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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成24年7月26日(木)16:20~16:45
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

(役員会の内容説明)
谷垣禎一総裁
 

明日からロンドンオリンピックが開催されます。昨日も、なでしこジャパンが初戦で勝利をおさめまして、良いスタートを切りました。大変嬉しく思っております。日本代表選手の活躍を心から祈っておりますし、楽しみにしております。

質疑応答

Q
参議院で審議が進んでいる税と社会保障の一体改革だが、今日の理事懇で8月6日・7日の中央公聴会がほぼ決まる情勢である。法案の採決はいつ頃を目指すべきだとお考えか。また、特例公債法案の採決をどう取り扱うべきとお考えか。
A

細かな国会運営は、私が指図するというよりも参院の国対にお任せしているわけですが、元々大変不審な動きがありましたね。こういう重要法案の審議の時は、与党が中央公聴会の日程を作るというのはいつも攻防の焦点になるわけですね。それをしないと採決ができない。ところが、我々が31日を主張したのにそれを拒否して、一時は一体どうしたんだろうと思いましたが、今おっしゃったように6日・7日でだいたいセットされるのかなと、まだ報告は聞いておりませんが、思っております。本来、我々が31日と言うのもおかしな話であって、与党の方から積極的に主張してこなければならないわけです。積極的に審議を進めていこうという与党の姿勢、三党合意の基礎ということになりますけれども、そういうものを本当に維持していく気があるのかどうか、それは今後も厳しく見ていかなくてはならないと思います。そしていつ採決するのかということは、我々の基本的な考え方としては、審議が尽きたら粛々と採決すべきだと考えておりました。今の審議時間から考えますと、お盆前の採決は当然そういう流れになるのではないかと思っております。特例公債法等々色々な事を言ってきておりますが、我々は三党合意を真摯に守って来たわけです。これを貪るというよりも、むしろ喧嘩を仕掛けてですね、三党合意の税と社会保障の審議を押しとどめようという腹黒い意図が秘められているのではないかとすら思えるような国会運営で、野党に配慮した国会運営がなぜできないのか、大変遺憾に思いますね。

Q
一体改革法案の採決の前に特例公債法の採決をしてほしいという与党側の希望は、受け入れるわけにはいかないということか。
A
総理が政治生命を賭けて、これだけはやりたいとおっしゃることが、我々が合意した一つのことですよ。しかし、それを先送り先送りするような動きがあちこちに、随所に見られてですよ、それで「こっちを先に」なんて言うのは、何と言うか、いくら性善説を信じる私であっても、なかなかそうは聞いていられないということになりますね。
Q
民主党側が時間稼ぎのような手法をとる背景には、与党側としては、一体改革の法案が成立すればすぐに自民党が参院に問責を出してきて、審議がストップすると。だから早く通してほしいということのようだが、総裁としては、関連法案が成立したら速やかに問責を出すお考えか。
A
というより、そういうことを表向きおっしゃっておられますが、私はそういう風にはとっておりません。税と社会保障の採決を先に延ばして、そのための口実としてこのようなことを言っておられるというのが、私の理解です。
Q
問責へのお考えは。
A
私の考えはそういうことですから、余分なことを言う必要はないと思っております。
Q
選挙制度に関し、0増5減の法案について、週内に党内手続きをして提出とのことだったが、法案を明日の総務会にかけるということか。提出も明日ということか。
A
明日の総務会にかけます。週内には提出することになると思いますが、もう一度執行部で意見をすり合わせる必要があると思いますが、そんな大きな姿勢の違いはないと思います。
Q
与党側は自民党が0増5減の法案を出してくれば、消費税法案の前に...
A
すぐに消費税法案云々と言うが、そこがよく分からないんですよね。私はよく分かりませんね。
Q
総裁のスケジュール感としては、いつ頃選挙制度を。
A
早くて良いんです。早くて良いんですが、そこに邪悪な意図を感じるというのが、私が繰り返し申し上げていることであります。今国会で成立を図っていかなくてはならないことは、当然のことですね。
Q
提出にあたって、公明党の理解を得なければならないと思うが、これはコンセンサスを得られているのか。
A
これは明日また公明党とも色々話をしようと思っております。
Q
党首同士でということか。
A
そういうことになると思います。
Q
国土強靭化について、昨日、民主党の前原政調会長が講演の中で自民党の掲げる国土強靭化について「昔の政治に逆戻りするのかという感じがする。公共事業のバラマキ先祖がえりを認めてはいけない」と言っているが、総裁の見解があれば。
A
我々の世代は皆さんの世代と違いまして、皆さんの世代はマルクスを読まれた方は少ないと思いますね。我々の世代は結構マルクスを読みました。なかなか毒舌な方でですね、そのマルクスの書いた何の文章かは忘れましたが、「丸を書いて、初めから黒く塗っておいて、あいつは黒い」という手法だという表現が何かにあったと思います。今の前原さんの発言はそういうことだと思います。自民党を黒く塗って、自民党は黒いと、そういう発言であるとご理解下さい。
Q
東日本大震災を踏まえた災害対策など、公共事業には、一定の必要性は認められるというのが自民党の主張だと思うが。
A
今そうおっしゃっておられることがあると思いますよ。それから例えば、日銀が大阪でどういうことを考えなければならないかと言えばですよ、もし首都直下型の地震が起こった時に、日本の金融機能は完全に麻痺してしまうかもしれない。その時バックアップするのは大阪である。したがって日銀は大阪で首都圏がガタガタになった時に日本の金融機能がストップしないような仕組みをきちっとつくらなければならない。おそらく日銀の幹部はそのようなことを考えていると思います。そういうようなことを含めて色々と考えなければならないことがあるということは、よほど黒いものを黒く塗って黒だと言おうとしない限り、十分ご理解を頂けることではないかと思います。
Q
中央公聴会の日程が決まれば採決の日程が見えてくると思われる。お盆前、お盆後という事が言われておりますが、お盆中も国会をやるべきとお考えか。
A
国事のためには、日時を問わずに議論するのが政治家たるものの務めだと思いますよ。ただやはり、日本人の生活というのは色々な儀式もあり、パターンもあり、国民生活と一体となってやっていかなければなりませんからね。そもそも、そういう意味での政治カレンダーをきちっとうまく描いて与党が臨んでこられるのかどうか。私はそういう点では今の政権は非常にカレンダーの作り方、有限な時間をどうきちっと管理して効率を良く政治を進めていくかという点では、非常に欠点が多いと思います。
Q
軽減税率について、公明党は消費税8%での導入を視野に党内で勉強会を立ち上げているが、総裁の受け止めを。
A
軽減税率は、議論しようということになっているわけですが、これは色々な局面から考える必要があると思うんですね。これから議論を詰めていただけば良いと思いますが、やはり相当技術的な局面からも考えていかなければならない。そうすると、今の日本の間接税制度は、インボイスというものを使っておりませんが、軽減税率をやっている国はみなインボイスを使ってやっているわけです。そうすると、今まで帳簿につけてそこから仕入れを引くという方式からはだいぶ変わってきますね。そういったものの準備とか色々考えますとね、さてどうかな、というのが私の率直なところでありまして、単にそれが良いか悪いかだけではなしに、これから導入していく段階での技術的なものも含めて十分議論しなくてはならないのではないかと私は思っております。
Q
森元総理について、今季限りでの引退を表明されたことへの感想と、記者団に対し、現時点で谷垣さんしかいないという表現で総裁の9月の総裁選挙における再選支持を表明したことについての受け止めを。
A
森元総理が、自分の引退を表明された場をどうセットされたかということを考えますとね、長い間お考えになってきたことの結論だろうと思います。私は、総理経験者が国政の上で果たす役割というのは、総理経験者は全部辞めろという威勢の良い議論もありますが、総理経験者が国政の上で果たされる役割というのは、非常に色々な所であると思います。森元総理は色々なことをお考えになってこういう結論をお出しになられたので、その結論は動かないのではなかろうかと思っております。それから、森元総理が私のことも色々おっしゃっていただいたことについては、ありがたいことだと思っております。
Q
森元総理はこれまで総裁に対して厳しいアドバイスも多かったと思うが、そういった方が支持をされるということで、かなり再選に弾みがつくと、総裁ご自身もお考えか。
A
私はですね、そういうことよりも、今まずやるべきことをやろうという方が頭にありますので、今おっしゃったようなことに関して、含蓄のある表現でお答えすることはできません。
Q
森元総理は先週金曜日に総裁と2時間ほどじっくり話したと記者団に明かしているが、可能な範囲で、会話の中でどのようなアドバイスがあったかについてお教え頂きたい。
A
2人で色々ご指導頂いたことをいちいち申しあげるのはいかがかと思いますが、やはり長い間の経験から含蓄のあるご指導を頂いたなと思っております。
Q
週末の官邸前デモについて、規模の広がりについて総裁はどう受け止めているのか。デモの主張は再稼働反対で、自民党としては安全性を確保した上で再稼働という立場だが、政治としてこうした声をどう受け止めるべきとお考えか。
A

私は、ああいうデモに鳩山さんが参加されるのは、今までのお立場からいかがかとは思いますが、多くの国民の間に原子力発電に対する不安があるのはこれは否定できな事実だと思います。どこかでその不安を表現する道を探しておられる人が沢山おられるということも、間違いのない事実だと思います。政治の仕事は、そういった不安感を払拭させるというのが、どういう立場にあろうと政治の大事な仕事だと思いますが。これは、政府のエネルギー政策の方向に対してですね、どうなっているんだろという不安感があるんだろうと思います。それから、最近ようやく色々な事故調査が出揃いましたが、かなり人災であるとかですね、今の政権の対応に対する疑義をそれぞれの調査が表明しているわけですね。そういったことに対する、多くの国民の不満、不安というものがこういう形で表れているのではないかなと思います。したがいましてこれは、第一義的には政府がということになりますが、政府だけではなく、我々野党もそれぞれの立場で、そういう不安を払拭するような努力をしなければいけないと思います。そういう意味では、ああいう国会で規制委員会がようやくスタートして、今日、人事の提示があったんでしょうか、速やかに立ちあげてですね、透明で安心のできる科学的根拠のある議論を進めていただいて、そういう不安を払拭する努力を一段と加速するということが必要ではないでしょうか。

Q
原子力規制員会の人事の中身について、田中俊一さん、今度委員長就任が提案された方だが、この方は専門が物理の方で、必ずしも原子炉の構造や原発のプラントに詳しい方ではない。こういう人選について国民に安心を与えるという意味ではどのように評価しているのか。
A
これはですね、わが方も検討委員会がありますから、そこで議論をしていただく。まだ結論を出したわけではありませんから、私もそういったことをよく伺って判断したいと思います。
Q
邪悪な意図を感じるとおっしゃったが、お盆前の採決を想定して、お盆前に一体改革を含む重要な法案、課題を乗り越えるための党首会談の実施についてどうお考えか。
A
私から求めるものではないと思っております。
Q
野田総理から総裁に要請してきた場合、お受けになる考えはあるか。
A
真摯なご要請があれば、一考に値するとは思っておりますが。私の方から求める気持ちはございません。