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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成24年5月10日(木)16:30~16:51
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

(役員会の内容説明)
谷垣禎一総裁

昨日、茨城県・栃木県を訪問いたしました。竜巻災害の全貌、被害の状況を確認させていただきたいということで、わが党の災害対策特別委員会のメンバーの方々と一緒に被災地域の視察を行いました。今回の竜巻災害では、お亡くなりになられた方もございます。それから、家などをすべて破壊されてしまった方々、さらには昨年の震災の傷がまだ癒えないと申しますか、家もやっと建て直したなどという中で、再度重ねて被災に遭われた、ダブルパンチとも言うべき方々がいらっしゃる。心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

事前に、マスコミ報道による見聞、あるいは政府からの現況報告も受けていたのですが、実際に現地を歩く中で、私も今まで、洪水や地震、土砂崩れといった災害は見てまいりましたが、竜巻災害というのは今までどういうものかよく分からなかった。我々の想像を凌駕するものでありまして、大変驚いた次第であります。まずは竜巻被害の全貌をしっかりと精査しなくてはいけないと思います。

それから、現場の声を聞く中で、被災者生活再建支援法の適用につきまして、現行制度では、例えば竜巻で屋根が無くなってしまって、生活が困難になった住宅でも、なかなか「全壊」の認定を得ることが難しく、「半壊」とみなされてしまう等々、竜巻災害に対する想定が十分ではなかったと思われる点も見受けられた。今後、そうした適用範囲についての再検討も行うと同時に、そうしたことは多少時間もかかりますので、まずは現行制度の中でできることは速やかに対応策を出して行かなくてはならないと思います。災害対策特別委員会の方々とともに、早急に結論を出して行きたいと思います。災害対策特別委員会の中でも対案をまとめましたので、これを政府に申し入れたいということであります。

今日は本会議、社会保障と税の一体改革、二度目の本会議でありました。これからさらに本格的な審議に入っていくわけですが、私はこの際申し上げたいことは、問責を受けた二閣僚をいつまで放置しておくのかと。こういうことでございます。誰が考えても、この二閣僚は適格なのに、数の力で問責を出したと言うならいざ知らず、誰が考えても不適格だという閣僚に対して参議院の問責というものがありながら、これをいつまでも放置しておく。一体どういう神経をしているんだ、と思いますね。いわんや、交通問題や災害が起きている中で、このまま放置しておくとは何事か。人事に対して、もう少し真面目になって欲しいと、今日は特に、このことを申し上げたいと思います。

質疑応答

Q
問責二閣僚について、「更迭」が今後の自民党の審議入りに際しての必要最低条件か。
A

条件ということではなくて、要するにいつまでこの不適格な人を置いておくのかと。そのことが、今例えば、災害等で問題が起こっている中で、向こうはそれを条件に何か起こそうとかですね、何か駆け引きのような話をしているように見える。それを私は不真面目だと申しているのであります。

Q
午前中に岡田副総理と町村元官房長官が会談し、その中で「問責の二閣僚をなぜ更迭しないのか」ということについて、岡田副総理の方が「内閣の求心力が落ちてしまう。それによって法案を進める力も落ちてしまう」という主旨のことをおっしゃったそうだが、総裁はどう受け止めているか。
A

会談の中身を存じあげないので、こういう場でコメントするのは差し控えたいと思います。

Q
人事に関して不真面目だというのは野田総理のことか。また、消費増税についての本気度という観点からはどう見ているか。
A

私は、ごちゃごちゃ面倒臭くすることは好みません。端的に、この任命権者は内閣総理大臣であることは間違いない。それがどう影響してくるかなんてごちゃごちゃした色々なことをいうと話が分からなくなってしまう。的確でない閣僚の処遇の仕方を考えろと。処遇の仕方というのはこの場合は更迭ですね。そういう単純明快なことを申し上げているのであって、複雑なことを申し上げているのではありません。

Q
特別委員会が始まるにあたって、それまで問責閣僚が更迭されていない場合、自民党は審議入りについてどのような対応をするのか。
A

私は条件づけるとか、ごちゃごちゃした煩わしいことを申し上げているのではない。単純明快なことを申し上げている。

Q
(国会の)国土交通委員会や災害対策特別委員会を含め、国会が竜巻被害などに対して動かないことに対して、国民から自民党に対する批判も上がってくると思うが。
A

自民党に対する批判もあるかもしれない。皆さんも報道の仕方もお考えいただきたいが、こうした任務に対応している方がおられるなら別ですよ。問題は、やはりそれが一院の意思として示された。そのことに対して真正面から答えてほしいということで、それでとにかく国会の審議が有効に進むようにまず配慮する。それは多数を持っている与党がまず考えるのが当然だと思います。

Q
税と社会保障の一体改革について、対案の進捗状況やタイミングについてお聞かせ頂きたい。
A

私が、特に社会保障に対して、自民党の考え方をまとめておくようにと指示していることは事実であります。ただですね、ああいう風にするんだとか、こういう風にするんだとかいう推測に基づく議論がありますが、これは極めて理念的と申しますか、ものの考え方の基本を示すものを我々は考えておかなくてはならないと思っております。細かな数字が入るものを念頭に置いているわけではありません。それからいつ出すかというようなご質問も受けますが、これは国会の審議のあり方と関係がございます。まだ政府与党の方がどういう風に国会の審議をして行くのか、少なくとも私には明確な意思というものがよく受け止めておりません。具体的に申しますと、どんどん審議を進めて採決まで行ってしまうと、与党が割れてしまうということを議論される向きもあります。一方、この会期中に政治生命を賭けるんだという議論もある中で、どういう審議をされるのかということを我々もよく見極めながら考えていきたいと思っております。今のところ、具体的にお答えすることはございません。

Q
野田総理大臣が政治生命を賭けると言いながら、なかなか採決に持ち込めないという状況になれば、自民党としてタイミングを判断し、出さないということも考えられるのか。
A

それは色々ありますので、審議の先行きや政治情勢の変化をまだ読み切れませんので、出さないことがあるとかないではなく、とにかくポケットになければ仕方ないだろう、という意味のことでございます。

Q
議連で、一院制を求める法案を提出しているが、一院制に対する総裁のお考えと、議員立法の提出は所属政党の機関決定が必要だとする慣例があるが、この点についてどう考えているか。
A

今までの慣行に立てばそうなる。議員立法に関しては、各提案者所属の会派の承認が必要であるというのは、今までの議運の慣例であります。一院制は大いに議論をしていただければと思いますが、保利先生を中心におまとめいただいたわが党の憲法改正草案は、二院制ということであります。一院制を主張される先生方もかなりいらしたと聞いておりますが、やはり今回の政権交代を見ておりますと、一院制だと、一時の熱で振り子のように触れてしまうことがあるのではないか。二院制の抑止力というものも、もう一度よく考えるべきではないかという議論で、今回のようになっているわけですね。保利先生に色々伺いますと、二院制ですと衆議院が解散になっても参議院は存在しているわけですね。何か起こった時も参議院の緊急集会で対応できるけれども、一院制の時はどうするのかという制度的検討が十分に行われていないということもあるのかもしれません。そうした点を、一院制を目指す方々の中で、よく議論して頂ければと思っております。

Q
小沢一郎元代表の党員資格解除について、本日の衆院本会議において、野田総理が「党代表である私を含めて、全ての議員が同調すべきだ」ということをおっしゃって、党の決定を追認する必要はないということをおっしゃったが、野田総理の表明をどう受け止めているか。
A

民主党の中のことですので、そのことについて、他党からとやかく言うのはいかがかと思います。しかし本会議という場で野田総理が答弁されておられましたので、あえてコメントをいたしますと、皆で決めたから皆で尊重すべきだというのは、なぜあの時点で解除したのかという的確な、納得のいく説明だとは、議場で聴いていて受け止められませんでした。常識的に言えば、自民党の常識と民主党の常識は同じである必要はないのですが、我々の常識で言えば、控訴期間というものがあるならば、控訴期間の経過を見て判断しようというのが普通ではないかなと思いますが、我々の常識を民主党に押し付けようというつもりはありません。ただ、常識の違いから来る咎を背負っていかなくてはならないということでしょう。

Q
常識の違いについて、問責の二大臣について未だ更迭しないことと相通ずるものがあるとお考えか。岡田副総理は昨日の会見で、この二つは同じではないと言っているが。
A

それは全く同一の問題だとは思いません。ただ私どもも政権与党時代に、色々な不祥事もあったり、人事について更迭をしなくてはならないことがあったことも事実であります。そんな高みに立って論評することもなかなかできないですが、ただ、院から問責を受けた二閣僚をそのままにしておくとかですね、あるいはあえて控訴期間の中で判断を急ぐとか、今日の本会議でも出ておりましたが、子供第一ということを政権は言っておられるが、少子化担当閣僚はすでに9人目である。しかも今年に入って4人目であるということはですね、何か人事に対する考え方に真剣味を欠いているというか、重要性に対する認識が甘いところがあるのではないかと思います。我々も野党におりますと、一つ一つの野党の人事は、政府・与党ほど世間から厳しい目で見られていないのは、私は事実だと思います。ですから、政権にあって人事というものがどういう重みを持ったものなのかということを、まだ十分学んでおられないのではないかという印象を持っております。

Q
人事に関しての意識とおっしゃったと思うが、広い意味での法的感覚と言うか、順法精神が欠けているのではないかということか。
A

一つ感じておりますのは、制度、閣僚制度がどうあって、各省の制度がどうあってということをよく理解されておられないのではないかという気がします。それは政治主導ということを言って、今日も子ども家庭省を設けようとか議論が出ていたようですが、国家戦略本部を設けて担当閣僚を作るとか、色々なことをやっておられた。臨機にやっておられたが、閣僚にどのようなポストを配分するかは同時に制度の問題でもあります。そして制度の根底には法がなければいけません。そういう意識も、「政治なんてのは臨機応変にやれば良いや」と、なめたところがあったのではないかと思っております。