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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成24年4月5日(木)15:30~15:55
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣禎一総裁

【谷垣禎一総裁発言】

まだ成立しておりませんが、今回の予算は、交付国債という手法を使って、見かけの上では財政規律を維持したという形になっておりますが、マニフェスト破綻の認識もなく、バラマキ政策の見直しをしようという三党合意も誠実に履行しようとしていない予算であると思います。そして野田総理は、予算成立と消費税ばかりに目がいって、違憲状態にある一票の格差の問題について、全く解決しようとしていない。前回の党首討論においても、今の問題点を直視して、そこを一番に考えようと申し上げて、総理もそのことに同意されたはずでありますが、民主党からはその後進展をするような動きは見えてこないわけであります。消費税ばかりに目を奪われることなく、一票の格差問題も早急に解決するよう、強く求めなくてはいけないと思います。消費税以外のことにあまりに目が向いていないのではないのかということは、色々なことに感じます。例えば、韓国で行われた核サミットのワーキングディナーを欠席した問題についてもそうであります。今日はこれ以上、そのことについては申しません。
また今週末ですが、明日・明後日と福島県並びに茨城県を訪問いたします。福島県では川内村を訪問し、除染状況について視察をいたします。そしていわき市においては漁港・商店街の状況について、お話を伺わせていただく。それから茨城県におきましては、大津漁港の視察を行うとともに、復興状況について、地元の方々と懇談をさせていただく予定であります。
8日の日曜日には、沖縄振興法が成立をいたしましたので、それを受けて沖縄県を訪問することとしております。沖縄振興法関連施設を訪問するとともに、沖縄県知事並びに関係者とお会いして、沖縄振興に関するお話を伺わせていただきます。
それから、4月9日の月曜日には、宮城県仙台市において開催される全国政調会長会議に出席いたします。会議に先駆けて現地の復興局を訪問し、活動状況についてお話を伺わせていただくとともに、被災地の視察を行います。全国政調会長会議におきましては、総選挙に向けて、各県の政調会長からご意見をお聞かせいただく予定にしております。

質疑応答

Q
予算成立が4月にずれ込んだことについて、民主党政権の国会運営に対する受け止めをお伺いしたい。
A

暫定予算になったわけですが、我々が与党におりました時には、暫定予算になるのは出来るだけ避けようという意識があった。暫定予算ですと政策体系を睨んだ支出というものがしづらくなりまして、とりあえず繋ぎで使うことしかできなくなる。それは血税を使う使い方としては不適切であると思ってきたわけです。ところが、今回この暫定になったことは、我々が審議拒否をしたわけでもなく、審議の妨害をしたわけでもなく、むしろ閣僚が満足な答弁が出来ないので陳謝をするとか、そういうことの積み重ねで結局暫定になったわけです。しかし、そのことに対して、与党として責任を感じるということが全く見えてこない。「仕方が無い」と言っているように見える。与党としての責任感を疑う。

Q
民主党内から、消費税関連法案の審議入りに関連して、早期の審議入りに慎重な発言が出ていることへの受け止めと、現段階での総裁の審議入りに対する条件や時期についてお聞かせいただきたい。
A

それほど日程の余裕があるわけでもありません。できるだけ採決を先送りしたり、審議を引き延ばしたりしようとする動きが民主党内から見られる。これは政府与党としての一体的な取組が全くできていないことを物語っていると思います。その原因は、今更申し上げるまでもありませんが、手順段取りを踏んでいない、彼らの心のやましさを表現したものとなっていると思います。期間も限られているわけですから、何もしないで先送りをしようということであれば、野田総理が政治生命を賭ける、不退転の決意で臨むとおっしゃっておられることから考えれば、まことに違う方向ですね。これも政府与党としての責任感を放棄した行動だろうと思います。私どもは、特別な条件があるわけではありません。しかし一票の格差の是正のようなものは、消費税を巡って国会でどういう風になっていくのかということが、与党としても十分に読めていないところだと思います。私どもとしても、国会で与党のああいう混乱があって、今後どういう国会運営になるのか予測がつきません。こういう最高裁から憲法違反を指摘されているものを、そのままグズグズしていますと、何もできないままに終わってしまうという恐れがあります。こういったものは早急にやるべきだと私は思います。そしてせっかく長い期間をかけて合意した郵政のようなものも、早くやるべきだと思っております。

Q
一票の格差の是正の問題、郵政の問題をできるだけ早く仕上げた上で、出来るだけ早く消費税法案の審議に入るべきだという立場か。そして審議日程について、自民党として審議時間はどの程度必要だと考えているのか。
A

先にやって、できるだけ早く審議に入るというのはその通りです。審議時間についてご質問がありましたが、こういうことをいちいち「こういう審議日程でやる」ということを、野党の側から言うのは本来おかしいんですよ。私もまたいちいちあれこれ言うのは、とても割り切れない思いを持っております。まず、今のようなことは、与党の国対委員長なりにお聞きいただくのが本来。そして与党の審議計画について、野党はこう考える、ということが本来ではないでしょうか。我々の方があれこれ言うのは、お互いに大きな役割分担をしながら協力しなくてはならない時に、役割分担も十分にできないようでは、やんぬるかな、としか言いようがありません。

Q
公債特例法案への対応については。
A

交付国債への取扱については、我々は組み替え動議で指摘しております。こういった点について総合的に整理する必要があるのだと思います。

Q
与党の国民新党が連立政権を離脱したのか、していないのか、はっきりしていない状態が続いておりまして、自民党もこのままでは審議に応じられないと言っておりますが、今の国民新党の現状について総裁はどうご覧になっているか。
A

他の審議だけではなく、11日ということで予定されております党首討論も、「こうした問題が整理できないから伸ばしてもらえないか」ということを言っているようであります。まことに論評にも値しない迷走ぶりだと申し上げる以外、言いようが無い。こういうことが起きている原因は、これまで何度も申し上げておりますが、手順、段取りを踏んで来なかったことのつけだと私は思っています。

Q
田中防衛大臣に対する問責決議案について、北朝鮮のミサイルの問題もあり、提出を先送りしたとの話もあるが、これについての総裁の現状のお考えをお聞かせいただきたい。
A

予算委員会での質疑を見ておりますと、失礼ながら、防衛大臣の重責を担われる資質に欠けているのではないかと思わざるを得ない。これは一刻も早く、野田総理としては更迭されるべきだと私どもは思います。そうでないのであれば、我々は問責の提出も考えなくてはならないわけですが、今、御指摘がありましたように、北朝鮮のミサイル等々の話もある中で、提出の時期についてはよく検討したいと思っております。

Q
来週月曜日に仙台に行って政権公約を発表されるとのことだが、自民党として消費税の扱いはどのように考えているのか。
A

仙台での茂木政調会長の計画は、全部そこで決めるわけではない、議論するわけではないと。まずは第一段なのだということであります。そこでの消費税の取り扱いについては、まだ茂木さんとよく打合せをしておりませんが、我々はすでに消費税については2年前の参院選においても明確にして戦ったわけであります。我々はそういうことを積み重ねてきたわけでありまして、基本線は参院選挙の時と変わるわけではありません。

Q
原発の再稼働について、来週にも枝野大臣が現地に再稼働の説明に行くのではないかという報道もあるが、総裁はどう受け止めておられるのか。
A

私の基本的な考えは、現状では、従来より30%を占めてきたエネルギー供給が全て動かないとなると、日本のエネルギー構造としては全く身動きが取れなくなる。産業構造としても非常に大きな問題が生じてくるだろうと思っておりますので、私も基本的な考え方はもちろん、安全性をきちっと確認し、地域の理解を得ることを前提として再稼働すべきだと思っている。今の問題は、例えば九州の玄海発電所について、佐賀県の古川知事が政府からの要請もあって再稼働させようとした。その時に担当閣僚も行ってそういう話になっていたにもかかわらず、数日後に菅総理が方針を変えてしまったと。相当きついことを言われたわけですね。知事さん方としては、国は大きなエネルギー政策の方向性はあるのだろうと。安全基準についての方向性はあるのだろうと。そういう枠の中で、地元住民の感情をふまえて、きちっと言わなければならない。これが知事の役割であると、そう思っていらっしゃると思います。国の方向がガタガタしているようでは、地元住民も賛成の方ばかりではないでしょうから、知事としてもなかなか決断できないぞという思いを、原発がある地域の知事さん達は持っておられると思う。このまま行くとどうなるかという話がありましたが、政府の姿勢は何なんだと。手のひらを返すように迷走していたら、なかなか信頼できないぞ、ということを思っておられるのではないかと思います。政府としては、そういった迷走を脱して、きちっとした方向を立てて、信頼感を回復することにもっと努力しなくてはいけないと思います。

Q
昨日、石原都知事と橋下大阪市長が会談をしましたが、今の自民党への影響をどうお考えか。
A

色々お話になったんでしょう。私は今、特に申し上げることを持っているわけではありません。

Q
原発を再稼働すべきというのは、原発全体のことをおっしゃったのか、あるいは大飯原発についてはどうお考えか。
A

原発全体といっても、色々な順番もあるでしょう。この間の様な、南海トラフがどうしたとかいう発表がある中で、さてどうするかという混乱もあると思います。だけれども、大飯なんかはそろそろ考えたらどうかと思いますが、先程申し上げたような問題があるんですね。政府はすぐに方針が変わるような報道もあった。それではなかなか進まないのではないかなと憂慮しております。

Q
再稼働の関係で、地元の理解を得ていくとのことだったが、大飯原発について、どうやって京都・滋賀の理解を得ていくべきだとお考えか。
A

京都について言えば、山田知事は、先程申し上げたようなことを思っておられるのではないかと想像しております。国はきちっとした方向性をもって、要請してきているのか。その点がふらふらしているのか。ふらふらしていると、地元住民にも色々な感情がある中で、自分としても決断しにくいと思っておられるのではないかと想像している。これも「信無くば立たず」と申しますが、これもその一局面だと思います。

Q
枝野大臣の発言も信頼を失っているとお考えか。
A

そういう発言をした後、例えば官房長官が地元同意は法的に要請されているわけではないと、こういうことをおっしゃっているようです。法的にそういうことが要請されていないと言うのはその通りかもしれませんが、先程申し上げたような背景、民主党政権下で原発の再稼働についてどういう対応をとってきたかということに対して、はっきりとした方向性を持って、地元の方々に信頼していただけるような努力が非常に欠けているのではないでしょうか。

Q
地元というのは京都・滋賀のことか。
A

それが法的にどうとかいうことではなくて、現実にあれだけ反対をしている中で、どうやって信頼を回復して行くかを考えなければなかなか動かせないと思います。そうこうしているうちに、関電は原発の依存度が半分に達しているわけですから、夏場の繁忙期を乗り切るのも困難になってしまう可能性があります。政府としては、やはり方向性をきちっとして、もっと真剣に地元の信頼をとりつけられるように努力すべきだと思います。