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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年9月8日(木)16:00~16:21
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣禎一総裁

【谷垣禎一総裁発言】

最初に申し上げることは、台風12号の被害です。大変な台風でした。被災地の安心・安全確保に全力を傾けなければならないわけですが、お亡くなりになられた方々、災害被災者の方々に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。それと同時に、全力で救援活動にあたっている自衛隊、警察、消防、地元自治体の方々に、心から敬意を表したいと思います。

自民党としては、石破政調会長を本部長とする「平成23年台風12号災害対策本部」を設置し、各被災地の情報収集に努め、今日は政府に対しまして、台風12号の被害を「激甚災害」に指定し、被災者支援を急ぐよう要請をしました。私自身も今週末の10日(土)・11日(日)に、和歌山・三重・奈良の3県の被災地を訪問する予定です。

引き続き、地元の皆さまの声に十分耳を傾けながら、一日も早く安全・安心を取り戻せるように、全力を傾けなければなりません。激甚災害の早期指定、第3次補正予算でこの対応をきちっとすることを含めて、全力で取り組む覚悟です。

2番目に申し上げることは、野田内閣の国会対応についてです。国会での十分な議論を求めなければなりません。昨日、与党側から臨時国会の会期が示されたわけですが、わずか4日間、平野国対委員長が「内閣が不完全な状態では十分な答弁ができない」という信じ難い理由で、4日間という会期を示されたことに大変驚愕すると同時に、なんたる国会無視であるかという強い憤りを覚えています。私どもとしては、震災対応をもちろんですが、台風12号の問題、復興の方向性、円高対策、外交・安全保障への対応、いろいろ議論しなければならないことがありますが、特に、民主党が野田政権を作られ、今までマニフェストで約束されていたような政策を変更する。マニフェストで掲げられていた政治主導、この中で事務次官会議を否定するとか、党の政調の議論は封印して、政府で意思決定をするとか、経済財政諮問会議のような廃止するというようなことを言っていたけれども、自民党にすり寄ってきたということなのかわかりませんが、全部そのような対応を取られる。自ら設定した自民党との対立軸を全部ご破算にしている状況で、果たしてどういう考え方でそのような変更をされ、今後の政策運営に臨んでこられようとするのか、まずこれをしっかり確認しなければなりません。それなのに、そのような逃げの姿勢は甚だ遺憾です。国民の前で堂々と議論しながら、いろいろな問題解決を図っていく。この会期設定には、まったく納得できないということです。

質疑応答

Q
復興財源について、政府与党は保有している郵政株の売却を検討しているようですが。
A

いろいろな財源をどういうふうに作って行くか、いろいろ工夫するのは、私は必要なことだと思います。ただ、今の郵政株の売却で財源を作ろうということになると、この国会に郵政の見直し法案を政府が出しているわけです。あれでいくと、売却しても持ち株会社に売却益に入るという仕組みになっているはずで、凍結をするというような法案を出して対応をとられたわけですが、それに加えて今出している法案と、また違うことを言っている。どうだと言われても、一体、どういう方向性で処理されようとしているのか、甚だ疑問だと申し上げざるを得ません。

Q
郵政株の売却に関する議論の場には乗れるということですか。
A

我々の対応は、林芳正政調会長代理の下でPTを開いて協議しますが、どっちの方向に歩んで行こうとしているのか、分からないようなときに、分からないようなことでは、どうこうと言われてもお答えのしようがないということです。

Q
民主党の前原政調会長が訪問しているアメリカでの講演で、自衛隊の武器使用基準の緩和と武器輸出三原則の見直しについて発言していますが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A

なかなか民主党というのは、論評に難しい党です。前原さん個人の見解なのか、政調会長という立場から、党としての政策を発言しているのか、そこらがなかなか分からないにせよ、まずはそういう点を明確にしていただかないと、論評のしようがないということです。

Q
この考え方自体はいかがですか。
A

そんな不安定なものに、私はコメントしません。

Q
3次補正について、本日、公明党が提言をまとめたようですが、今後、民主党から協議の呼びかけがあった際は、どのような対応をしますか。
A

我々はすでに、3次補正、復旧、復興については、という表現をしていますが、協力をしていくと言っています。当然、真摯なご相談があれば、真摯に対応するということですが、まずは中身も決まらずに、財源もどうするかということも、いろいろ議論があるなかで、どうしようと言われても困ります。まずは、まとめてください。そうすれば、我々も真摯に対応しましょうということです。

Q
基本的には、公明党と歩調を合わせていくということですか。
A

公明党と歩調を合わせていくという、公明党との信頼関係はしっかりと維持していくつもりですが、中身も良く分かっていない。しかし、復旧や復興については、そんなに違わないんだと思いますので、大きな違いが出てくるか分かりませんが、基本的には協力するというのが我々のスタンスです。

Q
公明党の山口代表が連合の古賀会長と会談して、古賀会長から政権運営の支援を要請しました。公明党と民主党の距離が近くなっているとの見方がありますが。
A

特に連合とどうというのは、連合と公明党との関係ですから、我々がどうこう言うべきものではないと思います。ただ公明党とはずっといろいろ、話し合いと言いますか、いろいろな協議を重ねて信頼関係もできていますし、その信頼関係をさらに強くしながらやって行こうというのが基本方針です。

Q
一部報道などでも、公明党と民主党の距離が近づきつつあるというような見方がありますが。
A

別に懸念しているわけではありません。

Q
自民党の役員人事について、どのようなことを重要視して決めるおつもりですか。
A

まったく白紙です。

Q
党内からは、変えた方が良いとか、そのままで良いとの声が聞こえてきますが。
A

いろいろな意見があると思いますが、私の考えは、「白さも白し、富士の白雪」ということです。

Q
今月の9月11日で、東日本大震災が発生してからちょうど半年を迎えることになりますが、振り返っての所見をお聞かせください。 また、昨日、日銀の白川総裁が量的緩和について、これまで通りやっていくとの発言がありましたが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A

東北の大地震が起きて、今度の11日で半年が経つわけです。まだまだ苦闘が続いている状況です。我々としても、全力を挙げて復旧復興にあたっていかなければならない。いろいろな意味で政府の対応も、必ずしもスピード感のあるものでなかったわけですから、我々としてはさらに尻を叩いてやらなければならないことがあると思っています。

日銀の方は、この前に金融緩和したことで、一応一段落とお考えかもしれません。これはやはりいろいろなタイミング、他の金融政策がどう出ていくかなど、いろいろな兼ね合いがあると思いますから、やはりタイミングを失わずにやるべきことをやっていただくことが必要だと思います。それと同時に、今のこの問題に関しては、必ずしもファンダメンタルズを十分反映した相場ではないということを、日本は発信しないといけません。今度のG7で、大臣・日銀総裁も出席されると思いますが、そういったことをきちっと主張していただきたいと思います。

Q
公明党との関係について、自民党は3次補正成立後に解散総選挙を求める方針を堅持していますが、公明党内には、「それは非現実的で、よく見極めるべきだ」との意見もあり、意見が違っています。今後、公明党とどのように意見をすり合わせていくお考えですか。
A

我々の基本方針は、おっしゃったとおりです。公明党はいろいろなお考えがあると思いますが、さらにいろいろなパイプを通じて、いろいろ話し合いを進めながら、信頼関係を深くしていく必要があると思います。

Q
ロシア軍が北海道沖で演習をしているという報道がありますが、野田政権が発足して間もない状況で、そのような行動が起きていることについて、どのようにお考えですか。
A

やはり、原則がどこにあるかということ、曖昧に見えているところがあると思います。その背景に、もう一つあるのは、日米同盟の信頼性が本当にあるのか、そこが試し所だと諸外国も思っているところがあるように思います。したがって、そういうことを含めて、早急に立て直しを図る必要があると思います。

Q
会見冒頭で、事務次官会議を否定するなど自民党との対立軸を全部ご破算にしているとの趣旨の発言をされました。総裁は、これまで「民主党政権は責任と権限がはっきりしない」などと批判しており、総裁のアドバイスを聞いて、このようなことをしているとも受け取れますが、ご所見をお聞かせください。
A

自分たちの言ってきたことが荒唐無稽だったということには、気付いてこられたということだろうと思います。それはそうだと思いますが、問題は自民党がやってきたやり方と同じことをやるということであるならば、どちらが上手にできるのですかということにもなりますし、選挙の時の柱に掲げたことを、つまりあの時の政権交代ということの意味付けの一つ、非常に大きな柱であったことを撤回してしまうということが、国民との間の、つまり政権の正統性という意味で言えば、一体どういうことなのか。こういうことが当然問われなければならないと思います。

Q
どちらがうまくやるかということを今後競うのでしょうか。
A

どちらが上手にやるかというのは、私は謙虚ですから答えは言わなかったのですが、明らかなことだと思います。もう一つは、そうやって得た政権の正統性が問われなければならないと思います。

Q
関連で、かつての自民党の手法をまねたとも思える野田政権のスタートで、世論調査でも高い支持率となっています。自民党と近いことをやっているのに、なぜ自民党より支持率が高くなっているのか、総裁のご所見をお聞かせください。
A

それはある意味で簡単なことですが、今までがあまりにひどかったから、そのリアクション、これでは困るな、震災も円高も起こっているのに、何とか政治がしっかりしてくれなければならないという国民の危機感があると思います。少し問題点がわかってきたらしいぞと、そこまで明確に詰めてお考えかわかりませんが、そこにちょっと期待を寄せたいなということではないでしょうか。

Q
内閣支持率が回復し、民主党が自民党の支持率が上回ったことに関しては、どのようにお考えですか。
A

支持率が上回ったということよりも、前回まで向こうの支持率が回復するのです。自民党の支持率は、今まではもっと低かったのです。そういうことが全体の状況を物語っています。

Q
復興財源確保に増税という議論はあり得るとお考えですか。
A

我々は、復興債を発行するということを言っています。復興債を発行するというのは、要するに今すぐにそれを回収するということではないということです。今すぐ回収するのであれば、今すぐ増税して、(財源確保を)やるということになる。そこにやはりこの震災によるダメージ等を考えて、どのように償還計画を立てていくか、そこにゆとりを持たせるのが復興債の考え方です。一番大事なこと、特に政府与党に求めたいことは、今の国際金融情勢、ユーロも不安ですし、アメリカもアメリカ国債を発行する上限を巡って、国際金融の不安感を生じたわけですから、日本も900兆円になろうとする国債を発行しているわけです。だから財政規律に対するメッセージをどう出すかということの工夫が必要だと思います。