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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年4月7日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

東日本巨大地震・津波の件ですが、岩手県・宮城県・福島県の被害の大きかった3県を2回に分けて訪問しました。家屋が倒壊したり、森林・樹木、庁舎、自動 車、船舶、あるいは、場合によると馬や牛の死骸もある。大量の瓦礫も山積している。廃墟のような街並みに愕然とする一方、共に手を取って、力を合わせて、 懸命に自分たちの町を、ふるさとを復興しようという被災地の皆さんの絆の力を目にしまして、改めて再建に向けた日本の底力を感じた次第です。
復旧支援にあたりましては、まずは被災者の安心・安全を確保するように、自治体等が迅速に、的確に事業を実施していただかなければなりませんが、予算措置 をはじめ、国が最後まで責任を持つ姿勢を示していかなければなりません。そして、従来の制度の枠を超えて、政治決断を持って事態に迅速に対処していくこと が必要だと考えています。
福島第一原子力発電所の状況を一刻も早く終息させなければならない。これは当然のことです。政府においては、各省間、関係機関との連携、連絡、情報共有を 緊密にするとともに、内外の衆知を集めて、既存の法律の枠組みを超えた仕組みを作って、迅速な対応を図るべきです。同時に、各種数値の調査方法、それから 調査結果の正確かつ綿密な説明に努めて、無用な国民の不安を取り除いて、そして風評被害の拡大を食い止める。それに強い意思であたっていただきたいと思い ます。また、事前連絡なく汚染水が放出された等々の問題、これは沿岸漁業の関係者はもとより、近隣諸国からも問題を指摘する声が上がっています。政府に は、冷静かつ慎重に事に対処していただきたいと考えております。

質疑応答

Q
午前中に、枝野官房長官や玄葉政調会長らが、自民党の政調会長応接室を訪れて、自民党の緊急提言に対する回答を持って来ました。総裁に報告があったと思われますが、総裁のご感想等をお聞かせください。
A
我々も復旧支援、被災者の支援、原発災害対応、こういった問題については、菅政権に協力してきたわけですが、今後とも全力でそのような姿勢を取っていかなければいけない。その1つの表れが、我々の緊急提言をまとめて、官邸にお届けした。今日は、その我々の提案に対する現時点での回答を持って来ていただいたわけです。私は政調会長から報告を受けまして、我々の出した提案については、なかなか熱心に、真摯に対応してもらっているのではないかという印象を、現段階では持っています。相当膨大ですから、わが党も政府の対応をまた調べまして、我々は第2次提案をする予定で作業しておりますので、またそういう中に反映すべきものなど、反映させていきたいと思います。
Q
政府与党が、野党である自民党本部を訪れることは異例なことだと思いますが、そのことについて、どのように思われますか。
A
これは異例だと思います。
Q
何か意図を感じたりはしませんか。
A
皆さんは、いろいろ意図を探ったりするのがお仕事かもしれませんが、我々はあまり意図というようなことばかりではなくて、実際に我々の出したボールにどのようにお答えいただいているのかということを、真正面から捉えて、これから作業をするということではないかと思います。
Q
1次補正予算の財源について、政府与党内で年金の国庫負担の充当分を回すという議論が起こっていますが、総裁のご所見をお聞かせください。
A
まだ中身について、我々には十分な情報がありませんので、まだ責任あるコメントはできる段階ではありません。一般論として、バラマキ4Kに代表される無駄の部分、これをきちっと削減して、財源にあてて行くという議論が第一になされるべきではないかと思っています。
Q
財源について、赤字国債の発行が必要になった場合、国会で審議中になっている平成23年度の特例公債法を通してくださいという議論も起こると思われますが、その要求があった場合、どのようにお考えになるのですか。
A
まだ第1次補正の議論ではないのでしょうか。
Q
1次補正は、無駄の撤回で組み直せるということですか。
A
まずその努力を徹底的におやりになるべきであって、まだ特例公債法の議論ではないと思っています。
Q
財源については、まず無駄の削減、その次に建設国債を出す、赤字国債を出す、足りなければ増税というのが、基本的な考えでしょうか。
A
どこまで視野に入れるかにもよりますが、他にもいろいろ考える余地がいろいろあるかもしれません。まず無駄の削減に取り掛かるということが必要だと思います。あまり先のことまで、全部考えるよりも、まず瓦礫の除去とか当座の生活をどう支えて行くのか、こういった緊急の問題に注力すべきだと思います。
Q
谷垣総裁は、震災直後に、菅総理への批判を控えるということをおっしゃっていましたが、今度の月曜日で、震災1か月になります。改めてこの1か月間の菅政権の対応について、どのような点で問題があったとお考えですか。
A
我々の対応は、第1に、被災者支援であるとか、災害復旧であるとか、原発対応であるとか、そういうことに関しては、全面的に協力していくということでなければならないのは、当然のことだと思います。そういう中で、無用な批判をするつもりはないということです。しかし、他方、是々非々と言えば是々非々ですが、当初は1週間国会を休戦にして、政府は災害対応に全力を挙げてほしいという対応を取りました。しかし、いつまでもそういうことで良いというわけにはいきません。現実に多くの被災者の方々は、どういう今後の展望を政府が描いているのか、どういう自分たちの新たな生活設計をしていったら良いのか、あるいは原発はどのような段取りを追って安定化させるのか等々について、被災者をはじめ、あらゆる国民がきちっとした議論をして、そしてきちっとした情報がほしい。それはやはり国会の中で、まず行われるべきだろうと思います。先程も汚染水の対応で若干申し上げましたが、そういったことについても、今後はしっかり議論していかなければいけない。我々は、当然批判すべき点は批判いたしますが、そういう態度で臨んでいきます。
Q
昨日、愛知県で石原幹事長が菅総理の震災対応を批判し、「震災が一段落したら、1日も早く退場してもらわないといけない」と発言されましたが、総裁の受け止めをお聞かせください。
A
要するに結論を言えば、すべて是々非々で対応していくということです。それに尽きます。
Q
是々非々というのは。
A
協力すべき点は協力し、批判すべき点は批判するということです。
Q
震災が一段落した場合、菅総理は退陣すべきだとお考えですか。
A
我々は、菅総理の政治主導というものに、どういう表現をするかなかなか難しいですが、いろいろ議論を持っているのは、まぎれもない事実です。ただ現段階でそういう議論をすべて出していくべきかどうかということがありますから、先程申し上げたような、協力すべき点は協力し、問題があればきちっと申し上げる。現段階はこういう対応です。一段落したと言えば、また、いつ一段落するんだという問い掛けがあるかもしれませんが、私もいつ一段落するというところまで、まだ展望がつきませんので、今の段階で申し上げることは、今申し上げたことです。
Q
3月30日から、総理・総裁経験者の方々に、政局対応等について意見をお聞きになったと思います。菅総理が呼び掛けた大連立について、現段階での谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
私が先程申し上げたように、協力すべき点は全力を挙げて協力する、批判すべき点は批判するのが我々の立場だということを申し上げ、基本的にそういうことです。大連立についても、いろいろ議論がありますが、基本的にそういうことであることに加え、事前に政策のすり合わせもない中で、そういう議論は全くあり得ないことだと思います。
Q
総理・総裁経験者にお会いされて、大連立についての考え方が補強されたのでしょうか。
A
それぞれいろいろ深いお考えがありますので、全部私が咀嚼できているかどうか、わかりません。ただ、ほとんどすべての方は、軽々な大連立と言われるものについては、慎重であったと思います。
Q
「創生日本」が菅政権とは大連立を組まない方針を決めたのですが、総裁の大連立はないという発言は、菅総理がその原因とお考えでしょうか。
A
私の考えについて、いろいろ揣摩臆測(しまおくそく)があるように思います。私が申し上げているのは、我々は健全な野党として対応をするということを申し上げているわけです。
Q
海部元総理は、「菅総理を信頼できるか、その1点だ」とアドバイスされたと思いますが、谷垣総裁は、菅総理のことをどのように思われていますか。
A
私は、菅さんの政治主導のスタイルには、いろいろ疑問を持っている。このことは、隠さず申し上げたいと思います。
Q
総裁は「官邸の中で、誰が責任を取って、どのように実行していくのか、一元的な筋が通っていない」とおっしゃっていましたが、そういうことが菅総理のスタイルということなのでしょうか。
A
今おっしゃったように、こういう危機管理の一番の基本は、権限と責任を一元化されていることが一番大事ではないかと思います。やはり、責任を持っている人が指示を出し、その指示の下に、部下が動いた時には、それに対して責任も取る。責任を持っているかどうかわからない人が、いろいろ指示を出して、混乱するような政治スタイルは、危機管理には極めて不向きであるという印象を持っています。
Q
2013年に、今の衆議院議員の任期満了となりますが、それまでずっと是々非々という態度なのでしょうか。それとも、今の政権が復興に役に立たないということになると、倒閣に動くことになるのでしょうか。
A
今、協力すべきことは協力するというトーンを申し上げている中で、今の問題に対するお答えはなかなか難しいです。今のままでは、国民のためにならないと思ったら、倒閣は当然のことです。
Q
財源の問題について、与野党の一部の議員の間で、日銀の国債引き受けを検討したらどうかという意見がありますが、総裁のご所見をお聞かせください。
A
今の段階で、その議論をするのは、いかにも早すぎる。まず、先程申し上げたように、無駄を省くことからきちっとすべきではないか。面子、行きがかりを捨てて、そういうところを議論するところからはじめるべきだと思います。順序を経るということです。
Q
将来的な選択として、日銀の国債引き受けはあるとお考えですか。
A
どれだけ財源を用意しなければならないのかとか、そういうこととの関係の中で、いろいろ議論していかなければならないでしょう。現段階で議論するのは、いささか時期尚早すぎると思います。