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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年7月14日(木)15:30~15:55
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣禎一総裁

【谷垣禎一総裁発言】

私どもが野党になってから「ふるさと対話」をやってまいりましたが、7月9日(土)に、300回目のふるさと対話、被災地の現場の声を聴かせていただこうということで、岩手県久慈市に参りまして、300回目の「ふるさと対話」を開催させていただいたところです。地元の皆様からは、依然として、ガレキが山積する現状に加えて、遅々として復旧・復興が進まないことへの不満あるいは不安ということを言っておられました。私どもとしても、できる限りの考えていること、実施していることを申し上げたわけですが、結局のところ、菅政権がその最大の障壁となっている現状、これが誠に情けなく、非常に歯がゆい思いがしたところです。
私どもは、やれることは淡々とやっていこうということで、いろいろ議員立法を出しておりますが、参議院においても、復旧・復興に取り組むために、原発関係のいわゆる「仮払い法案」を提出しまして、与野党間で協議を重ねてまいりましたが、結果的に今日も協議が整わず、民主党は反対する方向と聞いています。仮にそうであるならば、大変残念なことだといわなければなりません。厳しい暑さの中でありますが、被災地は不安と混乱を抱え続けているわけです。我々自民党は、被災地の方々から聞かせていただいた声を実施に移すように、先程申し上げたように議員立法等を通じまして、責任を持ってその早期実施を進めていこうということです。
それから、原発を巡る菅総理の発言ですが、昨日の晩、民主主義と法のプロセスを無視した菅総理の独断と言っても良いのではないか。日本のエネルギー政策に対する政府・与党内での議論もない。脱原発への明確な代替案やプロセスの提示もない。電力の安定的な確保に対する具体的な説明もない。まさにこういうことでした。退陣を表明している総理大臣が大きな政策変更を伴う問題について、このように安易に発言される。都合の良い時だけ会見を開いて、原発に対する国民不安を利用して、自らの延命を図ろうとする。まさに国民不在のパフォーマンスとしか言いようがありません。朝令暮改の場当たり的なエネルギー政策では、電力不足に対する国民生活の不安と混乱を助長するだけでなく、既に政治リスクによって国内拠点の維持がだんだん難しくなっている、限界に来ている。産業界の悲痛な声が聞こえてまいります。そういう産業界の更なる不信を招き、その海外流出による深刻な産業空洞化が、まさにギリギリのところに来ている。そのように私どもは思っています。
したがって、我々自民党は、電力供給の安定的な確保を図って、国民生活・経済活動の不安を払拭しなければいけない。そのためにも、中長期の視点に立った具体的な方針を示していかなければいけないと思っています。党内においても、原子力政策を含む日本のエネルギー政策のあり方に対してゼロベースで見直し、今後の具体的な方向性を示そうということで、連日、活発な議論を行っています。引き続き、各論点を深化させて、8月上旬にもその方針をお示ししたいと考えています。

質疑応答

Q
時事通信の世論調査の結果、内閣支持率が大幅に下がり、支持するが12.5%、支持しないが71.2%という結果になり、民主党政権発足以来、過去最低を更新しました。また民主党支持率も下落傾向ですが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A

御社の調査で内閣支持率が12.5%とのことですが、各社の調査を見ても、軒並み10%台の半ば、今のお話は10%の下の方に張り付いている。これは非常に深刻な状況になってきていると思います。要するに、国民、各界、各層からレッドカードを突きつけられている状況で、民主政治のもとではこういう低評価になると、大胆な政策展開とか、実行力が溢れる行動というようなものは、不可能になってきているのではないかと見ています。
こういう世論調査の結果とは別に、わが党もそれならどうするんだということが国民の皆様の胸の中にある思いでしょう。わが党としても、どういう方向性を示していくのか。政策的な主張、これを国民の皆様にご理解いただけるように努力しなければなりませんし、被災者の声を重く受け止めて、野党ではありますが、議員立法などでできる限りのことを、立法府の中でやっていく。
これだけの低支持率というのは、単に政権与党の危機というだけではなく、こういう震災を受けた中で、国家的な危機だとも思いますので、我々もそういう努力をさらに精進しなければならないと考えています。

Q
関連で、調査の結果では、菅総理の早期退陣を求める声がかなり多い状況で、しかし、昨日の菅総理の会見を見ていても、辞めるような素振りはまったく感じられませんが、この国民の声と菅総理との乖離をどのように見ていますか。
A

どういうふうに見るかと言っても答えようがないというのが正直なところでして、これだけ支持率が低くなると、現実にものごとを動かす、処理をしていくということも極めて困難な状況になっていると思います。したがって、一刻も早い退陣、新しい体制を作るということが必要で、現状ではまず与党の中の努力が必要だと思いますが、我々もできる限りの行動をしていかなければならないと思っています。

Q
菅総理の将来的に、原発に頼らない社会を作るという考えは、谷垣総裁も共有されますか。
A

将来的に頼らないという菅さんの表現ですが、やはり今のような状況で、他のエネルギーをどういうふうに活用するかは、最大限の努力をする必要があると思いますし、それから省エネなども更に工夫する必要があるのは、当然なことだと思います。
ただ、大事なのは、そういうことを打ち上げるということが大事というよりも、具体的にどういう手順をとればそれが可能なのか。そして、非常に経済界等々の不安も高まっています。安定的に日本で生産ラインを維持できるかどうか。そういうことで、空洞化がどんどん進むと、この復興から立ち上がって行こうという体力も得にくくなるので、現実的な工程表まで考え詰めないと、いたずらに不安を助長することになる。将来的にどうすればという問いだけでは足らないと思います。具体的にどうしていくかということまで、議論をして問題を整理しないといけないのではないでしょうか。

Q
具体論を詰めたうえで、将来が決まってくるということですか。
A
そういうこともありますが、私が申し上げたいのは、何よりももう退陣を表明した方が、これだけ大きい政策転換を政府内でもほとんど議論の積み重ねもなく、具体的な方向性なり、手立ても言うことなく、打ち上げ花火を打ち上げれば済むという話ではありません。論評するにも値しない行動だと、私は思っています。
Q
経済界にも不安の声が広がっているとのことですが、放射性物質への不安の声も一方にはあります。そのような声には自民党として、どのような答えを出していきますか。
A

当然、安全性をいかにして高めていくことができるか。全力を傾けたうえでやっていかなければならないのは、当然のことだろうと思います。それを抜きにして、原子力発電ということは、なかなかできないだろうと思います。

Q
8月上旬に方針を示すとのことでしたが、それは原発に対する安全性ということも含まれますか。
A

今、検討中ですから、私もどういう議論、全貌をつかんでいませんが、そういう全体の手順、方向性、工程表というようなものも、十分に踏まえた議論が必要だと思います。

Q
関連で、現時点では詳しいデータや工程表がないから、原発をゼロにできるかわからないというお考えですか。
A

菅さんの話は具体的ではないですから、将来って一体いつ何だということもあります。今から千年後に原発をゼロにすると言われたら、それはできるかもしれないと。極端な話ですが、そんな話をしても仕方がないわけです。

Q
菅総理は「顔を見たくなければ法案を通した方がいい」との発言をしましたが、改めてどのような受け止めをお持ちですか。
A
論評にも値しません。
Q
再生エネルギー法案について、自民党として協力するお考えはありますか。
A

協力すると、それは国会でしっかりと議論をして、結論を出すときがきたら、結論を出すのは当然だと思います。
協力という表現があるのは、協力していないと言わんが如き悪しき宣伝があるから、ときどき使われますので、大変遺憾だと思っています。

Q
具体的には、修正案や対案を出すというお考えはありますか。
A
まだそれは議論を煮詰めてから、具体的な対応を決めたいと思っています。
Q
菅総理は退陣表明をしていると受け止めていますか。
A

受け止めています。そういう口先だけで言うのは、大変卑怯だとも思っています。

Q
震災対策について、自民党は議員立法などを提出することで貢献しているのだと思いますが、それ以外に自民党ができることはないのでしょうか。
A

今のご質問の意味がよくわかりませんが、私どもは行政府を持っているわけではないので、立法府の中でできることはすべてやっていくべきだと思っています。そのうえで、行政府がやらなければできないことまで、私たちができるわけではありませんし、すべきではありません。権限と責任の大系、私が常々申し上げていますように、ぐちゃぐちゃになってしまいますから、私どもにできるのは、友情ある説得と勧告ということだと思います。

Q
2次補正予算への対応についてのお考えをお聞かせください。一部では、組み替え動議を出すとの意見もありますが。
A

常々申し上げているように、今、2次補正で出てくる、これをしなければならないということで出てくるやるべきこと。我々はシャビーだと思いますが、出てきた内容自体はとりわけ否定することではないと思っています。
財源等々については、大いに問題があるのではないか。今、もっとやるべきことがあるのではないかと思います。
それをどういう形で表現するかは、国対等々で考えていただこうと思っています。

Q
衆議院で結論が出た場合は、参議院でもう一度議論し直すと言うことでしょうか。
A
それは国会対策の話ですから。国対等々でお聞きいただきたいと思います。
Q
特例公債法について、子ども手当の問題で合意できれば、特例公債法案を通しても良いという意見もあるようですが、それ以外の高速道路無料化、高校授業料無償化、農業戸別所得補償のバラマキ4K全ての撤回を示されないと、特例公債法案には賛成できないということでしょうか。
A

これも協力という言葉を使われますが、我々はやはりきちっと審議して、我々のやるべき議論をしていく。それが協力ということだと思います。その結果、どのような結論になるのかというのは、まだ早いです。
それと同時に、もう一つ申し上げておきたいのですが、結局子ども手当法案についても、その他の法案でも、つまり、子ども手当法案については、言ってみれば民主党の金看板そのものです。その法案を出されたけれども、結局、その法案は撤回されて、つなぎ法案を出して、それがとりあえず通った形になっているわけです。つまり、看板政策を撤回したけれども、それがいかなる理由に基づくものであったかというのは、何らのご説明もない。やはり、看板政策を撤回した以上は、きちっとその説明をなさるべきだと思います。そういうものがないということでは、なかなか我々は、協力がしにくい。協力という言葉を使うのも私は適切でないと思いますが、つまり最終的には賛成してくれということでしょう。協力と言うと、なんだか美しい言葉に聞こえますが、要するに協力というのは、あなたたちの主張を曲げて、賛成しろというのが協力なら、それは曲げられません。つまり、そういったような看板政策を撤回した、それはいかなる理由に基づくものであるのか、ということをはっきり示していただかなければ、その説明が納得できるか、できないかということもあります。看板政策を引っ込めておいて、何か口を拭って、何もおっしゃらない。こんな馬鹿なことで、協力もへったくれもありませんよ、それは、ということです。

Q
24年度の予算編成がこれから始まると思いますが、そこでも高校授業料無償化、農業の戸別所得補償が撤回されるべきだとお考えですか。
A

そういうことを申し上げているのではなく、マニフェストの看板政策を撤回されているわけです。しかし、それにはご説明がない。マニフェストが破綻したから撤回したのか、それとも我々が賛成しないから、正しいと思っているんだけど、撤回したのか。あまり細かいことは言うのは止めましょう。実は、看板政策を撤回したのは、子ども手当だけではないのです。政治主導法案も同じく金看板だったはずですが、撤回されたわけです。いかなる理由で撤回したのか明確にならないと、以降の問題の処理にも支障が生ずると、我々は思っているわけです。
なぜ震災復興の補正予算がやるべきことを含んだちゃんとしたものにならず、シャビーなものになっているかと言えば、結局そういった問題を整理できなければ、本格的な財源論に入っていけないということを、民主党側も強く感じておられるのではないでしょうか。しかし、それができていないというところが、この問題の大きな本質があると思っています。

Q
そもそも政策として間違っているということを認めないと、自民党として賛成できないということですか。
A

そう言っているのでなく、まだ向こうからご説明がないわけです。なぜ看板政策を撤回されたのですかというところの説明がなければ、わからないじゃないですか。看板政策が正しかったのか、正しくなかったのか、それとも正しかったのだけれども、財源が調達できなかったのか、そのあたりを明確にしていただきたいと申し上げているわけです。

Q
総合エネルギー政策特命委員会(山本一太委員長)で、自民党の中の考え方をまとめようとしていますが、自民党の中でも原発に対していろいろな意見があり、まとめる難しさについて、どのようにお考えですか。
A

これは今、額賀福志郎議員が一生懸命汗をかいておられるところです。大きな問題ですから、それはいろいろな議論が出てくるのは、不思議ではありません。汗をかいて、皆がなるほどというものにしていく必要があると思います。

Q
自民党の支持率が微増、横ばいにとどまっていることを、どのように分析されていますか。
A

分析もしていません。野党というのは、そういうものだと。多々益々弁ずということだと思いますが、一言で言えば、謙虚に行けということではないでしょうか。

Q

自民党は、震災後の経済戦略に関する特命委員会(町村信孝委員長)で2次補正の考え方をまとめ、組み替え動議を出されるようですが、その財源論で、復興財源の償還財源については、法人税や所得税などを一時的に上げることが書かれています。
これはかなり踏み込んだことだと理解していますが、一方自民党内に増税によらない復興財源を求める議連があり、自民党内でそうした財源論の議論が進められているのでしょうか。

A

これはもう少し詰めないといけないと思います。税をどうするかという問題になっていくと思いますので、そのあたり税調等々でどのように考えていくかという議論を進めていただきたいと思っています。