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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年6月30日(木)16:15~16:45
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣禎一総裁

【谷垣禎一総裁発言】

会期延長後の国会運営等々について、今週の初め、菅さんは暴走を始めたということ申し上げましたが、切羽詰まった状況で暴走をされている。このことは、被災地の復旧・復興に向けて醸成されつつあった与野党の協力関係、信頼関係を根絶する、根絶やしにするものであったと思います。菅総理から、「もはや自民党との協力は必要ない」というメッセージが明確に出てきたと私どもは受け止めています。
このような災害の中で、衆議院で300議席を超える議員を持っている与党ですから、その中で結束し、我こそはと思わん方がおられるならば、それだけの力量が本来発揮できるはずですが、この与党の中で、厳しいところを切り開いていこうという方がおられないのかと気もします。
我々は、政治に秩序と信頼を取り戻さなければいけません。民主党の中からすら信頼されていない菅政権の早期退陣、一刻も早い退陣を求めていくという基本方針を変えるつもりはありません。
他方、現下の政権を見ますと、行政府が全くその役割を果たしていない。なかなか予算等も編成ができない。必要な立法も出てこない。国会で協力して、予算や法案を通しても、その執行は極めて後手後手に回っているということがあります。被災地の方々の不安は募るばかりという状況ではないかと思います。
我々は政府に対し、これまで復旧・復興に向けて577項目の提言を申し入れてまいりましたが、政府与党の対応が遅れている、いわゆる二重ローン問題やがれき処理問題、仮設住宅、被災地の雇用問題等に対して、必要な議員立法をどんどん提出して、これをしっかり進めていく。行政の効果的な活用を含めて、自民党が責任を持って、対処方針を示していくことに全力を挙げたいと思っています。
本日、シャドウ・キャビネットを開きました。2本の議員立法について審議しました。一つは、「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案」で、この改正が強く求められているのは、私の選挙区もまさにそういうことなのですが、より議論を深めるべき点があり、関係部会で再度議論することにしました。もう一つは、「株式会社東日本大震災事業再生支援機構法案」、これはいわゆる二重ローン対策等々の法案ですが、これについては審議して、了承されたところです。

質疑応答

Q
菅総理が次の総選挙に向けて、エネルギー政策が最大の争点となるという認識を示しましたが、その認識について、総裁のご所見をお聞かせください。
A

菅さんはそういったことをおっしゃっていますが、菅さんがおっしゃったコンテクストから見ますと、この原子力政策、エネルギー政策で見ましても、まず福島第一原発をどうやって安定化させるか、それと同時に被災地の復旧復興、こういったことをスケジュール的には最優先させるべきだと思いますが、あえて、自然エネルギーのことをこの頃強調されておられます。自分の言うことを聞かなければ、解散するぞという脅しをかけたものと、私どもは受け止めております。今の被災地の状況を見れば、解散で脅すことがまっとうな神経ではないと、私は思っています。しかし、それをおやりになるなら、受けて立つということではないかと思っています。

Q
先程のシャドウ・キャビネットで出ました二重ローン対策の法案ですが、今日の与野党協議で与党は、野党の機構案を丸呑みする形で歩み寄る姿が見られました。今後、自公の提出法案に、与党が乗ってくることがあり得ると思いますが、この現状をどのように評価されていますか。
A

私たち自公で作った案、この二重ローン対策もそうですが、新しい機構を作って、中小零細企業だけではなくて、農林水産業にも問題の解決を図れるような法案にしたい。こうやってきたわけですが、民主党の方からは、新しい組織はつくられることは作られるが、一体何を対象にしておやりになるのか明確でない案がギリギリになって出てきているということのようです。私どもは、3党で合意するということよりも、それならば、処理も急ぐことであるから、自公でお出しをして、乗れるものなら、乗っていただいて結構だと、こういうスタンスで進めるわけです。結局、その背景に政治主導と言いながら、なかなか官僚機構をコントロールできない民主党の体質が現れている気がします。

Q
先程、党改革委員会の提言が総裁に提出されましたが、趣旨として、ぜひ取り組みたいと思った提言はどのようなものですか。
A

全部できるものから順次やっていくということです。

Q
党改革委員会の提言は、政権交代後、民主党の支持率が下がっても、自民党の支持率が上がらないことが出発点だと思いますが、震災後の対応に関して、自民党の支持を戻すために、どのようなことをしなければならないとお考えですか。
A

ある意味では、復旧復興等々に関しては、与野党協力すべきだという国民感情があると思います。私は、それは当然のことだと思います。私どもは、協力できることはすべて協力すると度々申し上げていますが、577項目の提言であるとか、発災後1週間は国会を休戦するとか、あるいは与党だけでは背負いかねるだろうということで、国会の中に与野党の協議機関を作るとか、1次補正予算に賛成するとか、復興基本法案は基本的に自公の案を中心になって作ったとか、今もいくつか必要な議員立法を提案すると言うことをしておりますし、ややフライング気味でありますが、内容も聞いていない2次補正予算もおそらくは、反対するものではないだろうと。出てくれば、淡々と素早く処理すべきではないかということまで申し上げていますが、どうも一般には、政治が角を突き合わせている。したがって、なかなか復興支援も進まないのではないかという理解があるようです。
私はむしろ、立法府で協力すべきは協力しているのであって、問題は行政府が、行政府としての意思決定ないし官僚機構をきちっと使いこなす。そして問題点を克服していく、こういう能力に極めて劣っているところに問題があるように思います。したがって、私どもは、菅政権ではもう続かないぞと言っているわけです。私どものそういう対応を、もう少し粘り強く訴えていくことが必要だと思います。

Q
延長国会の対応について、今日も国対委員長間で審議日程の議論がありました。信頼感が失われた中、例えば幹事長の説明や謝罪など、民主党に求める条件について、総裁のご所見をお聞かせください。
A

それは、私どもが申し上げることではなくて、むしろ与党の方でどのようなことを考えて信頼関係を構築しようとしているのか、本来与党の方で考えることだと思います。私どもの対応は、そういったことで、こちらからないものねだりをすることは止めておこうと思っています。私どもは、今も申し上げたように、二重ローンで苦しんでいる方がいる。がれき処理がなかなか進まない等々の問題があります。そういうことに対して、我々の考えるところを議員立法等々で国会に提出して、そういったものをきちんと進めていく。こういうことが我々の基本的な態度です。

Q
今日、党本部で、超党派の「増税によらない復興財源を求める会」が行われ、復興債の償還は増税しない方が良いとの認識で一致したようですが、復興財源の償還について、自民党の考え、総裁のご所見をお聞かせください。
A

私は不案内でして、復興財源を税に頼らない、どうするのでしょうか。

Q
日銀引き受けで対応できるとのことのようですが。
A

私は、必ずしもその見解には与しません。どのくらいの償還期限を定めるかは、いろいろ議論があると思いますが、そこをきちっと議論していけば、消化できていくのではないかと思っています。

Q
償還のために、どの税金を考えておられますか。
A

私の頭の中にいくつかありますが、広くみんなで議論して、これでいこうということになりませんと、合意が得られませんから、しっかり党内で議論していただくということから始めたいと思います。

Q
政府与党の税と社会保障の一体改革について、総裁は与野党協議の可能性や条件について、どのようにお考えですか。
A

条件なんかありません。政府与党でしっかりした案をおまとめになる。後からガタガタしたりしない。不退転の決意をして、案をお決めになる。そのことが条件と言えば、条件です。最低限の条件です。

Q
石破政調会長は、閣議決定が必要だとの認識を示していますが。
A

どういう条件というような細かなことは、党の総裁が必ずしも申し上げることではないと思います。私が申し上げているのは、もう少し大雑把なことでして、政府与党は、どのような態度をとったら、自分たちの案を確固として決めたか。そこのところすらはっきりしない政党であり、与党だと思います。私はそこをはっきり決めていただきたいということで言っているので、それがなるほどここまでの覚悟をもって決めたのかということが、閣議決定であるのか。党内での意思決定なのかは、私は申し上げようとは思いません。ないものねだりのようなことをするつもりはありません。

Q
政府与党の社会保障と税の一体改革について、焦点となっている消費税率の引き上げ時期に関して、原案の「2015年までに10%」という表現から「2010年代半ばまでに10%前後」と曖昧な表現を使い、幅を持たせた形になりましたが、受け止めをお聞かせください。
A

一番の問題は、今の与党、あるいは内閣、どういうふうにして意思決定して、全体を掌握していくのかというのがわからないところが、あらゆる問題の根源です。細かい内容かどうかわかりませんが、とにかく確固たるものを決めていただく。なるほど、我々はこういうふうに意思決定したのかと分かるようにしていただく。それ以上、細かい内容について、申し上げるつもりはありません。

Q
関連で、自民党として次期衆院選に明記することは。
A

私どもは、すでに去年の参院選でルビコンを渡っています。どうぞ、政府与党の方も、早くルビコン川を渡ってくださいと申し上げれば十分だと思います。

Q
次期衆院選に明記することは。
A

私がこれだけ言っているんだから、日本語の理解能力が守さんにおありであれば、何を言っているかよくおわかりだと思います。

Q
谷垣総裁の奥様の地元葬に、菅総理から参列したいとの打診があったと聞いておりますが、この事実関係についてお聞かせください。
A

官邸からそのようなお申し出があったのは事実です。私としては、一国の総理大臣がそのようなお申し出をいただいたこと、大変、身に余る光栄だと思っていますが、何と言っても一国の政治の責任を負っている内閣総理大臣なので、私の選挙区はかなり東京から遠いので、来ていただくとほぼ一日をつぶす地域なので、家内の葬儀、内閣総理大臣にわざわざお出でいただくのは、あまりにも恐縮なので、是非是非、そのようなことはご遠慮申し上げたいということを申し上げました。

Q
菅総理が意欲を見せている再生可能エネルギー促進法案について、脇参院国対委員長は、審議に応じるかのようなことが言われているが、少なくとも参院としては考えていない。この1、2か月で慌ててやらなければいけない理由はまったくないとの趣旨の発言をしていますが、谷垣総裁の認識をお聞かせください。
A

私は別に審議しないとかいうような毛頭考えていませんが、ものには順序があると思っています。まず、この再生可能エネルギーをどうやっていくかということは必要です。中身については問題があります。3月11日の当日、震災が発災する前に閣議決定された法案です。そのときと、3月11日のあとでは、これからのエネルギーの需給見通しは全く違うはずなのです。そのあたりの検討がなければならないので、そのままで良いとは思いません。
ただ、全然議論しなくていいと思っているわけではありませんし、今後の方向としては再生可能エネルギーをもっと追及していくかは、日本の政策の大きな課題であることは間違いないと思っています。しかし、その前に、今、現実に、この福島第一原発を安定させる責めを負い、同時に被災地の方々に賠償をしっかりとしなければいけない責めを負い、何よりも、これから夏の暑いときを迎えるにあたって、エネルギーの安定供給の責めを負っている電力事業者があります。その電力事業者がどのように資金繰りをしていくかという問題も、今は非常に厳しいところに来ている。原子力損害賠償支援機構法案の方が私は先に審議されるべきものだと思います。
そうでないと、どうやって原発を安定させ、被災地をしっかりと賠償していく道筋も描きにくくなる。私たちの立場からしますと、すでに議員立法で出していますが、被災地の方々に賠償を前倒ししていくと。こういうのも、今の被災地の生活の現実を見れば、急ぐべきではないか。したがって、これをしないという話ではなくて、ものには順序というものがあるのではないかということは強く、強く思っています。

Q
震災発生後、日本人のメンタリティ、あり様が変わったとの指摘がありますが、谷垣総裁はどのようにお考えですか。
A

どういう変化があったかと言うと、まだなかなか答えは難しいと思います。日本の政治なり、社会が解決しなければならない問題は、震災前を共通している問題もたくさんあります。しかし、震災が極めて大きな衝撃を日本社会に与え、日本人のものの考え方に大きな影響を与えつつあり、今後も与えることは間違いないと思います。それが何であるかという明確な回答は、私は申し上げることはできませんが、それをよく見ながら政策を立てていかなければならないと思っています。

Q
内閣不信任案を提出して間もなく1か月が経過しますが、この間、まったく進展していない状況で、この責任の所在は特に菅総理が大きいと思いますが、谷垣総裁はどのようにお考えですか。
A

今の停滞の原因は、行政府が十分に機能を発揮できていないというところにあると思います。なかなか国会に必要な法案も出てこない。なかなか予算などもスピード感がない。それからそういうものを我々が協力して、例えば一次補正で言えば出て来て4日で通したわけですが、その実施などがなかなか進んでいない。行政府がその機能を十分に果たしていないというところに、問題の第一があると思います。
その理由はいくつかあると思います。ひとつは、菅さんが与党すら十分に掌握できていない。それから官僚機構が十分に機能するように、官僚機構の指揮、気持ちをつかみ取ることもできていない。菅さんのそういう問題があると思います。
また、政治主導という考え方の中にあると思います。行政と言うのは、立法府が作った法律を受けて、法のもとでの行政、それが近代国家の基本的な原則ですが、菅さんがお考えになっているのは、むしろそれを飛び越えて、法律がないところでも政治主導で決めていくというようなプロ(プロレタリア)独裁に近いことが念頭におありなのではないかと私は疑っています。そのことが結果何をするかと言うと、法律に書かれた権限と責任というものが、法律の上で初めて明確になるのですが、菅さんのおやりになっていることは、その権限と責任が明確でないということに問題があります。そうなりますと、官僚機構も権限と責任が明確でない中で、どのように仕事をしていったら良いか、だから官僚機構も動けないことがもう一つの問題としてあると思います。そのことが、官僚機関の士気低下を招いていると思います。

Q
改めて菅さんに言いたいことはありますか。
A

まあこれだけ申し上げれば、それに屋上屋を架すようなことを言わなくてもおわかりではないかと思います。

Q
できることは全てやるということは、できないことはやらないとも思われますが、党改革の提言について、全館禁煙の段取りはどのようにされるのですか。
A

全館禁煙というよりは、どちらかというと分煙をするということではないかと思います。そこらは、実はそういうことは、どういうふうに実施していくかは私の仕事ではなくて、それをできるものはやってくれと言って、幹事長がどういう形で具体的に実施するかお考えになることだと思います。

Q
来週から全館禁煙になるのでしょうか。
A

お考えになった方は早くやりたい、ということでしょうが、具体的には、幹事長にやり方を考えていただくということです。

Q
総裁の発信力倍増計画というものがありますが、倍増することはできますか。
A

倍増と言っても、それは努力をするということでは努力いたします。

Q
なかなか長い会見で私どもの日本語の理解能力がないということで苛立ちもあるのでしょうか。
A

実は昨日もJ-NSCの総会というのがありましたけれども、こういったあたりはインターネットを使ったりなんかしたあたりの工夫というものは、発信力を増大させていくというのは相当進んできていると思います。おそらく今、各政党の中でも、そういったものの工夫は、わが党が一番前に行っているのではないかと思います。
実はこの間、ゴー・チョク・トン、シンガポールの前首相がお見えになって、2つご質問があったわけですが、一つはその震災後の日本の基本的課題と自民党はどういう方向性をもっていくか。これはまあ当然のご質問だと思いますが、もう一つは、そのツイッター、フェイスブックであるとか、その他のインターネットを使用するようなことを自民党はどのように考えてやろうとしているのか、というご下問でした。おそらくこの間のシンガポールの選挙結果を受け、あるいは中東等の情勢も受けながら、シンガポールとしても、どのようにこういった新しいメディアを使っていこうとしているのか、非常な関心がおありだと思いますが、我々もこういった方向も、まあ新藤報道局長が苦労していただいているんですが、努力していきたいと。それは倍増にすぐつながるかわかりませんが、かなり増加につながっていくのではないかと期待しております。

Q
地元葬の関係で、菅さんに直接総裁のほうからお断りしたのでしょうか。
A

私が申し上げたわけではありません。官邸のどなたかご担当の方と私の事務所が話したことでございますので、誠にありがたいお申し出だと思っているわけですが、一国の総理大臣にそこまでご配慮いただくのは、過ぎたことだとこのように思っております。

Q
岡田幹事長さんや党の方がいらっしゃるのは控えていただくということでしょうか。
A

そういうことも考えまして、東京でもお別れの会をやらせて頂きますので、公務多忙な公人の方にあまり多大なお時間、ご負担をおかけしないようにしたいというのが私どもの気持ちでございます。