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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成24年8月2日(木)15:30~15:55
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

(役員会の内容説明)
谷垣禎一総裁

今、参議院で審議中の税と社会保障の一体改革についてですが、我々は三党合意に基づいて参議院での審議を積極的に真摯に進めてきたわけであります。そこで公聴会もセットができましたし、審議時間も積み上がってまいりましたので、8日に採決をしたらどうだという我々の提案に対して、民主党は20日の採決を提示する。採決の引き延ばしを画策しているとしか思えないんですね。今まで与党がこういう行動を取ったことがあるのかと、私は甚だ不思議に思います。三党合意を本当に真摯に実施していくのに、今の民主党政権の体制で出来るのかどうか。私は大変深刻な矛盾を感じているということを申し上げたいと思います。
山口県知事選挙についてですが、わが党が推薦しておりました山本繁太郎候補が当選させていただきました。一時苦戦との報もあったようですが、それぞれの方がそれぞれの部署で本当に地道な努力を積み重ねていただきまして、立派な成果を挙げることができました。皆様方のご支援、ご尽力に、改めて心から感謝を申し上げたいと思っております。

質疑応答

Q
民主党が一体改革法案を20日の採決と提案してきていて、やる気が有るかどうか分からないという中で、昨日も申し入れがあったが、自民党内から「三党合意を破棄すべきだ」との意見も出てきているが、この点についてはどうお考えか。
A
民主党がやる気があるのかどうか分からないとのことですが、私はやる気がないんだと思っています。こういうやる気のなさ、三党合意を誠実に実行する誠意のなさ、これに対する怒りは昨日の申し入れの皆さんと全く共有しております。ただですね、私が考えておりますことは、先程も申し上げましたが、注意して聞いて下さい。三党合意をきちっと押し進めていくことを、今の民主党政権が出来るのかどうか。三党合意の精神をきちっと体現していくには何が要るのかと。そういう文脈で物事を考えております。
Q
今の民主党の体制で出来ないと判断した場合、自民党としてはどのような対応をするのか。問責決議案や不信任案を採決前に出すべきだとの声もあるが、総裁のお考えを。
A
一足飛びに結論を申し上げるつもりはありません。
Q
自民公明以外の野党の中で採決前に衆院に内閣不信任決議案を提出しようという動きがあるが、不信任案が出された場合の対応は。
A
そういう動きがある事は承知しておりますので、よく注視していきたいと思っております。
Q
同調する考えはあるか。
A
要するにですね、この問題は今の政権を信任できるかという非常に深刻な問いを我々に突き付けているということです。
Q
不信任案が提出された場合、数的には野党が足りないが、今後、与党内の造反への働きかけを展開する考えはあるか。
A
あまり仮定の質問に仮定を重ねて答えておりますと言わなくて良い事も言ってしまいますので、これ以上申し上げませんが、色々考えなくてはならないということだけは申し上げておきます。
Q
先ほど幹部の方々が集まって対応を協議していたようだが、話せる範囲で内容を教えて頂きたい。
A
私が入っていなかったと思いますので、入っていた方にお聞きください。
Q
会合の出席者によると、民主党が8日の採決に応じない場合は法案の採決前に問責提出決議案を提出するという考え方で一致したとのことだが、総裁のおっしゃった三党合意の精神を体現するには何が良いかという文脈と照らし合わせると、このような考え方も総裁の考え方の枠組みの中に入ってくるということか。
A
それぞれ、色々な文脈で我々の発言を検討していただければ良いと思います。
Q
あり得るということか。
A
それぞれの文脈をどう皆さんが読みとるかということです。
Q
仮に法案に協力せずに問責を出すとなれば、消費増税法案は廃案になるが。
A
私はそういう文脈では物を考えておりません。三党合意は必要だからやったんですね。必要だからああいう結論を出したんです。その精神をきちっと体現していくにはどういう方法があり得るのかということが、私の問題意識です。
Q
三党合意は今国会で法案を採決するという中身だったが、その情勢が不透明になる中で、改めて総裁が野田総理に会って、本当にやる気があるのかどうか、民主党の体制を整えるのかどうかということを確認するタイミングが来ていると思うが。
A
私から会談を申し込む考えはありません。
Q
総裁は常々、「野田総理の法案を成立させたいという思いは信じたい」としてきたが、一方でここに至る経緯の中での発言を見るに、もう民主党政権は信頼できる相手ではないと認識していると感じるが、現時点ではどうお考えか。
A
深刻なジレンマを感じております。
Q
三党合意の精神をどのように体現するかについて、昨日の若手の申し入れの中でも、三党合意の基盤が崩れているということで、破棄した上で解散総選挙に追い込んで、そこで改めて自民党として中身を実現すべきとのことだが、こういった考え方についてはどうお考えか。
A
先ほどから何度も申しあげている通り、三党合意の内容を具現化するにはどうしたら確実にいくのかということを私は考えております。
Q
三党合意は、今ある三党合意にこだわることもないということか。
A
そんなことは言っておりません。三党合意を現実化するにはどうしたら良いのかと。今のままで出来るのかということに、色々と考えを巡らせております。
Q
野田総理が原発のデモの主催者と面会するとの報道があるが、総裁はどのようにお考えか。
A
総理のご判断だと思います。それ以上はコメントを控えます。
Q
政府のエネルギー関係会議が2030年時点の原発比率について3つの案を出しているが、総裁はどれがふさわしいとお考えか。
A
私はですね、どれがふさわしいというよりか、そのためにどういう手を打ちうるかということをよく考えなくてはならないと思います。常々自民党の案が言っておりますように、再生可能エネルギーの可能性は徹底的に追及していかなくてはなりません。しかし、現時点でその可能性がどれだけあるのかは十分把握できているとは、私は思っておりません。我々の考え方は、十年くらい再生可能エネルギーの可能性を追求して結論を出すべきだとしています。そして安全性を確認することが大前提ですが、再稼働は現状に置いて再稼働しないという選択肢はないと申し上げてきた。私はそういうスタンスに立っております。
Q
使用済み核燃料について、今後も再処理を続けていくべきというお考えか。
A
私は基本的に核燃サイクルをやるべきだと考えておりますが、党の中で、その議論は十分熟していないと思います。
Q
国会事故調の黒川委員長の参考人招致をすべきかどうかについて、みんなの党は自民党と民主党が招致に反対していると主張しているが、改めて自民党として国会招致についての賛否と、その理由をお伺いしたい。
A
国会招致というよりも、あれだけの仕事をなさったんですから本会議なり何なりで報告があってしかるべきであったかと思います。そういう問題提起を自民党側が理事会で提案したはずですが、あの時は与党側が反対して実現しなかったという報告を受けております。
Q
国会事故調の報告書が出されて1ヶ月が経っているのに、いまだ受け皿が決まっていないということの理由についてはどうお考えか。
A
それは与党の中でですね、もう一回差し替えろみたいな話になっているわけでしょ。それからあれが外に流れたのも、全て与党、官邸から出ていると聞いています。そういう情報管理のずさんさに加えてそういう与党の足並みの乱れもある。政府といっても、国会に関連することは与党が責任をもって進めなければならないわけですが、そういう体制が全くできていない。真剣な提案なのかどうかということすら疑いたくなりますね。
Q
そういうことからしても、民主党の政権担当能力は破綻しているということか。
A
結局私どもが憂いているのはですね、税と社会保障を巡って党内で深刻な対立があったことは我々も知っているわけですが、その問題に留まらずですね、今の問題にせよですね、党として一つの意見を集約していくことができなくなっている。これは本当に規制委員会とですね、税と社会保障の問題だけなんだろうかと。あらゆる問題でそういうことが起きて、議論をしても煮詰まらない状況があるのではないか。大変危惧の念を持って私は見ております。
Q
国会事故調の報告書の受け皿が決まっていない事については。
A
これは私どもも今まで国会事故調に限らずですね、四つ大きな報告書が出ておりますから、十分それを咀嚼するのは難しいですが、我々はあれをしっかり分析して、色々な議論に使っていかなくてはならないと思っております。それはやらなくてはならないんですが、どういう形になるか、それは議運で議論されるのだと思います。
Q
一ヶ月経ってもそこが見えてこないことに関しては。
A
かつて申し上げたことがあると思いますが、政治の仕事というのは、限られた時間の中で仕事をしているのであって、無限に時間があるわけではありません。だから、やはり仕事を処理していくカレンダーを作れないようではですね、与党が役割を果たせないと思います。今度の採決についても、先送りするようなカレンダーはいくらでも作るのかもしれないけれど、物事をどう処理していくかというカレンダーを作れないというのは、政策の中身がどうだこうだというのも大事な議論だけれども、政策は良い、悪い、あるかもしれないが、要するに国政を運営していく能力というか体力に深刻なクレームがついている状況ではないでしょうか。
Q
9月に発足を目指している規制委員会の人事案が国会に提案されている。この人事案が適任かどうかについて総裁のお考えを。
A
それ以前の問題ですよ。与党がそれを推進していこうという体制も何もないんだから。論評以前の問題です。
Q
来年の参院選の候補について、野党になって疎遠になった団体もあると思うが、関係についてどのように修復を図るのか。
A
選対局長なり幹事長に聞いていただけければ良いと思います。
Q
先ほどの人事案について、来週採決との報道もあるが、そうなると自民党は反対ということか。
A
まず賛成か反対か言う以前の問題だと思います。まず与党として責任ある体制をとってこいということです。
Q
三党合意の精神を具現化するためには、今国会での成立にこだわらないということもあるのか。
A
こだわらないというよりか、はたして出来るんだろうかということですよ。
Q
公明党は採決前の問責決議案の提出に反対の立場だと思うが、公明党と異なる対応を取る可能性はあるか。
A
公明党とは意見のすり合わせもしながらやってきましたし、今後もそうしなければならないと思います。ただ、私どもが直面しているのは、三党合意を押し進めようとしても、日時も8日の提案に対して20日だと言うわけです。会期はいつまであるんですか。そしてこれをやったら、今度はこうだというようなことがいくつもあるような状況を私は憂慮しております。
Q
三党合意を具現化していくためには、法案の採決に先立って国民に信を問うという判断もあり得るということか。
A
元々我々はですね、事前に国民の信を問うてやるべきだという立場をとっていたわけです。しかしある程度、我々の言い分も呑んだこともあってですね、三党合意を結んだんです。しかし三党合意の論理そのものからしてもですね、結局のところ国民に嘘をついた信頼感のない中では、本格的に三党合意を進めていく事は困難だろうと私は思います。従いまして、法案が通ったら直ちに解散をして、信を問うて、そして例えば国民会議のようなものもそういう国民の信任を頂いた状況の上でキックオフしていくのが正しい状況だと思いますね。そういったことを全て含めて、今の政権がそれをこなし得るのかということは、よくよく吟味しなければならないと思います。
Q
昨日野田首相が連合会長との会談で予算編成をやり抜くという強い決意を示して、年内の解散総選挙がないという意向を示したとも受け取れるが、谷垣総裁はどのように受け止めているのか。
A
今。縷々申し上げてきたような野田総理の足下の状況を見ると、来年度の予算編成をおやりになる力はもう残っていないと私は思っております。足下をよくご覧になる必要があると思いますね。我々からすると、そう見えているということもお感じにならないとなると、深刻ですね。
Q
野田政権では予算編成はできないということか。
A
そんな力があるんでしょうか。
Q
野田総理が来年度予算に言及したということは、三党合意の枠組み、三党で協議していく枠組みを残したまま進めていくことが念頭にあると思うが、予算編成までお付き合いする考えはあるか。
A
あまりここは沢山答える気はないんです。「俺に喧嘩を売ってるのか」という気持ちは、正直持っています。
Q
今国会中に解散すべきだというお考えか。
A
そういうことですね。