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コラム

円高による産業空洞化防止急務
竹本直一円高・産業空洞化PT座長に聞く

 1ドル=80円を超える円高が続き、企業が生産・製造などの活動拠点を海外に移す動きが加速している。円高対策を盛り込んだ第3次補正予算の成立が急がれる。また、行き過ぎた円高に歯止めをかけるためにわが国政府は、本来、どう行動すべきなのか。党内閣部会・財務金融部会・経済産業部会合同「円高と産業空洞化問題に対処するためのプロジェクトチーム」の竹本直一座長に聞いた。

対応が遅すぎる民主政権

竹本直一座長
――――歴史的な水準にある円高を受け、現在の経済状況をどう見ますか。

 輸出企業、中小企業は大きなダメージを受けています。このままでは、海外移転が加速しかねません。一方で、円高によるメリットがあるのも事実です。例えば、資源や食料を海外から輸入する場合には、有利になるほか、わが国企業によるM&A(合併・買収)も増えています。

 問題なのは、急激に為替が変動している点です。その要因は、米欧の経済の不安化で、世界の資金が安定資産としての円に集まっているためです。一方で、日本は長引く不況、財政危機に加え、東日本大震災が発生し、わが国の実体経済は厳しい状況にあり、日本の円は買いかぶられているのが現状です。

 この円高に歯止めをかけるには、短期的には、わが国は、11月に開催予定の主要20カ国・地域(G20)首脳会議(フランス・カンヌ)で合意される各国の不均衡是正措置に向け、積極的に関与していかなければならないと考えています。

――――具体的に、政府はどう行動すべきですか。

 私は、本来、為替は、市場の原理に基づき、決定されるのが望ましい姿だと考えています。ただ、今回のように急激な為替変動が生じた時には、政府は為替相場の安定に努め、外国からわが国へ正当な評価が下されるようにすべきだと思います。

 まず、政府が行うべきは、先進7カ国(G7)やG20の財務大臣・中央銀行総裁会議などの国際会議の場で、市場動向についての共通認識を深めることです。その上で、場合によっては、わが国による為替介入もあるという姿勢を示し、各国との信頼関係を築くことが必要です。米欧経済の不安解消のためにも、わが国が果たす役割は大きいものがあると考えています。

 また、10月に行われるG20財務大臣・中央銀行総裁会議(パリ)では、G20相互評価プロセス(MAP)の一環として、現在、国際通貨基金(IMF)が、各国の経済情勢を調査している評価結果が示される予定です。わが国は、IMFの副専務理事を出していますので、情報収集を行い、適正な評価結果が得られるよう、日本経済をとりまく経済状況を理解してもらうことが重要です。

 それから、中国は、為替管理制度の下で経常黒字を拡大させ、韓国においては、変動相場制にありながら頻繁に介入を行っています。こうした歪みはしっかり指摘し、両国を変動相場制に完全移行するよう求めなければなりません。

――――民主党政権の円高対策が大幅に遅れています。

 そもそも、民主党は、円が急騰した時に、代表選の最中で、熾烈な権力闘争を行っていました。当時の財務大臣は、野田佳彦総理です。私は、為替介入の機を逸したのではないかと思っています。結果として、今なお円高水準にあるのです。代表選が、日本経済に悪影響を及ぼしたことは間違いありません。

 震災対応同様、3次補正の提出も遅れています。それは、民主党政権の"誤った政治主導"で省庁の意思決定が大幅に遅れ、政権内の一体感が失われているからです。

 3次補正の提出が10月中旬以降になると言われています。状況によってはさらに遅くなるとの予測もあります。戦後最高値(75円95銭)をつけたのは8月19日であり、あまりにも民主党政権の対応は遅すぎます。政府は9月20日に円高対策の中間報告を発表しましたが、21日には一時76円12銭まで上昇するなど、政府の対策は市場から無視されています。震災や台風の復旧・復興はもちろんのこと、円高による産業空洞化を防ぐためにも、一刻も早く第3次補正を提出すべきです。

――――わが党は政府に対し、どのような円高対策を提言しますか。

 米国やアジアへの海外移転が加速していますので、企業への立地補助金などを盛り込んでいかなければなりません。厳しい経営を強いられている中小企業対策としては、運転資金や保証を拡充させるほか、為替ヘッジの指導を行う必要があります。

 中長期的に、わが国の将来の産業構造を念頭に置いた対策も重要です。例えば、イノベーション創出による雇用拡大、法人税の引き下げや研究開発税制の対象拡充などで産業空洞化を回避し、国際競争力を強化していかなければなりません。

 さらに、現下の急激な為替変動への対策と周辺国の通貨競争に圧倒されないよう、大幅な金融緩和などの金融政策も必要になってくると考えています。こうした点はわが党のPTで早急に議論を詰め、政府に提言していく方針です。

 

機関紙「自由民主」2480号掲載

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