのものについても、第一次安倍政権において、問題提起をし、懇談会をつくって議論を始め、そして、政権ができてから昨年の五月十五日までも議論を行い、そして報告書を受け、さらに、七月一日の閣議決定に向けて議論も重ねてきたわけでございます。

そして、我々は、政権を担いながら、自衛隊の諸君がどんな思いでPKO活動に当たっているか、そして、あるいはまた、万が一を想定しながら、自分たちは国民の命を守るために何をすべきか。

しかしそれは、まさに自衛隊員に、彼らに必要以上の負荷をかけてはならない、必要以上の判断をさせてはならないわけであります。本来、立法府そして行政が考えなければいけない責任、それを放棄してはいないか、そういう疑問を小野寺委員もずっと持ち続けてこられたんだろう、こう思うわけであります。その中において、当時防衛大臣であった小野寺大臣とともに、あの閣議決定を行ったわけでございます。

実際にPKOに出た方々、もしNGO、日本人に危ない、助けてくれと言われたらどうするか。これは、本当に多くの真面目な自衛隊員は考えていたことであります。我々は、今回の法案において、その一つの答え、責任を果たす上においての一つの答えを出したわけでございます。ぜひこれからも、そうした本質について議論をしていかなければいけません。

また、自衛隊員のリスクについて、前もって恒久法ができていたら、しっかりと準備ができて、しっかりと訓練もできるということについて御説明もいただきました。そしてまた、今まで法律がなかったがために、みずから身を危険にさらさなければ日本人を守ることができなかったという状況を解消していくことにもつながっていくわけであります。

そうしたことを、全体を見ながら、そして日本人を守るという根本、日本のリスクを減らしていくという根本を見ながら議論していくことこそ、私たちに課せられた使命ではないか、このように思います。

(小野寺五典衆議院議員)

ありがとうございます。この国会の議論は、委員会の議論は、多くの自衛隊員、その家族が見ております。そして、私どもはここでさまざまな議論をしていますが、結果的に、日本を守るために、日本の国際社会の立場のために、海外で、あるいはさまざまな厳しい任務地で活動するのは自衛隊員でございます。

その隊員の日ごろの活動、そしてその家族のこと、それを思って、ぜひ、委員各位には真摯な御意見、議論をこの国会で闘わせていただいて、そして一定の方向を出していただき、隊員が迷うことなく日本人と国を守れるようにお願いし、質問を終わらせていただきます。

ありがとうございました。

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