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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年9月29日(木)17:15~17:35
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣禎一総裁

【谷垣禎一総裁発言】

まず原発事故調査委員会の国会設置について、これはわが党がその設置を強く求めてきたわけですが、今日の衆議院本会議で国会に原発事故調査委員会を設ける法案が可決されました。参議院の質疑はこれからですが、この調査委員会において、今後、徹底的な事故原因の究明・調査を行って、再発防止に役立てたいと考えている。

次に、今日で衆参4日間の予算委員会が終わりました。この予算委員会は、野田政権ができて、一体何をしたいのか、どのような国づくりを目指しているのか、あるいは国民に対して、どのようなメッセージを出したいのか、そうした点を占う、あるいは政権の側から言えば、そういった点を国民に説明すべき、極めて大事な国会であり、予算委員会であったと思います。しかしながら、この4日間の審議を見ますと、野田総理は、空疎で他人事の様な答弁に終始していた。一見極めて丁重な態度でしたが、中身が伴っていないということで、日本の政治の最高責任者として、今の国難を打開するという情熱も、覚悟も、使命感も、全く感じられなかったのは誠に残念です。

それから、野田総理は、「震災復興が最重要課題である」と発言されているにもかかわらず、我々が主張してきた私立学校の災害復旧助成、あるいは二重ローン対策問題の法案について、全くこの国会で応じる姿勢が見られなかったことは、大変残念です。各大臣からの所信もなく、終始、総理・閣僚の基本的な考え方が明らかにされることがなかったわけです。そういうことでは、震災復興、外交・安全保障、円高・経済情勢等々に対する国民の不安は、解消されるどころか、ますます不安が高まる結果になってしまったと受け止めています。私どもは、一刻も早く次の国会を開会して、今申し上げた案件を早急に処理していくことを求めなければならないと考えています。

また、石川知裕衆議院議員への辞職勧告決議案提出について、申し上げます。小沢一郎元代表の政治資金問題を巡って有罪判決が出ました。石川議員について、本来であれば、その明確な刑事責任の重さを率直に認めて、即座に議員の職を辞されるものと考えるが、議員本人にはその意思が全くない。民主党もそれを追認するという状況を看過するわけにはいきません。昨日、石川議員に対する議員辞職勧告決議案を提出したところです。小沢元代表については、国会において十分な説明責任を果たすべきことは当然のことです。民主党代表である野田総理、及び輿石幹事長は、小沢元代表を巡る政治資金問題に対して、態度を明確にし、国会において証人喚問を実現すべきであると考えます。

質疑応答

Q
3次補正について、政府・民主党が補正の案と増税案をまとめ、これから自公に対して協議を呼びかける意向のようですが、谷垣総裁は以前の記者会見でまずは民主党として案をまとめるべきだと発言していましたが、これによって協議への条件が整ったとお考えになりますか。
A

最終的に固めたのかどうかよくわかりませんが、必要財源についても額が違っていたりして、どう受け止めたらいいのかということもありますが、我々も早急に中身を検討しなければならないと思っています。

これは、事は増税をお願いするということにも関係しますので、一番大事なのは国会というオープンな場でしっかりと議論していく。迅速に結論を出すことが一番大事だろうと思っています。
私どもも検討した結果、ここが違うというようなことがあったり、もっとこういうことをすべきということがあれば、政府に申し入れるということも考えなければならないかもしれませんが、とりあえずは我々も検討しなければいけないということです。

ただ、予算提出権は内閣だけが持っていますので、閣議決定する前に与野党協議で、すべてこれでシャンシャンというようなことをやるのは、慎むべきであると考えています。

Q
関連で、公明党は、協議に対して前向きな声もあるようですが。
A

どういうお考えを公明党が第3次補正に関して主張されるのかは、定かには承知していませんが、私どもも何か協議、協議というと、閣議決定の前に3党で全部、手を握ってしまうという言葉のイメージがありますが、それは良くないと。

私どもは、自分たちが検討した結果、こうすべきであるということがあれば、それはまたどういうチャンネルを通じてか申し上げることもあるだろうと思っていますので、公明党がおっしゃっていることの意味がそういうことと同じなのか、同じでないのかは分かりませんが、またよくお話をしないといけないかもしれません。歩調を合わせていくということです。

Q
民主党の増税案について、前原政調会長は9.2兆円と主張しているのに対して、藤村官房長官は11.2兆円を前提に与野党協議を行いたいと発言していますが、こうした政府・民主党で食い違いがある中で、協議を行うことができるとお考えになりますか。
A

協議をおっしゃったけれども、中身を検討して我々が意見があれば、政府与党に申し上げることもあると思っています。協議、協議と言葉のニュアンスが、閣議決定の前に3党で談合するというニュアンスは、できるだけ避けなければいけないと思っています。

そのうえで今のご質問ですが、我々は、3次補正は災害復旧に関連するので、協力をすると言ってきましたが、今のようなことだと、どこをどう協力するのか、なかなかはっきりしません。ですからどういうふうに、財源をねん出していくかということに関して、もう少しクリアな態度をおとりになれないものかと思っています。我々も党としてお決めになったものを検討はしなければいけないと思っています。

Q
自民党の役員人事について、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
明日、臨時役員会と総務会を開いて、そこで人事については一任をいただいて、できるだけ速やかにやりたいと思っています。
Q
明日、新役員を発表するということはありますか。
A

まだその辺は、よく詰めていきたいと思っています。現段階で申し上げられるのは以上です。

Q
関連で、どのような観点、狙いで、新しい人員を組もうとお考えですか。
A

これはできたときに申し上げることが適当なんだと思いますが、しかし、ごく基本論から申し上げると、私は2年前、野に下った自民党の総裁になったわけですが、狙いは二つです。

もう一回、自民党が国民の信任をいただけるような党の再生を図って行くということと、もうひとつは政権をどうやったら奪還できるか。もう一度、国民の信任をいただくということの延長線上にあるわけですが、そのふたつが我々の今、やらなければならないことです。ですから人事をやるにもそういう考え方で組み立てていくということになると思います。

Q
復興財源について、政府・民主党は、財源として、たばこ税の増税とJT株の売却を考えているようですが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A

わが党の今までの議論では批判的な意見が圧倒的であったと思います。JT株を売りますと、今、JT株を国が持っていることによって、葉たばこの全量買い上げのような制度が機能していると思います。それを売ってしまうということは、そういう前提が崩れてしまうので、これはまた、たばこ税の増税と、同時に推し進めていくというのは、方向の違った議論になってしまうと感じています。その辺もよく検討しなければいけないと思います。

Q
参院自民党の人事をめぐって混乱が見られますが、この現状をどのように見ていますか。
A

参院自民党の中でいろいろな努力があるので、適切にまとめていただけるものと信じています。一番大事なことは、去年の参院選で、わが党はみんなで努力してよい結果を得ました。今、野党になって、二人の総理を退陣に追い込んで、新しい野田体制と戦わないといけないので、我々の党は今まで侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をいろいろやってきましたが、最後はまとまっていくということでなければならないし、そういう伝統を踏まえてやっていただけるものと思っています。

Q
混乱が長引いた場合、党の執行部人事の時期にも影響を与えるとお考えですか。
A

あまり影響は、考えていません。

Q
原発事故調査委員会のあり方について、どういった議論を期待されていますか。また、当時政権の中にいた菅氏や枝野氏についても尋ねることも出てくると思われますが、どういった位置付けでお考えですか。
A

冒頭にも申し上げましたが、事故の原因がどこにあったのかということをきちっと究明することによって、今後の対策に生かしていくのが基本的な狙いであることはまちがいありませんし、国際的に見ても、日本がどういう対応をしてきて、どのように今までの原発事故の問題点を克服していくか、これは世界的にも注目の的です。やはり、重要な資料が隠ぺいされていたのではないかとか、行政府の部内に設けて、行政府に都合の悪いことは隠ぺいされていたのではないかとの印象を持たれると、国際的な信用も得られないと思います。そういう意味で、客観的、中立的、中立的と言うだけではいけませんが、科学的な知見も踏まえた上で、公正な議論をしていただくのが目的で、覚書を作っていると思いますが、政治利用したり、やたらに党派的な方向でこの運用をすることは、慎むべきであると思っています。

Q
復興財源について、民主党の今回のやり方も、初めに、党内の増税反対勢力もあって、それに配慮する形になり、結果的に問題のある形で出てくることは、鳩山政権、菅政権のやり方とあまり変わっていないと思いますが、総裁のご所見をお聞かせください。
A

先程どなたかがおっしゃったように、前原氏がおっしゃっていることと、官房長官がおっしゃっていることと、2兆円の差があるわけです。それで、2兆円の差があるのが、ポンと手品みたいに出てくるのか、出て来ないのかわかりませんが、増税幅を小さく見せるために、あまり実現性のないことを言っておられるのではあれば、大きな問題です。それは、今もおっしゃっていたように、政権運営のやり方として、極めて稚拙であるか、未熟であるか、不誠実であるということになってしまいます。私は、復興に関しては、自民党も協力を惜しまないと言ってきた。復興に関する補正予算なんかは迅速に通さなければならないということも含めて、言っているわけですが、しかし、今までも、実は財源のあり方に関しては、かなり疑問に覚えながらも、がれきの処理や被災者のための仮設住宅なんか早く進めなければならないということから、ある意味では、片目をつぶって認めてきたところもあるわけです。ですから、政府与党に求めたいことは、我々もそういう気持ちでいるのだから、そこは正直にきちっとした議論をやってきてほしいと思っていまして、これからよく検討しますが、ちょっとそういう点は、問題があるのではないかという気持ちは拭いきれません。

Q
3次補正の審議に入る前は、今回は片目をつぶらずに、徹底的に実現可能性を追求していく姿勢でしょうか。
A

その点が悩ましいところです。やはり、災害復興ですから、どんどんやりたいのですが、あまりおかしなことならできなくなるということもありますので、よく検討していきたいし、我々の考え方もぶつけなければならないかもしれないと思っています。