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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年10月27日(木)15:00~15:30
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣禎一総裁

【谷垣禎一総裁発言】

タイの洪水とトルコの地震への対応ですが、本日、わが党の中に災害支援本部を設置して初会合を持ちました。今回の災害によってお亡くなりになられた方々、あるいは被害を受けられた方々に対して、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

タイ、トルコは、数多くの日本企業も進出していますし、対日感情も非常によい国です。こういった災害によりまして、サプライチェーンの寸断が起こってくると、日本経済への影響も甚だ深刻なものがあります。今年3月の東日本大震災の際には、この両国からは震災発生直後に、医療チームを派遣していただいて、合わせて数多くの支援物資、義援金をお送りいただいたわけです。我々としても、その御恩を忘れずに総力をあげて友好国の支援にあたらなければならないと考えています。

わが党においても、私が本部長になりまして、自由民主党タイ王国大規模洪水及びトルコ共和国大震災災害支援本部という名称をつけて、本部を設置しました。その初会合で、現状の説明を受けました。我々は引き続き、現地の状況把握に努めるとともに、日本企業への適切な支援、サプライチェーンの確保の政策を早急に取りまとめて、政府に働きかけていこうと考えています。
義援金受付窓口の創設、募金活動の実施を行い、両国に対して、これまで自民党が培ってきてあらゆるチャンネルと使い、物心両面で支援をしていきたいと考えています。

臨時国会が始まって、これから代表質問などに入って行きますが、私が代表質問に立つ方向で準備をしています。先の国会では、野田政権として、一体何をやりたいのか。日本をどのような方向に引っ張るのかということについては、はっきりしなかったのが実際です。

復旧、復興、TPP、普天間問題、税制改革、これに取り組むという姿勢を示しつつしますが、いずれも政権をあげて取り組まなければならない、重要、重大な課題ですが、なかなか力技もいる課題です。しかし、そのための対応については、不透明な部分も多いということです。こういう課題について、どういう順序で、方法で進めていく考えなのか。また本当に腰を入れて本気で取り組むのかどうか。そうした野田政権の姿勢と具体策をしっかりと質していきたい。

アメリカのバーンズ国務副長官がお出でになられ会談を持ちました。私からは、バーンズ副長官が就任して早々に日本にお出でいただいて、心から歓迎すると同時に、3月11日以降の被害で、アメリカがトモダチ作戦などで、大変な支援をしていただいたことにお礼を申し上げました。バーンズ副長官からは、自分が伝えたいメッセージはただ一つ、単純なメッセージだと。日米同盟がアジア地域の安定と繁栄に対して、中核的な位置を占める。そのことを改めて伝えたい。3月11日以降、同盟国として支援にあたれたことを誇りに思うということでした。その後、普天間問題、あるいはTPP、安全保障関係の問題、北朝鮮に関する問題などについて、意見交換を行ったわけです。私からは、若干、日本の政治情勢についてのご説明をしておきました。

質疑応答

Q
バーンズ米国国務副長官との会談で、普天間問題、TPPについて話をされたとのことですが、日本の政治情勢はどのように説明されたのですか。
A

政権交代後、2年がたって3人の総理大臣が生まれましたが、日本の政治がどういう方向に歩んでいくのかという、今の私の所感、感じているところを説明しました。

Q
TPPについては、バーンズ副長官からはどのような説明があったのですか。
A

おっしゃったことは、向こうからおっしゃるべきで、誤解を招くといけないので、あまり申し上げてはいけないと思いますが、ただ、どういう文脈でおっしゃったかというと、やはり日本との同盟関係をしっかりと維持していくということがアジアの安定のためにも、基本的には大事だと。そのためにはいろいろな課題を率直に話し合って、解決していくことが大事だとの中で、普天間問題とか、TPPもあります。FXもあります。というような文脈でしたので、私も若干、感じていることを申し上げたということです。

Q
TPPについて、本日、自民党の外交・経済連携調査会が開催され、交渉参加について反対という声が多く聞かれ、党として反対で取りまとめるべきだとの意見もありましたが、党としてはいつ頃までに態度を決めるべきとお考えですか。
A

今日から高村調査会がスタートしましたが、最初に韓国駐日大使から韓国のFTAと精力的に進めてきたので、その話を伺ったとの報告を受けています。今のAPECのときに参加表明するんだと巷間言われていますが、いささか、入学前に退学があり得るんだ、退学しても良いんだという議論があるようですが、入学するときはそこでしっかりと卒業するまで考えるというのが本来あるべきです。論理的には、中退することもあり得ますが、やはりそれだけの準備と、心構えをして入学をしなければいけないということだと思いますが、現状ではそれだけのことを判断する情報公開も十分に行われていないというふうに、私は思っています。

綿密な情報収集というのを我々もする必要があると思っていますが、いつまでも結論を出さなくていいというわけではありませんが、材料がないときに判断はなかなかできないので、これからそういう作業をできる限りやっていきたいと思います。

今言ったことの関連で申し上げれば、入学する前にある程度の覚悟を固めて、ちゃんと学業をまっとうできるのかという覚悟を固めていくには、もう少し、民主党は党内の取りまとめをしっかりとおやりにならないといけません。高村調査会を通じて、党内議論をやっていただいて、その状況を見ながら判断していくということになると思います。

Q
その入学という言葉は、TPP自体への参加なのか、それとも交渉への参加という意味ですか。
A

TPPへの交渉に参加したとき、ゴールにたどり着かなくてもいいんだというわけにはなかなかいかない。ゴールにたどり着くというだけの、何か気構えも必要でしょう。実際にやってみたら、とてもこの学校は肌に合わなかったということもあり得ますが、初めから肌に合わないと入るのはどうだろうという、比喩ですから十分に適切かは分かりませんが、そういう印象を持っています。

Q
TPPについて、野田総理はAPECまでに参加の是非を決めるとしていますが、その議論の期間としては十分な時間があるとお考えですか。
A

どういう情報と、これから抜本的ななるほどそうだったのかというような、よい情報があれば判断できるかもしれませんが、いかがでしょうか。

Q
普天間問題について、先ほど谷垣総裁は辺野古移設に賛成だった島袋前名護市長と会談されていましたが、どのようなお話をされたのですか。島袋氏は辺野古移設に賛成を掲げ、また仲井真沖縄県知事は、「県外移設」を主張し、自民党は両名に対して支援をしてきたわけですが、このねじれ状態をどのように受け止めていますか。
A

今日、お見えになった方々は北部振興協議会、つまり沖縄北部、南部といろいろな格差があるので、それを埋めたいという思いがあって、具体的にいくつかの要請を持ってこられました。
この方々は、ひとりひとりどう考えているのかと聞いたわけではありませんが、昨日行われた大会の様子を伺うと、今日、来られた方々は、おそらく全員が辺野古移設を早く行うべきだとお考えであろうと拝見をしました。

ねじれた状態をどう見るかは、島袋さんの選挙は、昨年1月。それから仲井真さんの選挙は11月。つまりまだ、島袋さんの名護市長選のときは、鳩山さんが最低でも県外とおっしゃった影響がまだ十分に浸透しきっていないときの選挙でした。していたかもしれませんが、そういう中で島袋さんは、辺野古移設を掲げて戦いました。私どもは、選挙でこの問題を争点に掲げるのがいいのかどうかということもいろいろありましたが、お決めになるのであれば、一昨年の間、名護市長選の前に物事を進められてはいかがですかと、官邸にも意見具申をした経緯もあります。

そういう中で、最低でも県外ということが沖縄に反響を呼んで、知事選ではそういった発言に対する県民の反応もある程度、お考えにならざるを得ない状況だったのでしょう。そういうガラス細工のようにこしらえたものを安易にガシャガシャに、解決を難しくしたのは、民主党政権の罪だと思っています。

Q
郵政改革法案について、この法案の審議入りに関してはどのようにお考えですか。
A

今国会の最大のテーマは、被災地の復旧、復興に対する三次補正ですから、それに全力をあげて取り組んで、その見通しがついた後の議論だろうと思います。

Q
見通しがついた後であればということですか。
A

あればと言っても、まだ見通しもついていませんから。

Q
与党側は、法案の早期成立を図るために、法案の修正協議を呼びかけるようですが、自民党としてはどのように対応しますか。
A

まずは三次補正をやってからということです。私の考えは明確に申し上げたつもりです。

Q
郵政改革に関連して、党内議論をどのようにまとめていくお考えですか。
A

あまり原理原則を曲げるようなことではいけないと思いますが、党内議論をどこかの段階ではしないといけないでしょう。

Q
三次補正の財源論について、財源確保法案に関しては反対をしないということですか。
A

そんなことを言っているわけではありません。もっと技術的に言えば、それは予算が通れば、やり様はいくらでもあると思いますが、それは予算を執行するためには財源についても、しっかりとした見通しがある方がいいに決まっています。

そういう努力はしなければならないけれども、あまり違うんだったら、つまり我々も過去を振り返ると、二次補正のときは、年金の財源を流用するとか変だなと思ったけれども、そこまで全部反対していてはということもあったから、かなり大人の対応ですけれども、えいやっというところもあった。

今度は、考えようによっては、相当財源もたくさんいるので、えいやっというばかりに言えないので、少し我々も慎重に議論をしないといけないと思います。

Q
政府が示してきている復興債の償還期間や税目については、今の時点ではどのように評価していますか。
A

この問題には、いろいろな背景というか、あやがあるわけですが、復興全体で復興債でやるということは、ほぼ与野党間で合意があります。何を復興債でやるか。全部が復興債でいいのかはいろいろな議論があると思いますが、そもそもトータルで復興債でどのくらいしなければならないんだという議論も、十分に整理されていません。今回の12兆円弱というのは、本格復興の財源だということになっていますが、果たしてこれでおしまいなんですかと、来年度は復興関係の予算はいらないんですかということになると、必ずしもそうではないでしょう。全体を睨んで、全体でどれくらいかかるのかというのは、最後にならないと正確なことは分からないにせよ、ある程度予想しながら、復興債でやるのか、他でやるのもありかもしれませんが、そういうことも考えて、償還の道筋も考えておかなければいけないということ。いろいろなことがあります。

Q
バーンズ副長官との会談でFXの話が出たとのことでしたが、特定の機種について推薦などはありましたか。またどの機種が適正だとお考えですか。
A

この問題は、技術的な問題もあるでしょうし、要するに実際にこれで操縦するパイロットから見たらどうかというのは、よく分かりません。専門的なことにも渡るので、明確にお答えする準備はないということを申し上げました。ただ大事なのは、インターオペラビリィティと技術の移転ということではないか。さらに我々も勉強したいと申し上げました。

Q
沖縄の北部振興協議会の方々と会談されましたが、その内容を詳しくお聞かせいただけますか。また、自民党の沖縄県連の方々の中にも、県外移設を求める声もあるようですが、どのようにアプローチしていこうとお考えですか。
A

私が申し上げたことは、昨日、2,200人集まったということですが、それを踏まえての意見を持ってこられました。ですから、昨日の大会はお疲れ様でしたということと、持ってこられた要請については、真摯に受け止めて対応したいということを申し上げました。

その中には、普天間問題の早期解決ということも書いてありましたので、早期解決というだけでは漠然としていますが、皆さんのお立場から言えば、辺野古へ早く持ってこいということなんでしょうねと申し上げました。

危惧は、今年はアメリカもいろいろ予算をつけたりするスケジュールがありますので、年末になると議会も説得しないといけないから、これくらいまでにやってくれという話がいつもあるんだと思います。今年の場合は、県にアセスを要請するということで、一応、アメリカ側にも進んでいるという説明はするんでしょうけれど、やはり国際約束をしてなかなかできもしないということが重なると、これは日本の信用問題にもなるし、日米安保の信頼性にもかかってくるので、やる以上は政府もしっかりと取り組まなければならないと申し上げました。

自民党だっていろいろありますねという趣旨だと思います。確かに最低でも県外というのに、我々の態度も若干の影響なしとしなかった。それは沖縄の負担ということを考えたら、そういううまい話があると思われるのも無理からぬところがあったと思います。ただ、我々も現実の可能性がどこにあるのかと視野を広くして見ていかなければならないわけですが、少なくとも我々が今まで検討してきた限りからすると、またいろいろな今の戦略的、地政学的な要因を見ると、なかなか他のこれというところが見つからないのが実情だと思います。

さりとて、普天間を固定化していくというのは良い選択とは思えないということになると、私自身は辺野古ということなのかなとは思っています。こういうことで、沖縄県連とも話していかなければいけませんが、むしろ求めたいのは、政府が国際約束しておやりになるのであれば、野田総理は民主党の国会議員を説得しないといけないと思います。そのことは強く感じています。

Q
消費税について、野田政権は自民党時代の付則104条に基づいて、増税に関する法案を出してくるのだと思いますが、基本的には、自民時代の法案に基づく措置ということで、自民党としては賛成するということですか。
A

付則の104条は自民党時代にできたものです。だから我々も製造物責任を負っているといえば負っていますが、法律ですから行政府を縛るものです。これを実施されないということになれば、その違法だと言われないようにするためには、新しく法律を作るか、それともということになるのだと思いますが、私どもは付則の104条もありますが、参院選でも当面は10%が必要と掲げて選挙を戦いました。

ですから問題点をある程度整理しつつ今日まで来ているので、ただここからが大事な点ですが、要するにこれまでなかなか我々いろいろなことに取り組んできましたが、税というのは力技です。国民の信頼も頂かなければならない。十分に足並みがそろわないときに協力しろ、協力しろと。例えて言えば、自民党も一緒にかごを担いでくれということがあって、必要なことであれば、一緒に担ぐこともあると思います。しかし、前を担いでいるはずの方が、覚悟もなく、腰も入っていないと。胸突き八丁のところに来たら、足を滑らせて落ちてしまったと。それと一緒に落ちるのは、愚劣だという意識もあるので、さあどうされるのかということは、我々は問いかけていかなければなりません。

それ以上に、腰が据わっているかどうかということであれば、ことは増税の問題なので、どうやって国民の信認を取りつけてやって行くかという手順を考えると、政権をとったときのマニフェストはそういうことはまったく書かれていないばかりか、その後に総理になった鳩山さんは、20年くらいは消費税はしなくてもいいということを発言し、マニフェスト自体が無駄を排除すれば増税なくできるという基本構造になっていたので、さて、具体的に取りかかるとすれば、それに相応しい構えを作る必要があるのではありませんか。賛成するのか、反対するのかという問いかけでしたが、その前に今のような問題があります。