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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成24年4月19日(木)15:30~16:00
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣禎一総裁

【谷垣禎一総裁発言】

まず、田中防衛大臣、前田国土交通大臣に対して、参院で問責決議案を出したことについて申し上げたいと思います。田中防衛大臣については、安全保障の重責を担う閣僚に就いているわけですが、委員会から席をはずして何処に行ったか分からないですとか、防衛政策の知識があまりにも不足しているとか、答弁ミスも度々繰り返された等々、あまりにも資質を欠いた言動を見ておりますと、もはや、大臣としてその職務を担うに不十分であることは誰の目にも明らかではないかと思います。加えて、先の北朝鮮のミサイル発射の際にも、官邸との情報共有が十分でないままにフライング会見を行い、現場の無用な混乱を招く等々の問題もございます。それから、前田国土交通大臣については、岐阜県下呂市長選の告示前に、特定の候補を応援する文書を大臣直筆のサイン入りで作成し、名刺まで添付して、さらに国土交通省の封筒に封入して地元建設業協会の幹部宛に郵送した。これは、公職選挙法に定める不当な『地位利用』であるということは、はっきりしていると思います。さらに、「政務秘書官に促されるまま内容を確認せずに署名した」とか、「郵送先や用途などは知らなかった」とおっしゃっているわけですが、こういった説明が通るはずはないと言わざるを得ません。以上の理由から、昨日、田中防衛大臣、並びに前田国土交通大臣に対する問責決議案を出したわけであります。政府、それから両大臣においては、適切なご判断をなさると、このように考えております。

質疑応答

Q
政府・民主の会議が官邸で行われ、野田総理は「職責を全うしてもらう、二大臣を辞めさせるつもりはない」と発言されたようだが、このことに対する総裁の受け止めと、自民党の国会対応を含めた対応をお伺いしたい。
A

事実だとすれば信じられない対応であります。その資質と能力が欠如していることは明らかです。職務職責を全うしてもらうとおっしゃったとすれば、正常な判断ではないと思います。少し時間を置いてみれば、的確なご判断をなさらざるをえないと思います。

Q
国会対応については。
A

国会対応よりも、資質が欠如していることは明らかなのですから、まずはそれをきちっとされることが先だと思います。

Q
国会対応に対して、自民党は問責決議案提出後、二大臣の更迭が行われるまでは、衆参一切の審議に応じないということでよろしいか。
A

先のことを皆さんご関心になりますが、そんな馬鹿な判断がいつまでも通ると思いません。

Q
実際には、政権が強硬姿勢を強める中、自民党内にも「我慢比べを続けると苦しいのではないか」という意見もあるようだが。
A

そういう色々な観測や議論がありますが、そんな細かいことに私が答える必要はないと思います。むしろきちっとした判断を内閣総理大臣がしなくてはいけない、されるべきだし、されざるを得ないと思っております。

Q
現時点では問責決議案を提出して可決していない状況なわけだが、この段階で自民党として審議拒否に入っていることの理屈は。
A

色々なことがあったようですので、幹事長や国対委員長からお答えする方が良いと思いますが、問責より先に何かを強行して採決してしまった、向こうが力で押してきたということによると聞いています。

Q
今回の二大臣の問責決議提出を巡って、公明党との足並みの乱れがあったように思えるが。
A

党が違うわけですから、考え方の違いは時々ありますね。同じ党の中でも色々な議論がありますから、一枚岩というわけにはいきません。しかし友党としてきちっと議論をして、共通点を作っていく努力はしなくてはなりません。一つ言えることは、両大臣が資質を欠いているということについては、認識が一致していると思っております。

Q
野田政権を解散に追い込んでいくことについては、公明党との間に隙間は生じないか。
A
足並みを揃えて今後も歩む、これが一番の基本です。
Q
明日問責が可決されれば、政府が出席する、あるいは政府が関係する国会審議には応じられないという立場でよろしいか。
A

まだそういう立場だとは言っておりません。そういう先の議論を色々するよりも、まずは資質のない大臣を任命して、自ら撒いた種を刈ることが先だろうと。刈らない時はどうするというのはまた先の議論だろうと思います。

Q
郵政の委員会での趣旨説明について、自民党側から今日でなくて明日であれば良いという話があったとのことだが。
A

その辺の細かいことは分かりません。これは議員立法でありますし、きちっとやろうと考えております。

Q
参考人質疑がずれることもないということか。
A

国対委員長に聞いていただきたいと思いますが、問責出したから郵政を飛ばすということはないと思います。

Q
民主党は、24日にも一体改革の特別委員会を設置したいとのことのようだが。
A

まだよく聞いておりませんが、今まで前に進めるモーメンタムは失われているなと思っておりましたから、もし前に進めるモーメンタムがあるならば、我々がどう対応するか、国対でしっかり考えていただきたいと思います。

Q
前田国交大臣の問題について、本来刑事責任を問われるものだと思うが、弁護士出身の法律家としてどのようにお考えか。
A

すでに政治の世界とは別に市民団体が告発する動きがあると聞いています。我々はまず、政治的に動く立場です。この事実関係を見ますと、公職選挙法に抵触する可能性は極めて高いのではないかと思います。これは捜査当局もきちっと問題を解明しなくてはならないのではないかと思います。

Q
問責で、辞めれば済むという問題ではなく、政治的な疑惑があると思うのだが。
A

私はあると思っていますが、それはまた検察なり捜査過程の話ですから。まずは職責に関連して、こういう行動をされる大臣は、大臣をお務めになる資格がないと我々は申し上げています。その後はまた別の問題だと思います。

Q
公明党の山口代表は、問責が可決された大臣の所管事項については審議に応じることは出来ない。それを超えたものは、問責の主旨からして妥当ではないと。両大臣に関する審議には応じないけれども、それ以外の審議には応じるのが妥当だろうというお話だったが、これについて総裁はどうお考えか。
A

私は、先にやることをやれと申し上げている。その先どうするのか、あまり先のことまで議論する趣味はありません。山口さんの話のなかで明確なのは、問責が通った方の審議に応じられないのは当然ですね。それから先は向こうの出方です。

Q
野田政権で4人の大臣が問責を受けることになり、うち3人が参院から選ばれていることになる。野田大臣の任命の仕方、輿石幹事長の影響もあるのではないかと思うが、大臣を指名する責任感についてはどのようにお考えか。
A

色々とアドバイスや意見具申をする方はいらっしゃるでしょうが、結局総理大臣が任命するわけですから、責任は内閣総理大臣が負うべきだと思います。今までの流れを見ていますとね、閣僚を選ぶ基準、それに対してあまりにも脇が甘いというか緩すぎるんじゃないでしょうか。過去、我々が政権をとっている時も閣僚の不祥事で辞めるということがありましたけれども、しかし民主党の閣僚は、内容の程度が随分低かったり、あまりにも脇が甘かったりする事例が多すぎるような気がします。

Q
参院枠という言葉も聞こえるが、能力ではなく、いかに参院で輿石幹事長とうまくやるかということで選ばれているとの指摘もあるが。
A

輿石さんとどういう関係があるか分かりませんから、論評する能力がありません。

Q
先日発表した自民党の政権公約の原案に、消費増税10%が掲げられたが、景気の低迷や東日本大震災等々を経た上で、改めて同じ消費増税10%を盛り込んだことについて、その必要性をどう考えておられるのか。
A

必要性は色々言ってきましたので、今更申し上げる気はありませんが、色々な観点から必要性は言えるだろうと思います。何度も申し上げることですが、税収よりも公債発行額の方が多いというような予算を毎年組んでいるわけですね。そんなことが長続きするわけがないですね。それから、次の世代に責任を全て転嫁すると。そんなこともできるだけ早期に卒業するように努力しないといけないですよね。言い出すといくらでも申し上げますが、今はそのぐらいで。

Q
輿石幹事長が会見で、自民党が審議拒否をするということに対して、「それぐらいの覚悟でしょうと思っている。受けて立ちます。見ていて下さい」と、強硬とも思える発言をしていることについて総裁のお考えを。
A

輿石さんは総理に税と社会保障の一体改革をやらす気がないんだなと思います。総理はやりたいとおっしゃっておられるけど、党の分裂を恐れて、審議の先送りをすることが自分達にとって好都合である。したがって、こういうことで国会がもめることはウェルカムであるとおっしゃっておられるのだと思っております。

Q
昨晩公明党の池坊先生のパーティーが有り、総裁も挨拶をされていた。総裁は自民党の派閥や党所属の議員のパーティーには出席されていないが、なぜ池坊議員のパーティーには出席されたのか。
A

自民党内においては、私がこれに出てあれに出ないというわけにはいかないので、一律の判断をしております。友党公明党のパーティーは私は今まで出なかったわけではありません。お声がかかればできるだけ出るようにしております。これはやはり、他党とのお付き合いの関係がございますので。

Q
二閣僚を野田総理が更迭せずに留任させ続けた場合、税と社会保障の一体改革の特別委員会設置についても、自民党としては応じられないというお考えか。
A

これはさっきも申しあげましたけれども、どういう風に与党が出てくるか、出方を待つということを申し上げております。先程のような挑戦的な話がありますと、進めたくないんだなという気がします。

Q
昨日黒川さんの国会事故調がありまして、まだ政治家の聴取が出来ていない。公開の場で説明責任を果たすべきだと思うが、総裁のお考えを。
A

事故調の設計は、国会に設けるということは、実際執行に当たる行政権とは別の所で、第三者的なところできちっとやろうということですね。一番問題になったのは、そのために政治的利用をされてはいけないということを各党で自制しようということがあったのだと思います。ですからメンバーは、黒川委員長はじめ国会議員ではない方に就いていただいている。ですから中身がどうあるべきだという話は、あの方たちに判断いただくことが正しいと思っております。ただ、最近海外の方にお会いしますと、海外の方は原発問題に対する処理対応については様々な見方がある。それに対してやはり日本からきちんと客観性のあるものを発信していかないと、日本に対する言われなき不信感を生みかねないと思っています。そういう観点からすると、あの時実際行政上の責任のある立場におられた方は積極的に応じていただいて、日本の対応の客観的な姿というものを発信する必要があるのではないかと思っております。

Q
大飯原発の再稼働について、妥当だと政府が判断したが、自民党内にも拙速だという意見があるようだが、総裁はこの決定をどう受け止めておられるか。
A

この前の会見でも申し上げましたが、結局、政府に対する信頼感の問題だと思います。情報を隠さず出しているのか、あるいは客観的な基準は何なのか、説明責任を尽くしているのか、こういうことに対して皆割り切れないものを持っているんだと思いますね。そして政治が最後は判断するということだけど、本当に政治が判断できるんだろうかということもあるんだろうと思います。もっと技術的な判断をしてもらいということもあるんだと思います。そうしたことについて、筋の通った説明をしていく必要があるのだと思います。その都度、場当たり的に方針が変わるという印象を与えているのではないでしょうか。

Q
石原都知事が尖閣諸島の買取を表明しましたが、総裁の受け止めを。また、国が買い取りを検討するとの話も有るが、この点についても総裁のお考えを。
A

石原都知事の真意を十分つかんでいるわけではありませんので、細かなことは論評しかねます。都として、あるいは都知事としてのお考えが明らかになってくれば、もう少し色々と申し上げられると思います。国有化の観点からすれば、国有化も考えなくてはいかんという政府筋からの発信がありました。これは石原都知事の発信の効果としては一つあったのではないかと思っております。

Q
審議拒否の対応については、衆参足並みをそろえるという理解で良いのか。
A
衆議院と参議院では状況が全く同じであるとは思いません。相手の出方によって色々な考え方があるのだと思います。最も明確なのは、この二閣僚について、きちっとした対応をされるということだと思います。