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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年8月25日(木)16:15~16:33
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣禎一総裁

【谷垣禎一総裁発言】

最初に、昨日、尖閣諸島沖で中国の漁業監視船2隻が日本の領海に侵入した事件がありました。これは、わが国の領域を侵す許し難い行為であり、大変遺憾です。言うまでもありませんが、尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も日本固有の領土であることは明白でありまして、中国政府に対して再発防止を強く求めなければならないわけです。同時に、こうした中国側の行動は、日本の政治空白、並びに民主党政権によって脆弱化した日本の外交力の隙を突かれたものではないか。政府は日本外交の再建・強化を図ることに全力で取り組む必要があります。

2番目として、23日にツィッター対話集会を行いました。これに際しましては、多くの方々から私に対する質問をお送りいただきました。そして各種の動画メディアを通じてご視聴いただいたことに心から感謝申し上げたいと思っています。我々は、国民の皆さま方との対話、密接な対話が極めて大切であると思っておりまして、引き続き、こうした機会を設けてまいりたいと考えているところです。

最後に、本日のシャドーキャビネットですが、一つは「審議会等の存続期限の設定等による行政改革の推進に関する法律案」(議員立法)、並びに「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案」(議員立法)、これは4月28日を主権回復記念日にするものですが、これについて審議し、これを了承しました。また、「自治基本条例に関する論点整理」について、報告を受けたところです。

質疑応答

Q
ツィッター対話集会で、総裁は「民主党は早晩割れざるを得ない」との見通しを示されましたが、民主党代表選挙をどのように見ておられますか。
A

ツィッター対話集会で申し上げたことは、要するに、この間政治が混迷した基本的な要因は、民主党の中で、マニフェストをあくまでも守れ、国民との契約だと主張される方と、マニフェストは現実に破綻したから、撤回することが政策的に正しいという方々が正面からぶつかって、一つの政党、特に政権政党として、意思の集約ができない。したがって、政権をしっかり支えることもできない。私どもが交渉しても、果たして交渉したことが党の体制として守っていただけるのかわからない、つまり政党の体をなしていない。こういうところに、この間の政治の基本的問題点があるという私どもの認識から、このまま政党の体をなしていない状況では、早晩なんらかのカタストロフィーが来るのではないかということを申し上げたわけです。

従いまして、民主党の代表選挙についても、今は過程でありますから、どなたがどうとか、こういう個別の事を申し上げるつもりはありません。一番大事なことは、国民の前で、何というのでしょうか、政策論争というか、路線論争というか、どういう方向でこの日本の状況の中で政権を取っていこうとされるのかということを国民の前で堂々と議論して、一定の整理をつけていただくことが何よりも必要なことで、そうでなければ、政策論争、路線論争なき代表選ということになって、国益には全く反することになると思っています。

今、マニフェストということで申し上げましたが、今まで、我々はバラマキ4Kということを申し上げてまいりました。それだけではなくて、CO2の25%削減といったアンチビジネス政策を一体どうするつもりなのか。あるいは、「コンクリートから人へ」ということと言ってきたわけだけれども、こういった大震災による被害、災害に強い国土を作るとか、いろいろな観点があります。一体、「コンクリートから人へ」という公共事業を敵視する政策を一体どうするつもりなのか。あるいは、公務員総人件費の2割削減等々、混迷している問題はたくさんあります。こういった問題をきちっと整理していく。そういうことを各候補がなさなければならないのではないかと思っています。

そして、もう一つあえて申し上げておきたいことは、候補予定者とされる何人かの方々は、政治とカネの問題が従来からも指摘されてまいりました。そういう中で与党の代表になろう、多数党の代表になろうということでありますから、当然近々に、きちっと説明責任を果たされるものであると、私どもは考えています。

Q
関連で、民主党の代表選において、政策論争がまったく行われていない現状をどのように見ていますか。
A

これはいくつかの問題に分かれると思います。一つは、復旧、復興、これは相当な財源が必要とされる。しっかりと復旧・復興を図るためには、財源の調達をどうするかが整理されなければ、物事は進まない。

もう一つの問題は、前からも問題ですが、社会保障と財政の問題をどう解決するか。これがきちっとできないと、おそらく来年度の予算編成は、スムーズに進まないと思います。そういった、現下の重要課題にしっかりとした認識があれば、当然にそういうことも代表選の大きな争点になるはずですが、現状では、ほとんどそういうことが行われないで、候補と目される方々が口を開けば、小沢さんの件をどうするかと発言するのは、方向を見失っているということではないかと思います。

Q
自民党内には、今すぐにでも解散に追い込むべきとの声もあるようですが、解散・総選挙に対する谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A

マニフェストが破たんをしたということは、今までの民主党の執行部は認めている。そうすると、それをどうするのかということは、当然に国民の信を問うて、整理されないと物事は進まないということがあります。

それからもうひとつ指摘しておかなければならないのは、これで代表選を済まされると、おそらくあの党が政権を取って2年ですが、その中で3人目の総理が誕生することになります。そうすると、そういうことに対して、徹底的な批判をされてこられたのが、現総理の菅さんであり、民主党であったわけです。そうすると、当然にその言葉は自分に返ってくる。しっかりと国民の信を問うて、もう一回、政治の体制を立て直すということが、そろそろ現実の課題になってきているわけです。

もちろん震災復旧、復興もあるので、第3次補正予算はまだ内容がどういうものかわかっていない段階で、全部協力できるかどうかは、本当はありますが、しかし、基本的な姿勢として、第3次補正予算、復旧・復興等については、基本的な姿勢としては協力するというのは、動かないだろうと思います。しかし、そろそろ今のような問題点を整理して、新しい政治体制を作らなければ、現下の日本の状況は、乗り越える道筋は開けないということになってくると思います。それは私どもも、野党として十分に意識して行動しなければならないと思います。

Q
そろそろ政治の体制を立て直さなければとのことですが、それは第3次補正予算が成立した後にはということですか。
A

もう本当は今にでもすぐにやらないといけません。しかし、そうは言っても、震災の復旧・復興もあるじゃないかという現状を見て、今のような表現と言いますか、考え方をしているわけです。

Q
民主党代表選について、昨日、前原氏がこれまで路線の違った小沢元代表に支援を要請しましたが、このような状況をどのように見ていますか。
A

このことがどういうことを生むのか。まだ私は良くわからないので、コメントをするのも難しいのですが、今まで(前原氏が小沢氏に対して)強い批判をしていたことは間違いありません。そういう中で、前原さんに限らず、いろいろな方が小沢詣でのような様相を呈していること、そして、先ほど申し上げた問題点をどのように政策的に、路線的に乗り越えるかと言う議論が進まない中で、今のようなことが行われるのは、多くの国民から強い違和感を持って見られていることは間違いないと思います。

ましてや、小沢さんは、政治とカネの問題が今も議論されているわけですから、このことは政権の信頼、こういったことに強い影響を与えざるを得ないのではないかと思っています。

Q
今後の自民党のエネルギー政策について、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A

大きな方向はできつつあるというふうに思いますが、結局、現在の原子力の状況、それからエネルギーの状況を考えると、やらなければならないのは4つだと思います。

一つは、福島第一原発、これからも廃炉にしていかざるを得ないわけです。そういうことになれば、当然、エネルギーがタイトな状況が生まれますから、徹底的な省エネ、節電をさらにどうやるかということがなければなりません。

それに加えて、再生エネルギー、こういった問題をいろいろ研究開発をさらに進め、あるいは投資に対するインセンティブも進める。再生エネルギー法案はそういうものでありますが、そういう中でその可能性を徹底的に追及していくことは必要でしょう。

三番目には、さりながら火力発電だとか、LNGというのも、CO2削減をどうしていくかという一方で難しい問題がありますが、現実には、これも利用せざるを得ないだろうとも思います。そこをどのようにやっていくかということもありますが、このような問題がある。

そして、しかし、なおそれにもかかわらず、原発をすぐ取り止めるという方法は、私は取り得ないと考えています。もちろん、前提は安全性を徹底的に点検し、確保した上でということでありますが、要するに定期点検したものを動かす事ができない状況であれば、日本のエネルギーのひっ迫は、当然のことになってまいります。それに加えて、福島第一原発だけではなく、老朽化した原発の廃炉等々も考えても、相当長い期間が必要となります。そういったことも十分念頭に置いておかなければいけない。タイムスケジュールをどのように取っていくかということも大事だろうと思います。
以上の4つを組み合わせてやっていくということではないでしょうか。

Q
自民党の役員人事について、民主党代表選挙・役員人事等が終わってから検討されると思いますが、1月の党大会で一刻も早い解散総選挙・政権奪還を掲げた総裁として、今度の人事にあたって、どのような観点で人事を検討していくか、ポイントをお聞かせください。
A
全くの白紙です。全くの白紙で、素直な自然な心で、これから対応していこうと思っています。全く白紙で、あらゆる状態に対応できるようにしておこうと思っています。