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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年3月24日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言 】

まず、地震・津波等々の災害に関して、わが党の議員も次々と現地を訪れたり、自らトラックを運転して現地に物資を運んだり、いろいろな活動をされていま す。そういう方たちから、不安を抱えている避難所の様子であるとか、あるいは自宅退避されている方々の苦しみ、あるいは余震の続く被災地の厳しい状況、物 資の欠乏等々、こういうことについても常時報告を受けているところです。こういう厳しい国難の中で、肩を寄せ合って、疲労や空腹に耐えながら、頑張ってお られる被災者の皆さまに、改めて、心からお見舞い申し上げたいと存じます。被災された方の安心と安全を確保して、1日も早く希望を取り戻せることができる よう、私どもも政府、全政党と協力して、全力を尽くしていかなければならない。改めてそのように感じています。また、アメリカをはじめ、数多くの国から救 援隊の派遣、物資の提供を頂いております。改めて、心から御礼申し上げたいと存じます。
それから、福島第一原発についてですが、依然として予断を許さぬ状況にあります。政府は現場で、命がけで対応にあたっている東京電力、自衛隊、警察、消 防、医療関係の皆さまと連携を密にして、状況の掌握を図っていただきたい。このことを改めて強く要請したいと思います。周辺地域における規制値を超えた放 射性物質が検出されていますが、人体に影響を及ぼす数値ではないが、出荷を停止した。あるいは、人体に影響はないが、乳児は水道水の摂取を控えるようにと いう説明があいまいではないか。そのことが国民の間に不安と困惑が広がっていることだろうと思います。政府においては、当然のことながら、迅速かつ正確な 情報提供に努めていただく。これは当然のことですが、風評被害の拡大を防ぐ、乳児を育てる家庭に対し優先的に水を確保すること、無用の混乱を招かないよう に配慮願いたいということです。
ボランティアを装って、福島原発の半径20キロメートルの強制退去地域、被災地域の住居、事務所、避難所等々に入り込んで、金品、自動車部品、救援物資、 こういうものを持ち去る組織的な窃盗が発生しています。これに対し、早急な対応を求める声が寄せられています。この件について、大島副総裁より仙谷官房副 長官に申し入れをしていただきましたが、政府においては、避難地域の治安維持を図るために、徹底した対応を取っていただきたいと思っています。
今日のシャドウ・キャビネットですが、森林法の一部を改正する法律案、在日米軍駐留経費負担特別協定について審議し、これを了承しました。また、与党が議 員立法で出しました、国民生活等の混乱を回避するための平成22年度における子ども手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案について協議し、この原 案に反対という結論を得たところです。

質疑応答

Q
本日から統一地方選がスタートしました。震災対策という重要問題もありますが、それ以外の部分で、自民党として各地方で訴えたいことはありますか。
A
それぞれの地域によって課題は違うと思いますが、このような震災を受けて、それぞれの地域で生活の安全とか、安心に対する関心は高まっていると思います。それでいろいろな法制度でも、まずは第一義的な震災対応は、自治体がやらなければいけない部分も大きいので、改めて自分たちが住んでいる地域の安心、安全、そういうものをどう作るか。このことに自民党としても全力を傾けるということを、いつもそうですが、特にこういうことを受けて訴えたいのはそういうことです。
Q
関連で、安心、安全以外で争点になるものはありますか。
A
今は、やはり安心、安全ということが一番ではないかと思います。その他は、それぞれの地域によって随分と違うと思いますが、私どもとしては、やはりそれぞれの地域の問題を、それぞれの地域の問題だけで解決してはならない。地方自治が抱えている問題、共通の問題がありますので、私どもは地域政党ではないので、日本全体の問題として、それぞれ地域の問題を位置付けて、日本全体の問題として位置付ける姿勢は必要だと思っています。
Q
震災を受けて、各都道府県連では選挙カーの自粛など、選挙活動自体を控えるような傾向にありますが、そのような中でどのように党としての主張を訴えようとお考えですか。
A
それぞれの地域で違うと思います。災害地に非常に近いところと離れているところでは意識も違うと思うので、それぞれで工夫をしていただいて、今回の統一地方選が持っている意義をしっかりと訴えていただく。それぞれの地域で方法は違うと思います。
Q
今回の統一地方選の結果が国政に与える影響をどのようにお考えになりますか。
A
まだ何とも言えない、非常に難しい問いかけだと思います。どういう影響を与えるかは、結果を見なければよく分かりませんが。その結果のあり方は、今、国民が抱えている、このような災害に対する不安とか、そういうものに対してどうそれぞれの政党が応えていくかということに大きな影響を与えるのではないかと思っています。
Q
菅総理からの入閣要請について、震災の対策で自民党は全面的に協力すると表明していますが、震災前の通常国会などで、自民党としては解散総選挙を求めていました。この震災をきっかけにして、菅政権との関係、また解散総選挙をどのようにお考えになっていますか。
A
日々、事態は変わっていますから、きれいに頭が整理されているわけではありませんが、はっきりしているのは、被災者の救済、復興支援、原発対策、こういうものに全力を注ぐべきだということは、これはいまさら申し上げるまでもないことだと思います。ですからそれに向けて、各党が全力を挙げる。もちろん政府がそういうことに全力を挙げるのは当然のことだと思います。
Q
これから与野党の関係をどのように考えていきますか。
A
これは震災復興とか、人命救助に対しては、別にイデオロギーが違うというものでもありませんし、協力すべきものはいくらもあります。我々はそれに対して全力を挙げてやるということですが、こういうことが起きて、政治の考え方が、では教育政策、外交政策を全部棚上げできるわけではないので、常に考えていかなければいけないのだと思います。
Q
1次補正や復興への道筋をつけるあたりまでは、協力路線は維持していくということですか。
A
これもまだどういうものが出てくるか分かりませんから、中身によるということはありますが、基本的には災害復旧とか、人命救出に協力していくのは当然のことだと思います。 あえて言うのであれば、各党での協議機関ができて、実務者協議があります。政府におかれても、協議を形式的にやるのではなくて、政府与党におかれても、協議を実質的に活用して、実効的なものができるように、さらに工夫をしていただきたいと思います。
Q
統一地方選について、先ほどの谷垣総裁の発言で、自民党は地域政党ではないとのことでしたが、日本全体として地域の問題に取り組むということだと思いますが、名古屋で躍進した減税日本などにはどのように対峙していくのか、具体的にお聞かせください。
A
もうちょっと具体的にと言っても、それぞれ地域の政党によって違いますから、具体的には言いにくいです。自民党は、やはりそれぞれの地域に、昔からあったそれぞれの地域をどうするのか、それぞれの地域の考え方があり、それぞれの地域でリーダシップを発揮する人がいた。そういう日本の草の根の組織から発生したのが自民党だろうと、私は考えています。そしてその我々はその地域の草の根に根差した、地域に根差した政党ですが、同時に全国の組織ですから、ひとつの地域だけが良ければいいというわけではなくて、全体のバランス、自民党は農村政党だけであってもならないし、大都会政党だけであってもならないわけです。大都会とそれぞれの田舎と言いますか、そういうものがあり、それぞれが支え合っている関係でもありますから、そういう全体のバランスを考えながら地域、地域の政策を考えることではないかと思っています。
Q
自民党としては、できるだけ早い解散総選挙を求める方針には変わりないということですか。
A
今、一番先に考えることは、被災者の救援であるとか、あるいは災害をどのように乗り越えていくかということにあると申し上げましたが、それ以上を言う必要はないと思います。
Q
政府の原発対応について、不十分であるとの認識や感想をお持ちですか。
A
やはり組織は、たくさん官邸の中に作っているわけですが、そういうものが実効的にいかに連携しているのか。あるいは、省庁の縦割り等々に関して、そういうものを乗り越えて問題の解決を図る上でいかに実効的に対応しているのか。これは省庁だけではなくて、例えば現場対応にしても、東京電力もあれば、警察、消防もある。そしてそういうなかには、中央政府に属していない地方自治体に属している組織にも協力してもらっている。そういうところの連携がうまくいっているのかどうか。こういうときなので、全てが琴瑟相和す(きんしつあいわす)というわけにはいかない、緊急事態ですから。もっと工夫していただく余地があるのではないかと思っています。
Q
放射線物質が広がっていることについて、政府の説明があいまいで不安と混乱を招いているとの指摘がありましたが、具体的にはどの点からそのようにお考えになりますか。また自民党であればどのように対策するおつもりですか。
A
どれだけいろいろな数値とかありますが、どれだけあれば安心だとか、安全かというのは、ことは科学的な問題ですし、確率の問題でもあります。しかし、問題はそれだけではなくて、そういったことがいたずらに不安をあおっては、客観的には正しいことであっても、いたずらに不安をあおることではいけないわけです。やや抽象的な表現になりますが、こういうときはどうやって、科学的なことは例えば専門家がよく説明してくれればいいわけですが、政治家が考えることは、そのことが国民にいたずらな不安を招かないことを考えるべきであって、その点、ややいくつか出されたことが、次の日には変わったりすることが、不安を増幅していることがなきにしもあらずだと思います。その辺は、これはすぐにどこでも、100%、完璧な対応というのは難しいかもしれませんが、今、見ているとリスクコミニケーションにもう少し工夫があって、いろいろな方の不安を和らげることに、もっともっと努力すべきではないかと考えています。
Q
枝野官房長官が先程の記者会見で、屋内待避になっている方に対して、原発の影響ということではなく、社会的要因ということで生活が困難になっていることについて、退避を検討したいとのお考えを示しました。官房長官のお考えについて、総裁の所見をお聞かせください。
A
チェルノブイリの時の30キロというのがありましたので、私の頭の中には、そういうことがあったわけです。それで、20キロから30キロ圏の方が自宅待避しておられると、いろいろな生活も非常に不便ですし、生活関連物資も十分届かなかったりするということが、現実に報告されています。そういうことに対しては、十分な対応を取る必要が当然あると思います。
Q
もっと早く対応すれば良かったということですか。
A
これは、いろいろな物資が十分届く、届かないというのも、この県ではどこそこに集積しようというのがあって、相当物資は集まっているけれども、現実に現場にはなかなか届いていない。避難所には届いていても、避難所から引き揚げたご家庭には届いていないとか、現実にいろいろあります。それを一気に解決するのは、なかなか簡単ではないかもしれません。皆で努力して、ある程度の所は届くようになったけれども、まだ届いていないところには、一層の工夫が必要だろうと思います。
Q
被災地の安心・安全という意味で、乳幼児や妊婦の不安は非常に高まっています。乳幼児や妊婦に関しては、もう少し避難の範囲を広げた方が良いのではないかという申し入れをするつもりはありますか。
A
これは、今、専門家のお話を聞いてまいりまして、この会見があるので、途中で出てまいりました。専門家の話を十分に咀嚼しないで出て来ております。これは、まず専門家の判断を重視しなければいけないと思います。ただ20キロ圏から30キロ圏では、おそらく現状からすると、過度のご心配は不要なところだと思いますが、むしろ私があまり一知半解なことで申し上げるよりも、専門家に判断していただく必要があると思います。
Q
乳幼児でも大丈夫だというご判断でしょうか。
A
今、肝心なところで、途中で引き上げて来ましたので、私も確かに乳幼児に対する影響の方が、成人に対する影響よりも多いと思いますが、どのくらいの影響が恐れられるのかということについては、今、的確にお答えする材料は持っておりません。一知半解なことを申し上げるのは、控えたいと思います。
Q
結果として、専門家の意見が納得できるものであれば、政府の対応がおかしい、まだ揺れているということで、政府に申し入れるつもりはあるということでしょうか。
A
そういうことがあれば、ということです。でもまだよく咀嚼していない段階で申し入れる用意があるとか、ないとか言うこと自体、不安を掻き立てることになりますから、今日のところ、その点は沈黙を致します。
Q
昨日、1票に格差についての最高裁判決で、1人別枠方式を廃止すべきという結論が出ました。それを、今の国政調査の結果を当てはめると、東京都は6つ増える半面、鳥取県は1選挙区になってしまい、地域によって差が出てしまいます。1人別枠方式廃止について、地域の声を吸い上げられるかという問題がありますが、総裁の所見をお聞かせください。
A
これは、最高裁の大法廷判決ですので、そういうご指摘は真剣に受け止めなければいけないと思います。ただ、今、おっしゃったような悩みがあるのも事実です。やはり、現実に、日本国民の政治意識の上で、都道府県というのは、かなり政治意識を左右している問題だと思います。北海道の方は、国政選挙をするときに、自分は日本国民だともちろん思っていると同時に、北海道を良くしていくには、どうしたら良いかということ意識が、投票の中に働いていると思います。それはある意味で、国と都道府県というものを踏まえて政治を考えるというのは、今の日本の制度、仕組みの中では、それを否定できないリアリティがあると思っています。そういうものと、今のようなものをどう調和させていくのかというのは、なかなか難しいわけです。参議院の場合でも、鳥取県などに1議席も配分できないようになってしまうと、本当に人々の意識と選挙制度をうまくマッチできるのかというのは、非常に難しい。事柄は、単に定数の配分ということだけなのか、もう少し幅広く政治制度そのものを考えていかなければいけないのか、これはわが党の中でも少し議論を深めなければいけない点だと思っています。
Q
法改正という話であり、これは党として検討したり、与野党での検討もありますが、今後どんなプロセスで臨まれますか。
A
細田博之元幹事長が、党・政治制度改革実行本部長をされていますので、そこでまず議論していただくということだと思います。
Q
今後数年、原発の問題が続くと思われますが、数年後の対応についてどのようにお考えですか。
A
これは、いろいろ考えなければいけない問題があると思います。まだ、私も全部考えを整理しているわけではありませんが、おそらく海水を入れた炉は、今後使えるようには、なかなかならないと思います。常識的に考えれば、これは廃炉の方向に向かっていくと考えれば、それだけでなく、火力発電所も止まっているのも大きいですが、今の手持ちのもの、動かせるものを動かせるようになったとしても、安定的に電力を供給することには、かなり足らないのではないかと思います。そのことは、家庭生活にも影響を与えますが、例えば、この管内に立地している企業等々、特に製造業等々は、安定した製造が維持できるのか、どうかという問題もあると思います。そういう中で、安定した操業が難しいと言って、どこか外に出て行くということになれば、雇用の維持も容易ではないということも起こり得ないでもない。どこを補っていくか、今後のエネルギーのあり方、エネルギー計画のあり方、日本の産業の立地のあり方というようなことも考えなければいけないだろうと思います。 さらに言えば、そういうようなことでハッと気付いたら、今、日本が世界に評価されていながら、評価されて世界に提供しているいろいろな製造産品がハッと気付いたら、日本の手を離れていたということをできるだけ避けるように手を打っていかなければいけないと思っています。そういうことを含めて、災害がどのような影響を及ぼしているのか、反省と分析をしなければいけないだろうと思います。
Q
放射線の問題で人間への影響の因果関係がはっきりした場合、東電だけで補償するのか、国としてどのように補償すべきかというお考えはお持ちですか。
A
これは、私も原子力災害補償法と言いますか、眼光紙背に徹するほど読んだことはないので、あるいは間違っていたらいけませんが、事業者の無過失責任が書いてあります。まず、それで行くのだと思います。確かこの法律には国の責任も書いてありました。そういう国の責任も発生する形になっていますから、まずそういう法律に従って考えて行くということです。