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記者会見

安倍晋三総裁 定例記者会見

平成24年11月21日(水)15:35~16:15
於:党本部9F 901号室

冒頭発言

(役員会の内容説明)

新しい自由民主党の公約を発表致します。「日本を、取り戻す。」これが私たち自由民主党の政権公約であります。私たちの政権公約を貫くものは、できることしか書かないということであります。3年前の総選挙において、民主党が掲げたマニフェスト、ほとんどが実行されなかったために、政治に対する国民の信頼は失われました。政治が国民の信頼を取り戻すためにこそ、私たちの政権公約があるとの使命感において、私たちはこの政権公約を作りました。その考え方のもとに、この政権公約は、私たちが政権を失った、それ以前の自由民主党の掲げてきた、推進してきた施策とは違う。ある意味では新しい、そして新しい自由民主党だからこそできる政策を書き込んでおります。
例えば、経済政策において、長引くデフレ、そして円高を是正し、そして経済を成長させていくための新たな成長戦略を進めていく。金融緩和においても、かつての政権時代にとっていたデフレ対策のための金融政策とは次元が違うものを実行していく。それを念頭に置きながら、この政権公約を作ってまいりました。
そしてまた、成長戦略におきましても、新たな投資先を生み出していく。そして国民の所得をどのように増やしていくか。これはまさに、新しい時代のニーズに合わせた、そして未来に向けた施策を織り込むことができたと思います。
そして、もう一点は何かといえば、自由民主党には経験があります。その経験に裏付けされた施策を書き込んでいます。詳細については政調会長からお話をさせていただきたいと思います。
もう一点、教育についても3年前の自由民主党の教育政策をさらにバージョンアップさせた、強力な教育再生を進めていく原動力となるような、そういう政策を書き込んでおります。6・3・3・4制を見直し、単線型から複線型にしていく、そういう抜本的な改革を進めていきます。大学入試制度の抜本的な改革についても書き込んでいるわけであります。
その意味においても、3年前の自民党とは違う。それと同時に、我々は長年の経験に裏付けられた責任感で、この公約を書き上げたということを申し上げたいと思います。

質疑応答

Q
(テレビ朝日・富川記者)全国各地で工場が閉鎖したり、地域経済が落ち込んでいる。どのようにして地域経済を活性化させるのか。
A

この私たちの政権公約を詳しく読んでいただければお分かりいただけると思いますが、この十数年、日本はデフレ下にあり、円高の中で時が過ぎてまいりました。私たちの政策は、政権を失う以前に自民党が行っていた経済政策、これをさらに強力に、有る意味において次元の違う政策を行ってまいりたいと思っています。
地域におけるものづくりがありますね。先程、甘利政調会長が説明をしたように、朝早く起きて、汗を一生懸命流して、そして知恵を出しても工場を閉鎖せざるをえない。円高を是正できない。対ドル、対ウォンに対して、円高が続いている。これはおかしいんです。これをしっかりと是正をする。円高はデフレを助長します。そして、デフレの問題点は収入が物の値段が落ちていく以上に下がっていく。そのためにも、我々は大胆な金融緩和を行い、デフレから脱却をし、そして円高を是正していくことによって、一生懸命頑張っている人達がこの努力に、知恵に報われる、そういう強い経済、強い地方を作っていきたいと思っております。
その中において、先程申し上げました新しい次元とは、金融政策も行いますが、財政政策も、マクロ経済的に正しいと我々は判断をしています。それを併せて行って行く以上は、これはもちろん無駄遣いはしない。財政規律を念頭に置きながら、生産性を上げていく。グローバルな経済の中で、活力が上昇していく。そのための投資、未来への投資は行っていくべきだと考えています。
同時に、成長プランですね。地域が地域の特性を生かし、どのように成長していくことができるか、そこにどのように新しい産業を生み出すことができるか、あるいは人がやってくるようなそういうプランを出すことができるかどうか、そういう新しい成長プランを出していきたいと思っています。そうしたことをしっかりやっていくことによって、我々は地域を活性化させ、日本経済を上昇させて、そして、地域の皆さんの所得を向上させていくことができると考えています。

Q
(テレビ朝日・富川記者)TPPについて、公約にも書かれているが、総裁は聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加には反対するとしているが、党内には反対意見もある。この前提さえなければ、TPP交渉参加には前向きということか。
A

前向きかどうかということではなくて、この聖域なき関税撤廃、これを前提条件とする限り交渉参加には反対という立場であります。要はそれを突破していく交渉力があるかないかが問われています。その前提条件を突破できる、守るべき国益が守られるのであれば、それは交渉していくのは当然だろうと思います。
民主党には、その交渉力がないと言っても良いと思います。菅さんがダボスでいきなり、TPPについて、自分は日本を開国していきたいと言ったんですね。交渉していく人物は交渉者としてタフでなければいけません。例え開国していなくても、開国していると言ってのける交渉力が必要なんです。「開国していません」と言った瞬間に、「開国しなさい」と言われるんです。
そして、事実認識も間違っています。日本は開国していないのか。平均関税において、日本は3.3%です。アメリカは3.9%。EUは4%です。自動車については、日本はゼロ。米国は2.5%。そういう事実認識もないままに、開国しなければいけないと。国内の人達を説得するならわかりますよ。でもいきなりダボス会議で、世界に向かって日本の交渉力をいきなり弱めてしまった政権。そういう政権には無理であろうということを申し上げたいと思います。
自由な貿易は日本にとって国益であるということは、すでに申し上げてきた通りであります。同時に、守るべき国益もあります。その中で、私たちの公約として書いております。

Q
(共同通信・鈴木記者)財政再建よりもデフレ脱却を優先させる考えなのか。
A

その考え方は基本的に無理な議論です。財政再建なのかデフレ脱却なのか。財政再建なのか経済成長なのかということですね。経済成長によって全ては解決しません。しかし、経済成長しなければ絶対に財政再建はできない。デフレ脱却で全てが解決するわけではない。デフレ脱却をして、名目経済を成長させなければ絶対に財政再建はできないですね。それを申し上げているんです。民主党は、私が財政規律を軽視しているかのごとく発言をしています。民主党だけには言われたくないという気持ちでいっぱいだということを、はっきりと申し上げておきたいと思います。
民主党政権、今一体、赤字国債をいくら発行しているんですか。44兆円じゃありませんか。安倍政権の時は、25兆円でした。そして、赤字国債発行額の減額においては過去最大の減額を行ったのは、安倍政権であります。今の政権、例えば鳩山政権はいくら使っているか。95兆円の歳出をしています。安倍政権は補正予算を入れても81兆円でした。税収が51兆円あるにもかかわらず、81兆円にしています。民主党政権や鳩山政権は40兆円しか税収がないのに94~5兆円使っているわけであります。果たして95兆円使って名目経済は増えたのでしょうか。安倍政権の時は81兆円で名目経済は513兆円でありました。民主党政権、鳩山政権で94~5兆円使いながら、480兆円ではありませんか。もう、その結果を見ていただければ明らかだろうと思います。プライマリーバランスについても、マイナス30兆円ですね。安倍政権においては6兆円以下でありました。

Q
(東京新聞・生島記者)消費増税の判断について、来年秋に行うわけだが、デフレ脱却ができなかった場合、総裁選では消費増税について否定的な発言をされていたと思うが、どのような判断をしていくのか。財政規律について、44兆円の枠を守っていく考えはあるか。今回は政党数が多い選挙になっているが、自民党としてはどのように差別化を図るのか。
A

最初に、来年消費税を上げていく。3党合意の下に法律を成立させています。その中で、附則18条があります。法律に則って、我々は判断したいと思います。そして、民主党政権が44兆円という枠を閣議決定しています。我々は、その中で景気動向を考えながら、これから我々は言わば選挙を戦うわけです。勝ったことを前提にした議論は、今はするべきではないだろうと思います。
その中において、勝った政権が当然、税調を行い、税収見積もりを立てていく中において、果たしてどれくらいの財政規模においてデフレ脱却に向けて経済を後押しできるか、財政政策を考えていくべきだと思います。
次に、基本的に、これだけ沢山の政党があるという中において、我々は他党を横目で気にしながら政策を考えるつもりはありません。我々は、先程申し上げた通り、できることしか書いていない。そして私たちの政策をしっかりと実行していけば、実行する能力はある。実行していけば、必ず、新しい朝を迎えるんだということを堂々と訴えて、選挙戦を戦っていきたいと思います。

Q
(ニコニコ動画・七尾記者)できることしか書いていないとのことだが、他方で、民主党は書いていないことをやった。自民党は書いていないことをやることはないということか。
A
経済は様々な動きをします。そして国際社会も動いています。その中で対応するということは当然ですね。民主党が書いていないことをやったということは、やらないということをやったんですね。そういうことは、私たちはしません。当然、社会が色々と動いていく中で、想定していないことが起こることがあります。そういう事態に対応するということは、当然ありえます。民主党の場合は、消費税を上げないと言ったんですから。上げないと言ったことをやる。そういう次元の主要な施策を全く真逆にするということはないということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。
Q
(産経新聞・佐々木記者)自民党は今年憲法草案をまとめたが、憲法改正への道筋について、今後どのようなスケジュール感で進めていくのか。
A

憲法を改正するためには、3分の2という多数派を衆議院、参議院、それぞれで形成しなければいけません。これは極めて高いハードルです。今の段階では衆議院では100名弱しかいないわけであります。民主党は今何人いるか、正確には分かりませんが、その中においてどうやって多数を形成するか。まずは衆議院の結果ですね。私は96条の改正から始めるべきだと思います。それに賛同する方々がどれだけ新しい院の構成の中で、当選を果たすかどうか。参議院は、変わりませんから、その意味においては、衆議院を経た後、来年の参議院での大きなテーマになるんだろうと思います。

  そして先程の金融政策について付け加えてお話をさせて頂きたいと思いますが、昨日の夜、私のFacebookにアップをいたしました。そこで私の発言が正確に伝えられていないので、そのことについて改めて念押しをさせていただいておりますが、物価目標については、インフレターゲットについては2%~3%と、私は3%が良いと思っているけれども、それは専門家に任せるとして、3%と言ったことはありません。それと同時に、建設国債を日本銀行が買うということについては、買いオペにおいて日本銀行が買っていくという説明を常にしています。これは市場から日本銀行が買う。直に日本銀行から買うということを言っているわけではないということは、私の周りにいる皆さんは御承知の通りだと思いますが、日本銀行が直接買い受けるということを前提に様々な質問がなされておりますが、それは言っていない事を前提にしているにすぎないと思います。そのことは、はっきりと申し上げなくてはいけないと思いますが、私のFacebookをご覧いただいた方はすでにご承知だと思いますが、イェール大学の濱田先生、経済学の泰斗と言っても良い方だと思いますが、濱田さんが私の述べていることが正しいという主旨のFAXを送っていただきました。極めて分かりやすく書かれておりますので、見ていただきたいと思います。