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記者会見

谷垣禎一総裁 記者会見(3党合意を受けて)

平成23年8月9日(火)17:30~17:53
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣禎一総裁

【谷垣禎一総裁発言】

特例公債法案の取り扱いを巡りまして、3党幹事長間で合意ができましたので、それについて申し上げたいと思います。特例公債法案の取り扱いですが、まず第一に、民主党マニフェストの主要施策、つまり子ども手当を除く、残りのバラマキ3Kについて見直すこと。その見直しについて、削減するということを前提に平成23年度の補正予算や平成24年度予算の編成過程等で措置をすること。第二に、子ども手当の撤回等歳出の見直しに伴う減額措置等、3次補正予算において行うことを法案の附則に明記することなどについて、3党間の幹事長で確認いたしました。この過程で、特に石破政調会長には、大変ご苦労を頂いて、おまとめを頂いたわけです。要するに、3党間でマニフェストの主要施策を見直す合意がされたことになります。

今の時点で、このような合意を得るに至っては、私どもも、とりまとめをできるだけ急ごうということでやらせていただきました。現在の経済、国際金融の動向も踏まえながら、急がなければならないことと、かねてよりわが党が主張してきたことが概ね受け入れられたということであります。政府与党において、これらが誠実に対処されるという前提で合意に至ったということです。

明日以降の法案の審議は残っています。再生可能エネルギー促進法案をどうしていくかということも残っていますが、わが党の中の、再生可能エネルギー促進法案の取り扱いも、概ね見通しがついてまいりました。したがって、菅総理が自ら勝手に設定された退陣3条件の出口が見えてきたということです。そうすると、当然のことながら、己の出処進退に関することについては、当然信義をお守りになることでなければならない。当然そういうことであろうと思います。せめて最後、天下に公言した自らのお言葉を履行されるべきであると、強調して申し上げたいと思います。

もしこの点が外れるということであれば、責任ある与党の民主党議員各位におかれては、不信任案を否決することで、自らが招いた国家の機能不全の状況を克服するために、今後こそ、覚悟を持った行動が求められると思います。

質疑応答

Q
特例公債法案については、週内に衆院を通過させるということでよろしいですか。また、昨日の段階で、自民党の考え方ということで出しているペーパーがあり、この内容と今回の合意内容とでは、かなり乖離があるようですが。
A

最初の点は、具体的にどのように審議するかは、当該委員会の理事会でお決めになること、また国対マターですが、ここまで大きな方向は合意ができたので、おそらく敏速に法案を通すということになるだろうと思います。二番目の点は、石破政調会長にお答えいただいた方がいいと思います。

A

(石破政調会長)
二番目の点は、ご指摘のように、昨日、自民党の考え方というものを提示しました。基本的に、残りの高速道路料金無料化、高校授業料無償化、農業戸別所得補償、すべて撤回を求めるというものでした。

しかしながら、わが党の考え方というものをすべて反映するために、ごく限られた時間で、自、公、民の3党で議論するということは、子ども手当だけでもあれだけの時間がかかったので、私どもとして、自らの政策の主張の正当性というのは、当然に認識していますが、さればこそ、今回の幹事長間の合意において、このような文言になっています。

高速道路無料化については、24年度予算の概算要求においては計上しない。高校授業料無償化及び農家戸別所得補償の平成24年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに必要な見直しを検討するという文言になっています。

つまり、これを撤回せよというのは、何も言いがかりではなくて、一つは政策効果に乏しいと申し上げています。政策効果が乏しいからこそ、そこにお金を使うのは無駄だと言っていて、今後は、この高校授業料無償化、あるいは高速道路無料化、あるいは農家戸別所得補償の政策効果はどうなのかということ。党内で議論は尽くしていますが、さらにご理解をいただくべく努力をして、その検証作業をします。

政策効果を検証し、必要な見直しを検討するということですから、今後、3党において、この見直しが検証されることになります。見直すということは、今回、明言され、確認されたので、さらに私どもが昨日提示した、わが党の考え方というものがきちんと実現されるように、財源を生み出し、必要な、効果のある政策の実現に向けて努力をするということで、昨日のものと、本日の文書にかい離があるわけではなく、矛盾でも、後退でもありません。私どもの考え方が、これから先に実現するべく、さらに努力していくということです。

Q
今回の合意が約束されない場合、自民党としてはどのように対応しますか。
A

合意がまとまったときに、履行されないことを前提にいろいろ発言するというのは、公党に対して失礼ではないかと思います。むしろ、この合意を誠実に受け止めて、いろいろなことを努力していただけると思っています。

Q
自民党内には、民主党のマニフェスト検証委員会の結論を見てから判断すべきとの意見もあります。谷垣総裁は、会見冒頭の発言で、世界経済の問題、信用不安ということをあげられましたが、経済に対する懸念を持っているから、今回の判断に至ったということですか。
A

「隴を得て蜀を望む(ろうをえてしょくをのぞむ)」と言いますか、「多々益々弁ず」と言えば、いくらでも我々も主張したいこと、やりたいことがあります。

ただ、一つは、いまおっしゃった、こういう元はと言えば、ユーロの不安定さから発するものかも知れませんが、アメリカのドルにおいても国債の上限をめぐる、いろいろな動きで格下げが起こってきた。非常に国際マーケットが不安定なので、これがまた今は非常な円高が続いていますが、いつ、いかなるかたちで、どう動くかはなかなか予測がつかないところがあります。

そのときに、確かに欠陥の多い予算ですが、やはり政府がもっている手段というのは、予算によって担保されている政策をフルに動かすことだと思います。そういうような思いもあったことは事実で、いま望むことは、それならば政府としては、適切な政策運営に全力をふるってほしいと思っています。

Q
自民党内からは、譲歩しすぎではないかとの声もあるようですが。
A

何というか、こういう武器を確かに特例公債法案というのは法律ですから、予算の裏打ちとなるものですけれども、憲法上の規定によって予算に認められているような衆院の優越が定められていないので、我々にとっては、まっとうな予算ならともかく、欠陥のある予算なので、そのことを迫って行く、指摘するための大きな武器であったことは間違いありません。

ただ、私どもは、もともと特例公債法案がいらないというようなことは、一度も言っていたわけではありません。むしろ今日、このように問題になるのが、むしろおかしいのではないかという気がします。政権としては、予算執行の裏打ちとなる法案ですから、予算が通ったすぐあとに、やはり政権として政治生命をかけてこれを通す努力をもっとすべきであったと。我々が政権にあったときは、当然にそうしたと思います。

予算は参院に送ったけれども、衆院にホールドして、むしろ何で動かさないのかというような対応をしていた。ここに問題があったのだと思います。そういう政権としての政治運営の自覚のなさというか、指摘しないといけないと思います。

そういう武器としての面があったのは間違いないわけで、特に今、菅総理のこういう危機における政治運営が非常に袋小路に入っている中では、菅さんを追い込む武器足り得るものであったことは間違いないと思います。

しかし、これもいろいろな考量がありますから、その点だけを取り上げれば、もっと持つべきだという議論もあり得たと思いますが、いろいろな今の経済状況であったり、いろいろなことを多面的に考えれば。

それともう一つは、これは政局的に使うということもありますが、私は前から申し上げてきましたが、あくまで政策面の問題として、一つ一つ処理して、結論が出れば解決すると申し上げてきました。私どもが主張してきたものが、基本的にきちっとこの中に盛り込まれた結果で、そういう意味では、いろいろな意見がありますが、一つのタイミングだと思います。

Q
これで菅総理が言うところの退陣の条件が整ったという側面がありますが、党内にはそれでも菅総理が辞めないのではないかという見方もあります。特例公債法案が成立する見通しとなったことで、菅総理が辞める度合いについてどのようにお考えですか。
A

要するに、この条件もいかなる思いがあって設定されたのか、私はわかりません。一方的に設定されたものですから、菅さんがどうされるかということは、私は自分の心の中を見通すように、菅さんの心の中を見通すことはできません。しかし、やはり政治家が自らの進退をここに賭けるかの如きご発言をされたからには、当然それをお守りになければならないものだと思っています。

先程、これが守られなかった場合、どうするかというご質問がありましたが、こういうものができた時に、すぐに守れないこともあり得るだろうとか、言う必要はないと思います。まだ、私はそこのところは、政治の言葉に対する信頼を持ちながら、行動していきたいと思っています。

Q
これで菅総理が辞めるだろうということで合意に至ったのですか。
A

先程から申し上げているように、この特例公債法は菅さんの進退を賭けるべきものでもない。あまりにも政局的に利用するべきものでもない。第1次補正の時に合意ができているように、何度も申し上げていますが、特例公債法案が不必要な法律だと申し上げたことは一度もありません。必要だと思っています。バラマキが大量に含まれている。バラマキの財源を特例公債に求めるのはおかしいということですから、その克服方法がこの中に書き込まれているわけで、そうすれば条件が整ったということです。菅さんがお辞めになる、お辞めにならないということを、直接念頭に置いて合意したわけではありません。そういう言葉を吐かれているわけですから、政治家である以上、当然お守りになるものだろうと思っています。

Q
冒頭に、菅総理が辞めない場合は、民主党内の努力を促したいと発言されましたが、自民党から不信任案の再提出などはされないのですか。
A

まずこれは民主党の中で、お考えになるべきことだと思いますし、民主党の中というよりも、菅さんご自身がお考えになるべきことで、自民党がどうするかということは、そこから先の話ですから、ホップ・ステップがまだない中で、いきなりジャンプをどうするかと言われても、なかなかお答えが難しいです。

Q
結局のところ、この合意ができたということで、衆議院でも、参議院でも賛成するというのが基本的な考えでよろしいのでしょうか。
A

政治の場合、何が起こるかわかりませんから、全部見通すわけにはいきませんが、基本的な条件は整った。だから、衆議院では賛成することを前提に、対応していくということだと思います。

Q
煎じ詰めれば、国益を考えて判断したということでしょうか。
A

これがすぐどのように、どう効いてくるかわかりません。しかし、いろいろなマーケットの不安要因は取り除く必要がある。それが一つのタイミングであるかなということを考えました。

Q
3次補正に関して、復興債の償還方法について、各党で検討を進めるとのことですが、新体制になれば、こういった問題に対して、民主党と議論していくお考えでしょうか。
A

(石破政調会長)
これは、そこにあるように、復興基本法8条には、復興債の償還財源の具体的内容や償還ルール、あらかじめ決めることとされているその償還の道筋、これを定めるように決まっています。まだ民主党内部におきましても、増税すべからず、その財源に何を求めるか等々で意見がまとまっていると承知していません。閣議決定もなされておりません。そういたしますと、各党で検討を進めるという文言は、各党間で協議することと違う文言の構成になっています。それぞれ民主党は民主党として、見解をまとめよということですし、わが党の中もまだこの議論は収斂していません。それぞれの党が考えをまとめていない段階で、3党で協議しても意味のないことですから、各党で検討を進めるということは、わが党はわが党で、民主党は民主党で、民主党の中がまとまったかわかりませんが、私どもとしては曖昧性というものを排除した上で、このような形で償還する。財源は斯くの如しであるということで協議に臨むことだと思っています。その時期がいつかということは、菅政権なのか、そうではないのか。常識的に言えば、菅政権ではないと思いますが、どの政権であれ、わが党の考え方を早急にまとめる必要があるという認識をしておりまして、その作業を早急に進めたいと思います。

Q
これで菅総理の退陣条件が整ったということで、今後新体制になった場合は、民主党・政権との距離感をどのように取っていくのですか。
A

これは、どういう方がどのような政策、政治運営の手法のお考えを持って出て来られるかということによって違うと思います。ですから、我々は、復旧復興に関しては協力していくというルール、考え方で今までやってまいりまして、そのこと自体、変化はないですが、やはりこういうものも相手あっての対応ですから、頭の中はまだ全くのノーアイディアです。