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記者会見

谷垣禎一総裁 記者会見

平成23年4月30日(土)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

ちょうど今、衆議院の予算委員会で、第1次補正予算が通過しまして、私どもは、結論として、これに賛成いたしました。これについて、申し上げたいと思います。
今、申し上げたように、賛成いたしましたが、この第1次補正予算の内容は適切なものであると考えているわけではありません。まず、支出面、これについては、規模・内容ともに、十分でないと考えております。とりわけ問題があるのは、財源・歳入面でありまして、主に3点の問題があります。
1つは、バラマキ4K施策をどうするのかという問題。2番目は、復興再生債というものが必要となるわけですが、そこから逃げているという問題。3つ目は、年金財源の転用の問題です。これらについては、第1次補正予算の審議でも、厳しく指摘したところでありますが、ただしこれらにつきましては、昨日、自公民3党で、今後の検討事項として確認し、文書を取り交わしました。今、被災地、被災者の状況を慮りますと、早急な復旧に資することが何よりも優先であります。仮設住宅を早急にきちっと作っていく。あるいは、瓦礫を処理していく。

こういうことが何よりも緊急の課題でありますので、昨日の3党の合意に対する政府与党の今後誠意ある対応をしていくことを前提にしながら被災者に対する補正予算等の緊急性を踏まえまして、賛成することにした次第です。

質疑応答

歳入面での問題を3点指摘されましたが、3党の合意で問題点が解決されていくという認識で、賛成されたのですか。
当然、これは各党で、この中身をきちっと議論する、精査をしていくということでありますが、我々としては、今、申し上げたような問題点を乗り越えなければ、今後、例えば第2次補正予算だとかいろいろありますが、それができないと思っています。
3党合意の中で、復興債償還の枠組みの担保という点と、税と社会保障の一体改革の議論についての言及がありますが、2次補正のタイミングを考えると、政府が、6月を目途に、復興の財源と税と社会保障についての考えを出すとすれば、自民党も同じ時期に考えを出すのでしょうか。また、自民党内での議論の日程についてお考えをお聞かせください。
これは、政調会できちっと議論してもらうということに尽きます。現段階では、そこまでです。
総裁は菅総理に対し早期退陣を求めていますが、そのような民主党と合意を結んだことに意味合いについて、総裁のお考えをお聞かせください。

今、申し上げたように、瓦礫の処理や仮設住宅の建設がどんどん進んでいくよう、その財源もきちっと考え、支出権限も政府に持たせないといけない。その緊急性ということが一番でした。

先程申し上げたような問題点を看過したまま、ただ結論が必要だからというだけで対応するわけにはいかない。したがって問題点をきちっと指摘し、それへの誠意ある対応を担保するために、あのようなことを取り交わしたというが一番の意味です。

昨日、東大の小佐古敏荘教授が内閣官房参与を辞任しましたが、総裁のお考えをお聞かせください。

小佐古教授は、総理自ら内閣官房参与を任命された方です。私も昨日、報道でお辞めになる理由も拝見しましたが、これは総理の指導力、原子力事故対応の問題点を大きく浮き彫りにしたものだと思います。当然のことながら、そこに現れた問題点を、今後、私どもは追及していかなければいけないと思います。
そうして、これから、問題は復興の議論になっていくと思いますが、復興していくということになると、第1にどのような復興を考えて、そのための財源をどのように担保していくかという問題があります。そういったことをやっていくためには、マクロの財政政策をどうしていくか、マクロの舵取りの問題があります。そのエネルギー政策や電力政策を含めたこれらの日本の経済運営、大きく言えば、成長政策ということになると思いますが、ここで日本は沈み込んでいかないぞというような政策運営をどうしていくかという問題点が出てくると思います。そういったものをきちっと取り運んでいくことに対する菅総理のリーダーシップと言いますか、実行力それにも大きなクレームをつけたものではないかと思います。

菅総理は、専門家としての認識の違いとの見解を示し、事故対応の問題が浮き彫りになりました。総裁は、具体的に、どのような点で菅総理に問題があるとお考えですか。

専門家同士の見解の違いがあるのかもしれませんが、私は大きく言えば、度々申し上げたことですし、昨日の委員会質疑の中でも出ていますが、どなたがどのような権限と責任を持って、事にあたっているのか、非常に不明確になっている。そういう中では、なかなか出した方針がきちっと通っていく、それを受けて、実際の官僚組織がフル回転していくことも難しいです。その上に立って、全体の実務にあたる官僚機構をきちっと掌握できていないといった問題点が、いろいろなところに不協和音を生んでいるのだろうと感じております。

補正予算については、今回賛成しますが、大型連休後、菅政権にどのように対峙するのですか。

今、申し上げたような、今後の復興という局面にきちっと対応できていくのかということが根本にあります。それに対して、非常に大きな疑問を持っています。国民の間にそれがあるでしょう。それから、与党を見ていますと、与党の足下も液状化してきているというのか、きちっと今の国難に、政権を支えていく体制ができているのかということも非常に疑問です。
もうひとつ申し上げておかなければいけないのは、菅さんや政権側のいろいろな発言を見ておりますと、いろいろな政策体系、マニフェスト等々の見直しをあり得べしというようなことを言っておられますが、何か震災が起きたから、それができなくなったと言わんばかりのところも見え隠れするばかりです。しかし、それはそうではなくて、その政策体系自体、破綻していたということもあります。つまり、全体の政策体系をきちっと見直しをしなければ、震災対応というだけではなく、進めないというところに来ているのではないか。私は、大きく言うとそのように見ています。今後の対応は、是々非々で行くということに尽きます。

派閥の会長から、内閣不信任案提出についての発言が相次ぎましたが、提出のタイミングについて、ご所見をお聞かせください。
我々野党として、是々非々で行く場合に、いろいろな武器が必要です。その武器の1つとして、内閣不信任案があるというのは事実です。しかし、これは伝家の宝刀ですから、いつでも段平を振り回すわけにもいきませんが、赤さびをおかすというわけにもいかないということではないでしょうか。