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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年1月28日(金)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

最初に、スタンダード・アンド・プアーズが、日本国債の格付けをワンランク下げたことについて、申し上げたいと思います。これは、やはり民主党政権がスタートして以来、昨年来、菅さんが税制抜本改革を含めた財政再建に取り組まれるかのようなご発言をされたこともありましたが、その後すぐ批判を受けるや、撤回すると。この頃、また少し動き出したようですが、そういう定見のない、腰の定まらない態度に対して、本当に日本国政府は、財政規律を維持していく熱意というものがあるのかどうか、こういうことに対する評価が、今回のスタンダード・アンド・プアーズの決定にあったのではないかと考えています。一刻も早くマニフェストの無策にけじめをつけて、リセットして、財政に取り組めというメッセージだと、私は受け止めました。これに対して、菅さんは「自分はこういうことは疎いから」というコメントをされました。かつて何度か日本国債の格付けが落ちたことがあります。ムーディーズが格付けを落とした時、大蔵大臣は宮澤喜一先生でした。私は大蔵政務次官をしておりましたが、非常に緊張感に満ちた対応を宮澤蔵相がされたことを記憶しております。それを疎いと。いろいろ疎いという言葉の意味については、弁明されたようですが、疎いという言葉は、具体的な情報に接していないという意味では使いません。疎いというのは、自分はよく知らないんだ、自分は通じていないという表現だろうと思います。やはりこういう時は、トップリーダーの気合に満ちた対応が必要なのであって、私は非常に大きなマイナスが生じたと思っています。こういう方から協議をしたいと言われても、はい、そうですかという気持ちになれないのが人情ではないかということを申し上げたいと思います。
それから、それに関連しまして、わが党は財政健全化責任法を出しておりましたが、これを取り下げた上、再提出することにいたしました。若干技術的な修正も必要であるわけですが、それを委員会修正なんかで放っておかないで、とにかくこういう国債格付けが起きた時に、きちっと修文もして出し直すことにいたしたいと考えております。
それから、衆参代表質問が終わったところですが、菅総理の答弁は、我々の質問に正面から答えていない逃げの姿勢に終始している。あまりにも答弁漏れがあり、この答弁漏れを意図的にすることによって、なんとか逃げようという姿勢が明白でした。答弁の内容を見ても、右手で握手して、協議しようとおっしゃっておりながら、同時に左手で横っ面を引っ叩くような答弁、左手で挑発をなさるという類の不誠実な答弁が多かったと思っています。そして、財政再建、税制改正に対する覚悟が見られない。国民を欺いたマニフェストへの反省もない。政治とカネの問題に決着もつけられない。あるのは、政権維持と権力への執着心のみということではないかと思います。こういう状況で、代表質問でも申し上げたように、一刻も早い解散総選挙を引き続き求めて行かなければならないと感じたところです。
なお、わが党の政権公約については、3月中を目途として作成するように、作成日程を早めるように指示しました。
鳥インフルエンザの問題は拡大しまして、島根県では比較的迅速に終息したわけですが、その後、宮崎、鹿児島、愛知という養鶏の密集地帯に広がって来ているわけです。関係者の方々に改めてお見舞い申し上げると同時に、わが党も、対策本部を立ち上げたわけですが、その中で発生状況と政府の対応について、報告を受けました。引き続き、政府に対して、情報収集と危機管理の徹底、迅速な対応を求めていくということです。
もう1つ、日本海側の豪雪被害が相次いでおります。地域住民の方に、ご苦労を謝すると同時に、お見舞い申し上げたいと思っています。除雪費用が不足するという声を、この頃強く聞くようになりました。これは、そういう地域の実情を無視して、道路予算、道路関係予算を事業仕分けによって削減した、そのことを強行したことのツケが表れていると考えています。政府は、各県の豪雪対策本部を通じて、きちっと情報収集に努める。それから、自治体との連携・連絡を密にして、国道の通行止めの解除、高齢化集落の円滑な除雪等、地域住民の生活、地域産業の支援に全力を尽くしていただきたいと申し上げたいと思います。

質疑応答

Q
菅総理の国債の格下げに「疎い」という発言について、公明党の山口代表からは、総理としての資質を問題視する発言があり、予算委員会でも追及する考えを示しました。その点について、総裁のお考えをお聞かせください。
A
これは、申し上げるまでもなく、このような軽率な発言をされることは、まさに資質が問題となるという山口代表の指摘は、当然のことだろうと思います。私どもも、予算委員会できちっと明らかにして問題を追及したいと思います。
Q
菅総理は「具体的情報に接していない」と、格付けに疎いのではないという弁明の発言をしていますが、総裁のご所見をお聞かせください。
A
私自身は、本会議中に、スタンダード・アンド・プアーズが格付けを低下したという報告を受けました。政府ですから、私よりも早く情報が入っていて、当然だろうと思います。本会議中で答弁もしていたから、十分にそれを分析する間がなかったという意味かもしれませんが、先程申し上げたように、通常疎いというのはそういうことを言っているのではないと思います。大変失礼ない言い方ですが、本音がポロリと漏れたということではないかと理解しております。
Q
財政健全化責任法の再提出の時期についてと、修文する点は、スタンダード・アンド・プアーズの格付けのところだけなのか、お聞かせください。
A
他にもこういう国債格下げを受けて、どういうことを入れたら良いのか、整理する必要があると思っています。時期は国対に任せておりますが、そんなに先のことではないと思います。
Q
今回の財政健全化責任法の取り下げは、政府が丸呑み、審議する姿勢を示しだしたことが影響しているのでしょうか
A
仮に抱きつくとしましても、当然修文が必要だろうと思います。そういうことも含めて、今、申し上げたような国債格付け等の問題がある中で、整理すべき点を整理して、早急に再提出しようということです。
Q
修文の内容について、格付けに対応というのは、具体的にどのようなことを指しているのですか。
A
具体的には、政調に任せていますが、ポイントは、先程申し上げたように、財政規律に対するメッセージがしっかり出ていることが基本的として必要だと思います。政府と言いますか、財政規律に対して熱烈たる闘志を持っているとマーケットが思うことが大事なわけです。その点で、どうするかということを整理してもらいたいと思います。
Q
内容をもっと厳しくするということでしょうか。
A
そういうこともあるかもしれません。その辺は、政調で議論してもらっています。
Q
政権公約の取りまとめを、先日は6月までにという話でしたが、3月に早めた理由をお聞かせください。
A
前から6月を目途に政調では、やっていたと思いますが、やはり今の政権を解散に追い込んでいかなければならない。諸々のこともありますので、作業を急ぐように、ということです。
Q
税制抜本改革の与野党協議に関しては、応ずるかどうかは解散が条件と発言されていますが、TPPについての与野党協議についても、解散が条件となるのでしょうか。
A
我々は、政権を運営していく資質、それに対する国民の信頼が失われていると判断しています。ですから、そういうことであると、簡単に、「はい、そうですか」と言うわけにはいきませんね。
Q
公約の中にTPPへの対応が入るのかお聞かせください。
A
それはどのように整理されるのか、私も具体的な議論の報告を受けていませんが、いろいろ議論を整理してやられると思います。
Q
肺がん治療薬「イレッサ」の副作用をめぐる訴訟で、政府は和解勧告を受け入れないことを正式に決めたようですが、総裁のご所見をお聞かせください。
A
政府がどのように対応されるのか、私は、まだ推測の情報しか十分に聞いていませんので、政府がどうされるかは、直接コメントできませんが。過去の経緯を見ますと、承認段階での副作用情報、治験の段階での分析と判断と、現実に起きた副作用、死亡者とにあまりに大きな乖離があったということだと思います。それをどう見るか。裁判所から和解勧告が出された。ドラッグ・ラグ解消への強い期待がある。こういったいろいろな状況をどう判断するか、なかなか難しい問題だと、私自身思いますが、早急な解決が必要だと思います。
Q
29日に、みんなの党が党大会を開催します。参議院選挙で議席が増え、衆議院選挙に向けて、小選挙区で立候補者を積極的に擁立する方向を示していますが、みんなの党の現状をどのように分析していますか。また、今後、みんなの党を何かの時、連携先とお考えでしょうか。
A
それぞれの党が、選挙を目指して、党勢拡大を目指していくのは、当然のことだろうと思いますから、みんなの党が党大会を開いて、そういう方向で意思を固め、努力されることは、当然のことだろうと思います。今後の協力等については、いろいろなことでわが党と見解が共通している部分もありますし、相当違う部分もありますので、事柄によると思いますが、協力できるところは協力していく。当然のことだろうと思います。
Q
具体的に、共通して協力できる分野はどういった点ですか。
A
今、特にこれでということはありませんが、いろいろな場合に協議していくことが必要だと思います。
Q
先日の党大会では、公明党の山口代表が来賓としてお見えになりましたが、昨年の公明党の党大会には、総裁はメッセージを出されただけで、出席されていません。バランスを欠いた感じがしますが、その点、どのように思われますか。
A
それは、メッセージを出してほしいという要請があったから出したわけです。出席の要請は、なかったと思います。ちょっと記憶がありませんが、そういうことになっているのは、ご出席の要請ではなくて、メッセージの要請があったからだと思います。
Q
予算委員会について、自民・公明・共産・みんなの4党が欠席する中、お経読み(予算提案理由説明)が行われています。この民主党の対応について、総裁のお考えをお聞かせください。
A
やはり、これは小沢一郎さんの政治とカネの問題について、幹事長・書記局長会談が行われたわけですが、何の進展もなかった。前国会中にと、おっしゃっていたのに何らの進展がなかったことに加えて、今後この問題は、予算委員会で議論してほしい、整理してほしいというのが、岡田幹事長の提言だったと思います。それに対して、一考だにせず、こういう形でやっていくというのは、熟議とは何のことだかわかりませんが、熟議が口先だけという典型的な表現ではないでしょうか。そのように思います。