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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成24年5月17日(木)15:00~15:30
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

(役員会の内容説明)
谷垣禎一総裁

先日15日、沖縄県の本土復帰40周年記念式典に出席してまいりました。先の大戦で失われた尊い命、そして戦後に強いられた多大な苦難、そうした沖縄県の皆様の気持ちを改めて胸に刻んで、そして沖縄県の平和と発展に努力されてきた先人達への畏敬の念も忘れずに、改めて、未来に向けて党を挙げて取り組もうという決意をしたところであります。

他方、普天間基地をはじめとする沖縄県の基地問題、大変これは難しい問題でありますが、防衛大臣がこの責務を果たすに十分であるかどうか、これは誰の目にも適格性を欠くということが明らかであります。また、公職選挙法違反が明白である前田国交大臣も含めまして、両大臣がその大臣の任に不適格であることは明白であろうと思います。野田総理は、参議院において問責を受けた2閣僚を一体いつまで店晒しにされるのか。一院が示した問責という意思に対して、何ら正式な回答が無い事に対して、私は強い憤りを覚えております。人事に対してより真面目に、真剣に対応すべきではないかということをまず申し上げたいと思います。

質疑応答

Q
2人の問責閣僚について早く更迭すべきだとおっしゃったが、昨晩、山口公明党代表と会った際、そうした認識で一致したのか。総理の任命責任についてはどうお考えか。
A

不適格な閣僚を任命してそのまま店晒しにしている、何のお答えもないということには我々は強い憤りを持っておりますし、そういう方を任命されたわけですから、けじめをおつけになる責任があるのではないかと思っています。

Q
場合によっては総理の問責決議もカードとなって来るということにつき、山口代表と話があったのか。
A

山口代表とはまだそこまで話をしておりません。何事もステップバイステップです。

Q
一体改革の審議が今日からスタートしたが、週明けからは野党の質疑が始まる。2閣僚の更迭がない場合、21日からの審議にはどのような対応をするのか。
A

そのあたりは幹事長、国対委員長に対応を任せたいと思います。私は個々の国会の運営にまで申し上げる気持ちはありません。

Q
今日の派閥の会合で、古賀会長が「国会が仕事をしていない、このような状況では国民に申し訳ない」と、現在の自民党の姿勢を批判した。国交委員会などは動かしても良いのではないかという声が現場ではあるようだが、消費税以外の委員会でも国会に応じる可能性はあるのか。
A

原則として言えば、問責を突き付けられて何もしないことに対して、審議をやれるという状況ではない。審議ができる状況をつくるということは、与党の責任であることは明白であると思います。その上で、税と社会保障の一体改革の審議に応じているということは、我々も国民生活にとって喫緊のものに対しては、柔軟に応じようという意思の表れでもあります。問責と言う重大事に対し、柔軟にということでは済まないでしょう。

Q
国民生活というのは、消費税に限らないのか。
A

すぐに結論を出して、オールオアナッシングというような議論をしているわけではありません。これだけの大問題に対して、原則は、政府の方から審議が進むように努力をされるべき。まずそれがなければ、何の回答もない状況では、責任は政府にあるということは申し上げておきたいと思います。

Q
国民生活に喫緊のことに対しては柔軟に応じるということだが、原子力規制庁の設置法案については、原発の再稼働と絡んで国民生活に多大な影響を与える法案だと思うが、この法案の審議について、2閣僚問責と絡んでどうお考えか。
A

我々が議員立法で出している法案の中身には自信を持っております。それをどう解決するのかということは、まずは政府の方から働きかけがあるべきだと思います。

Q
民主党の輿石幹事長が、衆参同日選挙に関する発言であるとか、「2閣僚を辞めさせる必要はない」であるとか、ある意味野党の神経を逆なでする言動が目立つが、こうした対応は国会審議にどのような影響があると考えているか。
A

政府与党というものは、政府が責任をもって提案した議案、法律案に対して少しでもそれを前に進める努力をするのが与党としては当然の責務だと思います。そういうことを進める、総理が政治生命を賭けていると言っている、それを推進するための強力な武器は解散権ですが、それを先に持って行って、進めるつもりがないというのは、与党としての責務を放棄したものであるように私には映ります。

Q
議員歳費削減につき、さらに取り組むことで国民の理解を得られると思うが、総裁のお考えを。
A

この議論をする時には、歴史も考えていただききたいと思います。歳費が必要だという議論は、私の高等学校で学んだ記憶に誤りがないとすれば、チャーチスト運動の中で生じてきたものであります。それまでイギリスの議会は、ほとんど貴族であるとかジェントリーという階級の人々、つまり資産・信用があって、報酬がなくても国務・国政に専心できる人しか政治の場に入れなかった。それでは資産・信用がない者が政治に参画する道がないということで、こういう運動が起こったわけですね。それから時代は随分経っております。当時と同じ事情があるとは思っておりません。国民の声にも十分に耳を傾ける必要があるとは思いますが、若い、何ら政治的足掛かりのない方々が、国会に出たい、国政に参画したい、そういう意思を持たれた時に、ポンと20代の方が、今までの蓄積をかけて選挙に出られたとして、その後どうやって政治活動を続けていくのかという点について、全部をとは申しませんが、多少の愛情を持って見ていただければと思います。事柄は議運や議会制度協議会でご議論いただければと思います。

Q
選挙制度の抜本改革について、党内で議論の場を設けてくれという申し入れがあったとのことだが、どのような対応をお考えか。
A

選挙制度の抜本的見直しについて、党内でも開かれた議論をする必要があるのではないかということで、今日、私のところにお見えになりまして、そういう場を設けてくれというご要請がありました。私の下に特命委員会を設けて議論を進めていこうということになりまして、整理をしておりますが、具体的にどのような形にしていくかは、これからよく検討したいと思います。

Q
新しく作る特命員会では、中選挙区制が中心テーマになるのか。0増5減の話との関係は。
A

党首討論の時に野田さんに申し上げましたが、この問題にはいくつかの側面があるわけで、憲法違反と最高裁判所に指摘されている問題をどう解決するのかという、いわば緊急避難的な問題。それから選挙制度はいかにあるべきか、議員の数が多すぎるのではないか、そういった問題を一度に捌こうとすると一票の格差についての緊急避難もできない。なのでまず、5減を先にやるべきだということを党首討論で申し上げ、未だに政府与党からそれに対する真摯な対応はないという、まことに遺憾な状況であります。そのため、部分的な問題と、抜本的問題とをすぐに一緒に議論するとうまくいかないのではないかと思っております。今日申し入れの件については、広い観点から選挙制度はいかにあるべきかということを議論していただく必要があると思っています。

Q
石原幹事長が0増5減案について、自民党単独で提出する考えを示したが、総裁も月内提出という方針で固まっているのか。
A

今までこの問題は樽床さんを座長とする与野党協議の場で色々な議論があったわけですが、完全にデッドロックというのか、幹事長レベルに上げようということになったと報告を受けております。石原さんも、そういった場で強く主張されると思います。

Q
特命委員会という話もあるが、現在、党には「党・政治制度改革実行本部」、「選挙制度調査会」があるが、そことの兼ね合いをどうするのか。また、総裁は中長期的には中選挙区制が望ましいとおっしゃってこられたが、中選挙区を見据えた特命委員会ということで良いのか。
A

組織的な整理はこれからよく整理しなくてはいけない。細田さん、村田さんには今日来ていただいて、そうした要請もあったので、特命委員会を置いて議論することで了解を頂いている。私は現下の小選挙区制というものが、小選挙区制を中心にして、小選挙区制の行きすぎを補正するために比例を組み合わせているわけですけれども、これは私の個人的な認識でありますが、政権交代が可能な二大政党制を作ろうということがこういった選挙制度を作る背後にあったわけですね。その結果二大政党制に、二大政党制に類したものが出来あがりつつある。政権交代もできたわけであります。しかし多くの方が感じておられることは、この政権交代は成功ではなかった、失敗であったと思っておられる方が多いのではないかと思っております。選挙制度を議論する時は、そうしたことも含めて議論するものと思います。

Q
今日から特別委員会質疑が始まったが、野田総理の本気度、強い決意をどう感じたか。
A

今日の審議は必ずしも全部見ているわけではありません。総理大臣が政治生命を賭ける案件について審議が始まったわけで、それが総理の気迫が与党に十分伝わっていれば、当然緊張感に満ちたものになるわけですが、必ずしもそれが感じられなかったという報告を受けています。

Q
14日から世界ウイグル会議が開催されるに際し、中国大使館の程大使から国会議員に脅迫ともとれる抗議の文書が届いているが、国を代表する大使がこうした文書を国会議員に送ることについて、総裁はどうお考えか。
A

それだけ中国にとってはシリアスな問題なのだと思います。

Q
野田総理が昨日官邸で輿石幹事長と会談した際、小沢元代表に協力を求めたいと表明したそうだが、こうした野田総理の動きをどう受け止めているか。また、この会談が実現した場合、どういった対応を期待するか。
A

私から期待すべきことはございませんが、政治生命を賭けて重大事項を前に進める時は、十分に足元を固めることが当然だと思います。それが今まで十分にできていないのではないかという疑念を持っておりました。政治生命をかけておやりになるのであれば、足元を固める努力を真剣にすべきだと思います。

Q
野田さんと小沢さんの会談の結果、野田総理が、小沢元代表の軍門に下って採決を先延ばしするのか、あるいは政治生命を賭けて国会で対決をするか、2つの道のどちらに行くとお考えか。
A

追々分かってくるのではないかと思っている。

Q
仮に野田さんが軍門に下り、採決を先延ばしにし、進める意思が見られなくなった場合は、不信任・問責について、総裁は念頭に置いているのか。
A

それはポケットの中にあるというか、「伝家の宝刀腰に有り」というか、政治生命を賭けると言明されたことに対して、それがお出来にならないのであれば、考えなくてはならないでしょう。

Q
ポケットから出すタイミングは。
A

それは、抜く時は手を見せず、ということです。

Q
山口代表との話はどのような話をしたのか。
A

山口代表とは折に触れて色々な意見交換をしております。今回もお互いに何を考えているのか、今の事態をどう見ているのか、そういう意見交換で、特にテーマを決めて今日はこういうディスカッションをしよう、ということではありませんでした。

Q
党首同士が会ったわけですが、野田総理とも意見交換する必要性はお感じになるか。
A

必要性を全否定するつもりは毛頭ありません。ただ、2閣僚の問責をしてそれに対するお答えがきちっとない時に、よろしくやろうぜという話は難しいなと思っています。

Q
2閣僚を交代させた際には。
A

私は条件とか、そういう意味で言っているわけではありません。話をするには話をするだけの信頼関係とか、色々な前提が必要だということです。今のままで、2閣僚の問題があるなかではそれはなかなか簡単ではないなと思います。

Q
野田総理が税と社会保障の一体改革にかける思いを、総裁はどの程度信頼しているか。
A

信頼したいと思っています。

Q
まだ信頼できていないのか。
A

したいということころです。日本で政治をする者として、一番力を持っている方は内閣総理大臣ですから、その言葉を信じられなくなったら悲しいですね。だから信じたいということです。