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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年7月7日(木)15:03~15:25
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣禎一総裁

【谷垣禎一総裁発言】

昨日、今日、予算委員会の審議を聞いておりまして、原発を巡る政府の姿勢は、あまりに唐突で、混乱を助長するという思いを深くいたしました。菅総理は、震災から約4か月が経過した今、唐突にストレステストを打ち出したわけです。これは、もちろん全国各地の原発の現状を精査して、その安全性を確認することは当然のことであり、政府は、政府の責任として行わなければならない。それは当たり前のことです。海江田経済産業大臣自らが佐賀県を訪れて、玄海原発の再稼働に向けて、方針を示して、それぞれの地元の協力も要請したわけですが、菅総理がそれにブレーキをかける。これは、政府内の明らかな閣内不一致で、非常に基本的な現下の重要問題について閣内不一致があると言わざるを得ません。このことが地元自治体だけでなくて、原発を抱える関係自治体の不安、そして電力供給に対する国民の不安と混乱を助長すること甚だしいと思っています。本気で原発事故の安定化を図るのであるならば、まず、各大臣の権限と責任をはっきりさせる。そして、原発安定化に向けた基準とプロセス、それから原子力政策に関する政府・与党の方針を一本化し、明確に示す。その上で、菅総理自らが国民に向かって明確な説明をなさるべきだと思います。今のあり方は、あまりにひどすぎると思います。

国会の審議ですが、復旧・復興について、わが党はこれまで与野党の垣根を超えた協力をしなければならないということで、政府に対して577項目の具体的な提案を行ってきたわけです。我々は、決断と実行を先送りにする、そのような政府ではどうしようもないということで、風評被害、二重ローン問題、ガレキの処理等、被災地からの切実な要望を我々は伺っていますので、これを議員立法として具体化して、自民党として責任を持って、その早期実施を進めていく。その覚悟を新たにしているところです。

 

質疑応答

Q
今日の参議院予算委員会で、海江田大臣が、玄海原発に関する質疑の中で、「いずれ時期が来たら、責任を取らせていただく」と発言されましたが、総裁の受け止めをお聞かせください。
A

先程申し上げたことに尽きるわけですが、要するに菅さんがおっしゃっている政治主導というものが、要するに権限と責任というものがぐちゃぐちゃになっている。繰り返し申し上げましたが、海江田大臣の権限と責任が何で、細野原発事故担当大臣の権限と責任が何だというようなことが明らかになってないから、そのようなことになってしまうわけです。菅さんは、そこのところが全然おわかりになっていないのではないかと思います。
さらに申し上げるならば、人事でもいろいろ迷走しました。私は先程今日の予算委員会を聞いて、耳を疑ったのです。聞いていたことをそのまま申し上げて、もう一度議事録を確認したいと思いますが、わが党の礒崎陽輔参議院議員の質問で、浜田和幸参議院議員を総務大臣政務官にしたことを、片山善博総務大臣に聞いておられました。私の記憶に誤りがなければ、総務省プロパーの仕事をやってもらうわけではないから、特段の感想はない。発令権者にやってくれ」との趣旨の答弁をされた。一体これは何なんだと、私は思いますよ。こういうような人事体制では、物事は進まないと思います。私も、悪口を言うのは嫌になっているのですが、この状況はひどいです。

Q
唐突にストレステストを打ち出したことで混乱を助長したとのことですが、ストレステストが必要ないとお考えですか。
A

先程申し上げましたように、ストレステストというのは一体どういうことをおやりになるのか、唐突に打ち出したけれども、具体的に説明されているわけではありません。極めて、曖昧な説明になっていると思います。全国各地の原発の現状を精査して、その安全を確認することは政府として当然やるべきことだと思います。それがストレステストという言葉で表現するのかわかりませんが、それは今までやってこなければなりませんし、やったからこそ、本来佐賀県に経産大臣が行かれて、再開を要請されたという手順でなければならないわけです。私はそのように思います。やらなくても良いということは、一言も申し上げておりません。一言も申し上げておりませんが、それなら今までやっていたことは何だったのと申し上げたいと思います。

Q
安全性を確認することは必要だという認識でよろしいのでしょうか。
A

その前に、佐賀に行って、玄海原発動かしてくれと要請したのでしょう。安全性を確認したということを前提としておっしゃったはずです。そうすると何らかの調査なり、精査があったはずです。漫然として、何もやっていないのに、そのような要請をしたことなら、それこそまた問題です。要請した後に、今更ストレステストということなら、一体何なのか。何が何だかわからないということを申し上げているわけで、安全性の精査が必要でないなんてことは、一言も申し上げていない。それはやらなければならない、当然です。それがなくて、現地に行って、やってくださいと言うのであれば、なんのこっちゃということではないでしょうか。

Q
安全の確認が不十分であるのに、再稼働の要請をしたことが問題だということでしょうか。
A

確認が不十分であったかどうか、実は、私は十分情報を頂いていません。野党の立場というものは悲しいもので、わかりません。しかし、経済産業大臣は、この問題について責任者です。その方が現地に行かれて、動かしてくれと。「安全性は保障できないけど、動かしてくれ」とおっしゃったわけではないでしょう。当然、安全性を確認した上で、ここは政府が責任を持つから動かしてくれということでなければ、政府の権威もへったくれも何もないということでしょう。それを言ってきたら、今度はストレステストだと。何が何だかわからないということを申し上げているわけです。

Q
昨日、九州電力の幹部が再稼働に賛成する電子メールを送るよう指示していた問題について、総裁の受け止めをお聞かせください。
A

これは公正・公平の立場で客観的な判断をしていくことが必要ですから、事業者がそういうことをやらせるということは、その客観的な判断と乖離するものです。それは残念なことだと思います。

Q
このことによって、事業者に対する信頼性が揺らいだとお考えですか。
A

揺らいだということになるのか、しかし、それよりも何よりも、先程申し上げたことの方が大きな問題だと思います。経済産業大臣が動かしてくれと言っておいて、その後、総理大臣がストレステストは必要だというようなことでは、何が何だかわからない。その罪は、こっちの方がずっと重いと思います。九電を擁護するわけではないですよ。事の重大性を比較した場合には、私は政府の責任は極めて重いと思います。

Q
この問題について、九州電力の真部利応社長は自身の関与を否定していますが、国会の場などで、社長の辞任を求めていくことについて、総裁のご所見をお聞かせください。
A

そういうことをやりたい方はおやりになれば良い。だけど、政府の姿勢を正すことの方がもっと大事です。

Q
昨日の予算委員会で、石破政調会長が内閣不信任案の再提出について言及されましたが、総裁はどのようにお考えですか。
A

これは国対委員長が適切に判断されることだと思います。

Q
自民党の戦略として、再提出はあり得るのですか。
A

国対委員長が判断するのではないでしょうか。

Q
総合エネルギー政策特命委員会(山本一太委員長)が発足し、総裁は、会議の冒頭で、「過去の自民党政権時代の原子力行政の検証が必要」と発言されましたが、過去の問題点を再確認し、文書にまとめるのでしょうか。
A

これは、山本委員長に取り扱いや対処の仕方はお任せしています。どのような議論をされていくか、あらかじめ規制することなく、やっていただいたら良いと思います。私が今の段階で思っていることは、想定外というような言葉がよく言われます。それで、例えば、今の原賠法で、隕石が落ちてきた場合というようなことが議論されます。あらゆる起こり得る可能性を想定するのは、現実に不可能かもしれないと思います。人間の歴史と経験の中で想定することはできても、それを超えたことが起こるかもしれない。問題は想定を超えたものが起こったことに、どうその被害を最小限にしていくのかという観点が欠けていたのではないかという感じを持っております。これはもう少し検証していただかなければならないので、私が今、感じていることを押し付けたりすることはありませんが、そういう観点もあり得るのではないかということです。

Q
長年の自民党が主導してきた原子力行政が閉鎖的であった、業界の閉鎖性という問題点が、今回の九電のメール問題につながったとお考えですか。
A

業界の閉鎖性と言えば、そうかもしれません。しかし、要するに、人間はあらゆることを想定できるわけではありませんから。想定外のことも起こり得るけれども、それが起こった時、どう抑え込んでいくかというようなことは考えて、その用意をしておかなければいけなかったということではないかと思います。そこのところに思い至らなかったとすれば、今おっしゃったような閉鎖性ということになるのかもしれません。その原因は、何なのかということは、もう少し議論していただいたら良いと思います。

Q
明日の衆議院本会議で、原子力賠償支援機構法の審議入りとなりますが、修正協議で早期の成立を図る考えなのか、自民党の対応について、お聞かせください。
A

これは政調で、議論していただいていますので、これはギリギリ考えると相当大きな問題なわけです。相当大きな問題と言っているだけでは、なかなか進みませんので、明日は質疑ですが、現段階の問題点を踏まえて、整理してやっていくことになると思います。

Q
内閣不信任案について、一時不再議の国会の慣例がありますが、菅総理が不誠実な対応をしているので、慣例を超えてやるという政治的判断もあり得るのでしょうか。
A

いわゆる一時不再議ということは、会議の一般原則であるわけです。同一会期中に、2度の不信任案の提出を許さないものなのかどうかというのは、理論的にはあり得ると思います。大きな事情変更があった場合であるとか、全く再度の提出が許されないわけではないと思います。では、どのような時に、それを許すのかということになると、特に先例などがあるわけではありませんので、おそらく議運等で十分議論していかなければならないと思います。理屈の上では、今、私が述べたようなことは、概ね憲法学者等もそういうふうに考えておられると思います。

Q
6月の提出時からは、内閣改造も行われましたが、環境の変化があったとお考えですか。
A

それは、国対委員長に判断していただくことで、私が今申し上げたのは原則論、理屈を申し上げただけであって、どのように対応するかは、国対委員長にお任せいたします。

Q
原発の新規立地の問題について、総裁のお考えをお聞かせください。
A

新規立地と言いますか、新しいものについて、地元が前向きになっているようなところも、今までなかったわけではありません。当面なかなか簡単ではないと思います。それはよく議論していただかなければいけないことだと思います。私が申し上げるのは、現実に今、定期点検しているものを、定期点検に入ったから、再度稼働する時に全部だめだということをやっていると、実際、回っていかないと思います。もちろんその前提として、先程縷々申し上げているように、安全性のチェックというものが必要なことはもちろんです。

【故谷垣佳子お別れ会の御礼】
私的なことではございますが、私の家内のお別れの会を開いていただきまして、大変多くの方に、ご参列、ご回想いただきました。誠にありがたいことだったと思っております。大勢おいでいただきました。心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

Q
お別れの会について、昨日は各党の代表もお見えになっていましたが、どのようなお話をされたのか、お聞かせください。
A

それぞれ慰めの言葉を頂きまして、大変温かいお言葉を頂いたなと、ありがたく思いました。私から御礼を申し上げたのと、やはり”better half”という言葉がありますが、やはり奥様を大事になさってくださいということを申し上げたわけです。

Q
奥様を大事にということは、菅総理にもおっしゃったのでしょうか。
A

奥様がいらっしゃる方には、説教がましいことは言えるわけではありませんが、大事になさってくださいと申し上げました。