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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成21年12月24日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

今日は、2つ申し上げたい点があります。
1つは、鳩山首相の元秘書が起訴された件です。これは、極めて深刻な事態だと思います。今回の事件は、単なる虚偽記載ではなくて、長年にわたる巨額脱税・偽装献金事件ということですから、事件を他人事のように語る首相の態度というのは、真面目な納税者を愚弄していると言わざるを得ないと思います。首相は極めて厳しい責任の取り方を求められていると言わねばなりません。特に申し上げたいのは、法的責任と政治的責任は別であるということです。かつての自らの言葉「秘書の疑惑は政治家の責任だ」ということでありましたから、かつての自らの言葉に従って、責任をきちんとお取りになるべきだということです。
もう1つは、政府税調で来年度の税制について、取りまとめをされたわけですが、結局、無理なマニフェストを作ったための財源探しに終始し、全体として税理論等々の整合性が極めて見られないものであったということだったと思います。結局、民主党のかつての主張、税の組み換え等で20兆円捻出できるとか、7兆円捻出するとか、いろいろなことを言っておられましたが、それが全くと言っていいほど果たされていない。そういう民主党の主張が全くの空理空論、砂上に描いた絵であった、砂上に築いた楼閣であったということがはっきりしたということです。いずれにせよ、このマニフェストが国民を愚弄した、もっと申し上げればマニフェスト詐欺というものであるということが明確になったわけでして、この責任をどう果たしていくか。国民に信を問うことも必要になってきていると申し上げたいと思います。
また、決定プロセスも極めて問題です。政府への一元化が、民主党のおっしゃる政治主導の金看板であったはずでありますが、政府への一元化どころか幹事長に一元化している。矛盾も甚だしいと申し上げたいと思います。

質疑応答

Q
本日で、鳩山政権が発足して100日が経ちましたが、これまでの政権運営について谷垣総裁の評価をお聞かせください。
A
「小鳩内閣」という言葉が躍っています。背後に小沢幹事長がいて、内閣に意思決定を一元化するという主張もどこへ行ったのか、二人羽織のような状況です。鳩山首相にリーダーシップや決断力が見られないということです。マニフェストの不履行も顕在化している。国民に対する約束がなかなか実行できないという姿。
さらに国際的な関係で、普天間基地の処理などを巡って、アメリカ政府からも信頼を得られていない。結局、外国政府に対して、言ったことが実現できない、嘘をついたような形になっている。世界に対して、日本国家の責任を持たないといけないという意識が欠如していると思います。また政治とお金の問題、どのように対応されるのかということを抱えておられます。以上が100日経っての印象です。
Q
本日、党紀委員会が開かれましたが、田村耕太郎参議院議員への対応など、どのような内容だったのかお聞かせください。
A
鳥取県と茨城県で、それぞれ参院議員の離党届が出てくるという大変残念なことだと思っています。それぞれの事情があると思いますが、茨城県に関してはさらに慰留を続けるということです。大島幹事長の下でそのような扱いになっている。鳥取県に関しては、党紀委員会が開催されたわけで、党紀委員会としての判断は出ていますが、後は執行部がどう判断するということだと思います。あとは大島幹事長に一任していますので、そちらに聞いてほしいと思います。
Q
舛添要一前厚生労働大臣が先日の講演で、自民党が生まれ変わるには、小沢幹事長以上の独裁的な人が必要だと述べて、自民党総裁への意欲を見せましたが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
独裁というのは、むしろ我々が戦わなければならないことだと思います。小沢幹事長の国家社会主義的と言いますか、独裁的な手法は決して日本の政治を良くすることに繋がらない。私どもは、むしろ独裁とは戦うということが1番肝要でして、自民党は自由闊達な議論をしていくべき党だと思っています。
Q
また同じ講演の中で、参院選の候補者選定について、決定過程が透明ではないと批判したようですが、全候補者を公募にするべきだとの考えを示していましたが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
できる限り公募なり、あるいは予備選挙等々の手法を使って、オープンに決めてもらいたい。これは党本部からも各県連に通達を出しているところです。事実、そういうことによって、清新な候補者を選んできていただいているところもある。他方、そうではありますが、なかなかこれも難しいところが、今まで公募をしたところも、必ずしも公募で選ぶにはもう少しリファインしないといけないという議論もあったり、あるいはここはなかなか難しいところですが、持って行きようによっては亀裂が生じて、次の選挙で一本化できないというような配慮をしているところもあります。個別の事情もあると思いますが、大きな方向としてはできる限り、そういう手法を対応して決めてもらいたいとおもっています。
Q
今年1年を振り返りますと、自民党にとっては野党に転落して大変な1年になったと思いますが、その中でも小泉進次郎氏を始めとして、新人議員が自民党の新たな希望ということで、国民から注目を浴びていますが、来年に向けての期待感をお聞かせください。
A
確かに今年は、自民党にとって非常に厳しい年でした。年が改まって、新しい年はもっと良い年にしていくよう努力していくことは、当然のことだと思います。そしてそれは単に自民党に良かれということではなくて、自民党が国民のために何をしていくのかということを含めて、もう少し希望の出る年にしなければならないと思います。
わが党は残念ながら、衆院選では若い方をたくさん当選させることができなくて、一握りの方しかいないわけですが、そういう方に大いに切磋琢磨、研鑽をしていただいて、さらに気を吐いていただかなければならないのが来年だと思います。ただ、若い方に頑張れと言うだけではなくて、中堅、ベテランもそれぞれ自分の持ち場、持ち場で頑張っていただかなくてはいけない年だと思います。
Q
鳩山首相の政治とお金の問題では、かつて首相本人が「秘書の責任は政治家の責任」と言っていたことから、首相辞任だけではなくて、議員辞職を求めるということでよろしいですか。
A
今のところは、まったく他人事のような態度をとっているので、まずどう事実を明らかにされ、そしてどのような責任の取り方をされるのか。これをはっきりさせていただかなければなりません。私は、個別に「こうしろ。ああしろ」とは、今の段階では申し上げようとは思いません。かつておっしゃっていたことがあるはずです。それとあまり違ったことをされるのは、誰が見てもおかしいということではないでしょうか。
Q
先日行われた「ふるさと対話集会」で、どのような声が挙がっていたか紹介いただけますか。また今後、開催形態について変えていくお考えはありますか。
A
すでに何箇所か行われています。私は茨城県美浦村に伺って、具体的にはそこのところしか、あとのところは十分に報告を聞いているわけではありません。私がまいりましたときは、20人から30人の方にお集まりいただいて、出席の方にはそれぞれご発言をいただくという形で行いました。
いろいろな意見がありましたが、総じて言えば、やはり今の民主党政権のやり方を見ていると不安に思うところがたくさんあるので、自民党に頑張ってほしい。それでは自民党が国民のために何をやるかということをもう少し明確に示してほしいという議論が中心だったと思います。
その他、今のことと関連しますが、それぞれの地域で、美浦村は農業地域ですが、農業地域であるとすると、まだ個別所得補償制度というものがどうなっていくのか、先が見えないから不安だとか。今の民主党政権の政策、中身そのものの問題もあると思いますが、果たして国民の意見をどれだけ吸収し、そして国民の実際の実務をやっている方々とのボールのやり取りがあまりなくて不安だという意見もありました。
今後のやり方は、あまりお仕着せのものより、あまり作ったものではないようにしたいと思っています。
Q
30人だと1回1回集まる人数が少ないのですが、もう少し拡大して行うことはお考えですか。
A
やはり拡大しますと、どうしても隔靴掻痒(かっかそうよう)と言いますか、言いたいことをおっしゃりたい方もなかなか発言の順番が回って来ないということになるのではないかと思います。もう少し大きい集会も場合によっては良いのかもしれませんが、さしあたって「ふるさと対話集会」の場合は、どちらかと言いますと、過疎地等々今まであまり閣僚経験者が伺ったところがなかったところを主たる対象としていますので、できるだけ膝を突き合わせて生の声を聞けるようにするというのが大事だと思います。
Q
参議院選挙の選挙区公認候補20名が決定しましたが、選挙区でもまだ半分近くで候補が決まっておらず、まだ当初のタイムテーブルと比べますと目算がずれているように思います。年明け以降、この点どのようにお考えですか。
A
確かに、当初できれば年内にかなりの部分を決めておいて、地元で参議院選挙のことをお願いしながら新年会等々を回れるように、ということを考えていましたが、今日の段階では、それが十分できたとは思っていません。
ただ他方もう1つは、先程議論されましたが、公募や予備選挙という手法もできるだけ使ってもらいたいということもありましたので、確かにそういうことをやると若干時間かかる。1月に入って、今までのスケジュールから見ても、党大会までに決まってくるところがかなりありますから、年が明けると相当進んでくるものと思います。
Q
参議院選挙の、現時点での自民党の目標をどこに置いていますか。また、選挙戦略として民主党に対抗する具体的なイメージをお聞かせください。
A
おっしゃるのは勝敗ラインとか、何議席を目標にしてということでしょうが、現時点で、まだ考えが及んでおりません。やはり1つ1つ全力を尽くして戦う。そしてそのための候補者をできるだけ早く選ぶことに、現時点では尽きます。
それで、参議院選挙の戦略としては、1つはそこでできるだけ良い候補を選ぶ。しかも、先程申し上げておりますように、公募や開かれた仕組みを使って、できるだけオープンな姿勢を示しながら良い候補を選ぶということです。
もう1つは、候補者というだけでなくて、何を主張していくか、何を争点としていくかという整理も必要だとも思います。これは、今、政権構想会議でまとめていただいたものを党綱領につけて加えていくという作業を今日から始めたわけですが、その上に立って、政策の目玉、選挙戦で訴える目玉を何にしてくかということ、これはマニフェストにも関連してきますが、そこの取捨選択がもう1つ非常に大事なポイントではないかと思います。
Q
鳩山内閣の支持率が下がっていますが、自民党の支持率も横ばいで、総選挙前後と変わっていません。党再建に向けたいろいろな試みをしているにもかかわらず、この辺理解されていないのか、支持率が上がってきていませんが、総裁の見解をお聞かせください。
A
私は、野党の出番は、1番は国会だろうと思っています。国会でしっかり議論し、問題点を追及していくのが第1ですが、残念ながらまだ必ずしもその機会を得られていないということが1番大きいのではないかと思います。ですから、来年の通常国会が極めて大事なのではないか。そこに十分弾も仕込み、四股を踏んで土俵に上がることが大事だと思います。
Q
鳩山首相の献金の問題ですが、総裁として鳩山首相の辞任を求めているのですか。
A
こういうことは、それぞれのタイミングがありまして、私は極めて厳しい責任をお取りになるべきだと思います。これは、これから更にご自分でお調べになって、もう少しいろいろおっしゃるわけでしょう。そういうのを見て、申し上げたいと思います。
Q
本日の新綱領策定委員会での議論と、今後議論する内容について、お聞かせください。
A
今日の議論は、主として総理経験者からいろいろお感じになっているところのご意見の開陳がありました。今までの政権構想会議のメンバーは随分議論してきたものですから、どちらかと言えば、ご発言は少なかったと思います。結論と言いますか、参議院選挙に向けて、綱領という形でわかりやすいものにしていく必要がある。これは参議院選挙だけに向けるのものではなく、両面あると思います。当然のことながら、もう少し長い期間の考え方の基礎という面と、同時に、これが参議院選挙を戦う場合の1番基本的な骨格になる。両面あると思います。その両面をしっかり出してくれということだったと思います。