ニュースのカテゴリを選択する

記者会見

谷垣禎一総裁 ぶら下がり会見

平成24年3月1日(木)17:24~17:40
於:党本部4階エレベーターホール
谷垣禎一総裁

質疑応答

Q
この度、自民党の党としての基本的な考え方をまとめたということで、総裁の気持ちを強く反映した基本姿勢と伺いましたが、改めてどのような気持ちでまとめられたのか、教えてください。
A

自民党の基本姿勢、具体的な公約なり、政策は茂木政調会長の下で、今作っていただいていますが、その骨組になるもの、これは一番基礎になる平成22年綱領を作ったわけですが、それを軸に9項目になりましたが、項目を立てて、何と言いますか、若い人たちが綱領の考え方にしたがって演説してくれています。自助・共助・公助ということで、きちっと整理して演説しています。もう少し、演説していただく時に、あまり具体的な公約だとやや細かくなって演説しにくいでしょうから、演説をする時のキーワードと言いますか、そういうものを基本姿勢として、まとめたらどうかということを、いろいろ知恵を頂きながら、まとめてみました。

Q
政権奪還を目指すにあたって、民主党との違いとして、自民党として強調したい部分について、総裁のご所見をお聞かせください。
A

9項目あるうちの最初の7項目は、ごく基本的な姿勢です。「国民に誠実に真実を語り、勇気を持って決断する政治」というのは、当たり前と言えば、当たり前です。本当に今、民主党政権で行われているか。それから、憲法を改正するというのは、わが党の結党以来の問題提起ですが、結党以来まだできていないわけです。今年の4月28日、サンフランシスコ平和条約から60年、主権を回復してから60年、その時に、国民に、自民党として、憲法というものの考え方を、今、保利耕輔憲法改正推進本部長の下で進めていただいている。そういうことで日本らしい日本を考えていこうと。
それから「自己責任原則の下、個人の自由、民間の活力、地方の判断を尊重する国創り」というのも、当たり前のことと言えば、当たり前のことですが、改めてそういうことを確認しようと。こういうことを確認するのは、後の自助・共助・公助とも共通しますけれども、要するにぶら下がって、バラマキを待とうと。バラマキによって、票を取ろうという政治ではどうしようもないではないか。自ら助く者を助く、自己責任原則という上で、いろいろ助け合い、最後は助け合いということなるのですが、そういう基本体系をしっかりしていく、ここが自民党と民主党の考え方の基本的な違いだということを繰り返し、繰り返し強調したいです。
それから、「家族、地域、国との絆を大切にする」国民を作っていきたい。その中には、地域の絆とか言った場合に、それぞれの地域は、自分の地域の歴史とか伝統とか背負っているわけです。やはり、自分が生まれ育った地域、もちろん国も含めて、そういう歴史とか伝統とか、そういうものを大事にしていく国民を育てていこうというところも強調する必要があるのかなと思っています。
最後の2つは、基本姿勢というよりも、どちらかと言うと、今の公約を作る時の一番基本になる、やや現実の政治の一番の基本姿勢と言うよりも、やや現実の政治、政策を書いた。これは経済の再生と成長を図っていかなければいけない。そのためには、やはり民間の活力を引き出さなければならないけれども、研究開発というものを地道にやっていくことも必要ではないか。それから、「コンクリートから人へ」と言うけれども、やはり東日本大震災を受けると、やはりそれでは安心安全な国は、なかなか作れないなと。特にそういう中で、東海地震・東南海地震という議論がされますと、一極集中をやっていると、どうもうまくいかないなと。そういう一極集中からの分散ということも考えながら、そこでもう一つあるのは、有効需要を作り、有効需要と言うとケインズ主義的な匂いがするけれども、需要と雇用を作っていく。それは、民間が頑張らなければいけないのですが、どちらと言えば、民間も前に出ようという気持ちを失っている面があるわけです。そういう気持ちを引き出す者が必要ではないか。それが研究開発とか、一極集中の是正とか、強靭な国土づくりというところに一つあるのではないか。その上で、デフレから脱却して、財政効率化というのは、無駄を省こうということです。そして、税制改正というのは、財政再建していこうということですが、そういうことをやって、経済をもう一回元気にしていこうと。最後の2つは、やや今の政策と関係があるわけです。
総理経験者を顧問に迎えて、いろいろご指導いただいているので、今日も政権構想会議で、若手・ベテラン・地方議会の声を聞きながら、最後若干修文してまとめました。

Q
国民の関心として、この3年間、自民党は政権交代前と、どこが変わったのかという関心があると思うのですが、この考え方の中で、過去の自民党と違う点で強調したい部分はありますか。
A

どこが違ったんだろうというお声があります。どこが違ったということの前に、自民党が国民に問うべき良いところは何かという発想がなければ、悪かったから反省しようというのも一つで、それも必要だと思いますが、私はむしろ、もう一回自民党が我々の原点はここなんだと、再認識して頑張るつもりで書きました。どこが変わったんだというお問い掛けというよりも、むしろどこが自民党は良いところで、それから自民党が国民に応えていくために、これが必要なのだという思いで書きました。例えば、「地域社会を再生し、日本の美しい自然を護る」。やはり、これは加藤紘一先生の表現ですが、自民党は、日本の保守政党としていろいろな姿を取って来た。反共政党というところに、日本の保守政党がレーゾンデートル(存在意義)を見出した時代もあった。ずっと歴史を辿って考えると地域政党だったんだと、自分たちの地域、地域を大事にし、その歴史と伝統を大事にして、そこを何とか住みやすい町にしていく。そういうところが今の政党が一番果たせるところです。どこが変わったのかというお問い合わせがありますが、むしろ自民党がもう一回、その自分たちの過去も見直して、こういうところを伸ばしていかなければいけないんだと。自民党も選挙が弱くなると、ついついバラマキに走ることがなかったと言えない。やはりそれは自分にもう一回言い聞かせて、自助・共助・公助ということをきちっと住み分けを考えながら、自助、自立を基本とする。むしろそういう考えでまとめています。

Q
伊吹文明座長から、選挙が近いから、これを作ったとの説明がありましたが、民主党に対して、どのようなアドバンテージを作れるとお考えですか。
A

今、申し上げたように、自民党が何をやっていくかという時に、もう一回自民党の基礎がどこにあるのかということを考えると、社会保障はどうしていくか、研究開発はどうしていくのかという一つの政策はあるでしょう。やはり、根本的なところは、何なんだということは、自民党の若い候補者なんかにも、皆共通の認識を持ってもらって、今のように地域を大事にするとか、やはりその教育も家庭や地域社会や国との帰属感を持った、絆という言葉にもつながりますが、そういう国民を作るんだと、もう一回自民党が、これが自民党なんだと、自民党は日本を良くしていこうとしている考え方の基本だということです。そういうことが、繰り返し訴えていくことが必要だと考えています。

Q
演説のキーワードをまとめたとおっしゃっていましたが。
A

そういう表現が良かったかはわかりませんが、要するに一番基本的な自民党が目指すべき点、自民党が回帰すべき原点と言いますかね。

Q
総裁や執行部が先頭に立って、有権者に訴えていくということでしょうか。
A

当然そういうことです。

Q
まとめた基本姿勢は、概括的なもので、異論が出るものではないと思われますが、それをまとめることによって、党内の結束を固めるというお考えもあるのですか。
A

そういえばそうかもしれません。私は、先程どう変わったのかという意見もあるけれども、自民党が失ってはいけない原点、自民党が底を見据えていかなければいけないポイント、そういうものは何かという上で、鉛筆をなめたのです。

Q
当初、谷垣ドクトリンという言い方をされていましたが。
A

谷垣ドクトリンというよりはもう少し普遍的なものではないでしょうか。谷垣ドクトリンと言っていただいて良いのですが、やはり日本の保守政治のコアは何なんだ。一番基礎にあるものは何なんだということになると、9項目ある内、最後の2項目はやや今の問題ですが、最初の問題は、日本の保守政治のコアにあるものは何なんだという意識です。

Q
総裁なりのネーミングはありますか。
A

だから、自民党の基本姿勢と言うか、そういうことでしょう。

Q
会議の中では、額賀福志郎議員や加藤紘一議員から、今後の政局運営についての意見が出されたようですが、どのようなことを伺ったのですか。内容を教えてください。
A

政局運営と言いますか、自民党が何をしていかなければいけないのかという時に、一つは、加藤先生から前の野党時代、細川政権の時に言われたことですが、十数年前に言われたことですが、あのときと同じことをおっしゃっていました。つまり、野党議員にとって、国会の審議が命だ。のちのちこの法律が問題になった時は、あの立法過程で○○議員がやった質問をもう一回読んでみろというような質問をしなければいけないと、加藤先生にご指導いただいたことがあります。それから、ある最高裁判事から、やはりどういう解釈をしたものかと裁判で迷った時に、国会での議事録を呼んで見ると、昔、明治の民法制定の頃は、なるほどと思うようなことがあったけれども、最近の議事録では、迷った時の指針になるような議論があまりにないなと、言われたことがあります。やはり、議員になったからには、のちのちまで、そうやってあの時を見ろと言われるような、そういう意味での国会の論争力を鍛えろというのが一つです。それから、加藤先生だけでなく、他の地方議会の方もおっしゃっていましたが、地域に入るということです。ふるさと対話とかそういうこともそうですが、そのことが基本ではないかとか、いろいろな議論がありました。

Q
9つの柱となっていますが、9つになったことに何か意味が込められているのでしょうか。
A

それはとくにありません。基本は、平成22年綱領を見ながら、柱立ては何になるのかなと考えたら、こうなったということです。

Q
最初の「国民に誠実に真実を語り、勇気を持って決断する政治」について、ご説明をお願いします。
A

これは、まさに字の如しで、特段の解説は要らないと思います。一番その時の課題や苦しい、つらい課題だって、政治にはあるので、それを何か隠してやるような政治姿勢では仕方ないだろうと。包み隠さず、国民に訴えて、そして、苦しいことでも国民に向かって、対話して、進めていくということは、一番の基本的な姿勢です。

Q
民主党のマニフェスト違反が念頭にあったのでしょうか。
A

これを見れば、マニフェスト違反はそれに反するのではないかということなんだけども、すぐ目の前の何を相手にしてこうだというよりも、政治はこうあるべきではないか、保守政党はこうあるべきではないかと考えていくと、自ずからそういうところに行きつくわけです。何を相手に、得点を上げるために、こう書いたというほど、ケチな偏屈な書き方をしたつもりはないのです。